運命とはかくも突然である。
それは果たして神の気まぐれか、はたまた魔のいたずらか。
つまりはこの私、横島忠夫の運命はあの時決められてしまったということなのであろうか…
「令子ちゃん令子ちゃん令子ちゃん令子ちゃ〜ん!!!」
「何よっ!!」
「ひど〜い令子ちゃ〜ん!いきなり机の下に隠れるなんて〜!」
「あんたが来ると毎度毎度ろくでもない事にしかならないでしょーが!!」
「うわ〜んそこまで言わなくても〜!」
「泣きたいのはこっちの方だってのー!!」
「ま、まあまあ2人とも落ち着いて。冥子さん何飲みますか?」
「あ、私オレンジジュース〜」
「ビールちょうだいビール!飲まなきゃやってらんないわよ!」
「あんまりよ令子ちゃん〜。おキヌちゃんたちもそう思うでしょ〜?」
「「「「・・・」」」」
なんとも言えない表情で顔をそむけるおキヌたちであった。
「うわ〜んみんなもひど〜い!」
「いいから本題に入りなさいよ!そもそも何しに来たのあんたは!」
「あ、そうだったわ〜。実はお母さまからお見合いをしなさいって言われて〜」
「おおお見合いだとーッッ!?あかーん冥子ちゃんにはまだ早すぎるわー!お父さんはそんなふしだらなこと許しませんよー!」
「何血迷ったことほざいとるか貴様はー!」
「ほう、見合いでござるか。つまりは一族の繁栄のためにやんごとなき相手との政略結婚を迫られているのでござるな」
「そういうところは今も昔も変わらないのね」
「こらこら、勝手に冥子の家を貴族みたいにしないの。単におばさまが奨めたってだけでしょ」
「うん、しかもお母さまったら『…もう冥子より貴方の娘に期待しましょう(遠い目)』って言ってきたのよ〜!ひどいでしょ〜!」
『いやそれはしかたないだろ』と誰もが思ったが、あえて口には出さなかった。
「まあようは冥子に彼氏が出来ればいいって話だから、別にお見合いじゃなくてもいいんでしょ?」
「ええ、お母さまも素性がわかってれば問題ないって言ってたわ〜」
「あ、だったら鬼道先生はどうですか?先生なら冥子さんのことよく知ってますし」
「うん、実は一度まーくんにお願いしに行ったの〜。だけど『…冥子はん、それは僕に死ね言うてはるんですか?(劇画調)』って言ってきたのよ〜!まーくんもひど〜い!」
『いやひどいのはそっちだろ』と誰もが思ったが、あえて口には出さなかった。
「お母さまも泣いて頼んでくるし〜でも私もそんな相手いないし〜だから、だから…令子ちゃんと結婚する〜!」
「なんでそうなんのよーッ!!!」ーーーーーー
「はっ!?いま何か新作のネタになりそうな気配を感じたわ!具体的には聖美女神宮寺シリーズの続編とかスピンオフとか!!」
ーーーーーー
「大丈夫よ令子ちゃん〜!私がんばって令子ちゃんの赤ちゃん生むから〜!」
「女同士で生めるわけないでしょーがあああああっ!!!!あとどっかの古い避暑地から寒気がするわー!!」
「安心して令子ちゃん〜。最新型のエクトプラズムスーツなら『ていえす』も出来るって書いてあったから〜」
「何を安心しろっつーのよ!!むしろ私が色々と失うわー!!」
「失わせてたまるかー!美神さんが男になるなんて世界の損失じゃー!あかんですよ冥子ちゃん!人生の連れ添いならぜひともこの横島忠夫が馳せ参じますさかいー!!」
「こんな状況でナンパするやつがあるかー!!!」
「ああすいません美神さーん!かんにんやー!しかたなかったんやー!!」
「あ、ほんと〜横島くん?じゃあお願いね〜」
「「「「「・・・え?」」」」」
「さっそくお母さまとお父さまにご報告しなきゃ〜」
「「「「「・・・え?」」」」」
人工幽霊一号と鈴女も唖然としている中、横島忠夫の運命はあっけなく簡単に決まってしまったのであった。
「「「「「ええええええええーーーっッッ!!!?」」」」」
その後はなぜか話がこじれることもなくトントン拍子に進み、次の日には盛大な結婚式を挙げてしまったのである。
「なんでやーっ!?そもそもワイは高校2年生やから結婚できないやろー!」
「この物語はフィクションであり、実在とは一切関係ないのよ横島くん」
「メタ台詞を言えば済むってもんじゃないでしょーがー!!」
「ええいうるさいわね!別に謝礼金とかもらってないからさっさと結婚しちゃいなさい!!」
「あんた少しは本音を隠せやっっ!!!」余談だが、私のあだ名と言えば『スケベ』が有名であろうが、新たに『恐れを知らぬ勇者』『ゴーストスイーパーきっての漢』『六道家の婿殿』など、名誉なのか不名誉なのか分からないのが増えたのであった。
「やあ横島クン、六道君と結婚したんだってね!これは僕の心からの気持ちのご祝儀だ、とっておきたまえ!!末永く幸せにな!!!(満面の笑顔)」
「ふざけんなてめーッ!!2943円って『にくしみ』だろーがーッ!!!」
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