〜始めに〜
このお話はフィクションです。
登場するキャラクターは架空の物であり、実在の物とは関係ありません。
また、作者の勝手な想像が含まれていますので、実際の事柄とは異なる場合があります。
その点をふまえた上でお読み下さい。
「なぁなぁ初音。
皆本に聞いたんだけど、犬の言葉がわかるんだって?」
バベルの休憩室。
訓練の間の休憩中だった初音に声を掛けてきたのは、ザ・チルドレンの1人、薫であった。
「うん、そうだよ姐さん」
「じゃあさ、あの犬はなんて言ってるんだ?」
テレビを指さす薫。
画面にはバラエティ番組のゲストとして、今人気の動物タレントたちが登場していた。
現在映っているのは、今一番人気と言われている『白い北海道犬』であった。
「え〜っとね…
『「お父さん、お父さん」って…。
私はメスだし、まだ独身よっ!!』
だって」
「え!?
あの犬メスだったの!?」
衝撃の事実に薫は声を上げる。
「いや、実際には兄妹の2匹でCM撮ってるらしいで」
「へ〜…」
「なぁなぁ初音はん、あの犬はなんて言ってるんや?」
次に葵が指さしたのは、数年前に人気となったチワワである。
根が臆病な犬種の為か、カメラに向かってぷるぷると震えている。
「え〜っとね
『なんじゃごらぁっ!
ワイを撮るんじゃったら一千万用意してこんかいっ!』
だって」
「…う、うそん…」
見た目と遙かにかけ離れたセリフにがっくりを肩を落とす葵。
「ま、まぁイメージと本物が違うってのはよくあることよ葵ちゃん。
ね、ねぇ初音さん、あの犬はなんて言ってるの?」
葵を慰めながら聞く紫穂。
次に出てきた犬は雑種の中型犬。
これと言って目立つ犬ではないが、犬のおやつである骨に似せたペットフードのCMで長年主役を勤めてきた犬である。
「ん〜っとね…
『あ〜…メス犬にのっかりてぇ…』
だって」
「………」
初音の言葉に、紫穂は黒い笑顔で固まっている。
「な、なんつーオヤジ犬…」
顔を赤らめ、若干引きながら言う薫。
「のっかりたいって…なに?」
葵は意味が分かっていないようだ。
「ちなみに、野良犬やブリーダーの飼い犬以外のオスは基本的にオネエ言葉だよ」
「…え゛…。
オネエ言葉って…つまりオカ…」
「ああ…『手術済み』ってことね…」
「いややぁぁ〜!
オネエ言葉の犬の世界なんていややぁぁぁぁ〜!!」
犬の世界の秘密を知ってしまった3人。
その日から犬を見る目が、ガラッと変わってしまうのであった…。
(終われ)
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