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横島忠夫の挑戦! そこに?があるから!


『横島忠夫の挑戦! そこに?があるから!』


「ぐふふふふ、久しぶりにお宝を見ちゃるぞ!待っていろよ美神さん」

美神令子除霊事務所の外壁にゴキブリのごとく張り付いている横島忠夫

彼は今、美神令子の入浴シーンを覗き見る為に身の危険を顧みず浴室の窓に向かって進んでいるのだった。

「わはははは!見よ!俺のこの芸術的な霊力の使い方を」

よく見ると壁にくっついている横島の手のひらと足先から淡い光が出ていた。

「俺は手のひらと足の先に必要最小限の霊力を出し壁にひっついているのだ、文珠を作る時のノウハウがこんな所で役に立つとは思わんかった。」

確かに横島が文珠を作る時には神経質ともいえる細心の霊力のコントロールと精神の集中力を必要とする。

文珠というのは少し作り方を急いだり手順を間違っただけでも不良品が出来てしまう程デリケートな代物なのだから。


「そうだ、なにしろ相手は日本指折りのGS美神令子、その霊感も第六感の鋭さも半端じゃない、こっちの気配や霊力をうまく消さないと簡単に察知されてしまう。」

「察知されたらそこで撃墜されて終わりだからな。」

そういいながら横島は器用に壁を這い登る、スパイダーマンも真っ青だ。


横島にとってこの美神の入浴シーンの覗きは素晴らしい事にGSとしての最高の訓練になるものだった。

事務所の壁を這い回るため、そして相手に霊力を関知されぬ為の精緻を極める霊力のコントロール、そして気配を消すためそれとは知らずに穏行の訓練、そして何よりも不可能を可能とするための不屈の精神力を養うことになるのだ。

目的こそアレだが、これは横島にとって妙神山での老師との修行にも匹敵するものだ。

彼にとって趣味と実益を兼ね備えたまさに一石二鳥とはこの事だろう。


「くくく、さあ美神さんのいる風呂場の窓は目の前だ、はははやったぞ!今日は俺の勝ちだ。」

そして遂に窓に横島の手が届いた。

「さあ、いざゆかん女体の神秘をこの目で!この世のハライソへ!!」

横島が窓を開けようとしたその時だった。

「せんせー!壁によじ登ったりしてそんなとこで何してるんでござるかー?」

下からシロが横島を見上げて声をかけてきた。

「わー!シロばかばか!しーしー!」

横島が慌てて口に指を当てシロに黙るようにジェスチャーで伝えるとするが、時すでに遅かった。

いきなり窓が開いたかと思うとバスタオル一枚だけの美神が神通棍を持って窓から上半身を出す。

「おおおお!!美神さんがバスタオル一枚でー!おお胸の谷間がー!これはこれで萌えるー!」

横島は思わず美神の胸の谷間に目が釘付けになる。

「きゃ!」

美神は横島の不躾な視線に思わず胸を押さえるが、すぐに我に返る。

「で?そこで一体何をやってるのしら横島クン?…」

美神は笑顔で横島に尋ねる。

横島は恐ろしい笑顔の美神の前に体中が硬直していた。

「ごくっ…いや、あのこれはですね?事務所の外壁が痛んできているので修理をですね…あははは…ダメ?」

「堕ちろー!この痴漢!デバガメー!!」

バシーン!

神通棍一閃、美神のふるった神通棍の一撃は見事に横島の脳天を打ち付ける。

「うわおおおー!!」

悲鳴と共に落ちていく横島。

「まったく、何度叩き落としても懲りないんだからあいつは!」

「でも女としては何度も何度も危険を承知で覗きに来られるのは嫌だけどなんとなく嬉しいものなのよね。」

美神は地面に激突してのびている横島の顔を見て微笑んだ、心なしか頬が少し赤くなっている。

横島の覗き行為は悪質なストーカー行為なのだが、美神の女心は色々複雑なようだ。

「でもね、私の裸はそんなに安くないわよ!もっと修行して出直してくるのね!」

浴室の窓を閉めシャワーを浴び直す美神。

「でも、今回は危なかったわね、シロが声をかけなかったら接近してくる横島クンに全然気がつかなかった、これから私も気を締めてかからねば…」

変な所での弟子の成長が嬉しいのか悲しいのかわからない複雑な美神だった。


横島再生中……再生中……再生完了


「ふふふふ、全裸の美神さんももちろんいいが、バスタオル一枚で恥じらう美神さんも捨てがたいというより萌え?」

「くくく、いいぞ!俺も男だ!次こそは絶対に成功させちゃる、燃える!燃えるぜ!」

例のごとく神通棍で叩かれようと、二階から落ちようと、その程度では屁でもない横島は早くも完全復活を果たしていた。


「ねえ横島先生、また美神どののお風呂を覗き見しようとしたのでござるか?いつも失敗してるのに懲りないでござるな。」

シロが呆れて横島を見ている、2階から落ちたのは完全スルーの方向のようだ。

「あーあ、そんなにおなごの裸が見たければぷりちーな拙者の裸を見ればいいのに、それに拙者は先生なら混浴もOKでござるよ。」

なにげにシロの爆弾発言が飛び出した。

「ふーん、お風呂の覗き見や混浴ぐらい私だって別にかまわないわよ。」

いつの間にか側に来ていたタマモも同様に爆弾発言をぶちかます。


「くっ!うおおー!」

がんがんがんがん!

シロとタマモ、二人の美少女の萌える爆弾発言に盛大に鼻血を出して一瞬我を忘れそうになる横島だったが、気力を振り絞り正気を保つため事務所の壁に頭を打ち付ける。

「いかん!いかん!お、俺はときめいていない!相手は中学生くらいの子供だ!これは犯罪行為だ!しっかりしろ俺!」

では、美神への覗き行為やセクハラは犯罪行為ではないのかという突っ込みは一応棚に上げておいて

頭と鼻から血を流し、ふーふーと荒い息を出している横島は二人に叫んだ。

「バカモン!俺はロリコンじゃない!お前たちのようなガキンチョの裸になんぞ興味なんかない!ましてや簡単に見られるものに一体何の価値があろうか?」

「そうだ!登山は山が険しければ険しいほど、危険であれば危険なほど挑戦する意味があるのだ!征服したいという男の血がたぎるモンなんじゃ!」

「そうだ!これこそ男のロマンなんじゃ!一度でも男と生まれたからには……」

横島はシロとタマモ相手に大袈裟な身振り手振りを交えて大演説をぶちかます。

その必死な姿はヒットラーもかくやだった!まあ演説の内容自体はアレだったが。

「……」

「………覗きって奧が深いのね…」

その横島を声もなく呆れた顔で見ているシロと妙に感心しているタマモだった。

「はあ、はあ、はあ、わかったか?シロ、タマモ」

「まあ、なんとかわかったでござる、男のロマンなんでござるな。」

「うんうん、男は挑戦して征服しなけりゃいけないのよ…ねえ…」

今一わかったかわからないのか判断のつかない二人、よく横島に付き合えるものだ。

「そうだ!俺は諦めない!絶対に諦めない!次こそは完全制覇だ!見ていろよ美神さん!美神さんの裸は俺のものだ!わはははははは!」

もはや自分でも何いってんのかわからなくなっている横島、自分の演説に酔って不穏な発言が出まくりになっている。

ばきゃ!

「あべし!え!美神さん!」

そこには神通棍を持った鬼がたっていた。

「横島ー!あんたいい加減にしろー!事務所の前で変な事ほざいてんじゃないわよ!」

「ああー!美神さん待って下さい!ち、違うんです!こ、これは若さ故の過ちというか何というか…」

「うるさい!」

今日も今日とて美神に神通棍でどつき回される横島だった。






数年後、横島忠夫は世界最強のGSとして世界にその名を轟かせることになるのだが、彼のこの影での血と汗と涙の努力の事は決して表に出ることはなかったという。








終わり


懲りない10番惑星でございます。

遅ればせながら展開予測+開設おめでとうございます。

(注)今回のお話でシロとタマモの覗き混浴OKというのは獣形態の時の事をいっているのでございます、ご了承願います。

相変わらず突っ込みどころ満載でございます、お許しの程を

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