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悩める男のある日常






ある日、男は空を悠々と泳いでいた
常日頃若作りの老人に付き合っている疲れをとるには、この空中遊泳が最も効率がいい

そういえば、最近毛が薄くなり始めた
これは葉にも言われ、最近では澪にまで言われていることだから、間違いない
きっとこのハゲはストレスのせいなのだろう
そのストレスは主にというか100%、あの老人が起因するものに違いない
そもそもあの老人は自分勝手に動きすぎなのだ
少しは自分の立場を理解してもらいたい

男は空を漂いながら、つらつらと鬱憤を晴らす
こんなことしたところでハゲが治るわけもないのだが、まぁするにこしたことはない

さて、どうしようか
ずっと組織の中で籠っていたせいか日の光が妙に眩しく感じる

せっかくの機会である
昨今バベルとの抗争も激化している中で、こうして空中遊泳できる日もなかなか来ないかもしれない
ましてや、地上を闊歩しているノーマルの世界も見ることもないかもしれない

少し羽を伸ばそう
男は久方ぶりに、東京の地面へと降り立った



さて降りたのはいいのだが、どうやら男が向かおうとしているのは生物研究室のようである
自分が目指していたのは、もっと活気溢れる街だったのだが……
しかし、あまり長いこと空にいても誰かに気づかれる


男は仕方なく、殺風景なその場へ着陸する
適当にキョロキョロすると、辺りには本を見ながら歩くメガネどもばかりである


殺風景な世界に殺風景な集団
男は興が冷める


「場所を変えよう……」


男がふと呟く

すると……











「ん?…………………あああああああ〜〜〜!!!!」


男の背後から最大ボリュームの声が迫ってくる
振り返れば、それは周囲とほぼ同じ様相のメガネの男(以下メガ男)だ

只一つ違うとすれば、自分を見る目が明らかに違う
何かとんでもないものを見つけてしまった様な、端的にはそんな視線である


(…まさか指名手配とか受けてたとか……?だったら、まずい!)


男は再び空へと向かう





ところが…








「みんな、飼育が禁止されてるはずのタイリクモモンガ≠ェいたぞ!!!」


メガ男が声を荒げた途端に、周りのメガ男2号・メガ男3号・メガ子1号…が一斉に飛びかかる
男はその一瞬におののいて、逃げるタイミングを失ってしまった


「ぎゃああああああああああああああ!!!!!」




その男、桃太郎は周囲のメガネーズに覆いかぶせられる

だが、桃太郎はエスパー、そこらへんのタイリクモモンガと同じ捕獲法で捕まるわけもなく…



「なにさらすんじゃあぁあぁぁぁ!!!」


怒号とともに空気砲をぶっぱなし、メガネーズは空を舞った



「なっ…なんと言うことだ!!!タイリクモモンガは言語能力を身につけるまで進化したのか!?
 飼育禁止など悠長な事言ってる場合ではないぞ!!」

「いや、それだけじゃない!!今、何か空気砲を出さなかったか…?
 よもや人類の著しい進化を危惧し、自らの防衛能力を高めるために、驚異的進化を遂げ…」


空へ超特急に向かう桃太郎の背後では、メガネーズ達のこんな会話が流れていたとか……





「っくそ〜!!だからノーマルは嫌いなんだぁぁぁぁ!!!!」

二度と無意味な着陸はしないと、心に誓う桃太郎であった




















「桃太郎、どうした?今日は調子が悪いじゃないか?」

「うるさい!!何かむしゃくしゃするんだ!!!」

ストレス発散のため、自分の部下≠ナある兵部とゲームをする桃太郎
しかし、ストレス発散のためのゲームが、兵部に勝てないことで逆にストレス助長へとなりゆく

この部下≠ヘ自分を立てることを知らない
少しは自分の立場を理解して、そして空気を読め!!


季節の変わり目に毛が抜けるのはモモンガにとっては当たり前のこと
しかし、自分のハゲは日頃のこの部下の無礼によるストレスのせいだ、
と思ってしまう桃太郎であった
ミッション5が終わって一段落したので、ちょっとした小ネタを書きました
いや〜やっぱりこういう話の方が僕は合っていますね



一瞬でも真木さんの話と思ったあなた
僕はあなたを騙す為、このSSを書きました

最後まで真木さんではないな…と思ったあなた
僕の負けです。師匠と呼ばせてください

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