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Do You Love Me? <CASE2>

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  Do You Love Me?   <CASE 2> ─ Kaoru Akashi

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「おっしゃー!任務かんりょー!」

 薫が高らかに声を上げた。
 いつもの通り、学校を影チルにまかせ、3人そろっての任務。
 今回の相手は、ヒュプノを使い、相手の知っている姿になりすまし金融機関から金銭を強奪するものだった。
 この程度であれば、1人だけでも良い。というより、チルドレンである必要すらない。
 しかし、苦手な数学がおおっぴらにサボれるという理由で、薫が志願した。
 そして当然、薫が行けば、他の2人もついてくる。
 桐壷局長は、3人に甘いので連れて行けと言った。
 皆本は、しょうがないな、とため息を吐きながら、現場へ急行した。


 予想通り、現場到着後、犯人捜索から逮捕まで、ものの1時間もかからなかった。

 無事任務完了、と安心して皆本が振り返ると、既に3人とも、連行される犯人を見ながら世間話をしていた。

「いやー、助かったー。あの宿題、わすれちゃっててさー」
「ほんまに、薫は・・・・。ウチは当然やってあったけどな。」
「うふ、あの犯人さんに感謝ね。」

 学年が進んで、よりずる賢くなったというか、なんというか。
 皆本は、本日何度目かのため息を吐いた。


 任務完了した特務エスパーは、バベル本部に戻って精密検査をする決まりであるため、本部に戻った3人は、医務局で賢木の精密検査を受けた。
 たいした任務でもないので、すぐに終わるだろうとタカをくくっていた皆本だが、しばらくモニターを見ていた賢木が、3人に気取られないよう皆本に目で合図をした。
 なんだろう?と、何気ない風を装い賢木に近づく皆本。
 モニターを見るフリをしながら、賢木に顔を寄せた。

「(彼女ら、なんらかの攻撃を受けてるぞ)」
「(え?まさか)」
「(間違いない。脳の状態がおかしい。というか、この状態で、立って、歩いて、話ができる方がおかしい。)」
「(たしかなのか?)」
「(たぶん催眠状態か何かだと思う。彼女らの本当の心は、眠ったままだ。)」
「(じゃあ、今あの子達を動かしているのは?)」
「(それは・・・)」

 その時だった。
 賢木と皆本がこそこそと内緒話をしていると、突然、チルドレンが襲い掛かってきた。
 薫の攻撃をとっさにかわした皆本は、立ち上がりざまに、薫を見た。
 顔は赤く火照り、息も荒く、目は見開かれ、まるで獲物を狙う獣のような興奮状態だった。
 そしてそれは隣にいる、葵と紫穂も同様。
 身の危険を感じた皆本は、すぐさま身を翻し、医務局を飛び出していった。


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『おそらく、かけた本人も知らないうちにかかってしまったんだと思う。能力自体は、3日もあれば自然に解ける程度だ。』
「だが、その内容が厄介だ。何なんだ、その“本人の欲望をむき出しにする”とかいう、ふざけた催眠は!」
『そんなのは犯人様に聞いてくれよ。俺も始めて聞いたさ、そんな都合のいい能力。』

 迎えに来た車に葵を乗せた皆本は、物陰に身を隠し、賢木と話していた。
 端末を置いてきてしまった皆本には、現在の彼女達の位置がつかめない。
 身の安全をある程度確保し、落ち着いてから、詳しい分析を聞くために電話をしたのだ。

 と、そこへ、“ズドン!!” という音と共に、何かが空から降ってきた。
 皆本は音のした方へ振り返った。
 背中側にはコンテナが山のようにつまれていたはずだ。

 だが、振り返った先には、鉄の板と柱がゴミのように散らばっていただけだった。
 そして、まるで爆発でも起きたようなその中心に、人間が1人立っていた。
 明石薫。
 レベル7のサイコキノだ。

「み〜な〜も〜と〜」

 薫の周りの空気が、バチバチと音を立てていた。
 先ほど落ちてきた衝撃で舞ったホコリやチリ、鉄くずなどが、薫の周りの防壁に触れ、バチバチと 爆ぜているのだ。

「皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ。皆本はあたしのモンだ・・・・」

 薫はブツブツと念仏のように唱えていた。
 その姿を見た瞬間、皆本は一目散に逃げようとした。
 だが、身を翻そうとしたその時、薫と目が合った。
 うつろな双眸に、拡散した瞳孔。とても正気とは思えなかった。

 落ちてきた瞬間は、禍々しく恐ろしいオーラに見えた。
 しかし、よくよく見てみると、たよりなくゆらゆらと揺れ、ひどく不安定。
 表情は今にも泣きそうだ。

 彼女達もこの催眠攻撃に抵抗しているんだとわかった。
 そして、それがわかってしまった皆本は、逃げるのを止め、薫に歩み寄った。
 
 薫の目の前までやってきた皆本は、目線を下に向け、声をかけた。

「薫・・・」
「え?」

 ふと、薫が顔を上げ、皆本を見上げた





“ぎゅっ・・・”





「・・・・・みっ!! みみみみみみみみみ、みなも」
「黙ってろ、薫」

 皆本は薫を抱きしめた。
 精一杯。力一杯、抱きしめた。

 自分にできることはこれしかない。
 戦っている彼女達を支えるだけだ。
 僕は、ここにいる。
 だからガンバレ。いつものキミに戻ってくれ。

 そんな想いで抱きしめていた。




 いつまでそうしていただろう。
 1分にも、1時間にも、1日にも感じられた。
 薫は特に抵抗もせず、文字通りされるがままだったので、心配になった皆本は、少し身体を空けて胸元を覗き込んだ。

 なぜか胸元が血だらけだった。

 一瞬驚いた皆本だが、その出血元がすぐにわかった。
 薫が鼻血をドクドクと流していたのだ。
 顔は耳まで真っ赤に色づき、目は垂れ下がり、顔はだらしなくへらへらとして、どうやら眠っているようである。
 そしてブツブツと寝言を口にしているのだ。

「皆本・・・・あ・・そんな、だめだよ・・・・私まだ心の準備が・・・うん・・・・皆本がいいなら・・・わたしも・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

 いつもならツッコミを入れてるところだが、この状況下でそれはできない。
 何を見ているのか一瞬で想像がついたが、皆本は深く考えないことにした。
 


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『ラストは紫穂ちゃんだ。これはある意味、薫ちゃんより手ごわいぞ。』
「ああ、紫穂のことだから何を要求されるかわかったもんじゃない。」

 バベルに連絡を入れ、その10分後、車が迎えに来たので、後部座席に薫を乗せ、皆本は賢木に現状を伝えていた。

『しっかし、薫ちゃんはもっと手こずると思ったけど・・・・・おまえ、何したんだ?』
「いや、特別なことは何も・・・・・」
『何もしないってことはないだろうよ。何したんだよ?』
「薫も催眠攻撃に抵抗しているようだった。苦しそうにしていたよ。だから、ガンバレって、(肩を)抱いただけだ。」
『だっ! 抱いた!?』
「ああ。なぜか血まみれになったけど。」
『おっ!おまえ!とうとう! とうとう、ヤっちまったのか!!』
「は!? 何言ってるんだ?」
『おおおおお、おまえ、いくら可愛いく成長してきてるとはいえ、相手はまだ中学生だぞ!?
 さすがの俺もそれはないわ〜。さすが皆本。天才は考えることが違うね〜』
「え?さっきから何を・・・・・・・

  ・・・・・はっ! ちちちち、違うぞ!!違う!!そういうんじゃなくてだな!!」

 あきらかに勘違いをしている賢木に、皆本は最初からくわしく説明しなおした。
 寄り道にそれると、どんどんあらぬ方向へ行ってしまうので、なるべく丁寧に状況を解説した。

『・・・・なんだ、つまんね』
「だーかーら、言ってるじゃないか」
『しっかし、ま、抱きしめるだけっていうのが、薫ちゃんらしいっていえばらしいけどな』
「ん?どういうことだ?」
『恋する乙女は純情ってことだよ』
「??」

 賢木の言葉の意味するところがいまいちピンと来ない皆本だった。




to be continued…..
ケース2、薫の場合です。

多分、純情乙女まっしぐらだと、これで満たされてしまうんじゃないかと思います。
以前の彼女にはなかった要素です。


さてさて、ラストの彼女は・・・・・どうしよう?

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