(ぐえへへへへ…今回のターゲットはあの黒髪の娘かゴウラ)
(ぎぎ…そうだ、あの娘だザウラ、名を横島忠夫という、速やかに暗殺せよとの上からの命令だ)
(ふん、あんな小娘一人やるのに我ら程の上級魔族が出張る事もないだろうにな)
(ぎぎ…小娘と思って侮るなザウラ、魔神アシュタロスの滅びの原因になったのはあの娘なんだからな…)
-------------------- GSアシュ様極楽大作戦 ------------------
初夏の休日、天気のいい朝、公園を歩く二人の少女の姿があった。
一人はお尻からふさふさの尻尾を生やしぶんぶん振り回してあっちだこっちだと走り回り、もう一人の長い黒髪の少女はその様子を微笑みながら見ているのだった。
「さんぽ、さんぽ、センセーと散歩w」
「ははは、ご機嫌だなシロ」
「うん、センセーとの散歩、凄く楽しいでござるよ」
「どうだシロ?たまにゆっくり歩いて散歩するのもいいものだろう?」
「そうでござるな、こうしてゆっくり公園の中を歩いていると色々な発見があるでござるよ」
「そうだろ、そうだろ、ははははは…」
「ん、センセーあれは何でござるか?」
シロが芝生の植え込みの中に何かあるのを発見した。
「え、どれどれ、おー、なにやら卵のようなものが…」
横島も近くによってその卵状の物に手を触れる。
すると卵状の物にひびが入り、割れた。
「みーーーー!」
それはやはり卵だったのだが、卵から出てきた物はハムスターをでかくしてコウモリの羽と悪魔のような尻尾を生やした動物だった。
そして横島にはこの動物に見覚えがあった。
「あー、お前はグレムリン!!」
横島にグレムリンと呼ばれた動物は横島に抱きつき頭を横島の顔にこすり付ける。
「みー!、みー!、みー!!」
「お、おい!」
どうやら横島は以前と同じようにグレムリンの子供に母親として認識されたらしい。
これすなわちインプリンティング(刷り込み)である。
グレムリンの子供を拾った横島とシロは急いで事務所にいる美神の元に帰った。
「ふーん、それでまたそのグレムリンの子に懐かれちゃった訳ね、女になっても相変わらずあんたは妖怪の類に好かれるのよねえ」
「みー、みー、みー…」
横島の胸にしっかり抱きついたグレムリンの子供を眺めながらため息を吐く美神。
「この子俺に抱きついたまま離れようとしないんです、どうしましょうか?美神さん」
「うーん、まだ赤ん坊だからね、専門の施設に預ける事になるわね、グレムリンは本来いたずら好きではあるけれど、それほど凶暴じゃないから大人なら野に帰してやる事も出来るんだけど、赤ん坊だからねえ」
「この子を施設に入れるのはかわいそうでござる、何とかならんのでござるか?」
「そうは言っても規則なのよ、違反すれば私が罰則を受ける事になるのよ」
その時、おキヌが事務所に入ってきた。
「おはようございます、美神さん、横島さん、シロちゃん、すぐお茶の用意をしますね」
お茶の用意をしようとしたおキヌちゃんは横島が抱いている動物に気付いた。
「わあ、グレムリンの子供ですね、かわいいですね、この子どうしたんです?横島さん」
グレムリンの頭を撫でるおキヌちゃん、グレムリンは気持ちよさそうにしている。
「すぐそこの公園で卵から孵った所を拾ったんだ」
「そうなんですか?、美神さん、この子ウチで飼うんですか?」
「おキヌちゃん、そういう訳にもいかないのよ、グレムリンは保護対象魔獣なのよ、民間人が飼う事は禁止されてるのよ、それが例えGSでもね」
「そうなんですか、でもこんな小さな子を施設に入れるのはかわいそうです…」
グレムリンの子が施設に入れられるとわかって悲しそうな顔をするおキヌちゃん。
「ううう…、おキヌちゃんはいい娘やー…」
横島はおキヌちゃんに感心する。
その時。
「わはははは!!、機嫌はどうだねマイスィートハニー姫?元気だったかね?美神所長、芦優太郎ただいま出き…、ほぎゃらはやあーーーーーー!!!」
玄関ドアを開けて無駄に元気な芦優太郎ことアシュタロスが出勤してきた、彼は時給250円で美神除霊事務所でアルバイトしているのだ。
「どうしたの?芦君、大声で奇声を上げて」
「あ、あ、あ、あれ、あれ…」
血相を変えてアシュタロスは横島に抱きついているグレムリンをふるえながら指さす。
「あれってなに?ああ、横島くんが抱いているグレムリンの事?」
「実は、わ、わ、私はグレムリンが大嫌いなのだーーーー!!!!」
泣きそうな顔で大声で叫ぶ元魔神、何があったアシュタロス?
「えっ?この子こんなにかわいいのに?」
おキヌちゃんはグレムリンを見て怯えるアシュタロスの様子を怪訝そうに見る。
「はっ?そういえばどうして私はグレムリンが嫌いなのだ?大体その動物は初めて見たはずなんだが…」
アシュタロスは今度は頭を抱えて何故自分がグレムリンを苦手なのか考える。
「ああああ、思い出せん!だが、私はそのグレムリンが嫌いなのだ!」
「何言ってるんだアシュ、ほら抱いてみろよ、かわいいぞ」
横島はアシュタロスにグレムリンを抱かせようとする。
「ああ、姫、姫の頼みとあらばこの芦優太郎、命に替えて…」
横島がグレムリンをアシュタロスに抱かせようとするのだが。
「おおおお、やっぱり駄目だ、済まない姫、ううーん」
グレムリンに触った途端アシュタロスは立ったまま気絶してしまった。
なんと髪まで白くなっている。
「みー、みー、みー」
その気絶したアシュタロスに抱きついて顔をぺろぺろ舐めているグレムリン。
グレムリンの方はアシュタロスが気に入ったようだった。
次の日、横島の学校
体育の時間である。
一応横島は女子更衣室で着替えていた。
勿論、カーテンを引いて周りで着替えをしている女生徒を見えないようにしている。
「うーん、まあ仕方ないよな、以前の俺ならこんな状況で覗きをしない方が変だったんだからな」
横島と女生徒が体操着(白い半袖シャツと紺色の膝までのスパッツ、体のラインがはっきりわかる)に着替えを終えて体育館に集合する。
「「「「「うおおおおおーーーー!!!」」」」」
途端に男子の歓声が上がる。
「蛇神さんかわいい!、横島もすっげえ胸だ、愛子もなにげにポイント高いんだよな、俺、このクラスになって良かった…」
うれし涙を流す男子生徒達。
なんのかんのいいながら横島のクラスの女生徒はかわいい子が多い、特に外観だけならスタイル抜群、魅惑のバスト横島、妖の魅力コギャルメドーサ、そして愛子の評価は高かった。
そしてというべきか、早速アシュタロスが横島に飛びかかってきた、今日三度目の挑戦である。
「姫−!、その白いシャツと紺のスパッツがセクシーでたまらーん!!」
「えーーい!懲りない奴めーー!!」
横島が迎撃する為右のパンチを繰り出そうとしたその時、アシュタロスの顔にグレムリンが飛びついた。
「みー、みー、みー」
「ぎゃうぎゃはらぁーーーーーーーーーー!!!!、グ、グレムリン!!!」がくっ
どこから出てきたのかグレムリンがアシュタロスの顔に張り付いたのだ。
アシュタロスはまたもや奇声を上げて失神してしまった。
立ったまま髪の毛を真っ白にして気絶するアシュタロス、相変わらず器用なやつである。
「ああリンちゃん、学校までついて来ちまったのか?」
グレムリンはリンちゃんと命名されていたようだ。
リンちゃんはアシュタロスの顔をひとしきり舐めると、今度は横島の胸に抱きついてきた。
「みー、みー、みー、みー」
横島に甘えるリンちゃん。
「「「「「「「うわあ、かわいい!」」」」」」」
女生徒から歓声が上がる。
「へえー、グレムリンの子だねえ」
さすがメドーサはすぐにリンちゃんの正体に気付く。
「かわいい!ね、横島くん私にも抱かせて」
かわいいリンちゃんは女生徒に大人気だった。
それを羨ましげに見ている男子生徒達。
「いいなあ、あれ」
「くそー、俺も動物になりたい」
ここでようやく意識を取り戻したアシュタロス。
「むうううう、グレムリンの分際で我が姫の胸に顔を埋め、さらにぐりぐりするとはなんと羨ましい、いや破廉恥なことを、ぐぬぬー」
横島に抱かれて胸に顔を埋めているグレムリンを見て血の涙を流して嫉妬に燃えるアシュタロス。
「うぬぬぬっ、おのれ、我れ、これより嫉妬の道を突き進む!、冥府魔道に堕ちようと構わぬ、グレムリン覚悟ーーー!!」
アシュタロスの両腕から横島に抱かれたグレムリンに向けて一条の光が放たれる。
だが、光はグレムリンをそれて明後日の方向に行くかと思われた。
「ぎゃーーーー!!!!」
「なんだと?」
光線は姿を消して横島を狙っていたザウラに直撃した。
その場に崩れ落ちるザウラ。
「ザ、ザウラー!、ばかな、その男我々の事がわかるのか?」
「むむ、こうなれば」
ゴウラが姿を現し、横島に槍状の両腕を伸ばし刺し貫こうとする。
「みー!みー!」
グレムリンはその腕に体当たりして軌道を逸らせた。
間一髪、横島の脇を抜けていくゴウラの腕。
「リンちゃん!」
ゴウラの槍に刺されて血を流して地上に落ちていくグレムリン。
「ぎぎ、命拾いしたな横島、だがこれでどうだ−!」
再びゴウラの槍が横島を襲う。
だが横島を狙う槍は瞬時に横島の前に移動したアシュタロスが掴んで止めた。
「貴様、我が姫に何をする!」
メドーサとピート、タイガーも横島の前に立ち臨戦態勢となっている。
「なんだと?我が槍を人間如きが止めただと!?馬鹿な!」
横島は怪我をして地上に落ちているリンちゃんを抱き起こす。
「大丈夫か?リンちゃん!」
「怪我は大したことはないようだねえ、命に別状はないだろうさ」
メドーサもグレムリンの様子を見ながら横島に告げる。
「そ、そうか、よかった」
ほっとする横島。
「ぐえへへへ…驚いたぜ、人間!貴様よくもやってくれたな」
気絶していたザウラもが立ち上がり、アシュタロスを睨みつける。
「お前たち何者だ?何故姫を狙う」
「ぎぎ、姫?ああ、横島の事か?上から消せとの命令が出ているんでね」
「上だと?一体何者だ?」
「ぐえへへへへ…貴様にもここにいる人間達にも全て死んで貰うんだ…、知った所で意味などないだろう」
ザウラはどう猛な笑みを浮かべて隅で固まっている生徒達をねめつける。
「そうか、お前たち魔族の殺し屋か?なら遠慮しなくていいようだな」
アシュタロスはゴウラ、ザウラの二人を見据える。
「ぐえへへへへ!人間如きに何が出来る?ぐえへへへ、俺の地獄の業火で骨も残さず灰になるがいい!!」
ザウラの口から巨大な炎がアシュタロスに向かって吐き出される。
「ぐえへへへへ!どうだ骨も残るまい」
巨大な炎はアシュタロスに直撃した。
皆がアシュタロスが焼け死んだと思った、だが。
「今なにか、したか?」
炎の中に平然と立っているアシュタロス。
「なんだとー?俺の炎に焼かれて何ともないだと?不死身か貴様!」
驚くザウラ。
「お前たちに教えてやろう、地獄の業火とは、こういう物の事を言うのだ!」
アシュタロスは右手をザウラに向けると手の平がまぶしく輝き出す。
「プラズマブラスト・バーニング・ファイヤー!!!!」
アシュタロスのかけ声と共に巨大なビーム状の炎がザウラを襲う。
(アシュタロスはアニメの見過ぎのようだ)
「ぎゃあああーーー!!!なんだこのひかりはーーー!!」
ザウラは眩しく輝く光の中に消えていった。
「ぎぎ、な、なんだと?、貴様一体何者だ?」
ザウラが一瞬でやられ動揺するゴウラ。
「ふふふふ、わからないか?ではこれでどうだ?」
アシュタロスは人間界では押さえ込んでいた霊力を解放する。
「ぎ、ぎ、ぎ、な、何だこの霊力は?」
その圧倒的な力の前に気圧されるゴウラ。
「冥土の土産に教えてやろう、私はアシュタロスだ!」
「ぎぎぎっなんだとー!!!う、うそだーーー!!!!」
一瞬後ゴウラも光の渦に巻き込まれて消滅した。
「姫、怪我はない…ぎゃはらはぁーーーーー!!!!」
「みー、みー、みー」
格好良く振り向いたアシュタロスにリンちゃんが飛びついた、まともや気絶するアシュタロス。
白髪になって気絶するアシュタロスの顔を舐めまくるリンちゃんだった。
その後、生徒達全員に忘の文殊を使い記憶を消して何事もなかったように授業は再開された。
「アシュ、これは今日のお礼だ」
アシュタロスの頬にキスをする横島。
「ひ、ひめー!遂に私の事をー」
感激のあまり横島にルパンダイブをかますアシュタロスだったが、やはり迎撃された。
「はー、はー、はー、ふ、ふんだ、ただのお礼なんだから勘違いしないでよね…」
照れて顔を赤くしてそっぽを向く横島。
「ひ、姫、GJ、萌えーーー、がくっ」
いいものを見た、とにやけながら気絶するアシュタロスだった。
一応続くかな?
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