週刊少年サンデー09年08号 パンドラ・リターンズ(2) ラストより
「頼む、僕らに協力してくれ」
「…わかった」
兵部の頼みに、薫が答える。
「薫…。
…しゃあないな、皆本はんと紫穂が巻き込まれてもうてるしな」
薫の言葉に同意する葵。
誰か1人忘れられている気がするのは気のせいか。
「でもさ、あたしたちが行ってもどうしようもないんじゃない?」
薫の疑問はもっともである。
紫穂が居ない今、サイコキノである薫とテレポーターである葵が現場へ行っても状況は変わらないであろう。
「いや、暴走したのがテレポートだから
女神が追尾出来るかもしれない」
「『かもしれない』って…」
「もちろん、それ以外の方法も考えているさ。
そこで、連絡をして欲しい人物が居るんだけど…」
「…で、俺らを呼び出したってわけか」
複雑な表情でコーヒーを飲みながら明は言った。
その隣では、サーロインステーキと格闘している初音が居た。
ここはマッスル大鎌の自宅から程近いステーキレストラン。
薫経由で明と初音へ連絡を取り、ここへ出向いて貰っていたのであった。
「うん。
うちの連中には探査系の能力を持つヤツが居なくてね。
君らは以前、桃太郎を追い詰めたことがあるから力を借りたくてね」
「…あんたには借りもあるし、皆本さんや紫穂ちゃんのこともあるから今回だけは協力するよ」
「悪いね」
「その代わり…」
意味深な視線をテーブルへ向け、兵部へ言う明。
「ああ、わかってるよ」
頷きながら兵部は答える。
「おまたせしました。
『メガサーロインステーキ』3人前で〜す」
「わ〜い♪」
新たに運ばれて来たメニューに歓喜する初音。
ぶすりとフォークを突き刺し、肉へと喰らい付いていく。
「美味しかった〜♪」
数分後、全ての肉を喰い尽くした初音は笑顔でそう言った。
「それじゃ、そろそろ行こうか」
兵部の言葉に全員が立ち上がって出口へと向かっていく。
「お会計は、10万9620円になります」
営業スマイルで女性店員が言う。
「…真木、払っとけ」
「えぇっ!?」
「僕らは先に行ってるから、さっさと来いよ」
そう言って真木を置いて店を出る兵部。
そして薫らとともにテレポートで移動して行った。
「あ、あの人は…!
…この会計、経費で落ちるんだろうな…。
あ、領収書『パンドラ』でお願いします」
仕方なく、カードで支払う真木であった。
『起きて…』
「…ん…」
『ねぇ起きてよ…』
何処からか声が聞こえてくる。
「…う…ん…」
白くぼやけた視界の中、自分の顔を覗き込んでいる相手へと返事をする。
『もう…早く起きないと…
喰べちゃうわよぉ〜んっ!!』
ぼやけた視界一面に、『マッスル大鎌のアップ』が飛び出して来る。
しかも唇をすぼめ、ナニカを狙っているかの如く接近して来ている。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ガチコォォォォンッ!!!
盛大な音が鳴り響く。
「あぁっ愛が痛いっ!!」
皆本のヘッドバットを受けた大鎌が額をさすりながら言う。
「何をするかぁぁぁぁ!!」
「皆本さんが気を失ってたから、人工呼吸をと思って♪」
「溺れたわけじゃないのにそんなものがいるかぁぁぁぁ!!!」
力強く、皆本は叫ぶのであった。
(中途半端なまま終わる)
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