2766

知られざる犬の世界



〜始めに〜

 このお話はフィクションです。
 登場するキャラクターは架空の物であり、実在の物とは関係ありません。
 また、作者の勝手な想像が含まれていますので、実際の事柄とは異なる場合があります。
 その点をふまえた上でお読み下さい。












「なぁなぁ初音。
 皆本に聞いたんだけど、犬の言葉がわかるんだって?」

 バベルの休憩室。
 訓練の間の休憩中だった初音に声を掛けてきたのは、ザ・チルドレンの1人、薫であった。

「うん、そうだよ姐さん」

「じゃあさ、あの犬はなんて言ってるんだ?」

 テレビを指さす薫。
 画面にはバラエティ番組のゲストとして、今人気の動物タレントたちが登場していた。
 現在映っているのは、今一番人気と言われている『白い北海道犬』であった。

「え〜っとね…


『「お父さん、お父さん」って…。
 私はメスだし、まだ独身よっ!!』


 だって」

「え!?
 あの犬メスだったの!?」

 衝撃の事実に薫は声を上げる。

「いや、実際には兄妹の2匹でCM撮ってるらしいで」

「へ〜…」

「なぁなぁ初音はん、あの犬はなんて言ってるんや?」

 次に葵が指さしたのは、数年前に人気となったチワワである。
 根が臆病な犬種の為か、カメラに向かってぷるぷると震えている。

「え〜っとね


『なんじゃごらぁっ!
 ワイを撮るんじゃったら一千万用意してこんかいっ!』


 だって」

「…う、うそん…」

 見た目と遙かにかけ離れたセリフにがっくりを肩を落とす葵。

「ま、まぁイメージと本物が違うってのはよくあることよ葵ちゃん。
 ね、ねぇ初音さん、あの犬はなんて言ってるの?」

 葵を慰めながら聞く紫穂。
 次に出てきた犬は雑種の中型犬。
 これと言って目立つ犬ではないが、犬のおやつである骨に似せたペットフードのCMで長年主役を勤めてきた犬である。

「ん〜っとね…


『あ〜…メス犬にのっかりてぇ…』


 だって」

「………」

 初音の言葉に、紫穂は黒い笑顔で固まっている。

「な、なんつーオヤジ犬…」

 顔を赤らめ、若干引きながら言う薫。

「のっかりたいって…なに?」

 葵は意味が分かっていないようだ。

「ちなみに、野良犬やブリーダーの飼い犬以外のオスは基本的にオネエ言葉だよ」

「…え゛…。
 オネエ言葉って…つまりオカ…」

「ああ…『手術済み』ってことね…」

「いややぁぁ〜!
 オネエ言葉の犬の世界なんていややぁぁぁぁ〜!!」

 犬の世界の秘密を知ってしまった3人。
 その日から犬を見る目が、ガラッと変わってしまうのであった…。



(終われ)
おばんでございます。
サプリメントで久々に明と初音が出たので書いてみました。

動物の言葉を理解したい。
誰しも1度は思うことです。
しかし、実際はこんな感じかもしれませんw
実際に動物の言葉が通訳出来るようになったとき、我々人間は喜ぶんでしょうか?
それとも後悔するのでしょうか?
言葉が通じないからこそ、今の関係が出来上がっているのかも知れませんね…。

と言う難しい話は置いといて…。
夢を壊しそうなネタですが、ギャグとして笑って頂ければ幸いでございます。
それでは〜。

[mente]

作品の感想を投稿、閲覧する -> [reply]