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濃密Violet

「じゃー皆本、あたし達修学旅行に行ってくるからねー」

「ちゃんとお土産買うてくるから楽しみにしててーや」

「浮気はダメよ、皆本さん?」

「はいはい、折角の休みなんだから気をつけて楽しんでくるんだぞ?」


僕は答えながら玄関でチルドレンを見送る。
そう、今日は中学生になった彼女らの修学旅行なのだ。
珍しく、本当に珍しくこの一週間内は事件が予知されずバベルからも一応のゴーサインが出た。
更に兵部から[一週間休みます]と手紙が送られてきた。(その後局長に握り潰され破棄された)
その為無事に彼女達は京都に修学旅行に行く事になった。
チルドレンが旅行中に書類関係の仕事を片付けた僕は彼女達が帰る前日と当日に休みをもらったのだ。
そして帰省を明日に迎えたのである。




-----濃密Violet-----




「さて、部屋を片付けるかな」



・・
・・・


-ピンポーン♪-

「うぅ、なんで休日に掃除をしてると必ず厄介事になるんだろう?」


そんな僕の呟きなんかしらないとばかりにもう一回チャイムが鳴った。
はいはい今出ますよーっと。


「はーい、どちら様ですか?」

「おはようございます、皆本さん。野分です」

「へ?」


ついつい間抜けな声が出てしまった。
さすがに予想を超えるお客さんがきたからである。
今までは賢木とか兵部とか澪とか猫とかあまりにも酷かったからなぁ・・・と思いつつ招きいれる。
そしてお茶を入れ始める。
そういえばあまりおもてなし用のお菓子や湯呑とか準備してなっかったな、少し反省していると


「実は今日の夜、バベルのみんなで飲もうって話があるのでお誘いにきたんです」

「へぇ、そうだったのかい?わざわざありがとう。でもそれなら電話やメールでも良かったんじゃないか?」

「あ、いえ確かにそうなんですけど・・・。あ、ほらわたし一人暮らしをしているじゃないですか?なので相談があるんですよ!」

「相談?僕でわかる範囲なら答えるよ」

「え、えっと、せ、節約?・・・何か節約術とか知ってます?!」


節約術か・・・何かあったかな?
う〜ん、あいつらがきてからはエンゲル係数が増えたからなぁ・・・
電気の基本料金を下げるとか自炊するとかかな?
とりあえず当たりさわりない事を伝えながらまったりと話をしているといつの間にかお昼前になった。


「あ、もうお昼ですね」

「そうだね、せっかくだからご飯を食べていくかい?」

「え、いいんですか?」

「もちろん!よし、腕によりをかけて作るよ」

「期待してます!あ、やっぱりわたしも手伝います」

「そうかい?じゃあ二人で作ろうか?」

「はいっ!」


その後、御馳走といっても過言のない量が完成し、食べきれなかった御馳走を冷蔵庫に片付けた。
飲み会まであと5〜6時間はあり、どうしたものか?と思っていたら彼女からお誘いがきた。

「折角だし・・・わたしとデート、しませんか?」











そして数時間後、僕はこの飲み会にきた事を悔やんでいた。
集合場所に2人で行った為いきなり疑われ賢木にバレ、常盤vs野分という水面下の戦いが勃発。
いつもは参加しないのに都合悪く来た蕾管理官に絡まれる、局長が泣き出すわ、と散々な事になっていたからである。
そんな時、ふと常盤からの質問が来た。

「皆本さんって絶対ロングヘアーの子が好きでしょ?」

「な、何を根拠に・・・」

「確かに、キャリーはロングだったもんな」 
と賢木。

「今日のデート中、目が綺麗なロングヘアーの人に目がいってましたよねっ」 
と机をたたきながら野分。

「だから急に薫クンが長くしたのかな〜光源氏計画なのカナ?カナ?」 
と局長・・・ってマジ怖いです。

やればデキるんじゃない、という熱い視線を必死に無視をしながら弁明もするもめんどくさくなってロングが好きと答えた。





-次の日-

「たっだいま〜皆本元気にしてた?あたしがいないからって浮気なんかしてないだろーな?」

「ただいま、皆本はん。はい、これ京都土産と、ウチの家族からやて」

「・・・ただいま、皆本さん」

「ん?どうしたんだ紫穂?」

「いえ、別に・・・」

「それよりお腹空いたな。皆本なんか作ってある?」

「ああ、もう机に並べてあるよ。今日はお前らが好きなものを中心につくってあるから準備ができたらきてくれ」






「うわぁーめっちゃ御馳走やん、コレ?」

「皆本〜やっぱわかってるな〜この焼け具合がたまらないんだよね!」

「ありがとう、今日は休みだったから頑張ってみたんだ」

「あ、そうそう京都でね!ちさとちゃんと東野がね・・・」




・・
・・・





-就寝時間-

「ふーやれやれ、やっぱりあいつらも疲れてたんだな。いつもより早く寝てるよ」

さて明日の準備だけしたら寝ようか、という時にノックがした。

「ん?なんだいー?」

「皆本さん、話があるの」

ぞくっとするくらい艶のある声で紫穂が入り、近づいてくる。

「な、なんだい?」

「ねぇ、昨日誰をうちにあげたの?」

「え、えっとダブルフェイスの・・・」

「野分さんね、あの女ウチの主任に手を出さないでっていったのにね・・・」

クスクスと可笑しそうに笑う。

「料理を一緒につくったり・・・デート、楽しかったのかしら?」

「待て待て、勝手に視るなと何度もいってるだろう!」

あわてる僕とは対照的に紫穂は落ち着き払っていて僕の後ろに回り込み、首に手を回し、体を押し付けてきた。

「ごめんなさい・・・でも、わたし・・・皆本さんに捨てられたらと思うと・・・」

「し、紫穂、い、いいからは、離れなさい」

「皆本さん・・・」

「ボガブガボガブガ・・・」

「ほら、もうココ。どうしたの?皆本さん。もしかして・・・私のこ」

「いいから!はなれなさい!!」

無理やり紫穂を引き離す。

「んもう!皆本さん(ガードが)かたすぎ」

「君はっ!まだ中学生だろっ!どこでこんな事覚えてきたんだっ!」

「サイコメトラーは耳年増になるものよ」

「ふ・ざ・け・る・な!」

「でもこれで私がもう子供じゃないってわかったでしょ」

また紫穂がクスクスと笑う。
今度は悪戯めいたものではなく本当に可笑しいという笑い方で。

「〜〜〜、はぁ。もう寝なさい」

「あ、そうそう今週末に美容室連れてっていうお願いはやっぱり無しでいいかしら?」

?そういえばそんな約束あったよ〜な、なかったよ〜な・・・

「いいけど、何か理由でも出来たのかい?」

う〜んと考えた素振りのあと、彼女は「秘密」とだけ短く言って部屋を出て行った。



その後首から香る紫穂の匂いでなかなか寝付けず、
さらに次の日の朝、何故か一昨日の事がバレ、
チルドレンによる浮気の制裁を受けた事は言うまでもない・・・?
お久しぶりです!
前の時にリベンジしたいといいつつも別の話になってしまいました。ごめんなさい。
最後の方の紫穂ちゃんは・・・ミッション4に挑みたかったのですがこんなんじゃダメだろ!と思い、タグ無しです。悔しいです。
今回は自分の好きな野分ほたるさんに頑張ってもらいました。
一応デートの内容や、修学旅行中の事件も考えたのですが・・・まだ蔵で温めておきます。
ちなみに今回のタイトルは紫穂のキャラクターソングのタイトルを合わせました。
透視をする前の女の感と、透視後の可愛さを表現してより"女性"に近づいた紫穂を書いてみました。
どうでしょうか?

あと自分が絶チルしか読んでいないのでGS美神の話をカバーする事が出来ていません。
なので不勉強によるコメントも失礼と思い控えてしまっています、すみません。
現在少しづつ読んでいますのでもう少々お待ちください!

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