青い空!白い雲!広い海!肌も露わな、水着ギャル!!
アカン……なんや知らんけど、薫みたいなフレーズしか思い浮かばへん。
折角の南国リゾートやと言うのに、なんかブルーやなぁ、ウチ。
まぁ……理由は判っとるけど。
【成長の兆し】
皆本ハンを追っかけてやってきた南の島でウチは現実を知らされてしもうた。
―― 薫も、紫穂も、胸が出てきてるやん。
プールに入るにしても、海に行くにしても、今まではスクール水着やったからよぉ判らんかったけど、こーしてビキニになってみると一目瞭然やった。
ウチを打ちひしいだその現実が、ウチの気持ちをブルーにしているんや。
やっぱり、遺伝なんかなぁ。
紫穂のお母はんも標準以上のスタイルみたいやし、薫のお母はんとお姉はんは―― バケモンやからなぁ。
せやけど、お母はんは―― アカン……ウチ、お母はんの娘に生まれたことをちょっとだけ恨みそうや。
まぁ、そんなんでウチらの絆は揺るがんことは判ってる。
問題は皆本ハンや。
ただ乳がでかいだけの頭悪そーな女にデレデレしてたよーに、やっぱり皆本ハンも乳が大きいのが好みなんかなぁ?
でも、色気のない貧乳眼鏡にも相当ドギマギしてたみたいやからなぁ。
よし!明日から朝の牛乳はもう一杯飲むようにしとこう。
アレだけドギマギしてたんやから、あの貧乳眼鏡よりもちょっとだけでも成長すれば、きっと皆本ハンはウチの魅力に―― 。
「おーい!葵〜!何ニヤケてんだー?!」
「まぁまぁ、薫ちゃん……そういう時のために私が―― 」
うわっ!!アカン!こんな恥ずかしい妄想だけはっ!!
* * *
―― ヒュパッ!
声もなく逃げる葵に。
「にーげるなよー♪」
ニヤニヤ笑いながら追う薫。
「薫ちゃーん。出来るだけ早くねー」
その言葉を投げかけ、二人の追いかけっこを底知れない微笑みで見守る紫穂。
「こんなところで超能力戦争を勃発させるな――――ッ!!」
そして、昆布を絡みつかせながらも沖からやっとの思いで生還を果たした皆本の叫びが南国の楽園に轟く。
真夏の日差しは、大騒ぎする三人娘に降り注いでいた。
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