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誰が最後に笑ったか

『誰が最後に笑ったか』





そろそろ初雪が来そうな初冬の一日。
珍しくも散歩から帰って来たキツネの少女を待っていたのは微妙な空気だった。

「ただいまー」

「おう。お帰りタマモ。散歩はどうだった?」

「あれ? 横島? 今日はバイトあったっけ?」

「ないけどなー。実はちょっと用事があってな」

「ふーん」

曖昧に返答してソファに座ってみれば、どこか自分を不審というか羨望と言うかともかく瞳を複雑な色に染めてこちらを見ているおキヌとシロがいる。
何かを聞きたそうに、それでも聞いていいものか悪いものかわからぬままに躊躇うような視線を向けられればタマモとて居心地が悪いことこの上ない。

「なに?」

「あ…なんでもないよ…」

「先生が…いや…別になんでもないでござるよ…」

何かを隠しているのはあからさまではあるが口に出すつもりはないらしい。
勿論タマモも無理に聞き出そうとはしない。
聞けばおキヌなどは隠し通せるとは思えないが、それでも無理矢理口を開かせるのは日頃色々と世話になっている彼女に対して気が引ける。

何となく乾いた喉に水を求めて立ち上がろうとすれば、今度はこちらを意味ありげなま眼差しで見ている令子と目が合った。
額にかすかに井桁が浮かんでいるのがちょっと怖い。

「な、なにかな?」

「別に…でもなんかさ、あんた最近、横島君と仲良くない?」

「はぁ?」

思わず口から出たマヌケな返答に令子の眉が少しだけ動く。
どうやらこちらの反応をうかがっているらしい。
しばし沈黙して見詰め合う令子とタマモ。
まどろっこしい駆け引きを嫌ったのか先に動いたのは令子だった。

「……あんたさー。横島君のところにこっそり行ったりしてない?」

「あ…あれは…」

「あれはなに?」

「……言えないわ…」

「ふーーーーーーーーーーーーーーーーん」

どんよりと空気が淀みだす。
しかも三方向からそれぞれに湧き上がってくる微妙に瘴気を伴った気配。
はっきり言えば嫉妬の空気。

「……タマモちゃん…言えないってなにかなー」とおキヌが暗く微笑めば、「拙者とお主で隠し事はないでござろうに…」と今にも霊波刀を出しそうな気配を見せるシロ。
そして「ふーーーーーーーーん」と笑いながらもこちらから目を逸らさない令子からのプレッシャー。
はっきり言ってかなりきつい。
低級霊なら一撃で強制成仏するだろう。
人工幽霊なんかはありもしない胃の痛みを感じ始めている。
だがタマモとて妖狐だ。
ここで怯むわけにはいかない。なんとしてもあの件を悟られるわけにはいかないのだ。

「だって…」

「「「だって?」」」

ズズイと詰め寄る三人に追われる形で後じさりするタマモ。
やはり当代一と言われるGSやネクロマンサーの放つプレッシャー。
並みではない。
すでにタマモの顔からは血の気が失せ、膝はガクガクと笑い始め、信じてもいない神に祈ろうかと考え始めた時、背後にあった食堂へと続くドアが開いた。

「お待たせータマモ! お前さ飯食ってないよな?」

「あ…う、うん…食べてないけど…」

「そっかー。いやー良かった。俺さー。タマモのために一生懸命に料理したんだ。食べてくれるよな?」

「喜んで!!」

期せずして差し出された助け舟にタマモは躊躇せずに飛び込んだ。
今はとにかくこの死地から脱出することが先決だった。
しかも彼女を追い詰めた三人は横島の態度に脳がフリーズしたのか三者三様のポーズで固まっている。
逃げるなら今しかない。

「さ、早く食べよっ!」

「おう!」

令子たちが気がついたのはタマモと横島が食堂に消えてからたっぷり三分ほどたってからだった。




食堂はいつものようにおキヌによって綺麗に整頓されている。
ただいつもとちょっと違うのはテーブルにかけられた真新しい白いクロス、そして一個を残して片付けられたイス。
さらに花瓶なんかも置かれていて中には一本の花がいけてある。
なんとなくレストランを思わせるような佇まいに足が止まったタマモを、いつの間に着替えたのか執事服の横島がエスコートして席へと誘った。


「どういう風の吹き回しよ?」

「ん?なにが?」

「あんたが私にご馳走してくれるなんて物理的にありえないわ」

チラチラと食堂のドアの方を見ながら軽口を叩くタマモに横島はいかにも演技臭い仕草で肩をすくめて見せる。

「そっか? だって今日ってお前がこの事務所に来てちょうど一年じゃないか。だからその記念にサプライズと思って」



「そうだったんですか!」

「おっ?」

突然ドアが開き、かけられた声に振り向いてみれば驚きのあまり口を手で押さえたまま戸口に立ち尽くすおキヌとその横でウルウルと滝の涙を流しているシロ。
そしてバツが悪そうに頭をかいてそっぽを向いている令子がいた。

「ごめんなさい…私ってばすっかり忘れていて…。タマモちゃんもごめんね…」

「あ…いいのよ…私だって忘れていたし…」

「先生えぇぇぇぇ。タマモが来た日ってことは拙者も来た日でござるのにいぃぃ」

「ああ。だけど今回はお揚げしか手に入らなくてなー。お前のお祝いはまた今度ってことで…」

「くうぅぅぅぅぅぅぅぅん」

「それでなんで私たちにも内緒だってわけ? いきなり「台所を貸せ」だけ言わなくてもいいじゃないかしら?」

沈むシロを乗り越えて令子出陣。
その顔にはかすかに怒りの色がある。
普段の横島ならすこしはビビルはずなのに今日の彼は一味違った。

「だって美神さんに言ったらシロにも伝わるでしょ? そしたらサプライズにならないじゃないですか」

確かに筋は通っている。
だけどなんだか腑に落ちない。
特に横島と付き合いの長い令子にはわかる。
これは彼の本心ではない。
横島は短絡的な人間だ。
ただのサプライズ・パーティーでこれほどの手間をかけるような男ではない。
横島は何かを隠している。
それは間違いない。
だけどさしもの令子にも彼の本心が何なのかを知るには情報が少なすぎた。

「んで…料理は出来てるけど残さず全部食べてくれるよな?」

「モノにもよるわね」

あっさりと冷たく告げるタマモ。
頬が微かに赤いので照れ隠しなのはみえみえ。
横島も気がついているのか薄く笑うだけで、彼女のそっけない態度に対し特に何も言おうとはしない。
むしろ楽しげに見える。

「お揚げのフルコースなんだが…喜んでもらえないなら片付けるかぁ…」

「喜んで食べさせていただきます!」

「残さない?」

「残しませんとも!」

イスから立ち上がり、最敬礼でシャチホコばるタマモに横島はまた笑う。
令子にはその笑顔がどうも気になるが、やはりまだ情報が少ないままだった。
ここは少し静観するしかないか…と口の中で呟けば横島は嬉しそうにまだ最敬礼しているタマモの肩を叩いていたりする。

「じゃあそこに座って待ってろや。今、最初の料理を持ってくるから」

「はい!」

用意されていたテーブルにダッシュで座るタマモをシロとおキヌが羨ましそうに見ているが、ここはタマモのサプライズと先に言われているために口に出して抗議は出来ない。
言いたいことはあるがただ指をくわえて見ているだけ。
そんな不思議な空気にまた胃の痛みを感じ出す人工幽霊の泣き声は誰にも聞こえず、ただ微妙な時間だけが過ぎていく。
そしてついに厨房のドアが開くと横島が最初の料理を持って来た。

「今回のテーマは各地の郷土料理風お揚げだ」

そしてタマモの前に皿を置く。
いったい横島がどんな料理を?と覗き込んだ皿には何の変哲もないお揚げが白く湯気を放っていた。

「これは?」と思わず聞くタマモだがそれも当然。
どう見たって手が加わったようには見えない。
湯気が出ているということは煮たのかも知れないが、お揚げをただ煮たものを料理と言ったら料理に対する冒涜だろう。

「まずは北海道の郷土料理『ルイベ』をお揚げ風にアレンジした『お揚げのルイベ』だ」

「『ルイベ』?」

聞いたことの無い名詞にタマモは首を傾げざる得ない。それはおキヌもそうなのだろう、いかにも「解説求む」と言った目で令子を見上げてきた。

「『ルイベ』ってのはお魚を凍らせたものを刺身で食べることね」

「そうです! これはまさに素材のよさをそのままに味わうために俺が考えた『お揚げのルイベ』です! さあ喰えタマモ! まさか妖狐に二言はあるまいな?」

「う…わかった…」

仕方ない。横島も自分のためにと工夫してくれたのだ。
湯気と思ったのは冷気だったらしい。
完全に凍っているのか見るからに固そう。

「いただきます…あれ?」

箸を刺そうとしても簡単に跳ね返すお揚げのルイベ恐るべし。
やはり相当に固いらしい。
仕方がないから行儀が悪いとは思ったがそのまま齧りつく事にする。
その途端、ガチンと痛そうな音が食堂に響いた。

「ねえ…揚げってあんなにカチコチに凍ったっけ?」

「いえ…そんなはずはありませんけど?」

令子の疑問に答えるおキヌも首を傾げている。
そんな二人の会話を漏れ聞いたのか横島はまた薄く笑った。

「ルイベのシャキシャキ感を出すために水をたっぷり含ませてからマイナス100度で凍らせました! 今ならお揚げで釘が打てます!」

「ひょんなものを食わすにゃ!」

それはほとんど氷じゃないかと思わないでもない。
むしろ温度からいえばドライアイスすらぶっちぎりで凌駕する物体である。
間違っても食べ物のカテゴリーに置いてよいものではない。
にも関わらずタマモの前の物体は半分ほどになっていた。
見上げたことになんとか半分は食べたらしい。
そのせいで体が冷えたのか唇は紫色。顔は真っ青だったりするが横島はさも意外とばかりに肩をすくめた。

「まさか…残すのか?」

「食べるわよっ!」

こうして最初のお揚げはタマモの胃の中へ消えた。





「タマモちゃん大丈夫?」

「大丈夫…ちょっとお腹が南極物語の気分だけど…」

「あ、あはは…」

おキヌが困ったように笑ったとき、厨房に消えていた横島が次の料理を持ってくる。
今度は冷気では無くちゃんと湯気を放っているし出し汁の匂いもするところからすればまともな料理っぽい。

「冷えただろうタマモ。今度は暖かいぞ。さあ喰え」

ずずいとばかりに差し出されたのは土鍋に入った料理だった。
野菜や魚が美味しそうに煮えて香ばしい香りを放っている。
だけどその中にお揚げは見あたらない。
かわりに見えるのはお揚げに良く似た色合いの棒状のものがあるだけ二、三本。

「これは?」

「うむ。秋田名物『お揚げのキリタンポ』だ」

「キリタンポ?」

「ああ…お揚げをすり潰して棒に巻きつけて焼いてさらに鍋で煮た」

「な、なんて仕打ちをっ!」

「食うよな?」

「食べるわよっ!」

確かに汁は美味い。横島にしては上出来だと言えるだろう。
だが…

「ううっ…お揚げの食感が欠片も残ってない…」

そりゃそうだろう。
むしろこの料理は「いかにお揚げをお揚げらしくなくするか」というコンセプトの元に生み出されたと言うべきだ。
米ならいざ知らず、油で揚げたものをすり潰し、さらに焼いてしまえばお揚げの命とも言うべき香りなどは遥か地平の向こうに消し飛んでいる。

「残すなよ?」

「残さないわよっ!」

こうして次の料理も半べそのタマモのお腹に消えていった。




「ねえ…シロ…私…もう駄目かもしんない…」

「タマモ…拙者かける言葉がないでござるよ…」

どことなく放心したかのようなタマモの様子にシロも袖で涙をそっと拭いた。
もうタマモを羨む気持ちはどっかに消えている。
それでも何とか元気付けるすべはないかと頭を捻った時、横島が次の料理を持って入ってきた。

「今度はなによ!」

「ああ、今度は宮崎名物『お揚げ南蛮』だ」

「なによそれっ!?」

「なにって南蛮漬けしたお揚げを焼いたものだが?」

「食べればいいんでしょっ!」

半分ヤケになったのか皿をひったくるとまだジュージューといってるお揚げを口に含む。
途端に目を白黒させてのたうつタマモ。
オロオロと見守るおキヌの前でついに彼女は口から妖力の篭っていない火を吹いた。

「か、辛いいぃぃぃぃ!!」

「む?辛すぎたかタマモ?だったら口直しにこっちを!」

渡されたのは別な料理。
なんか嫌な予感はしたが今はとにかく口直しと一口加えた途端に再び七転八倒するタマモ。

「今度はなに横島君?」

「辛子味噌をたっぷりと埋め込んだ熊本名物辛子レンコン風『辛子お揚げ』ですが? 」

「にゃああぁぁぁぁぁぁ!」

「なんかさっきよりも激しくのたうってますけど?」

「む? やはり味噌がなかったので辛子のみにしたのはまずかったか?」

単なるお揚げ辛子詰めの破壊力は凄まじく、顔を真っ赤にして七転八倒するタマモに水を渡すべくおキヌがあわてて厨房に走る。
彼女が水を持って帰って来たときにはすでに半死半生になったタマモがぴくぴくと床で痙攣していた。

「タマモちゃんお水っ!」

「にゃうぅぅぅぅ…」

声も出ないタマモの様子に横島は勝ち誇った笑みを見せた。
やはりこの一連の仕打ちには何か裏があったのねと得心する令子に気がついたのか、彼はピクピクとヤバ目の痙攣をし始めたタマモの前に立つとビシリと犯罪者を弾劾する検事のように威厳を込めて指を突きつけた。

「己の罪の深さ思い知ったかタマモ!」

「にゃうぅぅぅ…」

「あのー。罪ってなんですか?」

おキヌでなくても聞くだろう。
なにしろ横島らしくない。
西条相手に師匠譲りの姑息な手段で戦うのは得意だが、どうも今回の件はやりすぎの気がしてならない。

「実はタマモはここのところ俺のアパートに忍び込んでは俺の非常食のカップ麺の食い漁っていたんだ!」

「「「え?」」」

「にゃうにゃう…」

プルプルと首を振るタマモだが目線を逸らすあたりはどうやら横島の告発は真実らしかった。
なるほどタマモが横島のところへ入り浸っている理由を言わなかったのも納得である。
追い詰められても居ないのに自らの罪を自白するはずがない。

「しかも! カップうどんの揚げだけ食って残りは残していくという業の深さ! 言い逃れるすべはあるかタマモ!」

「ないでひゅぅ…」

ついに観念したかお白州でシオシオと萎れるタマモに横島は名奉行らしく沙汰を言い渡した。

「よろしい…ならばお前に判決を言い渡す! これからしばらくの間、俺の部屋を掃除に来い! いいな!」

「わかりまひゅた…」

こうしてこの不思議な事件は一件落着となり、やりとげた満足感か頬を紅潮させ横島はまだどこか呆然としている令子の目を真っ直ぐに覗き込んだ。

「とまあこういうわけです。わかってくれましたか美神さん?」

「あ…うん…ちょっとやりすぎって気もしないではないけど…まあタマモが納得するなら…」

「ぐすん…」と涙をこぼす悪戯狐におキヌがフォローに入る。
横島の部屋の汚さは知っている。
タマモ一人じゃいつ綺麗になるか知れたもんじゃない。
それにちょっとした嫉妬もある。
乙女心は複雑なのだ。

「あのタマモちゃん…私も手伝うから…」

「それは駄目だおキヌちゃん。それじゃあタマモのためにならない」

言われて見れば罪に対する罰なのだから横島の言うことのほうが筋が通っている。
そもそもタマモは人間の常識を身につけるためにここに居候している身。
確かに安易に手を差し出すのは彼女のためにも良くないかもしれない。

「そ、そうですか…頑張ってねタマモちゃん…」

「う…うん…」

「よろしいならば早速今から掃除だ! 自慢じゃないが俺の部屋は汚いぞ! 一週間やそこらで終わるなどと甘いことは考えるなよ」

「ぐす…わかりました…」

「ではタマモは連れて帰ります。良いですね美神さん?」

「うん…まああんまり虐めないでやってよ?」

「はい! 行くぞタマモ!!」

「はい…ぐすっ…」

こうしてタマモは横島に連れられて、市場に売られる子牛のように悲しい目をしたまま連行されて行った。
後に残された女性陣は怒涛の展開に言葉もない。
令子はまさか横島が最初からタマモをハメようとしていたなどとは思いつかなかっただけに余計であるし、シロなどは師匠の厳しい一面 ─特に食い物がかかった場面で─ を見てしまって自分の所業を思い出したのか、普段おちゃらけている人ほど怒ったら怖いというのは本当なのだと尻尾をかすかに逆立てている。

ただ一人…おキヌだけは一抹の不安が心に浮かぶのを抑えきれなかったのであった。















横島の部屋は汚いし狭い。
それは規定事項だ。
今までは時たまおキヌが片付けに来てくれていたのだが、それでも男の一人暮らしなど三日もあればゴミの山である。
しかもタダでさえ狭い部屋の中には小ぶりとはいえコタツまで出ているのだからまさに足の踏み場も無い。
にもかかわらず差し向かいでコタツに入っている二人には辺りのゴミは目に入っていないのか、どこか拗ねた口調で文句を言うタマモに横島が平謝りしている。

「あうー。まだ口の中がヒリヒリする…」

「すまん。でもお前が言い出したことだぞ?」

「だって…横島のところにこっそり通っているってみんなにばれそうになったんだもん…」

途中のコンビニで買ってきた稲荷寿司をミネラルウォーターで流し込みながらタマモははにかんでみせる。
その様子はまさにゴミために咲く一輪の百合のよう。

「確かになぁ…でもお前が「大きな嘘を隠すには小さな嘘をついてそれを自分でばらせばいい」って…」

ある意味、心理の罠であろう。
用心深い人間でも、むしろそういう人間ほど宝箱の中の隠しスペースを発見したらその先にまだ隠しスペースがあるとはなかなか考えないものだ。

「確かにそうは言ったけど、アレはやりすぎだと思うの…」

「うー…すまん」

「うん。良いわよ。この埋め合わせはしてもらうから…」

いつの間にか向かい合っていたはずの少女が隣に座っている。
元々小さいコタツだ。
隣といっても肩が触れ合う距離。
むしろ肩を抱いてと言わんばかりに寄せてくる。

「具体的に言ってくれ…」

「そうね…まずは口直しのキスを頂戴…」

「マジっすか!?」

「ん…マジ」




まだホヤホヤの恋人たちにとって夜という時間は長いようで短い。
だからこそ恋人たちは一分一秒でも長く寄り添っていたいと智謀の限りを尽くすのだ。

だから天井裏で「ふふふ…そうだったんですか…」と黒い笑みを浮かべている巫女さんの生霊に気づく暇なんかありゃしなかったのである。


おしまい

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