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サイキックベースボール






「ねぇねぇ。みんなで野球やらない?」


ある日、そう提案したのは薫だった。


「お、いいねぇ。やろうやんか」


「私もさんせーい。バベルのみんなも呼んでやりましょう」



と、いうわけで。




「東京ドームにやってきましたーっ!」

「ドーム丸々借りたのかよ!!!!」


「皆本クン!コレはチルドレンの願いなのだよ?我々は全力で答えなければならないのだヨ!」


「いや、全力出しすぎだろコレ!!」


―試合開始―



マウンドに登るは、エース薫。


「一番、ファースト 皆本さん」


「え!?柏木さんがウグイス嬢!?」


皆本はバッターボックスに入り、バットを構える。


「よし、いくぜぇ皆本!」


(僕野球やったことないんだけどなぁ)

皆本がそんなことを悠長に考えていると、


「念動ぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・ジャイロボォォォォォル!!!」


ズドォォォォォン!!!


紫穂が構えるサイコキネシスがかかった特製ミットに、凄まじい音を立ててボールが入る。というか、叩き込まれる。


「こんなの打てるわけねぇだろうがぁぁぁ!!!」


「大丈夫よ皆本さん。そのバットにもサイコキネシスがかかってるから、普通にボールが打てるはずよ?」


「いや、腕折るから!普通に考えて!」

「ごめんごめん。私肩弱いからさ、サイコキネシス使わないと投げられないんだよねー」


「だったらせめてもう少し威力抑えろよ!電光掲示板に表示された急速がバグッてるほどって、物理的に打てないだろ!!」

第一、ボールはジャイロ回転はおろか回転一つかかっていない無回転だったように皆本の目には見えた。



その後、言うまでも無く皆本三振。



「二番、センター 賢木先生」


続いてバッターボックスに入ったのは、賢木。その目は自信に溢れている。


「ふふふふ。オレには何処にボールが来るかが分かるからな。バットに当てれば多分ボールは飛ぶ!」


なんとも頼りがたい論理だ。


(あら、余裕ね。センセイ)


(な、き、キサマ!オレに心理的な揺さぶりを掛けるつもりか?)


(そんなつもりじゃないわよ?私はただ先生がどんなこと考えてるかきになっただけ)


(だったらわざわざ思念波送らなくてもいいだろうが!)


(あらやだ。ごめんなさい)

そう、賢木が紫穂と熾烈な戦い(思念での)を繰り広げているうちに、


「ストラーイク!!バッターアウトッ!!」


「え・・・・・?」


あえなく三振。


「周りに気をとられちゃ、オペも失敗しちゃうわよ」

「オメーが邪魔してたんだろうが!!」








「三番、ピッチャー ナオミちゃん」



続いて、ナオミがバッターボックスに入る。


「うう、ここにきて一番の強敵・・・・・」


「この後には明らかに普通人じゃない局長が待ってるわ。どうするの?薫ちゃん」

マウンド上、話し合うバッテリー。

「よし、ここは勝負だ!」

流石に、ランナーは溜めたくない。タイムを解いて、いざ、勝負。


「いくぞぉぉぉぉぉ!!!!」



雄叫びを上げ、薫が渾身の一投。


しかし



キィン!



ナオミのバットがそのボールを捕らえる。



「っく!」

ナオミの顔が苦痛に歪む。超度6であっても、相手は超度7。その差は大きい。


が、大きな弧を描いてボールはライトの頭上を越え、その先へ落ちる。


ナオミはサイコキネシスをさりげなく使い、ベースを回る。


「よし、いいぞナオミ!そのまま私の元へ帰ってくるのだ!」


谷崎主任がいうが、ナオミは無視。


その頃、ライトの葵がボールを掴むと、大きく振りかぶる。


「超度7をなめんときぃ!!」


そして、思いっきりボールを放ったかと思うと、そのボールが忽然と空中で姿を消す。



「サイキック―――レーザービーム!!!」



そして次の瞬間、紫穂のミットに収まっていた。


「え?あ、ちょっと・・・・」


サードベースを回りホームインしようとしていたナオミに、


「はい、タッチ」


アウト。スリーアウトでチェンジだ。


「よーしさっさと終らせて、次の私の打順に・・・・・」

局長が意気込んで守備位置に向かうが、周りには誰もいない。

「あ、アレ?どうしたのかね?」


「あ、局長、チルドレンが飽きたって言うので、もう終わりにしますね」



「え?えぇぇぇぇぇぇ!!!??」





終れ。
なんというかグダグダになってしまいました。前回は真面目に書いたので、今度こそギャグを、と思ったのですが、ギャグを狙いすぎて悲惨なことになりました。


野球を分からない人にもわかるように書いたつもりです。ただ、色々用語も出てきてるので実際そうでもないかもしれません。


それでは、せめて一瞬でも微笑んでくれる人がいてくれることを祈りつつ。

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