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雪が積もった日 (炎の幼児)

物心が付いて初めて降り積もった雪を見た時に思った事。

綺麗でも、冷たそうでも、楽しそうでも、イチゴシロップが欲しい、でも無く。

ただ純粋に、それ以上でもそれ以下でもなく

 「白いなぁ」

だった。


空は青く晴れ渡っているけれど
道路や家は真っ白な雪に覆い尽くされている。

吹きすさぶ寒風に舞う粉雪は
自分の目には、青い落書き帳に飛び散る白い絵の具に見えて。

母と手を繋ぎながら、姉の居る事務所へと向かうその道で
きょろきょろ首を動かしながら、口から出るのもまた

 「白いなぁ」

だった。


いつも優しく笑って迎えてくれる、たまに黒いオーラを吹き出してる人は今は学校。
いつもちからいっぱい遊んでくれる、どスケベで元気なお兄さんはお昼頃に出勤。
犬さんと狐さんはどスケベで元気(以下略)の所にいっている事が多いらしい。
いつも守銭奴・ケチ・雪女より冷たいなどなど言われてる姉は
昨夜遅くまで仕事してたから今は寝ている可能性大。

母は、お昼から仕事だから

「横島クン達が来るまでゆっくりしていましょうか」

と言って、勝手しったるなんとやら。
コーヒーとココアを淹れにキッチンへ。

 「熱いから、火傷しないようにね?」

言いながら目の前にココアを置いてくれる。

 ふーふー唇を尖らせ、冷ましながら

(なんでわたしが出す火より、熱くないのに火傷するのかなー)

と、気になって母に尋ねてみた。


 「え゛」

と言った後に

 「あ、ほらひのめ!絵本読んであげる!」

ごまかされた。

今日は大人しく引き下がるとしよう、雪を見て気分がいいし。






 「ちわーっす」

絵本を読んで貰ったりココアを飲んだりたまに不意打ち気味に気になった事を質問したり
そんな事をしてるうちに、どスケベなお兄さんが来た。

 「こんにちわ、横島クン」

 「隊長、今日もお美しい!!是非これから俺とホテルで一夜のあやまちちちちちあっちぃ〜〜〜!?」

裏地に発火禁止の御札が縫い付けてある洋服を脱ぎ捨てて、とりあえず燃やした。


 「ひのめ!やめなさい!」

母が止めてきた。

 「女の子が軽々しく脱いじゃいけません!」

 「そっち!?」

確かに事務所の中は暖房が効いてたから、コートもマフラー脱いでいた。
結果、洋服を脱ぎ捨てた私の格好は

燦然と輝くかぼちゃパンツ。
でふぉるめされたきつねさんのプリント入りだ。

 「横島クンが燃やされてるのは何時もの事じゃない♪」

納得は出来ないけど反論も出来ないどスケベ(以下略)は煤けた顔を洗いに洗面所へ。
私はいそいそと洋服を着なおす。

 「ただいまー(でござる)」

犬さんと狐さんも帰ってきて、挨拶。

 「狼でござるよ!」

はいはいそーですねー
などとなげやりに答えて。


洗面所から戻ってきたどスケ(以下略)に母が

 「私、これから仕事だからまたひのめの事よろしくね皆」

母はそういってから、事務所を出て仕事に。
姉はまだ寝てるし除霊は夜になってからだからみんな暇らしい。
母が用意してくれていたお昼ご飯を食べて一休みしてから
雪で遊びたいとリクエストして、厚着をしてから皆で外に。

雪だるまの作り方を教わって、小さい雪だるまを一人で頑張って作ったり。
4人で雪玉を作りぶつけあいながら遊んで
一人集中砲火を受けて雪に埋もれて真っ白になったのを見てきゃいきゃいはしゃいだり。

約一名のハイテンションを見て、他3名が口を揃えて

 「「「やっぱり犬」」」」


 「狼だもん!」





楽しく遊びながら、二人の姉的女の子を観察。
やっぱりこの二人も、ど(以下略)が好きなのは間違いないと再確認。

想われている本人は気づいてないっぽいけど。
それでも周りの女性の多くは彼に好意を持ってるのは確実で。
姉は「この役立たず!」とか言いつつ殴ったり踏んだり捻ったりしているけれど
その姉も好きなのは間違いないわけで。

自分の「好き」の種類が何なのか判らない
目の前の二人の「好き」と何が違うのかも判らない
この「好き」をどう表現すれば伝わるのか思いつかない


それでも雪が「白い」と思ったのと同じように
純粋に彼の事を「大好き」だと思うから


目の前で、犬と狐に抱きつかれて鼻の下を伸ばしながら耐えている大好きなお兄さんへ













今日も炎を飛ばすのだ。


やはり短いのと、地の文がこれでいいのかなーなんて不安を感じたりしますが
最後まで読んでくださった方に感謝を。

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