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横島とチルドレン−04−

「やっほーっ!!海だーっ!!」
幾ら成長したと言えど、やはり幾分かは幼い。そして、薫は久し振りに思い切り遊べるため、大はしゃぎだ。
「海で………、ごっざるーっ!!」
「久し振りの海ね……。前は酷い目にあったわ………」
シロは昔の事をすっかり忘れており、大はしゃぎ。逆にタマモはしっかりと覚えており、またあのような事になるのではないか?と、不安を抱いている。
「横島はーん!解禁してやっ!!」
葵もはしゃいでいる。しかし、リミッターが能力を抑えているため、能力がフルに使えない。葵はリミッターを解禁するようにと横島にせがむ。
やれやれと横島はリミッターを解禁した。
「ザ・チルドレン、解禁っ!!」
“ピー”と言う電子音が鳴り、リミッターが解禁された。
「よっしゃあーっ!!」
薫はノリノリで海へと潜って行った。
そこへ………、
「あれ?横島さんじゃないですか。それに、愛子さんも」
「ピート?どうしてここに居るんだ!?」
オカルトGメンで絶賛働き中の極楽公務員、ピートがここに居た。
「いえ、休みが貰えたので遊びに来たんですよ。横島さんは?」
「ん?任務兼バカンスだ」
「愛子さんと二人っきりで?」
「違う違う!!チルドレンとシロタマも一緒だっつーの!」
顔の前で手をブンブンと振り、思い切り否定し、チルドレンやシロタマも居る事を告げる。
「そーいうお前は一人か?」
「いえ、エミさん“達”と一緒ですよ。会いますか?」
「んー…、後で行く。じゃあ、またな」
そう言うと、後の事は愛子にまかせ、横島はサッサッとどこかに行ってしまった。
 
「ふぅ………そんじゃ、イルカを捜しますか………」
《鯆》《捜/索》と文珠と双文珠に念を込め、イルカを捜すために海へと潜る。
息が出来るようにと、竜神の装備を装着し、潜った。
すると、浅瀬程浅くはないが、最深部程深く無い所に、捜していたイルカがいた。
鰭には、“伊009”と刻まれている。
「伊−009、見つけたぞ」
「[オ前ハ………横島…カ?本物ニ会ウ事ニナルトハナ………。取リ敢エズ、コノ未来ヲ見テハクレマイカ?]」
会うが矢先に頭の中に未来のイメージが流れて来た。
それは、“皆本”が居た場合の未来予知だった。
「[次ハ、コノ未来ヲ見て貰オウ]」
先程とは比べ物にならないほど、悲しみに溢れた映像だった。
 
場所は東京タワーの、横島とルシオラの特等席………。あの夕日を見た場所だった。
「薫ちゃん、何時までこの下らない争いを続ける気なんだ?」
この映像(イメージ)の中の横島は、悲しみに溢れた瞳で薫を捉えていた。
そして、本来の姿格好に戻っている。
「分からない。でも、この争いはデタントが崩れた事も関係してる……。それに、ノーマルだって………」
この映像の薫の見た目は18〜20歳くらいだった。
すると、通信型イヤホンから通信が入った。
[大変や!!神族がウチらのグループをつぶ………キャアアーッ!?]
葵の悲鳴と共に通信は途絶え、雑音が入る。
「お兄ちゃん、大変です!魔族の軍隊が人界へと降りて来ましたっ!!」
そこへ、随分成長したひのめがやって来た。
「横島っ!!早くしないと……っ、京介や将までっ!!パンドラのみんなが!!」
薫が何かをしでかそうとする横島を急かす。
「まて、あと少し……………。
よし!妨害霊波っ!!」
その瞬間、神界や魔界からの霊力供給が絶たれた。
横島は、あの“アシュタロス”と同じ事をしでかした。
「薫ちゃんは、葵ちゃんの生死を確認してきてくれ。俺は、魔人共をぶっ殺す!!」
そう言うと、横島は横に居る女性と共に飛んだ。
その女性は……、
「いくぞっ!」
かつて、横島が世界と引き換えに失った一人の魔族………、
「ルシオラっ!!」
そう、ルシオラだった。
「ok!行くわよヨコシマ!!」
そして二人は全ての力を解放し、何やら怪しげな呪文を唱え始めた。
「「世界に終焉を!!」」
そう言うと、光に包まれて居た者以外を全て闇が覆い、消えた。
「「世界に新たなる真理を!!」」
そう言うと、光に包まれて居る者は横島達の近くに寄ってくる。
「「世界に新たなる始まりを!!」」
 
そこで、映像(イメージ)は途切れた。
「な、な……っ!?」
横島は驚きを隠せず、汗を流していた。
「[コレガ、君達GSガ介入シタ事ニヨリ、新シク出来上ガッタ未来ダヨ]」
「そ……んな、ルシオラが…居た」
「[君達ノオカゲデ、カナリ本来ノ歴史カラ外レテイル。問題ハ今ノ所ハナイ。ダガ、でたんとガ崩レナイヨウニ気ヲツケナテコレカラヲ過ゴセバイイ……]」
009は、淡々と語る。
続く
今回は、何となく長いです。
て言うか、もしも横島達が絶チルに介入したら、と言う感じの話しになってきました。

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