※「絶対可憐チルドレン 70th sense. ギフト・オブ・チルドレン(4)」(07/04・05号)
のネタバレが含まれています。未読の方はご注意下さい。
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なんだかんだで事故への対応も一段落し、現場から少し離れた場所に集まった一同だが、落ち着く暇も無く、タケシとその父親である武憲が口論を始めていた。
「……超能力の事はひとまず措こう。とにかく帰るぞ、タケシ」
「嫌だ。俺はバベルで働くんだ」
「いくらエスパーになったと言っても、お前はまだ小学生なんだ。働かなくてもいい」
チルドレンの方を一瞥しつつも、あえて正論を説く武憲。
それまで皆本達と一緒に成り行きを見守っていた薫が聞こえよがしに言う。
「あたしらだって働いてるんだし、別にいいじゃん」
「私たちは超度7だから」
紫穂の打った相槌に、タケシは少し悔しそうな顔をしてチルドレンの方を向く。
「確かにパワーは落ちたけど、特務エスパーになっても十分通用……」
途端に、渋い顔をしていた武憲が表情をさらに険しくした。
「よりによって特務エスパーなどと、そんな事は許さんぞ!」
「どうして駄目なんだよ!」
口論はますます激しくなり、皆本が武憲を、賢木がタケシを宥めようとする。
「それにしても、お父はん、特務エスパーになる事にえらく反対してるみたいやけど……」
首を傾げた葵の呟きを聞き、同じ事を考えていた紫穂はこっそりと武憲の背に触れた。
武憲が思い描くエスパー像を読み取ってみる。
――薫似の凶悪そうな特務エスパーが、カメラ目線で啖呵を切っていたり。
――葵似のこれまた凶悪そうな特務エスパーが、一般人を電柱に埋めていたり。
――紫穂似のやっぱり凶悪そうな特務エスパーが、同じく一般人を鞭で打っていたり。
どれもこれも、先日、電波ジャック犯が流したやらせ映像だった。
魔法少女に扮した「実際の」特務エスパーの映像もあったが、これは意識的に無かった事にされているのか印象が薄い。
「……あの二人、やっぱり許さない」
「紫穂、どないしたん?」
葵に曖昧に笑いながら、復讐の黒い炎を再び燃え上がらせる紫穂だった。
― END ―
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