2980

美神と猫と(仮) その2

7日目



ご主人に拾われて一週間。

爪研ぎ用の板を設置して貰ったので思う存分研ぎまくった。

そして私が自由に外を出歩けるようにと、猫専用の出入り口ができた。

何でも猫をずっと室内に閉じ込めておくのは可哀想だとの事。

行動範囲も広がり、今の家族にも慣れたと思うので

一日のテーマを決めて過ごそうかと思う。



今日のテーマ

犬塚 シロ



朝気がついたら居なかった(横島と散歩に行ったらしい)ので断念。

なのでふてくされて一日中引きこもる。










8日目



今日のテーマ

タマモ




朝食の後ソファーの上でうつ伏せになって寝ているタマモを発見。

早速行動に移る

てててててててて

タマモがこちらに気づく

が、気にせず突撃

たんっ

どすっ

「ぶっ」

っとタマモの背中に着地、変な声が聞こえたけど気にしない。

何やらタマモが私の下でもぞもぞ変な動きをしていた

どうやら私を背中から落とさないようにしながら仰向けになろうとしているらしい。

優しい人(狐)なんだなと思いました。

でも判ってても背中から降りない私

タマモのふっさふさのナインテールでもふもふしたり

私のお腹にタマモが顔を埋めてぱふぱふしたりして過ごす

結局今日もタマモと引きこもり。








9日目




今日のテーマ


横島




近づいたらいきなり抱きかかえられて股間を凝視されたので

とりあえず鼻に猫パンチ・顎に猫キックを食らわせた。

「うし、男は俺一人じゃぁ!」

等と叫んでいたらご主人に血だるまにされていた。

何故か寒気を感じたけど

まさか・・・・・・ね?







10日目



今日のテーマ


おキヌ



何故か昨日からおキヌに見られている気がする。

警戒されているというか、注意されているというか。

たまに首を横に小さく振りながら

「いくら横島さんでも・・・そういえば新幹線に・・・昔から見境なかったかも・・・」

等と呟いていたり

ずっとそんな感じのおキヌでした。





11日目



今日のテーマ



ご主人




テーマにするまでもなく毎日一緒だった。

ならば普段と違う事をして、ご主人の反応を観察してみようと思う。



昼食の後、ソファーに座り新聞を読んでいるご主人を発見。

ここで凡百の猫なら新聞の上に乗っかったり

足にすりよったりして気を引くんだろうけど私は違う!

・・・・・・

・・・・・・

・・・・・・

奇抜な、それでいて猫らしい方法を思いつかなかった自分に絶望した。

耳をしゅんっと垂らしながら俯いていたらいつの間にかご主人が近くまで来ていて

優しく抱きかかえてくれた。

そのままソファーに移動して座りなおし、私を足の上へ。

「こうやって誰かと一緒に居るのも悪く無いわね・・・・・・」

優しく静かに私の背中を撫でながら見つめてくるご主人。

・・・・・・

ご主人の体にぴったり寄り添って、丸くなる。

昼食を食べた後、タマモとシロは自分の部屋へ

おキヌと横島は学校という場所に行っているらしい。

ならば今日はご主人とゆっくり過ごすとしよう、猫らしく。










12日目



今日のテーマ


特に無し





ソファーの上でぐったり中。

ぐて〜

「モモったらま〜たダレ切ってるわね」

「折角出入り口作ったのに使わないッスね〜」

「拙者が散歩に連れて行くでござるかな」

「モモちゃんじゃ命の危険だと思うわよシロちゃん・・・」

「猫も大の字になって寝るのね、うつ伏せだけど」

「とことんダレてるわね」

ほっといてください。

今日も外に出ずにず〜っとぐったりするのです

やっぱり「食う・寝る・まったり」が正しい猫の姿だと思うのです。

等と考えていたら

『こんにちわなのね〜』

おおう、変な人がやってきたっていうか突然現れた!

と思ったら何やらご主人達は冷たい視線

そう、あの目はまさしく「何しにきやがった」っていう感じの・・・

『そこの猫ちゃんまで酷いのね〜』

これは失敬。

「美神殿、この方は?」

「私もこの人を知らないんだけど」

と言ったシロタマコンビにご主人が紹介をした

「ああ、こいつはヒャクメって言って・・・何て言ったらいいのかしら
  「神界の高○ブー」
  が一番近いと思うわ、ド○フの」

『例えが古すぎるのね・・・・・・』

猫には理解できませんな、意味的にもネタ的にも。

「んで、何しに来たんだ?」

「何かあったんですか?」

『そうそう、今日は美神さんが飼い始めたっていう猫を見に来たのね〜』

なんですと?

「猫というと、モモ殿でござるか」

「神様が一個人が飼ってる猫の見物って・・・・・・よっぽど暇なのかしら」

暇・・・・・・なんでしょうね絶対。

そう言えばさっき、私の考えている事を見抜いていたような?

『ふっふっふ、私の「眼」にかかれば心の中を覗くくらいわけないのね〜!』

いや、猫の心が視える事を自慢する神様っていうのもどうかと。

『パピリオにも小竜姫にも老師にも同じような事言われてるから慣れたのね〜
  まあ、この機会に言いたい事があるんなら代わりに私が伝えてあげるのね〜』

ふむ

では「東京特許許可局」って10回お願いします早口で。

『了解なのねってそんなの伝えても意味がないのねっ!』

いやいや、私の茶目っ気とかが皆様に伝わるかと

『そんなものを伝えたいのね!?』



そんな私とヒャクメのやり取り(むしろヒャクメの一人芝居)を

生暖かくも粘っこい視線で見つめるご主人と仲間達でありましたとさ。

ちなみに私は大の字(うつ伏せ)で寝たまま。



神様ってイジると面白いんだなって思いました。





13日目




ヒャクメが私と意思疎通できるのは、私の心を「視」ていたかららしい。

そしてヒャクメが言うには

「あの美神令子が飼っている猫」という事で

神界・魔界の美神令子を知る人達の間で注目の的になっているらしい。

捨て猫を拾う優しさ的な意味でも、ペットにお金を使う的な意味でも。

いやどうでもいいんですけどね、結局は私ただの猫だし。

しかし、ヒャクメとのやりとりで私が人の言葉を理解できると判明したため

コミュニケーションが出来るだろうと言う事で

現在ご主人と奇怪な仲間達で試行錯誤して色々検討中

ていうか仕事はいいんですか皆さん。




そんなこんなで実験中。


実験その1 筆談




・・・一応、鉛筆を持ってみる

ぐっ

ぐぐぐっ

ぽろっ

ころころころころ・・・・・・

無理。

猫が筆記用具を持てるか!っていうかアナタ達全然考えてないでしょ!?

何故かタマモが私の一連の動作を見て悶えてるしもう訳判らないです。





実験その2:文珠





「文珠に『伝』とか『言』と入れて使えば!」

「そんな勿体無い使い方させるかぁあ!!!」

ご主人にぶっとばされる横島、何時もの事だし気にしません。






実験その3:パソコン


「キーボードを押して文字を入力するのよ」

了解、行きますっ


ていっ

タタタン

とりゃっ

タタタン

ちぇいさっ

タタタン

・・・・・・・・・・・・

押そうとした文字の周囲のキーも一緒に押してしまった

だって猫の手だから・・・・・・

「ごめん・・・私が悪かったわモモ・・・・・・」

耳と尻尾をしゅん、っと垂らしていたらご主人が慰めてくれました。

周囲では「美神さんが謝った!しかも猫に!?」などと狂乱騒ぎが起きていたり。



結局その日は、首を縦に振ればYES・横に振ればNO

判らなかったら首を傾げるという事だけ決めました。





















その日からタマモに難しい質問を度々されるようになりました。

その度に首を傾げているんですが・・・・・・

何か私に恨みでもあるんでしょうか?

ちょっと人を選ぶネタを入れてしまった事に反省。

ちなみに高木○ーさんとは

「俺でも芸能人になれるっていう希望を与えてる」

みたいな事を言った人です、ずっと昔の話ですが。

尚誤解無きように書いておきたいのですが、私は高木○ー氏のファンであり、

ド○フ時代にはテレビの前で釘付けだったものです。



私自身、何気ない、でも賑やかで穏やかな日常と言うものが好きなのですが

中々文章にできないものです。

というか続きは投稿しないとか前回書いたんですが、電波を受けてしまい投稿。

後悔はしてませんが反省しきりです。

ともあれ、読んでくださった方々に感謝を。

[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]