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美神と猫と(仮) その3



14日目





今日のテーマ



キザ男




名前は知らないというか、聞いても居ない。

横島がそう呼んでいた、あと「外道公務員」とか。

「あいつは俺の敵!いや全世界のモテない男の敵なんや!」

と、暑っ苦しく語ってくれたわけで。

しかしモテない男の敵、と言うのなら横島の敵では無いのでは?。

めがっさモテてるし、横島。

しかし赤い涙と鼻水を垂れ流しながら叫びまくる横島をちょっと可哀想に思い

ててててて

足元に走りよって

すりすりすりすり

自分の体を使って撫でるように擦り寄る。

「お前、俺を慰めてくれるんか?」

そう言ってきたので

みゃぁ〜

と鳴いて答える。

「ううっモモの優しさが身に染みる〜」

と言いながら私を、ひのめをいつも抱っこしてるように抱えたので

慰めるように右前足で横島の頬をつついた

「ああ、肉球が気持ちいいかも・・・」

嬉しそうだ。

ぷにっぷにっぷにっ

と、こちらも感触が面白くて突っつきまくる。

それを生温い目で見つめるキザ男。

羨ましそうに見つめるおキヌとシロ。

妬ましげに見つめるご主人とタマモ。

それに気づかず私とじゃれ合う横島。

そんな一日。






15日目




今日のテーマ



美知恵&ひのめ




二人がまた来るというので逃げ・・・・・・ようと思ったら既に玄関に居た。

ひのめがこちらに向かって、一生懸命に手を伸ばしながら

「にゃんにゃ〜」

と言っている。

「モモちゃんがひのめの面倒見てくれると、とっても嬉しいんだけどな〜♪」

等と美知恵が言っているけど、自分の身のほうが可愛いので逃げ・・・

「にゃんにゃぁあ〜〜」

悲しそうで、寂しそうな顔のひのめを見てしまった。

だけど私は逃げる!だって猫だか・・・

「にゃんにゃぁ・・・・・・」

美知恵の横をすり抜けて外へ飛び出そうとする私の背中に

ひのめの涙声が聞こえてくる

私には関係ない、猫だし猫だから猫だもん!

等と葛藤していたら、美知恵がボソっと呟いた

「い○ば まぐろ&ささみチーズレバー入り」

ぴくっ

思わず足を止めてしまう魅惑の言葉

だがしかしその程度の誘惑でっ

「一週間分」

・・・・・・







「にゃんにゃ〜〜♪」

一時の誘惑に負けた自分が憎い!

でも猫だから仕方ないって尻尾は耳はお尻はだめぇええ!











16日目




今日のテーマ・・・


そろそろテーマを考えるのが面倒になってきた。



ごろごろ






「モモちゃんまたぐったりしてますね」

「昨日またひのめがモモで遊んだらしいわ」

「ひのめ殿は容赦が無いでござるからなぁ」

「ていうか猫でもごろごろするのね、それも文字通り」

ごろごろ〜

ぐて〜

ごろごろ〜

「これ録画してネットにアップしたら受けそうやな〜」

「モモ殿なら芸も出来そうでござるな」

「どこぞの馬鹿犬より頭良さそうだしね」

「拙者は狼でござるよ!」

「あら、私はどこの誰とは言ってないわよ。
  自覚があるって事かしら?」



お決まりになってるシロタマの言い合いを聞きながら

ごろごろ〜

今日もまた一日過ごす。





16日





「首輪欲しいとは思わんか?」

いきなりの横島の言葉に首を傾げる。

何故そんな事を聞くのか

「美神除霊事務所の一員だし
  何より美神さんの家族だろ、お前」

事務所がどうのとかは判らないが、家族だと思っているので頷く。

「猫にとっちゃ首輪は邪魔で窮屈かも知れんし
  付けたくないかも知れないから先に確認しときたかったんだ」

なるほど、こちらの意思を尊重してくれたのか。

普段の行動を見ているとそうは思えないが、この人間もまた優しいのだと思う。

「んで、どうだ?モモが首輪を付けてもいいと思うなら
  俺はお前に首輪を送りたい」

そういう事なら断る理由は無いので

首を縦にふり頷く。

「おっし、渾身の作品を持ってきてやる!
  待ってろよ〜」

そう言って私の頭を一撫でして帰っていった。






17日目






私はこの家に来て以来、人間傷つけた事は無い。

いや、人口幽霊一号は傷つけたけどアレはノーカンで。

今日初めて、目の前に居る人間に攻撃を仕掛けようと思う。




「さぁモモ!この首輪を付けるがいい!」

だが断る。

ばしっ

「・・・・・・」

また首輪を差し出してくる

ばしっ

叩き落す

「・・・・・・」

・・・・・・

「何故だモモ!この首輪がイヤだって言うのか!?」

みゃぁあああああ!!

当たり前だぁあああ!!っと鳴くって言うか泣く。

何そのケバケバしいっていうか毒々しい首輪!

まず首輪そのものが目に痛いほどの紫色。

しかもそれに付いてる装飾はなんですか!?

髑髏に十字架に卒塔婆の飾り物!

さらにゾンビ・モガちゃんの人形って!

「お前、これ作るのにどんだけ苦労したと思ってんだ!?
  近所のアクセサリーショップの店員に頭下げて教えて貰って徹夜で拵えたんだぞ!」

もっと違う所に凝れないのかこの男

「あの・・・その首輪は流石にどうかと思うんですけど」

「確かにうちの猫がそんな物付けて外を歩いてたら私も恥かしいわ」

「流石に拙者もその首輪はイヤでござる」

「どうせそこの店員とかに可愛い子でも居たんでしょ?」

「ギクッ」

タマモの言葉に、頭にでっかい汗を浮かべて後退る横島

「横島(君)(さん)(先生)?)

「えっちょっまっ!話を聞いて・・・あ・・・ギャァアアアアア!!!」

この声を聞いて

ああ、何時もの事だな〜と思う今日この頃。




結局首輪はご主人から貰う事に。







18日目




ご主人から貰った真っ白な首輪。

そこから垂れ下がってる金属のプレートには

表には「美神 モモ」

裏には家の住所と電話番号が書かれている。

横島曰く、家族の証。

首周りに感じる重さと感触でその存在が実感できる。

横島が言っていた通りに、多少の窮屈さを感じるけれど

悪く無い、と思う。




ものスッゴイ羨ましそうな目で見つめてくるシロがちょっと怖いけど

気にしない、猫だし。
(仮)で出すのはここまでです。

需要があればタイトルを変えて出したい所ですが、微妙すぎますし(汗

物語としての山場も、起伏も無い話でしたが

最後まで読んでくださった方々と

コメントや票を入れてくださった方々に感謝を。

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