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目が痛いからやめられない

「うわあああああん、不二子さん!」
「お姉さまでしょう。不二子お姉さまよ!」
 目が痛いよおおおおおお。と石鹸で髪を今現在洗われている状態の小さな男の子が泣いている。
「我慢しなさい、男の子でしょう!」
「不二子さんはいいよおおお。あんなのつかってるんだもん!」
 うわああああああん、と可愛らしい少女に頭を洗われている黒髪の少年は泣いていた。
 目にはいるのだ石鹸のあわあわが。
 不二子と呼ばれた少女は下着のまま、真っ裸の男の子の髪を無理やり洗っている。
「うわああああん」
 口に泡が入ったらしくまた男の子は盛大に泣く。
「……情けないわね。男の癖に」
 不二子さんなんて大嫌いだ。と泣き叫ぶ男の子。
「京介って泣き虫だから情けないわ」
 もう、と強引にわしゃわしゃと頭に手を突っ込む不二子。
 泣き叫ぶ京介。壮絶な光景だった。
「僕も、不二子さんの使ってるのほしいよ」
「駄目よ、あれは不二子のためだけのものなの」
「けち!」
「けちで結構よ」
 女の子は繊細なの、とぶうっと頬を膨らませ、風呂場で不二子は弟をいじめるべく、またわしゃわしゃと黒髪を洗い出す。
「……うううううう、女尊男卑だ」
「女の子は繊細なのよ!」
 不二子は繊細なのよ。と怒り狂った顔で彼女は怒る。
 まあでもそれはないのではないかとは思うが。
 やっぱり石鹸のあわあわが目に入ると痛いし。
 ちょっとくらい貸してあげてもいいと思うけど?
「駄目よ、不二子のものだもの」
 不二子は弟に見えぬように小さく舌を出す。
 そして絶対に弟に使われぬように棚の中にしまいこんだ「例のブツ」のことを思い出した。
 それは……未来の世界で「シャンプーハット」と呼ばれるものとなるが。
 今はただの彼女の私物であり発明品である。
 それを記しておこう。
チャットねたです。シャンプーハットを使う不二子さんをかきたかった。
弟いじめでおわってしまったのはちょっと残念です。

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