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tea break 〜 絶チル 66th senseより 〜

※「絶対可憐チルドレン 66th sense. 逃亡者(7)」(06/51号)
 のネタバレが含まれています。未読の方はご注意下さい。

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「ちがうね。君が目指すハッピーエンドは実現不可能だ」


 エスパーとノーマルは共存できない。エスパーとノーマルの戦争は必ず起こる。自分の存在とは関係無く、伊号の予知とも関係なく、エスパーとノーマルという人種がある以上、それは不可避の未来である。兵部にとってこれは既に確信となっているようですが、では具体的に何を行い、何を目指すのか。彼の考えは未だ以って不明です。

 例えば、破壊の女王に的を絞って考えてみると、兵部が予知を覆す方法ならば、これは実に簡単です。皆本を殺害すればいい。彼がかつて冗談混じりに言った台詞をそのまま皆本に適用するのですが……チルドレンを敵に回しかねないこの手段を、彼は採らないでしょう。
 ここはやはり、エスパーとノーマルの戦争の準備とその勃発に積極的に働きかけ、エスパー側を勝利に導き、薫が皆本に追い詰められるような事態を防ぐ事が、彼の目指す未来なのだと思います。

 それでは、ここから視野を広げた場合、彼はエスパー達をどのような未来へと導くつもりなのか。ノーマル全てを抹殺して、迫害の無いエスパーだけの世界を作る? テロによってエスパーの力を知らしめその権利を拡大する? 支配者としてノーマルの上に君臨する?
 現在のパンドラが澪のような存在を引き取っている事から、一つの国(日本?)の中枢部を襲って革命を起こし、ノーマルを排除して、そこをエスパーだけの巨大なコミュニティに作り変える、といった辺りではないでしょうか。これならば、未だ絶対数の少ないエスパーにとって、実現可能で意義のある戦いになり得るでしょう。

 問題はその中で、兵部がどのような役割を果たすつもりなのかという事。予知で示された10年後までに彼の寿命が尽きるとしたら、その前に薫を自分の後継者とする必要があります。さらに、パンドラのリーダーという意味だけではなく、(それが薫の為になると信じて)自分の個人的な憎悪と復讐の後継者とする事も考えられます。
 この場合、彼女をパンドラ側に傾かせ、全てのお膳立てをした上で、革命に先立ちエスパー解放の殉教者として、バベルを含むノーマル側の手に掛かり、薫に破壊の女王として決起する事を促そうとする。そして、この兵部の死が引き金となって戦争が勃発する、というシナリオなのかもしれません。


 ノーマルとの戦争を起こす事それ自体が兵部の復讐であり、戦争に勝利させエスパーの安住の地を作る礎となる事がパンドラのリーダーとしての目的である。私としては今の所、このように考えていますが、さて、如何なものでしょうか?

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