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「暑い夏のひと時」

「ピート、どうしてにげるの?」
「いえ逃げてるわけでは」
 どうしてもこうしてもどうしても、追いかけてくるかなりこうセクシーな水着姿のねえちゃん。
 その名前は、小笠原 エミ。
 ピートは苦笑のままエミを見た。
 ハイレグというものは彼は割りと苦手な部類なのだった。
 エミから彼は目をそむけようとする。
「ピートってやっぱり太陽が苦手なワケ?」
「あまり好きではないですね」
 やっぱりどこか吸血鬼なワケ。と何かエミが感心する。
 どうしてエミさんとこんなところに? とピートは思う。
 暑い夏のひと時、美神のプライベートビーチに二人きり。
 あまり歓迎したい時間ではピートにはないようである。
 ざざ、と海の波の音が聞こえる。
「どうして美神さんは……」
「前私が仕事を手伝ったから……私に対する報酬なワケ」
「え?」
「いや、別になんでもない……」
 ごまかすようにごにょごにょいうエミ。
 まあ仕事の報酬はお金よりはこちらのほうがよかったわね。とこそっと心の中でエミは思う。
 ピートははあと小さくため息をつく。
 暑い夏、砂浜で二人きり。
 追いかけてくるエミとの戦いは今始まったばかり。
 美神に仕事の助力を頼むのはこれきりにしようと固くピートは誓った。
 お金がないということは悲しいことである。
 美神が割とエミの恋を応援しているということはピートには秘密にしておこう。
 美神の仕事の報酬はエミに対してはピート。
 ピートの美神に対する対価はこのひと時。
 まあ暑い夏ははじまったばかりであった。
なんとなく書いてみたピートとエミ。
この二人の恋は進展するんでしょうかねえ?

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