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長い夜(巫女)










 「横島さん、私の想いを受け取ってください!!」




















夜の8時、横島さんのアパートの部屋の中
炬燵に入りながら鍋を突付いてる横島さんを見つめながら言い切りました。


 「えっ・・・・・・」

ものすっごく呆けた顔で返された!?

 「えっって何ですか!?乙女の一大決心ですよ!?」

 「うっ、ごめん・・・・・・でも、まさか今そんな事言われるとは夢にも思わなかったもんで」

 「それは確かに「しちゅえ〜しょん」も「む〜ど」も無いかもしれませんが
  今の反応はあんまりだと思いますっ!」
 
 「ご、ごめん・・・」

 「前に告白した時結構いいむ〜どだったのに有耶無耶にされたから
  だったら反対に行ってみよう!って思って・・・・・・」

 「意外性はこの上なくあったとは思うけど」

 「そりゃあ、二人してどてら着こんで炬燵に入って寄せ鍋を食べながらでしたけど酷いですっ!」

頬を膨らせながらプイッと顔を横に。

 「あああ!ごめん!真面目に答えるから許しておキヌちゃん!」

 「本当に真面目にやって貰えるんですか・・・・・・?」

 「ほんと!ほんとに真面目にやるから!」

意識して眉間に皺を寄せながら、首を縦に振って一応納得して見せて。

 「真面目に答えるけど、俺からも聞いていいかな?」

鍋の中身が少なくなってきたので白菜と豆腐を追加
肉は入れてあげません。

 「何でしょう?」

 「何で俺なのかなって。俺、おキヌちゃんに大した事してないと思う。
  いっつも迷惑かけてたし、六女に行った時も恥をかかせちゃったのに」

 「自覚はあったんですね」

苦笑して返して

 「それも横島さんらしい所ですから」

 「・・・・・・そっか」

 「幽霊だった私と、普通の女の子のように接してくれました」

 「そりゃおキヌちゃん程の美少女だったら幽霊だろうが妖怪だろうが関係無いさ」

 「クリスマスプレゼント、凍死しそうになりながら持ってきてくれました」

 「あはは、あの時は俺も若かったなぁ・・・」

乾いた笑いにちょっと疑問を覚えたけど後で追求するとして

 「横島さんが学校に行く時に憑いていくといつも賑やかで楽しかったです」

 「あれは賑やかってより騒がしいだと思うけど・・・馬鹿ばっかりだし」

お互い苦笑

 「私を生き返らせてくれました」

 「あれは・・・皆が居たからできた事で・・・」

 「私の為に本気で怒って・・・泣いてくれました」

 「・・・・・・・・・何で知ってるの・・・?」

 「お姉ちゃんに聞きました♪」

 「うう・・・」

顔を真っ赤にしながら俯いてる横島さんもいいな〜
・・・じゃなくてっ

 「私が落ち込んでる時に励ましてくれました・・・・・・色々と有耶無耶にされましたけどね?」

 「その節は本当にすみませんでしたっ!」

炬燵に頭を擦り付けながら謝られ

 「それはもういいんですよ。これから答えを聞かせて貰えるんですしね♪」

 「うぐっ」

 「他にも色々・・・数え上げたらキリが無いくらい本当に色々。
  助けられた事も励まされた事もいっぱいです。
  何より一緒に居て楽しいです、安心できるんです。
  それじゃ駄目ですか?」

 「判った。俺に何ができるか判らないけど、おキヌちゃんの想い受け止める!」

男らしい、キリっとした表情で言ってくれました。
私は笑顔を浮かべ
横島さんの顔のまん前に封筒を三つ差し出して

 「はいっ!じゃあこの中から選んでくださいねっ!」

 「おうっ!ってこれどっから出したの!?」

「乙女の秘密です♪」

横島さんから見て左側にある封筒を指で指して

 「ま、まぁいいや。この「玉」って書いてあるのは?」

 「この中には私の写真が入ってます」

 「おキヌちゃんの・・・・・・?」

 「はいっ。タマモちゃんプロデュース
  「おキヌちゃん萌える仕草百選 〜アイツの煩悩を直撃よ♪〜」
  です!」

 「タマモの仕業だっていうのがかなぁり不安だけどそれは置いといて・・・・・・
  どんな写真?」

 「半分くらいは登校中や下校中、買い物してる所とか寝顔とか
  普段の姿を撮り溜めしておいたそうです」

 「へぇ〜、思ったよりまともだね。寝顔はどうかと思うけど後の半分は?」

 「頑張りましたっ!」

ぐっ、と小さくガッツポーズで答えます

 「え〜と・・・頑張ったって何を・・・・・・?」

 「勿論、衣装とかポーズとかです!」

 「そ、そうなんだ・・・ちなみにどんな衣装があったのかな〜なんて」

 「えっと、黒猫耳・黒猫尻尾・猫ヒゲ・黒い肉球付き手袋を付けて巫女服を着て撮ったり」

 「何でそんなマニアックな上に気合の入ったチョイスを」

 「犬と狐が居るんだからやっぱ猫でしょう!って言われて。
  後は六女の制服にエプロンとかスクール水着とか・・・あ、旧タイプですよ?」

 「うん、突っ込みたい所はいくつかあるけど、なんで旧タイプって補足を入れるのかな?」

 「そのほうが萌えるから!ってタマモちゃんが力強く語ったんですけど・・・違うんですか?
  あ、ちゃんと「名札は平仮名」っていう基本も守ってますから安心してくださいね♪」

 「何をどう安心すればいいのか判らないから次行こう次!
  真ん中の「白」ってやつは!?」

 「白スクverとかイ○リンverとかあるのに・・・
   それは置いといて、こちらはシロちゃんプロデュース!
  「突撃直進猛烈アタックの勧め 〜千里の道も全力疾走軽々走破でござる!〜」
  です、ちなみに書かれている内容を私が実行します♪」

 「シロまで絡んでるんかい!?いや、シロならお子様だし安心かな」

 「内容は詳しくは知らないんですが、何でもここで読んだ本を参考にしたらしいです」
 
 「ここって俺の部屋だよね?どの本を参考にしたんだ!?」

 「確か「巫女さん狂い咲き」「女痴校正」「ヤ○デレ彼女は夜に哂う」等ですね」

 「ちょ!それ絶対見つからないように天井裏に隠しておいたやつ!?」

 「シロちゃんが
  「あそこから先生の濃厚な匂いがするでござる!」
  って言って見つけました♪」

 「ああああああああ!俺は明日からどうやって生きて行けば!?」

頭を両手で抱えて身悶え絶叫

 「大丈夫です、横島さん・・・・・・」

私は優しく、壊れ物を扱うかのように横島さんの肩にそっと手を置いて

 「例え横島さんが変態でも・・・どんなマニアックな性癖を持ってても・・・  
  例え全裸で街を闊歩するのが日常茶飯事なストリーキングでも・・・
  私は横島さんの味方ですからっ♪」 

あ、真っ白になっちゃいました
今のうちにお鍋片付けときましょう、もう食べないでしょうし。
残りは明日食べるとして・・・お茶を淹れましょう。




後片付けが済んでお茶を淹れて炬燵に戻ってくると、横島さんが再起動してました。

 「もう失う物なんてないさっ!さぁ最後の一つは何だいおキヌちゃん!?」

いい具合に吹っ切れた(壊れた?)横島さんの前にお茶を置いて
最後の封筒を炬燵の上に。
  

 「これは西条さんプロデュース
  「夫婦初めての共同作業 〜令子ちゃんは僕に任せたまえ〜」
  です、中身は婚姻届と式場・新婚旅行のパンフレットです♪」

 「さいじょおおおおおおおおお!何で西条!?」

 「お互いの利益が一致したものですから」

時間は夜の10時前
まだまだ時間はあります。

 「私としては西条さんのがお勧めなんですが♪
  あ、でもどれを選んだとしても最後はそこに行く予定ですけどね♪」

 「ちょ、お願い!ちょっと待って!?」

 「嫌・・・ですか?」

 「ぬぐっ!?」

ちょっと下の位置から潤んだ眼で横島さんを見上げながら

 「私の想いを受け止めてくれるんですよね?」

 「確かにそう言った!言ったけど!普通は交換日記とかデートしたりとか
  「付き合ってください!」
  とかの告白の過程があってからそこに行くべきじゃ!?」

 「えっ!?」

私はガーンっていう擬音が視認できそうな程の驚愕の表情を・・・

 「って何その
  「自分が普通だと思ってたんですか?」
  みたいな顔は!?」

 「その通りの顔なんですけど・・・横島さん?」

 「なななな何かな?!」

 「私に告白をされたとして
  明確な答えをして貰えますか?
  断るにしろお〜け〜するにしろ、はっきりとした返事を貰えるんですか?」

じ〜〜〜と眼を見つめながら視線に力を込めて。

 「横島さんなら今の関係を壊したくないからって
  また馬鹿な事して有耶無耶にしそうだし・・・
  だったら・・・・・・言葉じゃなく・・・言葉だけじゃなくて
  こうやって形にして迫ったほうがいいと思って・・・・・」

 「おキヌちゃん・・・ごめん、判ったよ・・・
  俺も本気で覚悟決めた!」

 「本当ですかっ!」

 「ああっ!どんと来いだ!」

 「はいっ!じゃあまずはコレで逝きましょう!」

 「おうっ!ってまずは!?ていうか一箇所発音ちがくない!?」

 「細かい事は気にしちゃだめです♪」






夜はまだまだ終わりません
























 「顔を真っ赤にして涙目・恥じらいながらの
  「黒系ゴスロリ服」は反則過ぎると思うんだギャップとかが・・・
  その後のあの積極的っていうか攻撃的?な
  おキヌちゃん相手に我慢しろってのは・・・無理だよなぁ・・・」

と、翌朝の彼が語ったとか語ってないとか。
黒いおキヌちゃん難しいです(汗

ここまでのSSで、試験的に作ったSSは終わりです。
ギャグ・微妙な恋愛物・ちょいエロ?と書きましたが
自分にはどんなのが向いてるのかいまいち(汗
文才のあるほかの作家の方々が切に羨ましい(><

何はともあれ、拙い私の文にコメント・賛成票を入れてくださった方々と
最後まで読んでくださった方々に感謝を。

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