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いつか回帰できるまで 第五話 流転−崩れゆく心の彼方に

「それでは、氷室さん。また来ますね」

 壮年と言うにはやや微妙な年齢の女性が、玄関先で草履に足を入れる。
 慎ましい着物姿には気品が漂い。熟年の美がそこにはある。
 少し白い物が混じり始めた髪はさりげなく黒く染め上げられ、日本髪に結わえられている。
 一瞬だけかすかに憂いを帯びた瞳、別れを惜しむ色と違う影がかすかによぎっていた。

「えぇ、弓さんもまた来てください。しばらくは忠彦達も帰ってきませんし」

 玄関で見送る人影は、長い黒髪が揺れている。
 目尻や手に多少皺が見えるようになっているが、同年代の女性より格段に若々しさを保っている。
 優しい眼差しは旧友を見守っているかのようだった。
 当年50歳を数える氷室キヌは、三十年来の親友が遊びに来てくれたことを心から喜びを感じていた。

「では、また」

 弓は恭しく礼をすると、ゆったりとした足取りで氷室家を後にする。

「弓さん、少しずつ元気になっているのかな……」

 親友の抱える寂しさに切なさを感じずに入られなかった。
 かおりの伴侶、雪之丞が病死してから既に三年が経過していた。
 失った直後と比すれば明るさを取り戻した弓ではあるが、時折寂しさに表情をかげらせることがあった。

 雪之丞の死、魔装術多用に起因する霊体の崩壊。
 せめて転生するだけの力を取り戻すために、五穀断ちから始まる即神仏となることで、彼の霊魂は死後妙神山で籠もっている。
 故に俗世との隔絶を余儀なくされ、人としては死したことと同じだった。
 伴侶に先立たれ落胆を抑えられない弓。そんな彼女の心を、おキヌは少しでも癒す事が出来たろうか。

 雪之丞は伴侶に看取られ微笑みながら逝った。それがせめてもの慰めであろう。

「ずいぶん色んな事がありましたね」

 小さくつぶやく。環境の変化はそれだけにとどまらない。
 ここしばらく、特に一年間でおキヌを取り巻く環境は大きな変化に巻き込まれていた。

 それはおキヌにとってめでたくもあり、一時的に寂しくもあることだ。
 愛する息子が結婚しハネムーンに旅立っているからだ。
 すなわち、氷室家は現在おキヌ独りであり、寂しさは隠しきれない物だった。

「まさか、ひのめちゃんがあの子となんてね」

 思い出して小さくつぶやき、くすくすと思い出し笑いする。

「あの子も妙なところが律儀なんだから、ひのめちゃんかなりやきもきしてたのにね」

 雪之丞の三回忌が過ぎようやく結婚したのだ。
 実のところ忠彦と雪之丞はそれなりに関わりが多かった。

 カラッ

 先ほど閉じたばかりの戸がいきなり開いていた。

「え?」

「おキヌちゃん久しぶりなのね〜。遊びに来たのね〜」

 なかなか奇抜な風体をした額に目のある神族調査官がシュタッと右手を挙げていた。

「ヒャクメ様ったら」

 思わず口に手を当ててクスクスと笑っていた。

「どうぞ、上がってください。大したもてなしはで……」

 クラッ

 その瞬間、おキヌの意識は安定を失っていた。

「おキヌちゃんっ!?」

 ドサッ

 糸の切れた人形のようにおキヌの体が廊下に倒れ込む。
 血相を変えたヒャクメが駆け寄って、己の百の器官を総動員し、彼女の容態をはかろうと試みていた。

「こ、これは……」






〜 いつか回帰できるまで 第五話 流転−崩れゆく心の彼方に 〜







「大変だっ!! おキヌちゃんがっ」

 血相を変えた横島が家の中に飛び込んできた。
 その腕の中にぐったりと青ざめたおキヌを抱きかかえて。

「お、おばあちゃんっ!?」

 玄関入ってすぐ、リビングから現れた絹香が顔色無くして声を上げる。

「お、お義母さんっ!?」

「お袋っ!!」

「おキヌちゃんっ!? 何があっただっ!?」

 次々と家族が集い、声をかける。

「何が、何があったですかっ」

 パピリオも焦りをにじませて問いかけてくる。

「頼むっ急いで救急車呼んでくれっ!!」

 横島が必死で声を絞り出す。

「お待ちなさいっ」

 凛とした声が響き渡る。
 その場の全員が廊下の奥から歩いてくる人影に注目していた。

「え?」

 普通の女の子の装束であろうと、そこにいるのは龍神であり武神たる小竜姫だ。

「救急車は無駄です」

「な、何を言って……」

「ひとまずおキヌさんを布団へ、ヒャクメ、お願いします」

 背後についてきている親族の調査官に声をかける。

「わかったのね」

 沈んだ表情が珍しいだけに事態の逼迫さが浮き彫りになって居るかのようだった。

「一体どうなってるんだよっ。救急車は無駄って」

 口の中で反発しつつも小竜姫に従って、おキヌの私室に足を向ける。
 当然ながら抱きかかえたおキヌの様子に細心の注意を払いながら。

 部屋には既に寝具が準備されていた。まるでこうなることが分かっていたかのように。

「なんだ、よ」

「横島さん、おキヌちゃんを」

 小竜姫に促されハッとなる。そのまま抱きかかえていたのではおキヌも体力を消耗してしまうことだろう。
 そっと横たえ、掛け布団をその体にかぶせる。

「横島……さん」

 うわごとのように、愛しい名を呼ぶ老女。

「ここだよっ俺……ここにいるから」

 その皺だらけの手を必死に握る。
 無駄かも知れない。それでも手を握らずに入られない。

「ヒャクメ、どうですか?」

 小竜姫の問いかけは、曖昧な物を訪ねるような感じではない。
 強く、何かを「確認」するかのような問いかけ。

「間違いないです……ね」

 おキヌの枕元で横島が額に冷たい汗をにじませていた。
 『救急車は無駄』と言われただけにその焦れ方も尋常ではない。

「やはりもう……限界だったんですね?」

 やりとりを見守る横島の目は鋭く、もはや殺気に近いものを宿していた。

 小竜姫は汗をにじませ、ヒャクメは続く言葉を吐き出した。

「はい、霊体の……崩壊です」

 まるで異国の言葉のように意味を感じさせない。それでいてはっきりと断定した声が紡ぎ出される。

『何だって?』

 声が出ない。横島は金縛りにあったようにそのまま硬直してしまう。

「ヒャクメ、天龍皇太子殿下に連絡してください。今日用意した霊薬では足りません」

「わかったのね」

「私では、仙薬の調合はできません。できれば仙医の心得がある者を……」


「何が一体どうなってるんだよっ!!」


 その場を切り裂くように横島が声を張り上げていた。

 周囲の者達が一斉に目を見開いていた。
 ほどなくして小竜姫は瞑目する。
 ゴクリッとヒャクメはのどを鳴らし、恐る恐る横島に向き直っていた。

「何なんだよ、これ? 霊体の崩壊ってどういうことだよ」

「過負荷に耐えきれなくなった霊体が、維持できなくなって自壊することです」

 その瞬間、横島の脳裏につり目の友人が思い浮かんだ。

「雪之丞……みたいにか?」

 魔装術の多用で病死したという、転生するために妙神山で回復を期しているという話が脳裏によぎる。

「基本的に同じですが、決定的に違います」

 きっぱりと小竜姫は断言する。
 横たわるおキヌを見つめながら、ゆっくり重たげな口を開いた。

「彼女の霊体は、遙かにダメージが深刻です」

「え?」

「回復は望めません。むしろ、ここまでもったのが不思議なくらいです」

「何を言って……」

「その」

 割ってはいるようにヒャクメが声をかける。

「言いにくいんだけど、前々からおキヌちゃんの霊体は極端に衰弱していたのね」

 ヒャクメは意を決したように言葉を紡ぎ出していた。

「どういうことだよ?」

「落ち着いて聞いて欲しいのね。そもそも彼女の霊体は過去からずっと考えられないような過酷な環境で生きてきてるんです」

 問いかけを遮るように慌ててヒャクメは説明する。

「え?」

「一度死んで地脈と一体化したり、切り離したり、霊体で直接攻撃を敢行したり、反魂の術で生き返ったり、全部例外中の例外な負荷ばかりなのね」

「あ、あぁ」

 すべて横島も知っている。彼女がどのような過程を持って生きてきたか。生き返る前から共に過ごしたのだから。
 だが、大事なことはそんなことではない。横島は最も重要なことに意識を返す。

「だからっ!?」

 ぶつけどころのない焦りが声を荒げていた。

「だ、だから、おキヌちゃんの霊体はぱっと見ても分からない。でも、致命的なダメージがあるんです」

「嘘……だろ?」

「地脈の力で増幅されたからなんとか原形を保っていられたんです。でも、もう限界が」

「なんとか、なんとかなんねぇのか!? 神様だろ」

「よ、横島さん落ち着いてぇっ」

 胸ぐらつかみかからんばかりの勢いにヒャクメは狼狽し小さくなるばかりだ。

「横島さんっ!!」

「っ、小竜姫様」

 小竜姫は厳粛な声で横島を制する。

「私たちが、何もしてこなかったとお思いですか?」

「……」

 涙を浮かべる龍神の姿にすべてを悟る。

「どうにもならないんですか?」

 一縷の望みを託した声を絞り出す。

 答えは、苦悩に歪んだ顔を左右に振る小竜姫。

「地脈の力で増幅されてさえ定着できなかった。彼女の魂はもはや転生すらかなわないほどに衰弱しているんです」

 横島の全身から血の気が引いていった。転生すらできない。すなわち完全なる消滅と別れの宣告である。

「う、嘘だ……」

 認めたくない。その気持ちだけが言わせた言葉だ。
 小竜姫は、目を逸らし小さく首を左右に振った。そこに横島が望む答えは無い。

「そうだっ、俺の文珠で」

 起死回生を望む思いつきだった。その手には透明な霊気の結晶たる文珠が現れている。
 どんな文字を入れればいいか。そこに思考を傾けようとした。

「横島さん」

 小竜姫は狼狽する横島の肩に手をかけていた。

「残念ですが、横島さんの文珠では壊れた魂を回復させることは……横島さんだってご存じでしょう?」

「……っ」

 横島の脳裏にかつての記憶が蘇る。崩壊しかけた美神の魂と遭遇したときの記憶だ。
 強力な白黒二色の文珠でさえ、美神の魂を回復させるには至らなかった。
 あの時は美神にハッパをかけることで、一時的に持ち直したが、時間がたてば崩壊は免れなかっただろう。
 美神はコスモプロセッサによって回復したに過ぎない。文珠には崩壊しかけた魂を回復させる力はないのだ。

「本当にっ、本当にどうにもならないんすかっ?」

 顔中を歪ませて、涙も鼻水も流しっぱなしで。

「せめて最期を看取ってあげてください」

 絶望を示す言葉に横島はその場で泣き崩れるしかなかった。




 おキヌの私室には横島だけがそばにいた。横島に遠慮したのだろうか、他の者は居ない。

「霊体の崩壊って」

 誰とも無しにつぶやく。
 横島が見聞きしただけでも、いくつか事例があった事を今更ながらに思い出す。

 美神の母である美智恵が魔族チューブラーベルに寄生された話。
 美神が宇宙の卵で『魂の結晶』を抜き取られたとき。
 そして、他でもない横島自身がベスパの妖毒に侵された時と、横島を救うため自らの霊体を犠牲にしたルシオラだ。

 簡単に思い出せるだけでこれだけあるなら、霊体の崩壊という事態はゴーストスイーパーにとって他人事ではない事を意味している。

 悪霊や魔物と戦う以上肉体だけでなく霊体にもダメージを受ける可能性は往々にして存在するのだ。

「だからって、おキヌちゃんが居なくなる。そんな馬鹿な話があるかよ」

 ようやく落ち着いた寝息を立てるおキヌのそばで、横島は憔悴しきっていた。

「50年だって、やっと、やっと会えたって、俺に会えたって喜んでくれたのに」

 横島は思わず己の腕を遠い目で見る。
 再会の瞬間、泣きながらしがみついてきた壊れそうな華奢な体を抱きとめた腕だ。
 乞われて抱きしめた腕、倒れた彼女を抱き上げた腕だ。

「おキヌちゃんが居なかったら」

 ルシオラを失って後、時折、寂寥感にさいなまれて東京タワーで夕陽を見ているときがあった。
 毎日というわけではない。一月に一回くらいだろうか?
 特に理由はない。
 月命日というわけでもない。ただなんとなくふらっと出かけることがあった。
 横島の人生で最大の後悔が眠る場所。かつての恋人ルシオラが横島の命を救うため文字通り全てを賭けて逝った場所だ。
 傷ついた心を癒す術すら分からなかった横島の元に、ある日、彼女が、おキヌが訪れた。
 彼の居る場所までやってきて。そして、心のしこりを軽くしてくれた。

『横島さんが感じている悲しみを想像することは出来ても、本当の辛さまでは知ることは出来ませんから。でも、ルシオラさんの気持ちだったら分かるような気がします』

 あの日、東京タワーで夕陽を眺めながら、横島の心を救ってくれた。
 彼女が教えてくれたのは、横島を助けたい。そう願った乙女たちの気持ち。

『ルシオラさんは横島さんの未来を守ったんだと思います。だから、いつまでも落ち込んでいたらきっと許してくれないと思いますよ』

 ルシオラだけではなく、おキヌにも共通する想いだ。
 あの時横島を守ろうとしたルシオラも、心を救おうしているおキヌも、その想いの起源は同じくしていた。

『大好きです。横島さんのことが』

 ルシオラの死を悼むだけでなく、辛さを忘れるのではなく、乗り越えるきっかけをもらった。
 横島は忘れることではなく、覚えていること、多くの思い出を思い出すことで、乗り越えることができた。

「あの日、おキヌちゃんのおかげで、おキヌちゃんが居てくれたから俺は」

 ギリッと奥歯を噛みしめる。

 カチカチッ

 時計の秒針が冷たく時を刻む、既に日付は変わっていた。

「おキヌちゃん」

 大切な意味を持つ名がこぼれていた。

「横島、さん?」

 横たわるおキヌが薄目を開けていた。
 ビクッと全身が震える。

「あ、起こしちゃった?」

 とっさに横島はいつもどおりのおどけた様子で笑って見せる。しかし、どこかぎこちなさを払拭しきれない。
 その姿を見る彼女の瞳に全てを悟った光が浮かんだ。

「聞いてしまったんですね?」

 それだけ言うと、おキヌは潤む瞳を布団に隠してしまう。涙声をこらえながら小さく呟いた。

「おキヌちゃん」

「ごめんなさい、横島さん」

 布団越しに小さく震える肩、ポロポロと瞳から涙が零れ落ちる様子さえ分かる。

「ごめんなさい」

 ただ彼女は繰り返した。

「何を、言ってるんだよ」

 心がざわついていた。堰を切りそうな涙の圧力に耐えながら、横島は歯がみする。

「おキヌちゃん、俺はっ」

 横島の声を遮るように、おキヌが顔を上げていた。

「横島さん」

 何か言おうとした横島の勢いを止めてしまう、すごむわけでもない迫力がある。
 その顔は微笑んでいた。幸せだった二人並んでいた頃と同じ優しく柔らかな微笑みだった。
 だが、言葉を止めてしまう澄んだ微笑みだった。

「私のことは、忘れてください」

「なっ!」

「もう居なくなる私の事なんて……気にしないで幸せになってください」

 まっすぐに瞳を見つめながら言葉を紡ぐ、それは彼女の本音の一つ。

「50歳も年上のお婆ちゃんの事なんて……もう」

 しかし、微笑みを浮かべたままポロポロと涙をこぼしていた。
 それが自分の言葉が本音の全てではない事を雄弁に語っている。

「私、横島さんともう一度会うことができただけ、幸せでした」

『何でだよ……何でおキヌちゃんがこんなことに』

「だから、横島さんだけでも幸せに」

 遺言でも残すかのような言葉に横島の表情が歪む。
 それは悲しみでも、苦悩でもない。

「イヤだ」

 怒り。

「え?」

 腰を落とし目線を恋人の位置に合わせる。強い力を込めておキヌの瞳を見つめる。
 そして、かつては艶やかな黒髪、今ではすっかり白くなったその髪を撫で梳いた。

「横島さん……あっ」

 布団からかすかに顔をのぞかせる恋人をぎゅっと抱き寄せる。

『50年が何だっ、俺は、俺はおキヌちゃんが好きなんだ。他の誰でもなくて』

 そして、おキヌを真っ正面に見据えてその顔を近づけていく。

「えっ? ……んっんぅっ!!」

 横島は半ば強引におキヌの唇を己の唇でふさいだ。かつて幾度となく繰り返した懐かしいプロセス。
 50年間ありえることの無かった互いの想いを確かめ合う行為だった。

 驚きに目を見開き、おキヌはすぐに両手に全力を込めて横島から唇を離そうと抵抗する。だが、横島の手はそれを許さない。
 抱きしめる腕の力を決して緩めない。

「ん、んんっ……んっ、んぅ……」

 ほどなくしておキヌの体から力が抜けていく。重ね合わせた唇から広がる喜びに抵抗の気力を失っていく。

 どのくらい重ね合っていただろうか、ようやく横島がおキヌの唇を開放した。

「よ、横島、さん?」

 驚きつつも、その瞳は熱に浮かされたような喜びに満たされている。トクントクンと強く脈打つ鼓動をおキヌは感じていた。

「おキヌちゃんと一緒じゃなきゃヤダ」

 言ってニカッと笑う。

「だってさ、やっぱりおキヌちゃんとするキスは気持ちいいし」

 おキヌの前には満足げな笑顔があった。横島は力を込めておキヌの手を握りしめる。

「よ、横島さん?」

「おキヌちゃんは『満足だ』って言ったけど、俺はまだ全然満足してないからなっ。だってさ、俺の欲望は底なしなんだっ」

「横島さん……私っ」

 か細い腕は横島の首元にしがみついて抱擁を求める。

「私、本当はもっと横島さんのそばにいたい。ずっと、ずっと横島さんのそばに、んっ」

 再び唇を重ね合う。さっきよりは短いもののより深く互いを求めるキス。
 知らず知らずおキヌの頬は涙が伝っていた。それはなによりも満たされた雫だ。

 ゆっくりと離れて、お互いの瞳を見つめ合う。

「おキヌちゃんが居ない50年後なんて帰ってきたなんて言わねぇよ。俺にとったら、おキヌちゃんがいる場所が帰ってくる場所だ」

「横島さん」

「絶対に助ける」

「あっ」

 もう一度唇を重ねる。抱き寄せられた温もりに安堵する。
 真っ赤な頬は微笑みの形を作り、限りなく伝って流れるのは喜びで輝く雫だった。

 ゆっくりとどちらからともなく唇を離していた。

 おキヌは涙まみれの頬を指で拭いながら、軽く伏したまま上目で横島を伺う。

「私……嫉妬深いですよ?」

「そこまで好きになってくれて、ありがと」

「こんな、おばあちゃんでいいんですか?」

「おキヌちゃんじゃなきゃヤだ」

「横島さん」

 瞳から止めどなく嬉しが涙になってこぼれ落ちる。

「生きたい。横島さんと一緒に生きたい」

「俺もおキヌちゃんと一緒に生きたい。だから、俺がおキヌちゃんの未来を守る」

「で、でも、その……」

 まっすぐに見つめられながらおキヌは申し訳なさそうに小さく目を伏せる。

「ん?」

「私、その……横島さんの好きな胸とかお尻とか」

 申し訳なさそうに小さくなっていく。

 モゾッ モゾモゾッ フニッフニ

「……っ!?」

 おキヌは自分の下腹部をまさぐる感触に耳まで真っ赤に染め上げる。

「うん、柔らかいっ、コレならバッチリっ」

 横島が左拳をグッと握りしめガッツポーズを決めていた。

「何がバッチリですかぁっ!!」

 パシィィィンッ!!

「へぶぅっ」

 おキヌの平手打ちが見事に炸裂していた。

「こんな時に、こんな時にそんな事しちゃいますかこの右手はぁ……」

 先ほどまで腰……というより、お尻をまさぐっていた横島の右手をしっかりと掴み上げる。

「す、すんまへ〜ん」

「もう横島さんったら」

 ドサッとその胸に体を預ける。
 涙が溢れて止まらなくなっていた。魂が崩壊する苦しみよりも、全身を包む歓喜がおキヌの心をふるわせる。

「大好きです」

「俺も」

 再び恋人達は互いを求めるように唇を重ね合った。そこに悲壮感はない。
 これからを共にしていくその想いを込めた誓いだ。


 ドドドドドドッ スターンッ バシィッ


「一体何があっただっおキヌちゃんっ!!」

 ふすまを叩きつけるように開いて早苗が先陣切って飛び込んでくる。

「おばあちゃんっ!! さっきの声って一体何……が?」

「お袋っ」

「お義母……さ、ん?」

 続いて絹香をはじめとした家族一同が現れ、時が止まっていた。

 満月を背に受けて、絡みつくような熱い口づけを交わす横島とおキヌを囲む一同は呼吸すら止めたように固まっている。

「何……してんの?」

 ようやく半眼でつぶやく絹香から目線を逸らす二人の顔はどこまでも赤かったという。





 広間におキヌを除いた美神家一同が会する。もちろん早苗と小竜姫、ヒャクメも揃っている。

「こほんっ」

 頬を赤く染めた一見年長の女性、ひのめの咳払いに一人の青年がそこはかとなく居心地悪そうな顔をしていた。

「兄ぃ……いえ、お義父さんの決心は分かったわ。問題はどうやってそれをするかってコトよ」

 一転して真剣な面もちで意見を述べる。

 先ほどまでの尋問、もとい、経緯の説明で戸惑いながらも一同はおおむね同意を示していた。

「おばあちゃんを助けたい気持は私だって一緒だからね」

 絹香は赤く腫らした瞳を瞼の向こうに隠すように微笑んでいた。

「うむ、俺達も小竜姫様に話を聞いていたが、お袋を助けるだけの方法が」

 壮年の男、忠彦は苦渋に満ちた顔で言葉を絞り出す。

「人の魂というモノはとても複雑に出来ています。共に生きてきた自身の肉体とのバランスもあって他人の魂を移植などと言うことは出来ません」

「かといって、ルシオラさんが横島を助けた時と同じ事を神魔族の誰かが代行するって言うのも無理なのね」

「ルシオラちゃん……」

 パピリオの頬にかすかに涙が伝う。

「あの時は横島さんの霊基が潤沢で、欠損し始めた箇所を補う形でしたから」

 小竜姫とヒャクメはため息をつく。

「おキヌちゃんは原型を維持するための基本量さえ崩壊しかけているんですね。今までは地脈の増幅と霊薬の服用で」

「持ちこたえている間に霊基の自己増殖……つまり回復力に期待したんですが、一進一退、結局状況維持するのが限界でした」

 二柱の神族が各々簡単に状況を説明する。

「問題なのは、お義母さん自身の霊基が圧倒的に不足しているってコトなの、ここだけは本人のものでないとどうにもならない」

「ヒャクメが最初に発見したときには、すでにギリギリだったんです」

 並ぶのは八方ふさがりと形容するしかない悲観的な情報ばかりだった。



 どのくらいの時間が経っただろう。繰り返されるのは既に話された内容ばかり。

「くそ、何か方法はあるはずだ……死にかけた俺だって助かったのにっ」

『大丈夫っ、死んでも生きられますっ♪ ちょっと死ぬほど苦しいけど』

 明るく微笑むあの頃の彼女は巫女服をまとって、ふよふよと飛び回っていた。
 当時の記憶が走馬燈のように想い巡る。

「くそっ」

『失いたくねぇ、何かできることがっ』

「ねぇ、おじいちゃん……お茶いる?」

 絹香は恐る恐ると言った感じで問いかけてくる。
 振り返った横島の顔を見てビクッと小さく震える様子が見えた。
 そこで初めて強ばっていた顔をゆるめることに思い至ったらしい。

「あ、すまん……うん頼む」

 軽く頭を下げて、右手を差し出す。
 手にした湯飲みの底にはにはお茶の残りがわずかにある。

「すまんかった」

「うぅん……私もその気持ちは分かるから」

 言いながら絹香は急須を傾けて、その湯飲みにお茶を継ぎ足していた。

「あぁ」

『くっそぉ、霊基もあんな風に継ぎ足せるんならなぁ』

「?」

 重苦しい空気の中で、一人早苗だけが涼しい顔で湯飲みを傾けていた。

 それに気づいた横島が怪訝そうな目を向ける。

「何だ? その目は?」

 横島の視線に気づいて、半眼を返していた。

「あ、いや、早苗ちゃんだけえらく平然と」

「あー、それけ?」

 軽くため息ついて湯飲みをおく。

「おめが腹くくったんなら大丈夫だべ?」

「えっ」

「おめは確かにどーしよーもねースケベだが、おキヌちゃんを助けるために化けモン相手に無茶苦茶したことはわたすも良く覚えてるだ」

『そーいや、早苗ちゃんって死津喪比女の時に一緒だったよなぁ』

 かつてオカルトの知識もロクにない、臆病者の横島があれだけ踏ん張ったのもおキヌを失いたくない一心だったからだ。
 それはあの時一緒に居た美神も同じだったろう。

『氷室神社か……おキヌちゃんは300年もあそこに』

「っ!?」

 不意に横島の脳裏に、いくつかのパズルピースが集まった錯覚を覚える。
 闇の中で、一つの光明が差す。
 頭の中で渦巻くもやもやとした物に穴を穿ち、サァッと晴れていくのが分かった。

「そうか、そうだっ!」

 ガタンッとイスを蹴って、先ほどまで根が生えていたような腰を上げる。

「早苗ちゃんっ」

「な、何だべ?」

「50年前、死津喪比女の時におキヌちゃんが生き返るまで持ってたものってあるか?」

「ん? あ、あぁおキヌちゃん生け贄として運ばれただから、着てた小袖と緋袴ぐれぇなら」

「どこにっ」

「あ、あぁ、氷室神社にまつわるモンだ。社に奉納してあるだよ」

「さんきゅっ、おいっ、ヒャクメッ!!」

 少し離れた位置にいるヒャクメのところまで駆け寄って肩をひっつかむ。

「な、何ですか?」

 ビクッと無数の瞳が半泣きになる。

「頼む確認したいことがあるんだ」

 真剣な乞う眼差しに、ヒャクメは呆気にとられる。

「へ?」

「おキヌちゃんの霊体は、おキヌちゃんの霊体でしか補えないんだよな?」

 問われた物は当たり前といえば当たり前のことだ。

「そ、そうですね」

「逆を言うと、おキヌちゃんの霊体なら補えるって事でいいんだな?」

 一歩一歩踏みしめるように、そして、確認できたら畳み掛けるように問う。

「え、ええ。でも、全く同じ霊体なんて他には……」

「それってさ、おキヌちゃんの霊体であれば『何かに付着して保管されている霊体』でもいいのか?」

 この瞬間、机の向こう側でひのめがハッとしたように目を見開く。

「へ? あ、はい、彼女の霊体であることが重要で、本人の物であるなら肉体に保持されていなくても増幅の媒体にできます」

『やっぱりっ』

 横島の思いつきは核心に近づく。

「なら」

 横島はヒャクメを正面から見据える。

「おキヌちゃんが『300年間地脈堰で身につけて、生き返る瞬間にも身につけてた巫女装束』ならどうだ?」

「あっ!!」

 ヒャクメは全ての目を見開く。

「可能ですっ。彼女の巫女装束は地脈で増幅されたときの霊体も残存してる特別なもの、崩壊しかけた彼女の魂を補うのにもってこいですよっ」

「よっしゃっ!!」

 全身にぐっと力がこもる。絶望は影を潜め、ただひたすらに抗う意志がそこにあった。

『あの日の事を一番覚えてるのは俺と美神さんだ。二人ともおらんかったんだから』

 まっすぐ見上げる瞳にもはや迷いなど無かった。

「ほ〜れな、やっぱりなんか思いついちまっただ」

 早苗はニカッと笑うと再び茶をすすり始めていた。

「ま、おキヌちゃんが見込んだ男だ。そんぐれぇでねぇとな」

 傾けた湯飲みに隠れた目にかすかに涙が浮かんでいた。





「うんたらかんたら言ってねぇではっきりしゃべれっ!! あるのか、ねぇのかっ!! ねがったら見つかるまで探すだっ!!」

 受話器に怒鳴りつける早苗には鬼気迫る物があった。
 その先にいると思われる彼女の家人に合掌するしかない。

「怖……」

 横島が戦く。

「あっ? あぁっ、そったらコトでよく宮司が勤まるだなっ!! だから……ひうっ」

 ガチャッ

 唐突に早苗の体が硬直して受話器を取り落とす。

「え?」

 フラッと倒れかけて、いきなり糸で引っ張られたように持ち直す。

「さ、早苗ちゃんっ」

 呼びかけに応じたのか、クルッと横島の方に振り返っていた。

『横島さん、お久しぶりっスっ!!』

 野太い声が早苗の口から発せられていた。

「へ?」

 思わず間の抜けた声になっていた。

『自分っス。山と一体化してから大分時間が経ったスから』

「あーっ、まさかお前ワンダーホーゲルっ」

『覚えてくれてたっスかっ!! 感激であります。話は聞いたっス。そう言うことなら自分も力になれるっス』

 グッと拳を握りしめる。

『あの時、地脈堰にはおキヌちゃんの霊体がかすかに残ってたっス。自分は地脈堰の一部で保存してたっス』

「なっ、なんだってぇぇぇぇっ!!」

『おキヌちゃんの巫女装束にこの霊体を付与すれば回復の可能性は極めて高まるっス』

「さ、サンキューっ!!」

 涙を流さんばかりの勢いで思わず抱きしめようとした。

 ボグゥッ

「ごくわっ!!」

 早苗の右拳がうなりを上げて横島をKOしていた。

「さ、早苗叔母様……よっぽど」

 戦くようにひのめが後ずさっていた。

「あ、あの女ぁぁぁぁぁ」

 どうやら、おキヌのことで信用はしていてもそれとこれとは話が別らしかった。




「氷室さん、もう少しの辛抱ですよ」

 弓かおりは横たわる親友を心配げにのぞき込む。

 昨日集まったばかりの者達が大勢集っていた。
 おキヌの人望のなせる業だろう。

「あたいは氷枕替えてくるよ」

 一文字もかいがいしく動き回る。

「そんな、悪いです」

「氷室さん」

 弓はずずぃっと顔を寄せていた。

「は、はい」

「水くさいじゃありませんかっ」

 ポロポロと涙がこぼれ落ちていた。

「……ごめんなさい」

「よろしい」

 謝罪するおキヌに皆が一様に優しい微笑みを浮かべる。

「ヨコシマが何とかするです。おキヌちゃんは頑張って待つですよ」

 パピリオも励ましの言葉を述べていた。





「くっそぉ、待ってるだけって言うのもたまらねぇな」

 横島は廊下をウロウロしている。

「横島さん」

 いきなり背中に声をかけられる。
 振り向いた先には結い上げた日本髪が特徴的な老女・弓かおりが立っていた。

「ん?」

「私、あなたのことが好きにはなれませんでしたわ。女性にだらしなくて、頼りなくて」

「い、いきなりきっついなぁ」

 さすがに横島の顔が半泣き気味に引きつっていた。

「雪之丞や氷室さんがどうしてあれほどまであなたのことを大切に思えるのか、それが不思議で仕方なかった。そして、羨ましかった」

「へ?」

「私の大切な人たちが心を砕くあなたを……疎ましく思ったことさえありました」

「そっか」

「雪之丞の命が長くないと聞いたとき……私はその不条理を憎らしく思うだけで抗うことさえ諦めてしまった」

「ヒャクメの診断だったんだろ?」

「はい」

 静かに頷く、普通は神が絶望的だと言えば、絶望するしかない。
 それに言葉では簡単に『諦めた』と言っているが、彼女のことだ手を尽くした末での最終的な結論だったはずだろう。

「でも、あなたは氷室さんを救うために、可能性を見つけだした。私にもあの時もしかしたら、何かあったのかもしれなかった」

 吐露する言葉、それは後悔だ。正しかったのか。やり尽くしたのか。

 横島は困ったように頬をポリポリと掻く。

「あのさぁ、雪之丞のヤツって何か言ってたか?」

「え?」

「死ぬ前にさ、弓さんに不満とか言ってた?」

「いえ、ただ『楽しかったな、また来世でも会えたらいい』って柄にもないことを」

「なら、逢ってやりなよ」

「え」

「楽しかったって、あいつが柄でもないこと言うくらい弓さんと居るのは幸せだったって事だろ。あいつは死ぬまで後悔なんてしてねぇよ」

「あ」

「そのために転生の準備してるんだろ? ちきしょー」

 ひとしきり騒いだ後、ゆっくり弓に向き直る。

「俺とおキヌちゃんはさ、まだなんだ。まだ始まってないんだ」

 横島は軽く遠い目をする。


「俺がやろうとしてる事は大した事じゃなくてさ。おキヌちゃんがそれこそ二十歳そこそこの時した『待ってる』って口約束を守ってくれた。俺がやろうとしてるのは穴埋め、単なる自分の尻ぬぐいだよ」


「おキヌちゃんが待ってくれた50年分、いや、それ以上におキヌちゃんを幸せにっ。つーかおキヌちゃんがいないと俺としては帰ってきた意味がぬぁい」

 ダクダクと涙を流しながら、妙なポーズを取っている。

「氷室さんのこと……よっぽど愛してらっしゃるのね」

「ぶぅっ!! なっ、ななななっ、何をっ」

 狼狽する横島を見て弓はクスクスと笑っていた。

「顔に書いてありますわ。ふふふ、私もあなたの事を好きになれそうですわね」

「え、えっとさ、雪之丞と一緒に過ごした人生って楽しかったか?」

「えぇ、とても」

 綺麗な微笑みだった。もはや、何の迷いもわだかまりもない。

「……ちくしょー、俺も幸せになってやる」

「あなたならきっと、大丈夫ですわ」

 弓かおりはかつて向けたことの無いような極上の微笑みを横島に向けていた。

「では、私、氷室さんのところに戻りますわね」

「あぁ」

 横島は何となく手を振ってその背中を見送っていた。

「よぉ、久しぶりだな」

 また背中に声がかけられた。振り帰った先にいるのは爬虫類をイメージさせる肌を持つずんぐり小柄とヒョロリ長身、二体の龍族だ。

「あ、お、おめーらっ」

「久しぶりなんだな。追加の霊薬持ってきたんだな」

「まぁ、遅くなっちまったから間に合わせにしかならねぇけどよ」

「誰だっけ?」

 ズベシャァッ

「ひでぇなお前っ!!」

「ひ、ひどいんだなっ、傷ついたんだなっ」

「あー、嘘だ嘘だ。天龍んトコの下っ端1号と2号だろ」

「ヤームだっ」

「イームなんだなっ」

 トントントントン

 掛け合い漫才をやっているのもつかの間、廊下の向こうから足音が聞こえてくる。

「お義父さん、今氷室神社から連絡が来たわ無事見つかったみたい。山の神様の増幅処置まで終わってるって。Gメンのヘリを飛ばすから1時間半くらいでこっちのオフィスにくるわ」

「そっか、ありがとうひのめちゃん」

「水臭いこと言わないでよ。私にとっても大切なお義母さんのことだもの」

 ひのめと横島は互いに微笑みあっていた。




「お、俺達のことって忘れ去られてるんだな兄貴」

「言うな、悲しくなるだろうが」

 二体の龍族はグッと涙をこらえていた。






 遙か上空、どこまでも澄み渡る空、そこには黒い装束を風になびかせた影が浮かんでいる。

「くく、そうかそうか、今が一番好機と言うことか」

 暗く低い声だった。

「良いときに巡り合わせたものだ」

 男は陰陽道の式に従い、念を練り上げていく。

「かぁっ!!」

 発した声と共に周囲を取り巻く空気が異質な物へと変わっていった。



 異変はすぐに全員が察知する。

「な、何だこの感じっ!?」

 横島が声を上げる。

「結界ですっ」

 ヒャクメが叫んだ。

「なっ!?」

「半径数キロ圏内が結界で囲まれてますっ」

「なんだってぇっ!?」

 ようやく安堵に包まれていたはずの空間に鋭い緊張が走っていた。

「くそっ!!」

「あ、よ、横島さんっ」

 思わず家の外にかけだした横島を誰も止められない。




 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……

 黒い穴が虚空にぽっかりと穴を穿つ。
 そして、その穴を横島は見たことがあった。

「んな、馬鹿な……」

「横島さん、アレは」

 呆然とする横島、そして隣にはピートが居る。


 グオォォォォォォォオォォォッ

 唸るような声が漆黒の歪みから響き渡る。

「この声っ」

 横島は思わずうめく。

『死んで無かったってのは聞いてたけど、よりにもよってこのタイミング!?』


 牛のようなシルエット。巨躯を苦もなく動かしその穴から全身を引きずり出してくる。

〔ユウドウヲカクニン モクヒョウホソク タンサクジョウタイカイジョ 通常状態移行 神族の反応確認〕

 現れた巨獣は威嚇するわけでもなく、ゆったりとした動きで己を取り巻く状況を見回す。

《横島忠夫》

 全員に動揺が走る。

《殺す》

「こいつ何モンなんだ一体っ!?」
こんばんわ。長岐栄です♪
お待たせいたしました。『いつか回帰できるまで』第五話をお届けいたします。
さて、今回は話は比較的早めの投稿でしたがいかがでしたでしょうか? (´・ω・` )

>美尾さん
ふふふふ、ビックリしたでしょ? ビックリしたでしょ?
今回はより深く確かめ合ってくれていると思いますがいかがでしょう?
自壊もお楽しみに♪

>akiさん
ついに出てきました。因縁の敵っ。
おキヌ救出を前に現れるのは一体何なのかっ。さぁ、お楽しみにっ

>アミーゴさん
ニヤニヤしていただけて栄は幸せです♪
ふっふっふ、ここで驚いていただけたのなら大成功ですわ♪
さぁて、次回はどうなるでしょう?


ついに現れた、全ての元凶らしき存在
活路を見いだしたGS達はこの窮地を切り抜けることが出来るのか? 第六話をお待ちくださいっ♪

[mente]

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