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お傍に置いて

 拙者が美神殿の御邸にお世話になり始めて、はや幾年月。
 気に食わない女狐はいるけれども、修行も出来るし、おキヌ殿が作るご飯は美味しいし、最高だと思う。
 ただ、一つだけ気掛かりな事がある。
 先生が、以前の様に笑ってくれない。
 いや、笑ってくれる。
 頭も撫でてくれる。
 前よりも、逞しくなったと思う。
 でも、それでも、笑ってくれない。
 笑っていない。
 何でだろうと精一杯頭を使っても、拙者の頭じゃ、結局分からなかった。
 美神殿やおキヌ殿に訊いても、困った様に顔を見合わせるだけで、答えてはくれなかった。

「タマモ、何で先生は笑ってくれぬのであろうか?」

 しょうがないので、拙者はタマモの所に訊きに来た。
 悔しい事だが、拙者は頭がそれ程良い方ではない。
 それと違って、タマモは頭も良いし、何より物知りだ。
 拙者が知らない先生の事を知っているかもしれない。
 だが、タマモは拙者の言葉に眉を顰めている。

「は? 何言ってるのよ、シロ。横島なら、いっつも笑ってるじゃない。へらへらへらへらって……何があんなに楽しいのか、私が訊きたいくらいだわ」

「いや、そういう事ではござらぬ。アレは何というか、笑ってるけど笑っていないのであって、先生の本当の笑みは、こう、なんと言うか――分からぬか?」

 上手く言葉にできない。
 そんな拙者を、タマモは馬鹿を見る様な目つきで見ていた。

「な、何でござるか、その目は!」

「別に。やっぱり、犬は馬鹿だなーと思ってたのよ」

「犬ではござらん! 狼でござる!」

「ハン! そんなに大きな違いは無いわよ。それに、あんたの行動って言ったら、散歩して肉食べて横島に尻尾振って……まんま犬じゃない」

「むきー! 言うに事欠いて、まんま犬とはどういう訳でござる! お主なんて、いっつも油揚げ咥えているチビ狐ではござらぬか! このチビ!」

「ち、チビって言ったわね! この犬っころ!」


 喧々囂々、何時もの様に取っ組み合いに発展した拙者とタマモの勝負は、結局引き分けだった。
 そもそも、喧嘩しに来た訳ではないのに、この狐ときたら。
 そうだ、こんなのに教えを請おうとしていた拙者が馬鹿だったのだ。
 そうと決まったら、こんな奴に用はない。

「――何処行くのよ?」

「決まってるでござろう、もう一度美神殿とおキヌ殿に話を訊きに行くのでござる。前ははぐらかされたけど、今度こそは――」

「無駄よ」

 拙者の言葉に、タマモは素っ気無い言葉を浴びせた。
 何でそんな事を言うんだろう。
 言い返そうとタマモの方を見たら、何処か、何時もと違う。

「無駄とは、どういう訳でござるか?」

「……立ってないで、座りなさいよ」

 言われたとおりに、先程まで座っていた拙者の寝床に戻った。
 美神殿の嫌がらせなのか、拙者とタマモの寝床は向かい合わせで、結果的にタマモと正面向いて座る事になる。
 そこで、やっと拙者はこの不思議な感覚の原因が分かった。
 タマモの瞳の色が、先生の瞳の色に似ているのだ。
 どこか遠くを見つめている様な、灰色の瞳だ。

「それで、無駄とはどういう訳でござるか」

 拙者の言葉に、タマモは少し迷っている様に瞳を彷徨わせる。
 自分から言い出しておいて、何を迷ってるんだろう。
 早く理由を言って欲しかったが、ここは我慢。
 今口を開いたら、また喧嘩になりそうだから。
 おずおずと、タマモは口を開いた。

「――アシュタロスって、聞いた事ある?」

 神妙な顔をして何を言うのかと思ったら、なんてくだらない事を訊くのだろう。
 拙者が知らない訳無い。
 この世界を救う為に、先生が倒した悪の親玉の名前だ。

「当たり前でござろう。拙者は先生の一番弟子でござる。先生がご活躍された戦い、知らないわけないでござろう」

 拙者の言葉に何故かタマモは溜息を吐いた。
 まるで、わかって無いと言いたそうなその瞳は、見ているだけでも腹が立つ。

「あんた、ほんとに何も知らないのね……」

 案の定のタマモの言葉だったが、ここはぐっと我慢だ。
 腹も立つし、今すぐにでも噛み付きたいけど、こう言うって事は、タマモは何かを知ってる。
 拙者が知らない先生を知ってるんだ。

「いい――アシュタロスとの戦いって言うのはね、世界を救うとかそんな大したものじゃなかったのよ。まあ、私としては世界が魔物だらけになった方が過ごし易い訳だけど――横島がアシュタロスと戦ったのは、別の理由があるの」

 少し、腹の立つ事を言う。
 先生は、確かに雌にだらしが無くていっつもヘコヘコしてるけど、ここぞという時は、誰よりも格好良いし、万事丸く収めてくれるそんな人なのだ。
 その先生が、アシュタロスと戦った理由が世界を救う訳でないとしたら、他にどんな理由が――。
 タマモが、ふんと鼻を鳴らした。

「思い当たった? そう、女よ、女。考えても見てよ、あのスケベで馬鹿な横島が、本気で世界を救う為だけで戦うと思う? 女が絡んでなければ、そんな無謀な事する訳無いじゃない」

 悔しいけど、タマモに言い返せない。
 情け無い事だけど、確かに先生は雌と見ればホイホイと付いて行くし、最近は少なくなったけど、何かにつけて口説いている光景を何度も見ている。
 そんな先生だから、きっと雌に何か言われれば、どんな事だろうと二つ返事で了解しそうだ。
 でも、分からない。
 何故、それが先生が笑わない事に繋がるのだろう。

「タマモ、拙者分からんでござる。その事と先生の事、一体何の繋がりがあるのでござるか?」

「……簡単よ。その女は横島の恋人で――あの戦いで死んでしまった。だから、あいつはあんな風に腑抜けてるのよ」

「――え?」

 あれ?
 タマモは、何を言ってるんだろう。
 先生に、恋人?
 その恋人が、死んでしまった?
 いったい、なにをいってるんだろう――。

「――何を、馬鹿な事を言ってるんでござるか。あんなに女にだらしのない先生に、恋人が出来る訳無いでござる。拙者の事を謀るのは止して、早く理由を――」

「シロ!」

 突然のタマモの怒声に、拙者の身体はビクリと跳ねた。
 何故か、怒鳴ったはずのタマモが苦しそうな表情をしていた。
 なんで、タマモがそんな顔してるの?
 なんで、拙者は怒鳴られたの。
 なんで、そんなに苦しそうなの。

「――いい、シロ。あんたは横島が大好きだから、認めたくないんだろうけど、そんな見苦しい真似しないで。私が言ってる事は、全部真実。嘘なんて、言ってない――認めたくなかろうがなんだろうが、ちゃんと聞きなさい」

 拙者は、なおも顔を歪ませながら喋るタマモが嫌で頷いた。
 そうだ、話は終わってない。
 拙者の知らない事を、全部知らなきゃいけない。

「あいつは――横島は、恋人の為に我武者羅になって修行して、戦って……でも、それでも最愛の人を失ってしまった。シロ、お父さんを殺されたあんたなら、愛した人を失った苦しみ、分かるわよね? 横島はね、その場にいながら愛した人を守れなかった。だから、あんなに苦しんで、それでも周りに心配かけないように馬鹿みたいに振舞ってるのよ。あんな笑顔、見せられる側の気も知らないで、道化師みたいにずっと笑ってるの――」

 そう、だったんだ――。
 タマモは拙者にも分かる、って言ったけど、そんな事ない。
 拙者は、確かに父上を殺されている。
 悲しくて、苦しくて、殺した相手が憎くて……復讐の為だけに生きて、生き抜いて、刺し違えてでも敵を討とうって思っていた事もあった。
 でも、先生達に出会えたから、修羅にならずに済んだ。
 拙者のままで、敵を討つ事が出来た。
 でも、先生は違う。
 失ったのは、同じ最愛の人。
 でも、愛の意味が違う事ぐらい、拙者だって分かる。
 半身なんだ。
 先生は、その恋人の為に修行して、戦ったってタマモは言う。
 だから、先生と拙者は違う。
 拙者は、何も出来なかった。
 先生は、何かが出来た。
 しようとしていた。
 それでも、救えなかった……。
 拙者とは違う、その悔しさ、絶望を、拙者は知る事が出来ない。

 ――知りたいとも、思わない。

「分かった? これが、あんたの知りたかった事。横島が、なんで笑わないのか、どうして誰もあんたに言おうとしなかったのか……余計な心配を、かけたくないのよ」

 タマモが、拙者から視線を外して、夜空を見上げている。
 その表情は、何かを思い出してるような、何かを堪えているような、とても苦しそうなものだ。
 タマモのそんな顔は見たくないから、拙者はさっさと頷いた。

「――分かったでござる」

「そう」

 タマモは素っ気無い返事をする。
 だが、何処か釈然としない。
 確かにタマモは物知りだ。
 伊達に、何時も白面金毛九尾の狐だなんて言ってる訳じゃない。
 ……でも。

「なんで、タマモはそんなに詳しく知ってるんでござるか?」

 それが不思議でならなかった。
 拙者の知る限り、美神殿達がタマモに教えた形跡はない。
 そもそも、あの二人はこの話題を一切口にしないのだから、ここまで詳細に事のあらましを知る事など出来ないはずだ。
 タマモは、視線を夜空から拙者に戻していた。

「――別に、良いじゃないそんな事。それより、何時までここにいるつもり? あんた、横島に会わなくていいの?」

 タマモは話をはぐらかそうとしていた。
 でも、言う事も尤もだ。
 拙者は、先生に支えてもらってここにいる。
 だから、今先生が苦しんでるなら、悲しんでるなら、今度は拙者の番だ。
 受けた恩は、返さなきゃならない。

「……そうでござるな。この話は、また後で訊くでござる」

 そうだ、一刻も早く、先生に会いに行こう。
 今は夜だけど、先生がいる場所なら知ってる。
 きっと、今もあそこに座って、地平線を眺めてるに違いない。




 シロが、御免って部屋から出て行った。
 まったく、何時も前しか見てないお気楽なあんたがうじうじしてる姿なんて、見てても気持ち悪いだけ。
 さっさと、横島んトコに行けばいいのよ。

 ――でも、私、表情に出てなかったかなぁ。

 シロがそこまで気付いてたかは、分からない。
 でも、何時も話を聞いたらそのまま行動するあいつがあんな事訊くなんて、きっとばれてる。

「横島、かぁ……」

 あいつの事なら、何でも知ってる。
 この時代じゃ、そんな名前なのよね、宗仁って。
 第一印象が最悪なのも、女にだらしないのも、馬鹿みたいに優しいのも、全部そっくり。

 ――もっと、早く私が会ってれば。

 今みたいに、辛い思いをさせずに済んだのに。
 見てるこっちが辛くなる様な笑顔を浮かべさせる事なんて、無かったのに。
 前だって、そうだ。
 朝廷の諍いで毒殺されそうになった時も、その毒のせいで死に掛けてる時も、あいつはいっつも笑ってた。
 心配するなって、お前を残して逝ったりしないって、笑いながら。
 その顔を見せられるこっちの気も知らないで。
 今も昔も、自分勝手の大馬鹿野郎。

「しっかし、あいつも罪作りな男よねぇ……美神さん、おキヌちゃん、アホのシロにこの私――何人惚れさせれば気が済むのかしら」

 まあ、宗仁もやたらと女を囲ってたし、結局魂は変わらないって事かな……。
 それにしても腹が立つ。
 怒ったって仕方ないけど、あいつは何を考えてるんだろう。
 今は、ルシオラって娘の事。
 そして、きっと今度はシロの事。
 あいつはいっつも女の事ばっかりだ。
 ……でも、私の妖力が戻れば、敵なんかじゃない。
 また、私の虜にしてみせる。
 前みたいに、私だけに微笑ませて見せるから。

 だから、這い上がってきてよ――私の最愛のヒト。




 走る、走る。
 拙者の事を見た人達が驚いた様な表情をするが、気にしてなんかいられない。
 早く、先生の所へ。
 一秒でも早く、先生の顔を見たい。
 声を聞きたい。
 その痛みを知ったから。
 笑わない理由を知ったから。
 今度は、拙者が先生を助ける番。

 ボーっと、先生は何時もみたいにそこに座っていた。
 東京タワーとか言う、凄く高い鉄の塊。
 先生が何時も散歩が終わると、ふらりとここに来ている事を、拙者は知っている。
 今も、先生は能面の様な無表情で地平線を眺めていた。

「……せん、せい?」

 拙者の言葉に、先生は振り返った。
 貼り付けたような笑みを浮かべて。

「お、シロじゃないか。どうしたんだ、こんな所まで来て……食い物は落ちてないぞ?」

 何時もみたいな、おどけた口調で先生が拙者をからかう。
 何時もなら、拾い食いなんてしないって言うけれど、今は先生とふざけ合う為にここに来たんじゃない。

「先生、今日は話があって来たのでござる」

「ん? なんだ、深刻そうな顔して。さては、財布でも落としたか?」

 図星だろ、と笑う先生の表情は、何時もと変わらない。
 この笑みに、一体どれだけの絶望と悲しみが隠されているんだろう。
 どうして、その事にもっと早く気付けなかったんだろう。

「先生、拙者、聞いたでござる」

 拙者の言葉に、横島が怪訝そうに眉を顰める。

「聞いたって、何をだ?」

「――先生の、恋人の話」

 拙者の言葉を聞くと、先生は時間が止まってしまった様に、ピタリと動かなくなってしまった。
 でも、そんな事構わない。

「拙者、知らなかったでござる。アシュタロスとの戦いは、先生が世界を救う為に戦ったものだとばかり思ってたでござる。でも、ほんとは恋人の為に戦ったんだって、タマモが教えてくれたでござるよ。その話を聞いて、拙者分かったんでござる。何で、先生が笑わなくなったのか、なんで先生が辛そうにしてるのか――全部分かったでござる」

 先生は、顔を伏せていた。
 その表情は良く分からない。
 言わなきゃいけない、何で拙者がここに来たのか。

「先生、拙者は先生に助けられてここにいるでござる。今度は、拙者が先生を助ける番でござ――」

「お前に、何が出来るってんだよ?」

 息を呑んだ。
 今まで聞いた事の無い、先生の声。
 暗くて、怖くて、うっすらと怒気を孕んだ、そんな声。

「シロ、心配してくれるのは嬉しい……でもな、これは俺の問題だ。お前じゃ、どうしようもない。大人しく、帰れ」

 意思が、砕けそうだ。
 今まで、こんなに冷たい言葉を先生から言われた事は無い。
 それだけ、今拙者が先生の心の中に踏み込んでいるんだ。
 だから、ここで諦めるなんて出来ない。
 大人しく帰ってなんて、やるもんか。

「嫌でござる。なんと言われ様と、拙者は帰るとつもりは無いでござる」

 先生が、顔を上げた。
 怖い顔。
 今まで見た事も無い、怒気を含んだ恐ろしい顔。
 こんな顔、見たくない。

「シロ、人には誰だって、踏み込んで欲しくない事がある。それが、俺にとってのルシオラだ。これ以上この話題を続けるってんなら、俺にだって――」


「そんなの、逃げでござる!」


 気付いたら、叫んでいた。
 感情が溢れ出して、止められない。

「自分の嫌な事から目を背けて、殻に引き篭もって、背中を丸めてる今の先生は、先生何かじゃないでござるよ! 悲しかったら泣けば良い、苦しかったら話せば良い、辛かったら頼れば良い――教えてくれたのは、先生じゃござらぬか!」

 拙者の言葉に、先生は顔を歪める。
 少しは、拙者の想いが伝わっているだろうか。
 少しは、拙者に頼ってくれるだろうか。

「先生……拙者じゃ、頼り無いでござるか? 悲しみも、苦しみも、拙者には言え無いでござるか? 拙者は――言えるでござる。先生になら、悲しい事も、苦しい事も、勿論嬉しい事も、何だって言えるでござるよ――拙者じゃ、そういう存在にはなれないのでござるか?」

 先生は、何も言わない。
 ただ、じっと何かを堪えている様に顔を歪めていた。
 何か、言って欲しい。
 文句だって、愚痴だって――何でもいいから。

 何秒か、何分か……拙者にはよく分からなかったけど、先生はやっと口を開いた。

「――シロ、俺はそんなに立派な人間じゃない。お前に偉そうに言っときながら、自分じゃこのざまで……情けないよな――なあ、シロ。わかっただろ、俺はこんな奴なんだ。頼むから、放って置いてくれ」

 先生は背中を向けて、また元いた場所に戻ろうとする。

 何を言ってるんだろう、先生は。
 放っておいて?
 そんな事、出来るわけない。
 出来ないから、ここにこうしているのに!


「先生!」


 背を見せた先生の腰に、抱きついた。
 折角、知る事が出来たのに。
 やっと、先生とお話が出来たのに。
 どうしようもない、どうにも出来ない。
 そんなの、嫌だ。


「拙者じゃ、代わりになれないでござるか? 別に、好きじゃなくたって、良いでござる。八つ当たりの道具でも、慰み物でも、何でも良いでござるから……また、笑って欲しいでござる。元気になって欲しいでござる。お願いだから、そっちに行かないで――ここにいて欲しいでござるよぉ……」


 雫が、先生の服に沁み込んでいく。
 ボロボロと、瞳から流れ出る涙を止める事が出来ない。
 まだ、事態が解決した訳じゃないのに、先生が元に戻った訳でもないのに――涙が止まらない。


 そっと、先生が拙者の手を掴んだ。


「――何で、そこまでしてくれる? こんな情けない俺なんかの為に、どうしてそこまで言えるんだ? 酷い事、言ったじゃないか。愛想尽かして、何で帰らないんだよ?」


 ああ、そっか……。


 今なら良く分かる。
 何で、美神殿やおキヌ殿が、先生の事を鈍感って言うのか。
 ほんとに、何で気付かないんだろう。


「――同じでござる」

「同じ?」

「そうでござる。その、ルシオラ殿という人と、同じでござる」

「ルシオラと、同じ……」

 先生から、少し離れる。
 その温もりは名残惜しいけど、こういう事は相手の顔を見て言うものだって、漫画に書いてあったから。
 ……目が赤いのが、ちょっと恥ずかしいけど。



「先生」



 振り向く先生に、思いっきり飛びついた。



「大好きでござるから。先生の事、大好きでござるから。拙者は、何を言われても先生から離れないし、何があっても離れないでござる。お傍に置いてくだされ。頼ってくだされ。――拙者は、その為にいるんでござるから」



 ああ、恥ずかしいなぁ。


 拙者、ちゃんと笑えてるかな。


 涙で、顔ぐちゃぐちゃじゃないかな。


 でも――。



 まるで鳩が豆鉄砲を食らった様な先生の顔を見て、良かったって思える。


 一杯一杯、お話しよう。


 一杯一杯、喧嘩しよう。


 一杯一杯、じゃれ合って、いつか先生が心から笑ってくれるその日まで。





 拙者は、お傍にいますから。
さて、起承転結のない高寺です。
今回は、シロです。
犬です。頭を撫でてみたいキャラクタートップランクです。
最後まで読んで下さった方に、感謝の言葉を。

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