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安奈みら取材紀行「蝙蝠屋敷の怪事件」第十三章

   
 蝙蝠屋敷と呼ばれる小森旅館。
 建物自体は洋風建築だけど、庭は、むしろ日本庭園。
 人の背の高さほどの低木が植えられて。
 茂みと茂みと間のスペースには、岩も並べられている。何かを模しているような感じだが、何のつもりなのか、私には理解できなかった。
 遠くには池があって、橋も架けられている。
 そちらに通じているらしい砂利道を。
 私とおキヌちゃんは、ゆっくりと歩いていく。

「ねえ、おキヌちゃん。
 昨日の……
 緋山ゆう子の手記なんだけど、
 おキヌちゃんは、どう思う?」

 しばらく他愛ない話をした後で。
 私は、そう切り出した。

「『どう?』と言われても……」

 質問の意図が伝わらなかったらしい。
 私は、軽く補足する。

「ほら、あの内容って、
 しずか御前から聞かされた話と
 かなり違ってたでしょ?
 ……おキヌちゃんは
 どっちを信じたのかな、って思ってさ」

 『しずか御前』という言葉で、苦笑するおキヌちゃん。
 勝手に使っている呼び名だけど、おキヌちゃんも分かってくれたようだ。

「そうですね。
 私が信じたのは
 ……緋山ゆう子さんの話かな。
 だって、あれって死に際の記録だから
 遺言みたいなものじゃないですか。
 それを信じないというのは、
 なんだか可哀想な気がして……」

 『遺言』っていうのは、そーゆーもんじゃない気もするけど。
 まあ、おキヌちゃんの言いたいことは、わからんでもない。

「でもね、おキヌちゃん。
 ……あの話には、色々と
 奇妙な箇所があるような気がしない?」

 私は、さっきまで一人で考えていたポイントを指摘してみた。
 まずは、誰が小森和男を殺したか、という点である(第十二話参照)。
 おキヌちゃんは、話を聞きながら、ウンウンと頷いてくれた。

「ああ、言われてみれば……。
 たしかに小森和男さんを殺したのは
 緋山ゆう子さんかもしれませんね。
 だけど……きっと、
 それは仇討ちなんですよ」

 さすが江戸時代生まれのおキヌちゃん。
 彼女は、『仇討ち』という概念を持ち出して、緋山ゆう子の弁護を始める。
 緋山ゆう子だって、性根は悪い人ではなく、人殺しなんて無理なタイプ。でも、愛する人への思い故に。
 それがおキヌちゃん説だった。
 一応、私の考えと同じようだが(第十二章参照)、彼女の口調を聞いていると、私よりも好意的に解釈しているような気がする。
 だから、つい、反論っぽいことを口にしてみた。

「そこまで深く愛していたなら、
 その場で殉死すれば良かったのに」

 これこそ、私の第二の疑問点。
 『どうせ、あのひともいないのですから、もはや生きていても仕方ありません』への疑いである(第十二話参照)。とても本心とは思えないのだ、彼女は生き延びるために隠れていたのだから。

「……『愛』を口実に
 自分を正当化するなんてズルいよね。
 まるで女たらしみたい!」
「うふふ……それこそ
 『女心と秋の空』なんじゃないでしょうか」

 おキヌちゃんは、女性心理として納得しているようだ。
 つまり。 
 村人が屋敷に来たときには、恐いから咄嗟に隠れて。
 その後しばらくの間、まだ、生に執着していて。
 しかし、暗い場所で長々と隠れているうちに心変わり。
 そして、『もはや生きていても仕方ありません』という心境に。

「とっても女性らしいじゃないですか。
 ほら、昔のヒット曲でも、
 『男のコと女のコの気持ちは違う』
 ……って歌詞、ありますよね?」

 いや、そんな歌詞、どこにでも使われてそうだし。
 おキヌちゃんの想定したヒット曲、私には見当もつかなかった。
 まあ、それは些細なことだから、どうでもいいとして。

(私……女のコなのに
 女性心理がわかってないのかしら?
 そう言えば私の作品では、
 女の情念とか心の機微とか、
 あんまり出てこないもんね……)

 安直で都合のいいキャラを描いたほうがウケるから。
 そーゆー作品ばかり書いているうちに、人の心に疎くなってきたかもしれない。
 そして。
 『女性心理』に着目したことで、ようやく気が付いた。
 なぜ、私が緋山ゆう子の手記を信じられないのか。
 それは……。

「ねえ、おキヌちゃん。
 あの手記にあった『愛』って言葉、
 おキヌちゃんは、気持ち悪く感じなかった?」

 私の感覚では。
 緋山ゆう子が、本当に小森家の主人――あのひと――を愛していたとは思えないのだ。
 二人が愛を育んだ過程など書かれていなかったし、想像もできなかった。
 あそこの記述をストレートに受け取れば、緋山ゆう子は、『あのひと』に優しくされて、その優しさに甘えただけ。
 それを『愛』と言ってしまうのは、おかしいと思う。
 だから、全てが嘘っぽく聞こえてしまうのだ。

「……やさしさと愛とは別よね?」

 という私の言葉に対して。
 おキヌちゃんは、肯定も否定もしない。
 何か思い返しているかのような、無言の時間があって、それから。

「みら先生の言うとおり、
 やさしさは愛じゃないですね。
 ……でも、やさしさは
 愛が生まれるキッカケになりますから」

 ようやく口を開いた彼女は、幸せそうに微笑んでいた。






     安奈みら取材紀行「蝙蝠屋敷の怪事件」
    
          第十三章 成し得ぬ犯罪
            ―― The Impossible Crime ――






「えーっと……世紀末救世主伝説?」
「何言ってるんですか、みら先生」

 しばらく歩き続けるうちに、日本庭園は終了。
 私たちは、何もないエリアに突入していた。
 木や草どころか、石も転がっていない。
 褐色の土が広がるだけ。

「だって、おキヌちゃん。
 あまりにも殺風景だから……」

 こういうのを荒野と呼ぶのだろう。
 そのイメージとして頭に浮かんだのが、さきほどの言葉だった。

「まあ、それはそうですけど。
 ……あ、たぶん、あれですね!?」

 私より早く、おキヌちゃんが気付く。
 目的地が見えてきたのだ。
 私たちが向かっている場所、つまり、幽霊が出ると言われている倉だ(第四章参照)。
 何もない中心にポツンと建っているのを見ると、まるで……。

「動物が近寄れないどころか、
 植物も生えることができない。
 それは、この倉から
 毒素が発せられているからで……」
「みら先生。
 ……それは殺生石伝説です」

 私が口にした妄想を聞きとめて、苦笑いするおキヌちゃん。
 そう言えば、その『殺生石伝説』の主役である金毛白面九尾の妖狐は、おキヌちゃんの友人なんだっけ。
 おキヌちゃんから聞いた話が頭の片隅に残っていて、それで、こんな想像をしたのかもしれない。
 まあ、でも。
 たしか殺生石のあるところは、いかにも山間部といった感じで、大きな岩はゴロゴロしていたはず。
 一方、ここは、小石ひとつ転がっていないくらい、ホントに何もない場所だった。
 そんなことを考えていると。

「……それに、みら先生。
 ここは、ちゃんと
 生き物も近寄れるみたいです」

 おキヌちゃんが、問題の倉を指さした。
 意味が分からない私だったけれど。
 もう少し歩くうちに、私の目でも、それを捉えることが出来た。

「あれ、福原クンじゃないの!?」
「うふふ。
 こんなところでバッタリ出会うなんて
 ……面白い偶然ですね」

 そう言って私に笑顔を見せる、おキヌちゃんだった。


___________


 私が気付いた頃には、向こうも私たちに気付いていて。
 福原クンの方から、こちらに歩み寄ってくる。

「福原クンまで、探偵ごっこを
 やってるなんて思わなかったわ」

 抜け駆けせずに、私も誘って欲しかったな。
 ふと、そんな気持ちにもなったけれど。
 それは心の中に留めておいた。

「福原さんも……
 幽霊の倉を見に来たんですか?」
「まあ、そんなところです。
 でも『探偵ごっこ』じゃないですよ。
 これは取材旅行ですからね、
 それっぽいところは
 念入りに観察しておかないと」
「仕事熱心なんですね、福原さん」
「いやあ、それほどでも」

 おキヌちゃんと言葉を交わす福原クンを見て。

(『取材』なら……それこそ
 私に声かけて欲しかったな)

 一瞬、心の中に、すきま風。
 でも、態度には出さずに。

「それで、福原クン。
 ……ネタになりそうなもの、
 何か見つかった?」
「いや、ダメでした。
 周囲には何もないし、
 中には入れないし……」

 そう言われて。
 あらためて、視線を問題の倉へと向ける。

「土蔵造りね」

 土台の部分は、黒っぽい石を積み重ねて作ってある。
 だが壁は石製ではない。上まで継ぎ目はなく、色は白に近いライトグレー。
 土壁を漆喰などで塗り固めたものだろう。
 そして、一番上は、日本的な瓦屋根のようだった。

「……みら先生、
 こういうのに詳しいんですか?」
「違うわ、おキヌちゃん。
 日本の建築様式について、
 小説の資料として調べたことがあるから。
 ……その時の知識の名残り」
「しょせん、書物の上での知識なんです」

 フォローにならない補足をする福原クン。
 でも、そうした知識が役に立つこともあるのだ。
 実際、典型的な例を知っているからこそ。
 一目で私は、この土蔵の特徴に気が付いた。

「窓がないわね」

 あとで裏側も確認してみる必要があるが、少なくとも前面と側面には、窓は一切ない。
 入り口に鍵がかかっていたら、中に入ることは出来ないわけだ。
 そして、その入り口は。
 土蔵造りには似合わない、頑丈な鉄の扉だった。
 左右に開く引き戸のようだが、その把手の部分が、ごっつい錠前――いわゆる南京錠――で繋がれている。

「これじゃ中に入れない……」

 と、つぶやく私。
 私たちは、話をしながらも、倉へ近付く方向に足を進めているので。
 だんだん細部がハッキリしてきたのだ。 

「大丈夫です!
 鍵がかかっていても、
 私には関係ありませんから!」

 明るく発言するおキヌちゃん。
 そうだ、おキヌちゃんの幽体離脱なら、この倉の中を覗くことも出来るだろう。

「じゃ……おキヌちゃんに
 中を取材して来てもらおうかな」
「はい!」

 私の言葉に、彼女が笑顔で頷いた瞬間。

「キャーッ!!」


___________


 一瞬、顔を見合わせる三人。
 今の悲鳴は、私のものではない。
 おキヌちゃんでもないし、もちろん、福原クンでもない。
 女性の悲鳴だったのだ。
 遠くからの叫びではないけれど、でも、何かを隔てて聞こえて来たような感じ。
 ……ということは!

「こっちです!」

 福原クンも、私と同じ結論に至ったらしい。
 彼は、土蔵を指さしている。

「……行きましょう!」

 福原クンが駆け出して。
 私とおキヌちゃんが、彼に続いた。


___________


「やっぱり……無理だわ」

 一応、確認してみたけれど。
 扉は、固く閉ざされていた。

「何やってるんですか、先生」
「だって……基本でしょ?」

 実は錠前はロックされていないとか、把手の裏側に引っ掛けてあるだけとか。
 そういう『鍵がかかったフリ』という可能性を考慮したのだ。

「やめてください、先生。
 縁起でもないですよ。
 先生が想定してるのって……」

 あ。
 福原クンに言われて、初めて気付いた。
 私がやっていること、それは。
 これが第二の密室殺人である場合のためのもの。
 あーだこーだと密室議論を行うための備えに他ならない。

「……みら先生!
 私にまかせてください」

 隣にいたおキヌちゃんが、突然、幽体離脱。
 壁をすり抜けて入ろうとしたのだが……。

 バシュッ!!

「きゃっ!?」
「え?
 ……どうしたの、おキヌちゃん!?」

 幽体となった彼女は、壁に衝突していた。
 いや、『ゴツン』ではないのだから、衝突というより、むしろ。

「バリアーに跳ね返された感じ?」
「そんなものパリンと割っちゃいましょう!」

 私と福原クンの言葉に対して、幽体おキヌちゃんは首を横に振って。
 サッサと肉体に戻ってしまう。
 そして、少しだけ専門家っぽい解説。

「ダメです。
 霊体では入れません。
 結界が張ってあるみたいです」
 
 うーん。
 『押してもダメなら引いてみな』という言葉があるが、オカルトでダメなら……。

「福原クン!
 急いで合鍵部屋へ行って!
 ……この倉の鍵だって、
 きっと、そこにあるはずだわ」


___________


「はい、先生!」

 私の指示に従い、福原クンが走っていく。
 彼の後ろ姿が見えなくなってから。
 今度は、おキヌちゃんに頼み事。

「おキヌちゃん、ちょっと
 ……ここで番をしていてね」
「え?
 みら先生も……
 どっか行っちゃうんですか?」

 心細さを顔に出すおキヌちゃん。
 おキヌちゃんって、幽霊相手に戦うGSのはずなのに。
 時々、こういう一面を見せる。
 そこが彼女の可愛いところかもしれないけれど。
 今は、そんな場合じゃなかった。

「大丈夫。
 遠くには行かないから。
 ただ……少しだけ、
 確認しておきたくてね」

 そう言って。
 私は、倉の周りを、グルリと一周。

(やっぱり……)

 確かめておきたかったのは、裏側の壁だ。
 前面や側面同様、そちらにも窓はなかった。
 
「……みら先生?」
「お願い。
 おキヌちゃんは、そこにいて」

 戻ってきた私は、足を止めずに、二周目に突入。
 今度は、土台の部分をチェックしてまわる。
 重ねられた石のひとつが、外れるんじゃないか。そんな可能性も考えたのだ。
 しかし、ザッと見たところ、それは否定できそうだ。
 
(今度も……密室殺人?)

 福原クンには『縁起でもない』と言われたけれど。
 さっきの悲鳴、あれはタダゴトではない。
 しかも、悲鳴ひとつで終わっているから、いっそう不吉なのだ。
 助けを求める声が続くのであれば、悲鳴の主も生きているだろうが、それがないということは。
 おそらく、この倉の中で。
 たった今、誰かが殺されたのだ。

「みら先生……またですか?」

 三周目。
 今度は、少し距離をとって。
 瓦屋根に意識を向ける。

(……こっちも大丈夫みたい)

 私が壁や土台を調べているうちに、犯人が上から逃げ出すんじゃないか。そんな可能性も考えたのだ。
 しかし、それも否定できそうだ。
 この倉は、平屋くらいの高さしかない。少し離れるだけで、上まで一応視界に入るのだ。
 ビルのような平らな天井なら死角も出来そうだが、幸い、日本建築では屋根は斜めだ。
 これならば、犯人が屋根の上に潜んでいることはないと断言できる。
 そして。

「……疲れた」

 三周目が終わったところで、おキヌちゃんの隣に座り込む私。
 念のため、おキヌちゃんに質問する。

「私が裏側にいた時、
 変わったことはなかったわよね?」

 私が別の部分を調査中に、犯人が正面から出てくるかもしれない。
 そんな可能性も考えて、私は、彼女をここに配備したのだ。

「ええ、もちろんです。
 ……何かあったら、
 みら先生だって気付きますよ」

 苦笑しながら、おキヌちゃんが頷く。
 まあ、彼女の言うとおりだろう。
 そんなに大きな倉ではないのだから、反対側にいても、異変が起これば察知できたはずなのだ。
 それに、よくよく考えてみれば。
 ここの鍵は南京錠なのだから、中から開けることは出来ない。
 つまり。
 
(もしも、さっきの悲鳴が……
 誰かの断末魔の悲鳴だとしたら。
 ……その犯人は、まだ中にいるってこと!?)

 ああ、おキヌちゃんが怖がっていたのも、当然なのだ。
 立っていたわけじゃなく、座り込んでいた私なのに。
 その脚が、ガクガクブルブル、震え始めた。


___________


「あ!
 福原さんが戻ってきました!」

 先に気が付いたのは、今度もおキヌちゃん。
 やっぱり眼鏡っコの私より、おキヌちゃんのほうが目がいいのかしら。
 そんなノンキなことを考えたのも、小さな現実逃避だったかもしれない。
 腰が抜けた……と言っては言い過ぎだけど、一人では立てなくて。
 おキヌちゃんに肩を借りて、立ち上がる私。
 それでも。

「はい、先生。
 これが、ここの鍵です」

 福原クンは、借りてきた鍵を私に渡す。
 この場を仕切るのは私という意味なのだろう。
 彼の気持ちを受け止めて。
 私は、入り口の南京錠に、それを差し込む。

(あら、この鍵……)

 小さな違和感、それは鍵の形状。
 屋敷の鍵は、頭の部分が蝙蝠のような形だったのに(第九章参照)。
 この倉の鍵は、ごくごくフツーなのだ。
 
 カチッ。

 だが、ちゃんと開いた以上、間違いなく、ここの鍵だった。

(……ふーん。
 屋敷の中と外じゃ、
 鍵も全く違うのね)

 そんなことを考えながら。
 私は、他の二人と共に、倉に入った。


___________


 窓がないから、倉の中は真っ暗。
 この闇の中に、先ほどの悲鳴の主がいるはず。
 そして、もしかすると凶悪な殺人犯も……。
 そんな恐い想像をしてしまったけれど。
 
「これも借りてきました」

 と言って、福原クンが懐中電灯をつけてくれた。
 それによって照らされた範囲内に。

「これ……電気でしょうか」

 おキヌちゃんが照明のスイッチを発見。
 早速、カチッと押してみる。
 倉の中の暗黒が消え去った。
 これで、よく観察できるようになったのだが……。

「きゃっ!?」


___________


 四方の壁には、それぞれ一つずつ、ランプが設置されていた。その少し下に、長方形の紙――何か文字が書いてある――も、一枚ずつ貼られている。
 天井には、何もない。
 床も、本来は何もないはずだった。外壁と同じように白っぽい漆喰でコーティングされている、単調なフロアー。
 しかし、今。
 そこに、女性の死体があった。
 彼女の胸には、小ぶりなナイフが刺さっていて。
 利江さんの時ほど血は流れていないが、それでも、明らかに死んでいる。

「ああ……そんな……」

 たぶん、心臓を的確に突かれたのだろう。
 あっというまに絶命したのだろう。
 あの悲鳴を上げるだけで精一杯だったんだろう。

「うぅっ〜〜」

 私の隣では、おキヌちゃんが啜り泣いているようだ。
 でも、私は、声も涙も出なかった。
 ただ頭の中でグルグルと、さっき聞いた言葉がリフレインしていた。

   「『証拠を見つけてくる!』と言って、
    ひとりでどこかへ行っちゃいました」

 あの時の、茂クンの表情も思い出しながら。
 私は。
 死んでしまった樹理ちゃんを、ボーッと眺めていた。



(第十四章に続く)
    
   
 この章から読み始めた方々や、途中を少し省略した方々もおられるでしょうが、作品の性質上、伏線が多いので最初から通して読んで頂けたら幸いです。
 前章までは、こちらです;

 第一章  雷光の彼方に        ―― Over the Lightning ――
 第二章  美女と蝙蝠         ―― Beauty and the Bat ――
 第三章  出会いの宵         ―― Some Encountered Evening ――
 第四章  小森旅館の怪人       ―― The Phantom of the Inn ――
 第五章  イン・ザ・ルーム      ―― In the Room ――
 第六章  マイ・フェア・ベイビィ   ―― My Fair Baby ――
 第七章  クロス・ザ・ドア      ―― Cross the Door ――
 第八章  シティ・オブ・サスペクツ  ―― City of Suspects ――
 第九章  彼女の言い分        ―― Her Reasons ――
 第十章  探すことが好き       ―― I Love to Search ――
 第十一章 君の住む抜け穴で      ―― In the Hole Where You Live ――
 第十二章 退屈な朝          ―― Oh What a Borin' Mornin' ――


 第一の殺人に続き、第二の殺人も密室殺人となりました。今回は死体発見までなので、この続きは第十四章です。
 第十四章は、明日の夜に投稿する予定です。続きも、よろしくお願いします。



(12/29追記)
 第十四章を投稿しました;
   第十四章 彼女なしでも  ―― Without Her ――

 第十四章以降も、よろしくお願いします。
   

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