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期待と不安のフロンティア

ザブ〜ン……グル、ザブ〜ン……グル

 ここは海の果て流されて船。
パンドラのアジト、移動船艦カタストロフィ号である。

 その一室で、元ブラックファントム、現パンドラ少年少女の部所属のパティ・クルーは怒りに震えていた。

「チクショウ……チクショウ……」

彼女は何故怒っているのだろうか?
ブラックファントムでの記憶が蘇ったのか。それより以前の彼女のトラウマが原因だろうか。
それとも――

「……夏…コミ…………落ちた…………」
…………

若さ故の理由無き怒りであるッ!



―――期待と不安のフロンティア―――



「なじぇ……なじぇ私の作品の垣根も限界も超えた、
『パーフェクト×算教室!キミとボクとがAジャンすげージャン!?』
が落ちるの!?」

 パティはその若き血潮故のやり場の無い怒りをありがちに社会へと向け始める。

「他のトコはどうせ絵が違うだけで同じ様な話のクセにコンチクショウ!
そんなモンなんだかんだでギシアンして終わりでしょ!?
心理描写もなんも無いクセに私の情感溢れる予定の作品落とすなんて、
需要と供給のバランスがオカシイわ!」

 彼女の眼は常に前へ向けられている。
その為、未来予想図を実に見事に妄そ…イメージできるのだ!
だって人間だもの。

「そう……オカシイのよ……
……オカシな世界には…………鉄槌をッ!
それが私達パンドラの使命……!
見ていなさい……
くっくっくっ……ふははは……わぁーっはっはっ!」

 典型的な三段笑いが室内外に響き渡り、仲間達は眉を顰め心配するのだった。



 所変わって、都内某所。
今、未来明るい2人の若人が充実した顔で語り合っていた。
彼等には最近になり大変重要な任務を負うようになった。
そう!たぶん!きっと!その事を話しているに違いな――

「いやー、今日のチルチル実況も盛り上がったな!」
「でも今回のは作画がちょっとな」
「それもまた良し。崩壊ってほどでも全然なかったし」
「まーな。反省会ってことで言ってみただけだ」

 うん。『また』なんだ。すまない。
言うまでもなくバレットとティム・トイである。
彼等はチルチル放送後、反省会と称し片方の部屋に集まり語り合っていただけである。
 小一時間語り合って、ネット巡回して寝る。それが習慣となっていた。

「さて、粗方見て回ったし仮眠するか」

 チルドレンの朝は早い。そしてチルチルは放送時間が遅い。
したがって仮眠となる訳だ。
バレットが就寝しようとしたその時。

「バレット!大変だ!」

ティムがバレットの部屋に飛び込んで来た。

「どうした?つか、いきなり入って来んなよ!
作業中だったら死ぬぞ!死んじゃうぞ!」
「いいからこれを見てくれ!」

 ティムはバレットの青少年の主張を無視し、パソコンを立ち上げた。
訝しげにその様子を黙って見ていたバレットは、ハッとして警戒した。

 秘密フォルダを見られたら、可及的速やかにティムに眠って貰わなくてはならないからである。
バレットが室内を見渡し、チル・バーミリオン等身大パネルと眼が合った時、
ティムはネットに繋げ目的のページを開いていた。

「バレットこれを見てくれ。こいつをどう思う?」
「ん?」

 そこには――



【絶対魔法】チルチルのエロいSSくれ【1224発目】



「バァァァァッッッッカァァァァヤァァァァロォォォォォォッ!!!!」
「ブへッ!?」

 バレットの攻撃に吹っ飛ぶティム。

「あれほど!あれほどチルチルではしない。穢さないと誓いあったじゃねーか!?
見ろ!バーミリオンも悲しみのあまり粉々だ!?なんてこったッ!」
「ち、違う!落ち着けって!っか何で殴ってんだよ!?」
「知らねーよバカ!?やっちまったぁぁぁぁ!」
「とにかく落ち着けって?な?」
「オロロ〜〜〜〜ン…………」

 その後、ティムは飛び散った破片を泣きながら集めるバレットを宥め賺して多少落ち着かせた。
美しい友情である。

「で、グシュ……なんだって……?
お前が裏切るだけのネタがあるとかそうゆうことか……?」
「だから俺はやってない!」
「では何故こんなトコに行き着く!?」
「それなんだ。俺達パンドラの連中に1回やられただろ?」
「む……まぁ……」
「お前だけじゃなくて、俺も結構気にしてたんだよ実は。
ヤツらこれから日本で活動してくみたいな事言ってたらしいから、
巡回した後駄目元で試しに検索してみたんだよ」
「そしたらこのページがヒットしたって言うのか?
関係ないんじゃないか?パンドラなんて良く使われる名称だろう。
しかもこんなトコにヤツらが書き込むとは思えんし」
「俺もそうは思った。ところがだ。コレを見てみな」

 と、ティムがモニターを指差す所を覗き込むと



666 名前:以下、名無しにかわりましてP.A.N.D.R.Aがお送りします[] 投稿日:2013/06/09(日) 04:07:47 ID:pAT1c0oL



「な…ん……だと……?」
「どう思う?」
「……確かにこのP.A.N.D.R.Aの区切り方はヤツらの表記の仕方だが……
愉快犯の可能性も……」
「そこでお前の所に来たんだ」
「何?確かめてないのか!?」
「ここから先は禁断の地だ。
俺1人ではとても進めそうになかった……
でも……ッ!」
「……!一緒だから強くなれる!!それが本当の――」

「「魔法なの!!」」


 そんな訳で2人は死地へと赴く為モニターにカジり付き、
どんな異常も見逃すまいと一字一句読み進めるのだった。
その姿はまさに理想的な――

「し、仕事だからしょうがないよネ?」
「パ、パンドラがどんな危険な事書き込んでるか確かめないとネ?」

――理想的な…………『何か』であった!

「は、早く画面をスクロールしてくれ!」
「う…うろたえるんじゃあないッ!特務エスパーはうろたえないッ!」



 って事で、以下がパンドラの物と思しき書き込みです。



666 名前:以下、名無しにかわりましてP.A.N.D.R.Aがお送りします[] 投稿日:2013/06/09(日) 04:07:47 ID:pAT1c0oL






 自分の代わりに捕らえられてしまったイターシャを救う為、悪魔ワッシーの居城に辿り着いたチル・バーミリオン。
「せっかくだから、私はこの赤の扉を選ぶわ!」
 しかしそれはワッシーの巧妙な罠だった。
絶体絶命のバーミリオン。だがそこに救世主が!









(省略されました続きを読むにはマッスルマッスルと書き込んで下さい)



 チュンチュンと、外からは清々しい雀の鳴き声が聞こえてくる。
新しい朝来たのだ。希望の朝だ。
2人は

「 オ ノ レ パ ン ド ラ 」

と呟いた後ガッシリと手を握り、打倒パンドラを誓い合うのだった。



店長から貰った等身大パネル
priceless

2人の睡眠時間
priceless

打倒パンドラに燃える心
priceless

射殺されたモニター
29800円



 こうしてまたバベルにパンドラしねしね団メンバーが生まれたのだった。






「プププッ、思い知ったかノーマル共め!
これで少しスッとしたわ。
さて委託して貰うトコ捜さなきゃ……」



おしまい



おまけ


ザブ〜ン……グル、ザブ〜ン……グル

 ここは海の果て流されて船。
パンドラの本拠地、神出鬼没カタストロフィ号である。

 その中をパティはある人物を捜していた。その人物とは――

「あ、マッスル先輩。九具津先輩見ませんでしたか?」
「あら、珍しい。パティが九具津ちゃんに何か用?」
「えぇ。ちょっと夏に向けて聞いておきたい事がありまして。
あの人は詳しそうですから」
「あぁ、そっち系の話。
確かに詳しいだろうけど、残念だけど今日は捕まらないんじゃないかしら?」
「どうしてです?」
「何か良く分かんないんだけど、
九具津ちゃん人形全部使ってウチにある殆どのパソコンのキーボードを連打しまくって、回線もキーボードもクラッシュしちゃたのよ。
んで、真木ちゃんがカンカンに怒っちゃて責任取らされて修復してるらしいわ」
「はぁ……何故そんな事を?」
「ソレがわかんないの。サイバー攻撃でもしようとしたんじゃない?」
「そうですか。それじゃ今日は部屋で作業でもしてます」
「あら、もう行っちゃうの?
最近誰かに呼ばれてる気がするから、心当たりまで跳んで貰おうかと思ったのに……」
「私の普通のテレポートじゃ距離出ないですよ。
澪先輩にでも頼んだらどうです?
それに私もソコソコ忙しいんですよ」
「残念ね〜。わかったわ。
ご飯にはチャンと出て来るのよ?」
「はい。それじゃ失礼します」

 こうして特にオチもなく、この話は終わりである。
これは世界がまだ平和と言えたそんな日々の話。



おわり
(;`・ω・)あ…ありのままに起こった事を話すぜ!
『夏企画のネタを考えていたら、いつの間にかクリスマスシーズンだった』
な…何を言っているのかわからねーと思うがおれも何をしてたのかわからなかった…
頭がどうにかなりそうだった…
ネタ思い付かなかっただとか忙しかっただとかそんなんじゃないんだからね!
もっとも恐ろしいもの、『現実』を味わったぜ…('A`)

どうも皆さんお久しぶりです。初めての方には初めまして。
謎の転校生(5)で葉が用を足すという椎名先生の隠しメッセージに気付き愕然とし、
しねしね団企画に参加するテンション上げる為、
某2525動画でテーマソング探したら谷山さんが歌ってるのがあるのを知ってビビり
前作もコメントしていただき大変感謝している濁電波です

まぁ私の近況などはどーでも良いとして、
まぁーったくクリスマスに関係無いこの話、
もうちょい長くなる予定でした。主にエロで
しかしながらクリスマス終わっちまうわ。と気付きこんな事になりました
ここは1つ枯れ木も山の賑わいと言うことで、その、なんだ、すいません
話をモチッと上手くまとめられれば良いのですがね

兎も角、読んでいただきありがとうございました
また機会があれば御一読ください
では

追記
実験的に色とか変えてみました

[mente]

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