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tea break 〜 絶チル 62nd senseより 〜

※「絶対可憐チルドレン 62nd sense. 逃亡者(3)」(06/47号)
 のネタバレが含まれています。未読の方はご注意下さい。

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「桃太郎は悪くないんだ! お願い、葵!! これ以上は―――」


 仲間が重傷を負わされても、薫は桃太郎を庇おうとします。実験動物への同情、世話をした動物への愛情、弱き者への庇護欲、子供らしい潔癖さ、そして混乱と無根拠な楽観。様々な要因が絡み合っての言動と思われますが、もし、明ではなく皆本が重傷を負わされていたのなら、薫は同じ台詞を言えたでしょうか?

 かつては皆本の死の危機に直面して殺意を露わにしたり(コミックス2巻、「普通の敵(後編)」)、傷付けられた葵を見て兵部の誘いを拒絶したりし(同4巻、「サイコダイバーズ(3)」)、その一方では敵である澪を暴走する分身から守ったりもしています(同6巻、「パンドラの使者(5)」)。
 しかし今回の場合、仲間を傷付けた敵は薫の視点では守るべき弱者でもあるのです。この点こそが事態を複雑にしているのですが、それでも――明とは交流が少なく、故に仲間意識も比較的薄かったのかもしれませんが――皆本が重傷を負っていたのなら、おそらくこう叫んで桃太郎と対峙したのではないでしょうか。

「よくも、皆本を―――ッ!!」

 桃太郎とはまだ皆本と天秤に掛ける程の絆は無く、歳相応に「もう、お前なんかキライだ!」とばかりに攻撃し、拒絶し、激情から冷めた後には煩悶と後悔と自分自身への不信に襲われるという、ある意味、救いの無い展開になっていたのかもしれません。そして、不信は自省となり超能力を正しく使う道へと彼女を導くのか、それとも自責となり「破壊の女王」への道へと繋がるのか――。


 いずれにせよ、これはIFに過ぎず、薫の不信は皆本とそれに連なる様々なものへ向けられる事になりそうですが、こんな可能性もあったと言う事で。

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