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MOROえもん ― タマモの恐竜 200X (1)―

TAMAMO>
2日目  AM10:05


入江の奥の砂浜…
その波打ち際で、首の長い生物は……瀕死の重傷を負い横たわっていた。


「もしかして、昨日のモササウルスの仕業……?」

だとしたら、あんなに興奮させた……私と相棒にも、責任の一端は有るのかもしれない。

「ヒーリングなどでは、手の施し様がないでござるが……」

相棒は、そう言って近づこうとした……ところが……


グェエエエエエ――――――っ!!!

近づくなと言わんばかりに、必死で首をもたげ相棒を威嚇する。


「ダメよ! シロちゃん、怯えているから……」

そう言うとおキヌちゃんは、ビーチバックからネクロマンサーの笛を取り出して…
低い音で、ゆったりとした曲を奏ではじめた。


しばらくして、ネクロマンサーの感応力で落ち着ついたのだろう…… 
竜は静かに首を横たえた。

おキヌちゃんは、ゆっくりと近づくと首に手を当てて……そっと語りかける。

「怖くない。怖くない……生まれる前に戻るだけなの」

荒い息づかいは…次第に力を失い……もはや終わりの時が訪れているのは明らかだった。


ォオォォ――ッ……キュゥ――――ゥゥゥゥゥ………

ふと、力なく首をもたげ…最後の力を振り絞る様に鳴くと……
おキヌちゃんに、何かを訴える視線を投掛け…そのまま砂浜の奥に視線を泳がす。

おキヌちゃんも、そちらに視線を向け……
彼女の心眼は、いったい何を捉えたのだろう? ひどく困惑した表情を浮かべた。


でも…
「わかった。何も心配しないで………

 またいつか―――命になって戻ってきてね……!」


その言葉を聞いて…安心した様に、竜は首を横たえ静かに目を閉じる。

そして、竜の魂は肉体を離れ……ゆっくりと昇天していった。


「いやぁ―――っ!! おキヌ殿、見事なお手際でござった! 
 あの恐竜も、安らかに極楽へ旅立ったでござるな!」

相棒が、興奮して賞賛する。


確かに、恐竜に対するホスピス・ケア(緩和ケア)など……人類史上初めてのケースね。

次が有るのかは……非常に怪しいところだけど……


ところが…おキヌちゃんは、それに答えず……足早に砂浜の奥へと向う。
私と相棒は、顔を見合わせ…彼女を追った。


砂浜の奥で、おキヌちゃんは立ち尽くしていた。

「どうしたの…………?」

私が声を掛けると、こちらを向かずに泣きそうな声で言った……

「私、あの恐竜さんに………心配しないでって……言っちゃった。

 どうしよう……? タマモちゃん、シロちゃん……」


おキヌちゃんの視線の先に在ったのは……海藻や草を敷き詰めた巣……

そして、それらに包まれた……おそらく、あの恐竜の卵。


「どうするのでござるか?! もうじき帰るのでござるよ!!」

「うううううぅぅぅ……そんなコト言われても………」

おキヌちゃんと相棒が、必死で相談している。


その時、卵が動いた様な気がして…
私は、巣の草を掻き分けた。草は醗酵して熱を持ち温かい。

そして、そっとラクビーボール大の卵を抱き上げた。その途端……

メリメリメリ…………ピキっ…バリバリ……ッ

卵を割って……あの子が顔を出した。


ピ、ピィ? ピィイィィ――――――ッ!


それが“鈴木さん”と、私の出会いだった。









  MOROえもん  ――― タマモの恐竜 200X ―――










MATOMO>
1日目  AM 8:00


え〜〜っと……知ってるかもしれないけどけど… 一応、自己紹介。

僕の名前は、真友康則まともやすのり


僕の一家が引越した島と……本土を連絡する船は週一回。
小説家の父さんに言わせると、執筆活動に集中できる環境で『心地よく不便』なんだそうだ。

東京と…ひとあじ違うワイルドなイナカ暮しに、僕の脳裏に一抹の不安がよぎった。

が、慣れというのは怖ろしい。
転校早々、おもしろい友達もでき……僕は新生活を堪能していった。


でも…
元々キャリアウーマンで、ずっと都会暮しだった母さんにとって…
そんな島での生活……

相当、ストレスの溜まる日々だったんだろう。

夏も近いある日、母さんは僕達を置いて………家を出た。


父さんは、母さんの実家の在る千葉県の街で、母さんと……その……話し合うコトにした。
その間、近所の遊園地に行って……僕は、一人で遊んでいる様に言われた。


その時、僕とタマモちゃんは出会ったんだ。


そして、中学に上がる春休み……
島で知り合った友達の茂呂もろと計画したキャンプに、僕はタマモちゃんを誘った。




「出発前に、もう一度確認しますよ。

 まず、こちらから持ち込んだ…
 自然に分解され無いモノは、全て持ち帰らなければなりません。
 絶対にビニールや、プラスチック等のゴミを残してはイケません。

 全員、海ではあまり沖に出るコトを禁止します。

 いかにゴーストスイーパーの皆さんとは言え、不慣れな…危険な場所です。
 勝手な行動は控えてください。

 それから…女の子の皆さんには、申し訳ありませんが……
 石鹸やシャンプーの類は、現地の環境を著しく損ないますので使用禁止です。

 よろしいですか?
 過去と現代、それぞれの生態系に、どんな影響を与えるか分りません。

 きれいだから珍しいからといって…
 向うの生き物を連れ帰ってはいけません。
 
 以上! 坊っちゃんも、康則さんも分ってますね?」

引率役のフミさんは、僕達に何度も念を押した。

冒険旅行に出かける時も、いつもと変わらぬメイドの格好。
フミさんは茂呂の家で働いている………その、色んな意味でスゴイ人だ。


「は――い!」

「わかったわ!」

「らぢゃーでござる!」

「わかりました。でも…海で泳いだ後って?」

僕、タマモちゃん、相棒のシロちゃん、お姉さん…役のおキヌちゃんは、口々に答えた。

「安心してください。今回のキャンプ地には、温泉が湧き出ています」


「もう言うな! フミの説教は長くていかん」

もともと堪え性の無い方の茂呂が、少しイラついて言う。

「分りました。そろそろ…時間転移炉の暖機が終わると思います。

 皆さん、搭乗の準備をしてください」







TAMAMO>
「それでは、留守の間をお願いします。
 横島さんのお部屋の冷蔵庫に、3日分のお惣菜を入れておきました。
 
 それから…明日の午後には、私の携帯が繋がるはずです。

 本当は、ご一緒できれば良かったんですが……」

おキヌちゃんは、名残惜しそうに言い。

「うぅううううぅ――――っ……キチンと補習を受けないと………
 3月31日までに卒業証書がもらえなくなってしまうんや――――っ!!」

横島は、悔し涙を流した。
昨年末から、色々トラブルが続いたとは言え……半分以上は、本人の長年に渡る自業自得が原因ね。

えっ?! 『美神さんが、ずっと酷使していたのが原因では?』ですって……?
おキヌちゃんは、同じ条件に加えてハウスキーピングまでこなしていたけど……成績は悪くなかったそうよ。


そうそう!!
今は、私達の連載が終わってから……中の時間が循環しなかった200X年よ!


これから私達は、真友君達のキャンプに1泊、氷室神社に1泊……合わせて2泊3日の旅だ。


「泣かないでください……
 ホラっ! 横島さんの補習が終わったら、みんなで大きな室内プールに遊びに行きましょう。ねっ!」

「おキヌちゃんは、本当にエエ子や―――――っ!! しっかり楽しんで来て……」

「それより……大切な文珠。本当に持って行ってイイんですか? もう貴重なのに……」

「危ない目に……………だから、……………より…………ちゃんの…ゴニョ、ゴニョ…」

「えっ!? 何です?」

「いっ、いや! それより二人が無茶をしない様に、お目付け役を宜しく!」


はぁ〜〜あ……ヘ・タ・レ………

『危ない目に会うと大変だから、文珠なんかより…おキヌちゃんの方が大切なんだ……』
だってさ……




「皆さん、出発します!」

フミさんが、皆に搭乗を促し……真友君たちが“時空艇”と呼ぶメカに、私達は乗り込む。


席に付く時、おキヌちゃんに腕を絡めて…

「みんなで…じゃなくて、二人で……じゃないの?」
そう…耳打ちした。

だって、季節外れの水着を一緒に買いに行ったから……
誰かさんに見て欲しくって、相当ガンバっていたのを知ってるんだもん♪

真っ赤になってうつむくおキヌちゃんって……本当に可愛い!


「全員、シートベルトは締めていますか? それでは出発します。
 大変危険ですから、間違っても時空艇から身を乗り出したりしないでくださいね!」

フミさんは念を押す。そして、ゆっくりとスロットルを開けた。

プシュ―――――――――っ!!!

シートの後ろに在る大きな時計……
その両側に付いている煙突から、勢いよく蒸気の様な煙が放出された。

すると、時空艇は軋むような音を立て始め、その場でゆっくりと浮かび上がる。

キリキリキリキリキリキリ―――――――――……………

次に、時計の針がスゴイ勢いで逆回転を始めた。

地上で手を振る横島の姿と、周囲の景色が次第に揺らぎ始め……



大昔……恐竜の生きている時代へ GO――――――――――――!!






MATOMO>
時空艇の中から見える外の景色……
はじめは、ものスゴイ速さでビデオ映像を巻き戻している様だ。

そして、淡い光のシャワーに変る。

この時空艇は、亡くなった茂呂のおじいさんが遺した発明の一つなんだ。


茂呂の家系は代々、天才の血筋で……
国や大学とは無関係に、独自に新発見や新発明を重ねてきたのだそうだ。

少しヘソ曲がりというか……まぁ、茂呂って色々と難儀なヤツなんだが……(苦笑)
何だかんだ憎めないトコがあるんだ。

茂呂にとって、僕は友だち兼…研究助手って感じだ。

こいつの家の古い倉の中には、おじいさんの発明した様々なメカをはじめ…
茂呂家の誇る歴代の天才達が遺した…莫大なアイテムが眠っている。

正直、どれも使い方を誤ると…かなり迷惑なコトになる道具ばかりなのは間違いない。

茂呂が、勝手に動かして大騒動を起こしたりしない様に……
倉のカギは、フミさんが管理している。







TAMAMO>
1日目  AM 8:11


光の流れは、突然止まった。

時間を遡る間、ずいぶん長く乗っていた気がしたけど……私の時計の針は全然進んでいない。
まだ時空艇は、空に浮いたまま。


「皆さん、ざっと8,000万年前…白亜紀後期に到着しました。
 午前中は、時空艇の飛行時間が許す限り、空からこの時代を見学しましょう」

そう言ってフミさんは、そのまま時空艇をゆっくり飛行させた。


「恐竜は、いずこでござるか? 早く本物の恐竜を見たいでござる!」

「おいおい! いくら白亜紀でも……恐竜が、そこらにゴロゴロしてるワケじゃないぞ」

すっかりヒートアップしている相棒に、茂呂君が教えている。


夢とロマンを求め……私達を乗せた時空艇は、失われた世界へと出発した!







……………はずなのだが、すでに30分は飛んだかしら?


「映画と違って……中々、恐竜に会えないのでござるな……」
相棒がポッツリとつぶやいた。

今回のキャンプに備え…
“ジュラシック・パーク”と第2弾の“ロスト・ワールド”のDVDを、何度も観たのだそうよ。

まぁ……実は、私とおキヌちゃんも……今回、あの映画にハマった(笑)


当然のコトだが…
空から見渡す限り、どこまで飛んでも全く人の手の入っていない森、平原、森、平原、また森。

これだけでも…雄大な景色には間違いないけど……

しかし延々続く同じ様な景色に、みんなが退屈し始めているのも確かね。


と、その時…
「うぉ――――っ!! 居たでござる!!」

突然、相棒が大声を上げた。

「拙者は見たでござる! 確かにジュラ紀の生物でござる!」

………あんた、別な映画も観ていたのね(汗)


相棒の指差す…前方右手800mほど、針葉樹の森の中から…何かの大きな首が飛び出していた。
すかさずフミさんは、時空艇の進路を変える。

そして驚かさない様、ゆっくりと近づく。


大きい方は18〜20m位…小さい方も10m以上かな? 
すごく大きな2匹の恐竜が並んで…やっぱり大きな杉の樹の葉を食んでいた。

濃いグレーの体。長くて太い首と尾、その首に対して小さな頭。太い四肢。そして背中に甲羅の様な鱗……


「ねぇ! あれアパトサウルスって言うんでしょ?」
私は、真友君の腕を引いて言った。

アパトサウルスは、ブロントサウルス(雷竜)とも呼ばれる陸に棲む首の長い恐竜よ。

えっへん!!
いつもメールをする時、何かと真友君に教わってばかりだから……
今回のタマモちゃんは…来る前に、ネットでばっちり予習済みなのだ♪

「う〜〜ん……アパトサウルスはジュラ紀の生き物だから、この時代はいないんだ。
 あの恐竜は、ティタノサウルスの仲間だね!」

残念、あっさり切り返された(泣)




時空艇を地上に降ろし、離れたところから2匹を観察する。
2匹は親子なのだろうか? 一緒に食事をしている様子は、とても仲良く見える。

「茂呂と一緒に、こっちに何回か来たけど……初めて見たよ!! やっぱり大きいね!」
真友君は、少し興奮気味に言う。

この1年半で…すっごく背が伸びて……もう私に追い付きそう。

でも…
また真友君の笑顔は………ちょっとだけ本当の真友君じゃなくなっていたの。


チィ―――ッチィ、チィ、チチチ………

突然、空から……長い尾羽を持つ……鳥?
錦華鳥キンカチョウの様な色をした…雀より大きくムクドリより小さい生き物の群れが舞い降りてきた。


「ふぇ―――……あの映画で、恐竜さんは鳥に進化したって言っていましたが……
 もう、進化している恐竜さんが居るんですね!」

「多分、孔子鳥コウシチョウの仲間だ。
 ほらっ! 顎がクチバシに成ってるが、翼に爪が有る。古鳥類の特徴だ!」

おキヌちゃんの疑問に、茂呂君が答えている。

「真鳥類と言って、現代の鳥と同じ特徴も持ったグループは、もっと古い時代に現れている。
 つまり、この孔子鳥でさえ現代の鳥の直系の先祖じゃない!」

「えっ!! そうなんですか!? 
 私、あの大きな恐竜さんなんかは…どんな風に鳥に進化するんだろう?と思ってました!」

等と……巨大なティタノサウルスを指差し、もうすぐ高3になる……おキヌちゃんは言った(汗)

これには………さすがの茂呂君も絶句していた。


「おおっ!! スゴイでござる!」

その時、相棒が空を指差し叫んだ。

見上げると……
翼を広げ、悠々と空を独占する……その巨体は、軽く10m以上。

さっきの孔子鳥とやらは、あいつを恐れて舞い降りてきたのね。
ペリカンの様な頭と短い尾を持った…レンガ色の巨大な恐竜が大空を舞っていた。

「あの翼竜、ケツァルコアトルスだ!」

珍しく茂呂君が、感嘆の声を上げた。







MATOMO>
1日目  AM 9:20


「では、皆さん。そろそろ時空艇に搭乗してください」

フミさんに促され、僕たちはティタノサウルスの森を後にする。


「キャンプ地に向かう途中……
 先程、言っておられた…恐竜と鳥が近縁だというケースを見学しましょう」

「フミ、それは一体何だ?」

「あそこは、坊ちゃんもご覧になったコトが無いので……驚かれると思います♪」

フミさんは、イタズラを秘密にしている子供の様な笑顔で言った。




大きな川の流れが、うねった先に広がる平原……それが小高く盛り上がった小さな丘の斜面。
上空からゆっくり…そして静かに時空艇の高度を下げて近づく。

「スゴイでござる……」

みんな、言葉を失くしている中……シロちゃんがポッツリと言った。


そこには、60匹以上の…ダチョウが長い尾を持った様な姿の恐竜が居た。
茶褐色の羽毛と3本の鎌の様な爪を持ち…頭までの高さは1,5mほど、全身の長さは4m弱かな。

「テリジノサウルスの一種です。
 コロニー(集団営巣地)を作って、皆で卵と子供を守っているんですね」

フミさんが、説明してくれた。
テニスコートが4〜5面入る位のスペースに、何と50以上の巣が密集していた。

一つの巣の大きさは、新聞紙を広げたくらい。そこに5〜8個ほどの卵が収まっている。


「テリジノサウルスは、ラプトルの近縁種なんだぞ!」

茂呂が、シロちゃんに教えている。

「何と! あの映画では悪役でござったが……でも、ココの連中は草を食するのでござるな」

テリジノサウルスは草食性に進化を遂げ……
確か、ラプトルの中でも、謎の多い変わり種と言われていたはずだ。


「見て! 可愛い!」

おキヌちゃんが指差す先に目を向けると、白い羽毛を持つ孵化したばかりの子供に…
親のテリジノサウルスが、その鎌の様な爪で集めたのだろう……植物の新芽を与えていた。

タマモちゃんも、テリジノサウルスの親子に優しい眼差しを送っていた。


でも、僕は…その姿に……また、少しだけ切なくなってしまった。

その時…
「ほら…また……
 男の子だからって…頑張ってばっかいちゃって……笑っていいコにしてなくていいじゃん」

そう言って…タマモちゃんは、そっと僕の手を握り……あの日の笑顔を贈ってくれたんだ。







TAMAMO>
1日目  PM 4:57


「シロっ!! その魚、あきらめて…そいつにやっちゃいなさいよ!!」

上空から私は叫んだ。

「イヤでござる!! これは拙者の獲物でござる!!」

シロは、体長1m以上の大きな魚を胸に抱え、イヤイヤと首を振った。


今、シロと真友君と茂呂君、三人を乗せた船は……巨大な生物に襲われている。

そいつの…ドス黒い体は15m近く有りそう、正に海の怪物と呼ぶに相応しい。

見慣れぬ船の姿に、多少の警戒はしている様だけど……シロの抱えた大魚を諦める様子は無い。




1日目  PM 2:23


茂呂君のおじいさんが作ったというバンガローの在るビーチは、遠浅の海に面していた。
そこに私達は、11時前に到着した。

水着に着替えて…早速、海で遊んで……
それから、おキヌちゃんとフミさんが準備してくれていたお弁当をビーチで食べた。

そして、また海でしばらく遊んだ後……
真友君と茂呂君は、バンガローの倉庫に在った大きな船を持出し魚釣りに行くという。

「今夜のオカズは、拙者達に任せておくでござる!」

二人に同行する相棒は、妙に自信たっぷりで宣言したものだ。

でも…あんた、海釣りは初めてなんじゃないの?


「よろしいですか?
 とにかく、大型の肉食動物には近付かない様に注意してくださいね!!

 皆さん自身が危険なコトも勿論ですが……
 こちらの食物連鎖を狂わせる原因に成るケースも大変危険なのです。

 8,000万年の間に、その影響が連鎖して……
 最悪の場合……現代に帰ったら人類が誕生して無かった。

 なんて…恐ろしい結果もあり得るんですから!」

そう皆に念を押すと、蒼いドライスーツ(全身を覆い内部に水が浸入しないタイプ)に身を固め…
フミさんは、銛と魚篭ビクを手に海へ向かった。


おキヌちゃんと私は…
アイスグリーン色のスプリング(半袖、膝丈の一体タイプ)ウェットスーツでバッチリきめて……
フミさんから、水中で自由に呼吸が出来き…しかも会話まで可能という優れモノのマウスピースを借りた。

私達は、西側の岬の向うの入江に大きなテーブル珊瑚が在ると聞き、これから見に行くのだ。


えっ?! 『おキヌちゃんの相当ガンバった水着姿は?』ですって……?
それに…女の子四人のブチ抜きの水着シーン…?

う〜〜ん……
フミさんは、ずっとメイド服のままで、さっきまで部屋の準備をしてくれてたんだけど……

私たち三人の水着の設定は、ちゃんと有ったの……
けど…話が長くなってるので、そのシーンはカットになっちゃったみたい(笑)


話をサンゴ礁行きに戻して……
私達も魚を取る網や魚篭を…一応、用意はして来た。

でも…
「テーブル珊瑚を見るの…スゴク楽しみね♪」とか、二人で女の子らしく話してたんだけどね……

ところが、我が家の料理の鉄人は……
海中で大きな蟹を見掛けるや否や、サンゴ礁そっちのけで…気合いを入れて捕まえはじめてしまった。

千里眼の女神から心眼を借りたコトが切っ掛けで…その後、目覚めた己の心眼の力まで駆使して……(汗)


『タマモちゃん! この蟹、横や前に進めないわ。後ろよ! 後ろから捕まえて!』

いつもと人が違った様に、的確な指示を私に飛ばすと、自分も丸網を振って次々と蟹を捕える。
例え蟹たちが砂の中に潜ろうとも、彼女の心眼から逃れる術は……無い。

その蟹の甲幅は15cm以上に達し、茹でても無いのに初めから赤い色をしていた。
まぁ……これはこれで……結構、私も楽しかった(笑)


ところが…
『戻りましょう……急いでっ!!』

突然、おキヌちゃんは言い出し……私達は急いで陸に上った。


そして岬の上に駆け上がると、崖の突先に立って…おキヌちゃんは、じっと沖を見つめる。

「タマモちゃん、あそこ! 大変、シロちゃん達……」

おそらく、おキヌちゃんの霊感は…シロ達に何か危険が迫っているコトを察したのね。
そして、今、彼女の心眼は…その何かを捉えているのだろう。

生憎、私の目には…
おキヌちゃんが指差す…はるか沖合に、三人の乗った船らしき影が見えるだけ……

「私、行って来る!」

そう言うと、私は崖から飛び降りた。そして、両腕を翼に変化させ羽ばたく。

「待って! 待って、タマモちゃん」

おキヌちゃんが、崖の上から呼び止めた。


でも…気持ちの焦っていた私は、そのまま沖合の船影を目指す。




空から近づくと、船の真下……何?! あの大きな影……?


「オォ―――――――イっ!! 
 タマモも来たのでござるか? 見るでござる! 大漁でござるよ!」

船の上からシロが呑気に手を振り……
そう言いながら、海側の船尾にロープで吊るしていた大きな魚を持上げた。その瞬間……


グゥバアアアアアァ―――――――――っ!!!

巨大サメとの死闘を描いた……かのパニック映画もかくや……
そんな巨大な顎門アギトがシロを掠める。


「うわわわああああぁぁっ!!」

シロは持ちあげた大きな魚を抱いて、ボートの中で尻餅をついた。

そいつは…巨大なワニの様な顎門と、俊敏に泳げるクジラの様な尾びれを持っていた。
確か、来る前にネットで予習した中に……

「モササウルスだっ!! しかもメチャクチャでっかいぞ!!」
茂呂君が叫ぶ。

そう…陸の覇者ティラノサウルスに対し、海の覇者はモササウルス……


「シロっ!! その魚、あきらめて…そいつにやっちゃいなさいよ!!」

上空から私は叫んだ。







MATOMO>
1日目  PM 4:32


僕たちは、茂呂のおじいさんのバンガローに在る船を使って釣りに行くコトにした。

船の本体は大きな木製で、とても見えないけど……
自動で動いて…しかも魚の群れを感知して追い掛けてくれるんだ。

「今夜のオカズは、拙者達に任せておくでござる!」

茂呂から船のコトを聞いたシロちゃんは、自信たっぷりに宣言した。


フミさんは、フミさんで……白亜紀特製料理の食材を採りに行く気なんだろう。
アレを見た時の……タマモちゃん達の驚く様子が目に浮かぶ(笑)

ここに初めて来た時、僕もアレにはビックリした。

タマモちゃんは、おキヌちゃんと一緒に近くの入り江に在る大きなサンゴ礁を見に行くそうだ。


そして…
船の性能のおかげと、この時代の魚は…釣り人を警戒してない為も有るのか? 
茂呂が特製の投網とかも用意したけど…その必要もなく、僕たちの釣果は、順調に伸びた。

僕と茂呂の獲物は、レプトレピスという古代魚。現代の魚でいうとニシンや鰯によく似ている。

もっとも白亜紀のニシンの仲間には、全長6mも有って…サメに比類する捕食者が居たり……
鰯の先祖は、淡水魚だったりする。

前に来た時、フミさんがレプトレピスをフライにしてくれた。鯵に似た味で美味しかった♪


でも、シロちゃんは…… 一人、ひたすら超大物を狙う。
大きい針に太い糸、エサも僕が釣ったレプトレピスを仕掛け……ずっとアタリを待ち続けている。

でも、時刻は夕方の4時半を過ぎてしまった。
しかも、魚群を追いかけているうち……船は、かなり沖まで来ている。


「シロちゃん、そろそろ引き上げないと……」
僕が言うと…

「もう少し…もう少しだけ待ってほしいでござる。
 必ず、この魚の群れを大物が追っていると……拙者の野生の勘が告げているのでござる!」

「言いつけを破ると……フミのお仕置きは過激なのだっ!!」
茂呂が渋い顔をする。

「この通りでござるよ……拙者だけボウズなのでは、格好が付かないでござる!」

そう言って、シロちゃんは僕達に頭を下げた。と、その時…

「来た来た来た!! 来たでござる! 大物が掛った様でござるよ!」

シロちゃんの竿が大きくしなっている。

「巻けーっ! 力の限り巻けーっ!! こんじょー見せてみろ!!」
茂呂が興奮して叫んだ。

「シロちゃん! 焦らないで、もっと魚に合わせて!」


そんなこんなで…
三人がかりで釣り上げたのは、体長が1m以上のシーラカンス類の古代魚だった。

船の生け簀に入れて、他の魚を食べられてはマズイので…ロープで縛って船尾に吊るしておいた。

が…しかし……







TAMAMO>
ギィガガガガガアアアァ――――――!!!


「この野郎――――――!!」

ぼかッ!!

とうとうモササウルスは水面に顔を出し、船の上に圧し掛かろうとした。
どうやら狙いも、魚から人間に変わった様よ。

シロは、その横っ面を霊波刀で殴りつけたのだ。
この攻撃に、やつは海中に逃れる。

でも…
「シロ! 相手をキズ付けない様にしないと……」

私は翼の変化を解き、船の上に降り立って言った。
地球の生態系が、人類の歴史が変わってしまうかもしれない……

「分っているのでござるが……」


しまった!!
あの時、おキヌちゃんが…私を呼び止めたのは………文珠。

でも、後悔している暇は無い。


次、どっちから来る………? 
全神経を耳に集中させ…水中の動きを追い、いつでも狐火が発せられる様に身構える。


ズァバババババァ―――――!!!

来たっ!! 
今度は、船首側。そこに居た茂呂君が、堪らず悲鳴を上げる……

「うわあああっ!!
 フ…フミ――――――!! フミ―――――――ッ!!」

咄嗟に、やつの鼻先に小さな狐火を出現させると一気にはじけさせた。
驚いたモササウルスは、また海中に逃れる。

これで諦めてくれれば……


ズンっ!!
船の下から衝撃が! あいつ…今度は船を転覆させ様としてる?

ズンっ!! ズズンっ!!
続けて船が大きく揺れる。


「嫌だっ! こんな死に方いやだ――――っ!!
 僕には、まだ食べ残した羊羹ヨーカンがあるんだ――――――!!」

「冗談言ってる場合かっ!!」

パニックになって、ワケの分らないコトを叫ぶ茂呂君を真友君が叱った…その時……


ぐらあ!!
下から船首を持ち上げられ……船は斜めに傾いた。その拍子に、真友君が海に転がり落ちる……!

「わああああっ!!」

「危ない、真友君ッ!!」

私は、真友君を追って海に飛び込んだ。


「早く、早く私に捕まって!!」

でも…海流に流され、なかなか真友君に近づけない。


グガガガガガァ――――――っ!!

「来ちゃダメだ!! タマモちゃん、逃げてっ!!」

真友君に狙いを定めたモササウルスが迫る! 


こいつ!! 
 
もう、他の人類なんか知らない……後の地球がどうなろうと燃やしてやる!!

「真友君を―――やらせないっ!!」

私は、真友君の手を取って引き寄せ……私達の頭上に特大の狐火を生じさせた。

「くたばれッ…………!!」

モササウルスに狐火を投げつけ様とした……まさに、その時?!



ぼぐおッ!!!!!!!



………え〜〜〜っと………
今、モササウルスに、凄まじいアッパーカットを喰らわせたのは………


フミさん?!


何が起きたのか…? 頭が理解するのに2、3秒要した。
突然、海中から現れたフミさんが、モササウルスに殴りかかったの。

さらにフミさんは、今の一撃で目を回したモササウルスの尾びれを掴むと、船の上に立ち…
ジャイアントスイングの要領で、グルグルと自分の体ごと回転を加え…空の彼方に放り投げた。


「大丈夫ですかっ? 二人とも!?」

大量のアンモナイトが入った魚篭を背負った…フミさんが、海中で寄り添った私と真友君に聞いた。







MATOMO>
1日目  PM 8:37


「あっ! ここに居たんだ。これ、おキヌちゃんが…」

満月の明るい夜、渚の流木に腰掛けて夜の海を見ていたタマモちゃんに…
温かいお茶の入ったマグカップを手渡した。

「ん! ありがとう」

タマモちゃんは礼を言って受け取ると、フーフー息を掛けながらお茶をすする。
僕も並んで座り、自分のカップのカフェオレに口を付けた。

妖狐のタマモちゃんや人狼のシロちゃんは、カフェインの接種が過ぎると…
カカオによる『チョコレート中毒』と同様に、不整脈や呼吸困難などの症状の原因となる。

だからおキヌちゃん、二人には…いつもカフェインの少ない玄米茶などを淹れてくれるのだそうだ。


「この海、神秘的できれいね……」

浅瀬に点在するサンゴ礁が、月光を反射して薄っすらと光って見えるのだ。

でも…
月明りの下、海を眺めるタマモちゃんの方が神秘的できれいで……僕は見とれてしまった。


「なあに…?」

しまった! じっと見ていたのを気付かれちゃった(////)

え〜〜と……
「タマモちゃん、今日は助けてくれて……ありがとう」

「私は、助けてないって……」

タマモちゃんは、視線を逸らして……少しぶっきらぼうに言った。


でも、いつもクールなタマモちゃんだけど……
あの時、地球の未来と僕とを天秤に掛けて……それでも、僕を選んでくれたのだと思う。







TAMAMO>
2日目 AM 9:48


今朝も、早くから海で遊んだのだけれど……

帰る前にフミさんは、“万能加工ミニ工場”というメカを使って……

私たちが捕まえた蟹(朝日蟹アサヒガニという蟹で、子孫は健在だそうよ)で、カニ缶を作っている。
真友君達が釣ったニシンみたいな古代魚も…このメカで全部干物にしちゃった。

加工するコトで、現代の生態系への影響を無くし…人目に付き難くするそうよ。

おまけに…
茂呂君も世話になるのだから、『氷室神社に、お土産に持って行ってください』って……


えっ!? 
相棒が釣った大きな魚はどうしたかって? アレはねぇ〜〜〜………(汗)
昨夜、一悶着ひともんちゃく有ったんだけど……

もし興味が有ったら言って、また今度話すから♪


「フミ殿、珍しい貝殻など、持ち帰ってはマズいのでござるか?」

「貝殻などは、向うの生態系に影響を与えませんから……
 人目に付いて騒ぎにならない様に、きちんと保管さえして頂ければ構いませんよ。

 ただし、帰る準備もありますから11時半には戻っていてくださいね」
相棒が、フミさんに確認を取った。

帰る前に、こいつも大きなテーブル珊瑚を見ておきたいと言い出し…
私とおキヌちゃんは、シロを案内するコトにした。

ついでに、記念に貝殻を拾おうと3人で話していたの。


でも…真友君は、茂呂君と作業を手伝っていて…… 一緒に行けない。




岬を回って、異変に気付いたのはシロの方が早かった。

「タマモ、かすかに血の匂いがするでござる」

風下からの匂いだったため、私は気付くのが遅れたのだ。


「あそこ! 何か倒れている」

おキヌちゃんが、入江の逆側……その波打ち際を指差す。

私たちは、そこへ向かって駈け出した。







MATOMO>
2日目 AM11:52


「では…皆さん、忘れ物が無いか? もう一度、しっかり確認をお願いします」

「だから! フミの話はくどくていかん」

搭乗前に注意を促したフミさんに、また茂呂が食って掛った。


「坊っちゃん……時間旅行の危険性が、まだお分かりにならないんですね。

 以前、勝手に時空艇を持ち出された時……
 その上、現地で促成知能発達食品“アルジャーノン印きびだんご”まで無くされました。

 幸い…その後の歴史に、大きな変化が無いから良かったものの……

 そうですか……きっと…あの時、おしおきが足りなかったんですね!!」 

ギロリとフミさんは睨んだ。茂呂と…ついでに僕も固まった。


僕が島に来たばかりの頃、クラスの連中に乗せられた茂呂は…
何だかんだと僕までつきあわせ……

恐竜を捕まえ様と………こっちに来たコトがある(汗)

あの時、僕たちが出会ったのは……多分、アロサウルス類の恐竜の子供だったのだろう。
茂呂は、『大人しくさせる』等と言って…何やら、おかしなダンゴを食べさせようとした。

後で考えてみたら、肉食恐竜が…そんなモノに興味を示すワケは無く……
そうこうしてるうち、僕たちは子供の親に発見された。


もう少しで、僕達が恐竜のランチになるところだった……(大汗)


ふと気がつくと……どういうワケか? 女の子達も何やら落ち着かな様子だった。

タマモちゃんは明後日の方を見て、おキヌちゃんは何だか強張った笑みを浮かべ……
シロちゃんの尻尾は、ひどく緊張しているかの様に、毛を逆立てて水平に突き出されていた。


あれっ?
「……何だか荷物が増えてない?」

3人が、現代から持ってきたバック等に加え…荷物が詰まったエコバックが幾つか……
僕がたずねると、タマモちゃんは…

「えっ!? ……ホラっ!! フミさんに、持ち込んだモノを全部持って帰る様に……って…
 ねっ! ねっ! おキヌちゃん!!」

「そっ、そ―――です!! え〜〜〜〜〜〜っと………ホラっ!! 
 
 ご飯を作る時、たくさんゴミが出ちゃいましたから!!」

おキヌちゃんの言葉を耳にしたフミさんが……

「あらっ! 

 ビニールやプラスチック等は…
 万一、この時代の小さな哺乳類の先祖が食べてたりしてしまうと…
 歴史に影響を与えて危険ですから持ちかえりますが……

 自然に分解されるゴミは、燃やしてしまえば宜しかったのに……
 では、私が持ちかえって処分しておきますね!」


「いっ……いや!! 心配ご無用!! のーぷろぶれむでござるよ……
 ねっ? ねっ? おキヌ殿!!」

「そっ、そ―――です!! あぁぁあああああぁ〜〜〜〜〜…………そう!! 

 御呂地村は、明日が燃えるゴミの日ですからっ!! ドンドン持って帰っちゃいます!!」

おキヌちゃん、やっぱり…強張った笑顔のままで答える。
しかも…何だか涙目で、ブルブル震えている様な……?


とにかく、僕らは現代へ……
次の目的地は、長野県は木曽路……御呂地岳の麓に在る氷室神社だ。

このキャンプに誘った時、タマモちゃん達はタマモちゃん達で春スキーを予定していた。
それで、僕と茂呂も一緒にスキーをしないかと誘ってくれた。

僕たちの2泊3日の旅は、一度に夏冬のレジャーを楽しめるという…ミラクルな企画なのだ。






TAMAMO>
2日目 AM11:59


氷室神社の境内の裏手に時空艇は、ゆっくりと降り立つ。周囲には誰もいない。
もっとも、人目に付かない時間と場所を…事前に、おキヌちゃんが指示していたんだけどね。

私達の下船を確認して…

「それでは皆さん。明日の夜にお迎えにあがります!」

フミさんは、そう言い残すと……再び時空を転移して行った。


「さぁ…タマモちゃん。神様に『ただ今、帰りました』って、ご挨拶しましょう!」

そう…おキヌちゃんに促され、私もお社に向った。


そして…
氷室神社のすぐ近くに在る、おキヌちゃんと……私の実家に着く。


「二人ともお帰り!! 
 真友君、いらっしゃい! それから茂呂君だったべ? シロちゃんも、よく来ただな♪」

まず、私達を迎えたのは…

この春休み『車の免許は、地元で取るだよ』と、早々に帰省していた…
今、東京の某大学に通っている……

その、早苗……お義姉ちゃん。

朝から、近くのゲレンデで一滑りしてきた様で、ツナギタイプのピンクのスキーウェア姿で…
上半身部分を腰に巻いている。

「タマモちゃん、何を遠慮してるだ? もう、ここはタマモちゃんの家だ!」

早苗お姉ちゃんは、少し…もじもじしていた私の手を取って玄関に招き入れてくれた。


え〜〜〜っと……今年…私は……氷室家の籍に入れてもらい……

“氷室タマモ”になった。

つまり……私は、おキヌちゃん達の妹になったわけ(////)


「おキヌ、タマモちゃん、お帰り! もう神社にお参りは済ませた?

 タマモちゃん…お昼ご飯は、信田丼にしましょうね♪」

そう言って、お養母かあさんも笑顔で迎えてくれる。

前に来た時も…
犬族の私の体に合わせて…長ネギを使わず、三つ葉を入れて作ってくれたっけ……


「え〜〜っと……。これ、お土産です……」

私は、フミさんが持たせてくれたカニ缶と古代魚の干物を手渡す。

「まあっ! 嬉しい! ここは山奥だから……海の幸は何よりよ!」

本当に嬉しそうに、お養母さんは言ってくれた。何だか私も嬉しくなって……

「あのね……この蟹、私がおキヌ…お姉ちゃんと捕まえた蟹なの……
 それを茂呂君の所で缶詰にしてもらったの。

 この干物の魚は、真友君と茂呂君と……シロが釣ったのよ!」

「本当? タマモちゃん、スゴイのね! みんなも本当にスゴイわ。ありがとう!」

お養母さんは、私たちを褒めてくれ…
早速、今夜の夕食に使わせてもらうと言ってくれた。


養父とうさんは?」
おキヌちゃんが聞くと…

「午前のお勤めを済ませてから、お茶の間で二人の帰りを待っているよ。
 だって…お前、お昼頃には神社に誰も来ないでくれって……」

そうそう…! 時空艇が人目に付かぬ様、そんなコトを頼んでいたんだった。

「すぐにお昼ご飯にするから、先に荷物をおいてらっしゃい」
お養母さんは言った。


私とおキヌちゃん、そしてシロも…まず荷物を部屋に運び……
真友君達は、事前に送っておいた自分のスキー用の荷物を客間で確認する。

それから…
茶の間に足を運び、私達はお養父さんに帰宅を伝え…真友君達とシロも挨拶をした。


「二人ともお帰り。シロちゃん、真友君と茂呂君も…よく来てくれたね。

 三人とも、先日のGS資格取得試験の時は、本当にお疲れ様!」

お養父さんも、私を暖かく迎えてくれた。


そう! この春、変則開催されたGS資格取得試験。
おキヌちゃん、シロ、私の3人は、GS資格を取得したの。

早苗お姉ちゃんとお養父さんは…
その時、応援に来てくれた真友君、茂呂君と面識を得ている。




昨年10月に、横島が突然独立を宣言して以来……

本当ぉ―――――――――にっ、色々なコトが有った。
詳しく話すと……かなり長くなる。

そうね、時間と根性さえ続けば……軽く1年は、隔週連載ができるわね。
だから、それは別な機会に譲るコトにしとくわ。

とにかく…それぞれが、自分の立ち位置で懸命に努力した。
私の場合、「大切な仲間との関係を取り戻そうとガンバった!」とだけ…言っておこう。


そうそう! 
何で、私が氷室家の籍に入れてもらったのかは……説明しておいた方がいいわね。

GS資格を出願する際、人狼の里に本籍の有るシロは良いとして……

私は、まさか……
「金毛白面九尾の狐の転生体です♪」と、申請なんてできない。

まして、件の転生体…つまり私を退治したとして……
美神は…ちゃっかり、国から莫大なギャラを、せしめていたりもする。

これって…………詐欺?(汗)

しかも、あの時の契約には…やたら違約時の罰則事項も多かったそうで……

美神も、自分の身を守る必要上…
『この件に関して、お互いに不干渉なのが無難!』というコトになったの。


そんなワケで…
私は、早苗ちゃんを通じ、氷室神社の宮司さん…お養父さんに打診してもらい……
昨年の暮れ、お正月は忙しい神社のお手伝いも兼ねて参上し、頭を下げたの。


そして…
『キヌの時と同じコネが有るから、戸籍は大丈夫! ホラっ! ここは田舎だから……』

その時、お養父さんは、悪戯っぽく笑って言ってくれた。

でも……氷室家と御呂地村には、何やら秘密がありそう。


それはともかく…
私は、優しい両親と二人の姉。そして温かい家庭をゲットできた。

この居場所……わりと満足している♪


別に…
距離を置いてみると(他人事よこしまだと)、それなりに楽しめるが…
近くにいると(自分の事だと)、その我儘さ図々しさにウンザリする。

ドコかの、荒んだ母娘のヘイトなワケでは無い………


まして…
「“横島タマモ”なんてテンプレ……今さら、やってられないわ!!」

とか、言ってるワケでも………決して無い。


ないったら無いっ!!(汗)


え〜〜っと……やっぱり、現状を簡単に話すと……

この度、横島は卒業を機に自分の事務所を構えるの。
おキヌちゃんを連れて……

私と相棒は…
人間社会で生きていく方法を学ぶため……4月から六道女学院に通うコトにもなっている。

『次代のエース候補として〜…うちで二人を育てられるなんて〜素敵じゃな〜い♪』

私達が入学を決めた時、六道のおばさんは笑顔でそう言ってくれた。


そして、美神は……


「タマモちゃん。あんまりノンビリしてると、あの子を眠らせた文珠の効果が……」

一人、思いに浸っていた私に、おキヌちゃんが耳打ちした。










――― タマモの恐竜 200X ―――  “MOROえもん”編 完


    “T.P ○○○”編に続く










劇中劇ゴメンなさい “トップ3人娘、大地GTY+に立つ!!”



1日目  AM 7:30


「みんな! ここが椎名系SSの聖地、展開予測掲示板よ!」


「おぉ! ここが、あの……か、感動でござる!!」

「でも、タマモちゃん…私達なんかが来ちゃって良かったのかしら?」

「そ、そうでござるな…
 うちの作者、クロス作品から…ゲストを招いてイベントを発生させる姑息な芸風……」

「しかも私と横島さん、アニメ版がベースのキャラだし……

 美神さんなんか…あのラジオドラマ版今で言う公式が病気の美神さんなのよ!
 鶴さんの怪演を知らない世代が読んだら…ヘイトか、壊れキャラだと思っちゃいます!」


「大丈夫! 私がメインの話は、クロスの相手は真友君関連(有)椎名百貨店だから……
 それに今回、3月下旬の話よ。うまく立ち回れば美神の出番は無いわ」

「成程! すでに拙者達のGS資格取得試験は終わっているでござる!」


「しっ! いくらヘタレな作者でも…
 他所NTの長編の展開のネタバレは、最低限にしたいらしいの。

 本当は、大見えを切って向うの投稿を休む前から……
 ヒーローズカムバックの設定で、こちらへ投稿用の連作短編をコソコソ書いていたの。

 けど…その話、最終回で煮詰まって……挫折しちゃったみたい。
 
 でも、手持ちのストックの中に…GTY+の規約を通りそうな話で……
 
 かつ、向うの流れを知らなくても…
 何とか読んでもらえそうな話が……これしか無かったらしいの」


「で、でも他所の長編も……
 
 レギュラーのクロス作品の一つが…突然、7年ぶりの最終巻を出すって言い出して……
 
 そっちとも整合性を持たせ続け様と…
 長編のタイムテーブルの順番を変えたり、色々と話を引伸ばしたりして時間を稼いだのに……
 
 最終巻の発売日が二転三転したあげく、いつの間にやら立ち消えちゃって……(泣)

 その影響も有って、今…混乱気味なのに……こんな時期にどうして?」


「何でも、こちらの某副管理人様の作品が大好きで……

 絵師のトキコ様のサイトに寄贈されたという……おキヌちゃんの結婚式のSS。
 先日、その話のコトを画像掲示板で知って、そのSSをなんとか読んでみたかったらしいの。

 アーカイブとかで探せないモノかと、色々試そうとしたら…
 たまたま某副管理人様が、昨年5月にされた発言をツイートパ−ティーで見掛けちゃって……
 
 その内容にショックを受けて、もう居ても経っても居られなくて……
 未熟者の分際で…直訴を兼ねて、この掲示板の停滞をなんとかしたいと思い立ったんだそうよ」

「うちの作者……
 旧掲示板の膨大なSSを読み漁るコトが…荒んだ心の拠り所でござるからなぁ……」


「とにかく! 賽は投げられたわ!!

 今回の一人称は、私と真友君だけでいく!
 おキヌちゃんや横島に任せると…すぐ作者が、中の人ネタで遊ぶから……

 青野武さんの名調子見鬼君をパクった三人称も止めときましょう。

 ねぇ、ずっと黙っているけど…真友君、ちゃんと分ってる?
 少しテストしましょう。例えば、私とおキヌちゃんの関係は?」


「えっ? おキヌちゃんは、タマモちゃんのお義姉『地獄突き!!』ゲフっ………」

「え〜っと……そう! いつも面倒を見てくれる…私のお姉さん役よね!」(汗)


「容赦無いでござるな……
 今のは…ギャグの達犬雀様人が、旧掲示板で使われた伝説の一撃……」

「タマモちゃん……何か恐い……
 
 でも一緒に帰省したり……養父さんと養母さんだって居るのよ。
 タマモちゃんが、私の妹になったコトを黙っているのは、話の流れがおかしくならない?」

「………そうね。作者には、後から言っとくわ。真友君、OKよ!」

「ダメでござるな……完全に白目を剥いているでござる」

「どうするの……?
 タマモちゃん、あと10分で話が始まっちゃう!」


「……………真友君、しっかりしてっ! 一体、誰がこんなひどいコトを!」

「……………………」(大汗)

「……………………」(大汗)


「おキヌちゃん…式神を使って、水ブッかけて!

 では、改めて注意事項を…
 シロ、クロス先の某特撮番組で修業した技は絶対に厳禁よ!
 
 おキヌちゃんも、六道のおばさん仕込みの古武術やら…最強の式神なんか使っちゃダメよ!
 それから早苗お姉ちゃんに“炎の狐”に乗って帰省しない様、念を押したわね?」

「ら、らぢゃーでござる……」

「大丈夫。お姉ちゃんにも言っといたし……」



「それじゃ! 二人とも気合いを入れて行くわよ!
 
 “GS美神”は、あと1000年戦える!!」

「「“GS美神”は、あと1000年戦える!!!!」」


「GTY+よ、永遠に不滅であれ!!」

「「GTY+よ、永遠に不滅であれ!!!!」」


「ウィー・シャル・ビー・バック!!」

「「ウィー・シャル・ビー・バック!!!!」」

はじめまして! もとと申します。

読んで頂いてありがとうございます。

え〜〜と……実は……
最初、“3人娘、大地に立つ”は、このコメント欄用に書き下ろし…
アレを載せて…全てトボけ様と考えていました。

文字数は1800字強に押さえたはずなのですが……

天は…私の姑息な行いを許さなかったのか……
エラーに成ってしまいました(泣)


皆さん、色んな意味で…すいません。


とりあえず、GTY+の発展と旧GTYの継続とを切に願いつつ……

最後に、尊敬する副管理人様のSS“夏への扉”より、大好きな言葉を〆に引用させて頂いて…
次回に続きます(拝)



『洒落心を忘れた読み手が嫌い。優しい読み手が好き。さよなら』

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