ヨコシマ空間から光に乗って飛んでくる!!
マンとヨコシマが一つになって、胸に輝く「8」マーク!!
マンとヨコシマが一つになるから、その名も「ヨコシマン」!
ヨコシマ星の高校生横島忠夫が地球に留学に来て、そのときに一目惚れした女の子をただ守るためだけにヨコシマンに変身し、悪霊や妖怪たちと闘う!!
「韋駄天仮面ヨコシマン」、只今参上!!
闇夜の大都会。
『グォォォォォォォォォォ』
悪霊に取り憑かれ、自我を失った怪物が人々を無差別に襲う。
「な、何なのこれ!?」
そのおぞましい光景を目の当たりにした少女は、足がすくみ、顔が蒼白していた。
怪物は口から煙のようにも見える瘴気を吐き、見るからに毒々しい赤い目を光らせている。
その四肢は不気味なほどにひょろ長く、爪は鋭利な刃物と化していた。
怪物の周囲には、見るも無残な破壊の痕跡だけが残されていた。
「に…逃げないと!」
少女は足のすくみをこらえ、怪物の近くから逃げ出した。
『グ…オ…オンナァ!!!!ガァァァァァァァッ!!!!!!』
しかし、運悪く怪物が少女の動きを感知し、少女の方向に向かって走り出した!!
「え…そ、そんなぁぁぁっ!!」
少女は必死で走る。怪物から逃れるために、生きるために。
だが怪物の足の速さはは人間が敵うものではない。
あっという間に距離を詰められ、気がつけばもう怪物は少女のすぐ背後にまで迫っていた。
『オンナァァァァァァァッ!!!!』
怪物の鋭い爪が、少女めがけて振り下ろされた!!
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ザシュッ!!
「え…あ…あれ?私…生きてる……!?」
斬り裂く音が耳に入り、もう終わりかと思われたが少女の身体には傷一つ無かった。
それどころか、少女が首を後ろに向けると、怪物が右手首を抑えてもがいている姿が見えた。
『グギャァァァァァァァァァッ』
怪物のすぐ側には、先ほど振り下ろされた、鋭い爪を持った右手首が転がり落ちていたのだ。
そして、怪物のうめき声以外にも、声が聞こえた。
「…夜空の星が輝く影で女性を襲う悪霊よ……己が姿を見るがいい!!欲望に心を支配された俗物…、人、それを『外道』と言う!!」
『グ…ダ……ダレダ……』
「貴様等のような悪霊を打ち砕くためにやってきた、『ヨコシマン』だ!!」
悪霊の目の前に、一見普通の人間に見えるような青年が立っていた。
その容姿は、頭に赤いバンダナを巻き、顔の下半分を布で覆い隠したマスク。
上半身は「8」の字が燦然と輝くシャツに、マント。
下半身は短パンという、一つ間違えれば「変質者」扱いされてもおかしくない姿であった。
しかし、その容姿とは裏腹に、ヨコシマンは強かったのだ!
「喰らえ!!ヨコシマンキーック!!!」
ヨコシマンの強烈な飛び蹴りが、怪物の腹部に直撃する!
『ギョヘェェェェェッ!!!』
怪物は醜い口から嘔吐物を吐き出し、勢いよく後ろへのけぞるのだった。
「逃がさん……ヨコシマンチョーップ!!」
さらにチョップの嵐、嵐、嵐!!!
ヨコシマンの容赦の無い連続攻撃がうなる!!
(…ヨコシマン………?)
少女はただ、謎の男の戦いをぼーっと見つめているだけであった。
「トドメだぁ!!!」
ヨコシマンは右の手刀に強力なエネルギーを収束させ、青白い刃を作り出す。
「ヨコシマンスーパーウルトラハイパーグレートストロングチョーップ!!」
手刀は蒼い軌跡を描きながら、怪物の醜い身体を一刀両断する!!!!
『ウボァァァァァァァァッ!!!!!!!!』
「これぞ悪を断つ正義の刃成り……迷わず成仏!!!!」
真っ二つに切り裂かれた怪物は、そのまま地面に裂かれたそれぞれの半身を沈め、完全に沈黙した。
その一部始終を見届けていた少女の心は、恐怖から解き放たれただけでなく、胸の中が熱くなっていたのを感じていた。
(…ヨコシマン………ステキです………)
頬を紅く染めている少女の側に、その「ときめきを感じたヒーロー」が近づいてきた。
「えっ?」
「さあ、お嬢さん。怪物はこのヨコシマンが成敗したから大丈夫だ!!!はーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!」
トクン
少女の胸の高鳴りが更に高まっていく。
「あ…あの……」
高まる熱い感情の中、頑張って声をかけようとするも…。
「む…いかん!!では、さらば!!」
そういい残してヨコシマンはいずこへと去っていった…。
(…ヨコシマン…強くてたくましくて格好いいヨコシマン……あなたは誰なの?そしてどこから来たの?)
少女の胸に熱いときめきが残ったのであった。
謎のヒーロー・ヨコシマン。
彼の正体は一体誰だ?
どこから来て、そしてどこへ行くのか?
彼の謎は、少女の夢でもあった………。
(続く)
「…ふふっ、第一話書き終わりました、っと…って……なんで宿題のノートにこんなの書いてしまったの、私……」
…読書感想文の宿題を書いてたはずが、何時の間にかこんな妄想全開の小説になってしまいました…。
それ以前にも、授業中にノートの空いてる部分に『忠夫さんはリンドウの花のように…』とか『私、横島さんにずーっと『憑いて』いきますから♪』とか無意識のうちに書き込んでしまうことが多くなってきています…。
やっぱりこれって、『生きている』からなんでしょうか…。
幽霊だったときはこんな気持ちになることは無かったのに、生き返ってこっちに戻ってきてから、しばしば暖かいというか…甘酸っぱいというか…そんな気持ちになることが多くなって…。
今回の題材はちょっとアレかな、と自分でも思ったり。
だって、あの『ヨコシマン』ですよ?
横島さんに憑依した韋駄天さまが大活躍した話なんですけど……面白かったなあ、あの韋駄天さま。
その後横島さんが生死の境を彷徨ったのは…笑えなかったです……。
でも、やっぱり私にとっては………横島さんがヒーローですから♪
だから、私の理想のヒーローとして書いちゃいました。
さて、この続きをどうしようかな。
ポーン…ポーン…ポーン…
あ……時計の針がもう11時になってる………。
…続きじゃなくて……本来の読書感想文……どうしようかな………ハァ。
Please don't use this texts&images without permission of 平松タクヤ.