「管理官どの、お願いします」
「そうね、薫ちゃんは結構成長したわよ〜」
「ど、どの程度でしょうか…」
少年は生唾をごくりと鳴らし、返答を伺っている
「まず身長だけど、これは2センチ程度ね」
「なるほど…じゃぁ、次の情報を!!??」
「まぁまぁ焦らないで、メインは最後まで」
「は、は、、はい…」
鼓動がさらに高鳴るのを少年は感じていた
生殺しの気分であろう、聞きたいのになかなか聞かせてもらえないのは
そんな少年をからかうように、管理官は一番大事な情報を最後まで明かさない
「葵ちゃんも2センチ、紫穂ちゃんはちょっと多めで3センチ」
「はい、じゃぁ今度こそ!!」
「えぇ、一番聞きたいでしょうね、三人のスリーサイズを…痛!」
「何をティムに吹き込んでるんですか?!管理官!!」
ここはバベル内の第8修行室、応接も可能な質素な和室である
季節は秋、ティム・トイの一世一代の享楽、もとい仕事が始まった
ーーーーー仕事ですからーーーーーー
「み、皆本くん?!どうしてここに?!」
「ティムの声が廊下に響いてましたよ、それで見てみたら…一体何してるんですか?!」
「何言ってるの、影チルの設計に関する重要な会議よ?」
「は?」
「俺の影チルはチルドレンと全く同じでなければ機能しない仕事です。
当然チルドレンの成長に合わせて、改造をしていかねばなりません」
「で、そのチルドレンの身体データを管理官に教えてもらってる、と?」
「その通りです、全然いやらしいことではないのです!
では、管理官。最後のデータを!!」
とは言いながら、顔は耳まで真っ赤である
ある意味純朴な少年なのだろうか、皆本はそう心中思った
「了解♪あ、皆本君も聞く?」
「必要ありません!!」
「もう、堅いこと言わない。チ○ビの色も教えてあげるから」
「ふおおおおぉぉぉぉぉ!!!!」
「尚のこと必要ない!!!」
受容と拒絶が大声を通して、こだました
「管理官、本来の目的を失わんでください!!!」
「冗談よ。あの子達がかわいそうだし
どうせ近い将来、皆本君もそれ以上の事知ってるでしょうし」
「余計なこと付け加えるな!!ってかそんなことになりません!!」
「と、とにかく!!次の情報を!!」
管理官と皆本のやり取りに痺れを切らしたようだ
ティムの目は必死に管理官を見つめている
「じゃ、皆本君もいることだし……」
「僕は聞きません!!」
「まぁまぁ、せっかく来たんだし」
「そうッスよ!」
「勝手にやっててください、僕は行きますから」
叫ぶのに疲れ始めた皆本はまた何か言われる前に和室をあとにした
廊下に戻れば、何てことない静かで長閑な風景だ
とてもあんな会話が繰り広げられているように思えない
(建物に見合う仕事をできないのか、ここの連中は)
皆本光一22才は溜息をつきながら思った
「丸型で○カップ?!!」
「口に出すな!!!!」
和室から漏れたあの声からして、そういう仕事はムリなようだ
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