パンドラの一員、黒巻節子。
念写イメージをトリガーにして夢を見せることが出来る能力者。
そんな彼女のところにやってきたのは、仲間の一人、藤浦葉だった。
「エロい夢見せてよ。
ネタはこのグラビアアイドルで」
彼が手にしているのは、明石好美の写真集。
最近では露出度を減らして、オタク受け路線に変更したと言われているアイドルだ。
「直球だなコイツ。
エロって……
どんなのがいいわけ?」
「コスプレとかそんなの!」
コスプレ。
それこそ、明石好美の最近の方向性である。
だが葉が持ってきたのは、少し古い写真集のようだ。まだ明石好美が正統派グラビアアイドルをしていた頃のもので、表紙の写真も水着姿。
(ふーん……)
普通のコスプレを望むなら、最新版の写真集を用意するはず。
だが、わざわざ違うのを持ってきたということは、葉の希望は、一般的なコスプレとは違うのだろう。
だるそうな顔をしながらも、そこまで気を利かせた黒巻は……。
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「ホラ、葉クーン。 兵部少佐のコスプレだ・ぞ」「次は、真木さんだ・ぞ」___________
「あーあ」
表情を変えないまま、しかし内心で残念に思う黒巻。
今、彼女の前で寝ている葉は、目から涙を流し、『うっわ』と苦しそうな寝言。
どう見ても、うなされていた。
どうやら、少佐のコスプレも真木のコスプレも、葉の好みに合わなかったらしい。
「おまえには……」
どちらも、わざと上半身のみにしておいたのに。
下半身は、ナマ脚が完全に露出。さらに学生服やワイシャツの間から、キュートなショーツもチラチラ見えるようにしておいたのに。
このギャップやチラリズムが理解できないなんて……!
しかも少佐の学ランなんて、袖が長過ぎるようにして『男物を一時的に借りた女のコ』の雰囲気まで匂わせたのに。
このシチュエーションも堪能できないなんて……!
「……心底ガッカリだ、葉!!」
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