2016

God Save The Queen


なぜ・・・

なぜ・・・

さっきから、頭の中で同じ言葉がぐるぐる回っている。

なぜ・・・

なぜ・・・

なぜ、こんな事になってしまったんだろう。

『未来は変わらない』と昔、奴が言っていた。

でも、それなら。

人にはあらかじめ定められた結末が待っていて、ただそれに向かって生きているだけなんだとしたら。

僕のこの10年間は、一体何だったんだ。

もう、止めよう。

今更いくら考えたってムダだ。答えはもう出てしまっているんだから。

結果として未来は変えられなかったし、過去に戻ってやり直す事もできない。

だけど、やはり考えてしまう。

なぜ、こんな事になってしまったんだろう。

一体、どこで道を間違えてしまったのか。いや、最初から間違ってなんかいなかったのかもしれない。

奴はきっと、今の僕の姿を見て、どこかで笑っているんだろう。

変わるはずのない未来を変えるためにもがき続けていた、哀れな道化の末路を。

外から聞こえてくる音が、だんだん大きくなってきた。出口が近いんだ。

この先に、あの子がいる。

ブラスターを握る掌がじっとりと汗ばんで、微かに震えている。心臓の鼓動が、やけにうるさく聞こえる。

もう少し。もう少しで、あの光景が、僕の前に現れる。

10年前に見た、どんな事をしてでも変えたかった、あの光景。

あの子は、少し困ったような表情で、僕のほうを向いて微笑んで、

僕は、そんな彼女に銃口を向けて、そして、、、

そうだ、まだ終わっていない。答えは、まだ出ていないじゃないか。

僕が、この引鉄を引かなければ、未来は変わる。変わるはずだ。

僕は今まで、神様を信じた事が無かった。

この世界で起こる出来事の全ては、科学で証明できると信じていた。

だけど今、僕は初めて神様に祈る。

願わくば、どうかこの僕に。

神よ、『女王』を守らせ給え。


God Save The Queen 終
こんばんは、Black Dogです。

今回は、初めて絶チルのネタで書いてみました。かなり短いですが。

もし、あのとおりの未来になってしまったらどうなるだろう、と考えて書きました。

個人的には、10年後の光景が来ない事を願っていますが。

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