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宿木明の憂鬱






【その1】


<<SIDE:宿木 明>>

『絶対可憐チルドレン』も、連載開始から早4年……

だとゆーのにオレたちときたら……
出番少なくて影薄い……主役を貰ったエピソードは、この4年でよーやくふたつ……
初登場は連載でも結構はじめの方なのに、カバーを飾らせてもらえたのは、13巻目にしてやっと。
にもかかわらず、本編では、カラーに出してもらえないで……
アニメ化ででた関連ムックで、よ〜やく初音(原作版)の髪の毛の色が確認できたとゆー有様!

そんな……そんな苦労の日々が、遂に報われる時が……
オレたち”ザ・ハウンド”が、お茶の間デビューを飾る時がッ!
アニメに出れるときが遂にきたんだっ!!

なぁ、初音!?



「そーでござるな! 明ど……
 じゃなくて、ソーダネ、アキラ♪」



……はい?



「あにめーしょんにでれるなんて、拙者……
 もとい、はつね、うれしーな♪」



……あのー……



「ん? なーに、あきら?
 どーしたでござ……ど、どしたの?」



えっと……なんですかコレ?
なんのつもりですか?



「ぎくっ……な、何のことでござろー?
 は、はつねわかんない」



いや、バレバレっすから。
シロ先輩。



「ぎくぎくっ!?
 な、なにをゆーのでござる? せ、せっしゃ……もとい、わ、わたしハツネダヨ?
 オーカミニモヘンシンデキルヨ? 
 イヌヅカしろナンテぷりちーナヒトシラナイヨ?」

 


台詞、カタコトになってますよ……
つか、髪型ツインテールにしただけで、『初音』 とか、それはあんまりじゃないですか?
変装するんなら、せめてもー少し努力ってもんを……これはもー、バレるとかバレないとか、それ以前の問題ですよ。
……もしかして、オレの事バカにしてます?



「ソ、ソレハ……ほ、ほら、おなじおーかみむすめだから……な、なんとかならないかなーって」

「こらぁぁぁぁ! このバカイヌがぁぁぁぁぁッ!!」

「きゃいんっ!? せ、せんせぇっ!?」



あ……どうも、横島さん。



「あーすまんな、明……ウチのバカが迷惑かけたみたいで……
 すぐに連れて帰っから」



いえいえ、そんな事は……
まぁ、こ−ゆーのは慣れてますんで。



「まったくこの馬鹿弟子は……ほれっ! さっさと帰るぞ!!」

「きゃんきゃんっ! な、情けを! 情けを先生……
 拙者どーしても……どーしても あにめ 出たいのでござるよう!」

「あきらめろシロ……
 それはない。それはないんだ……」




あ、あの……よ、横島さん?
急に背中が煤けてきましたよ?
そ、それに空気が……なんか、すんげー重たくなって……




「オレ達の出番はな、シロ……もーとっくの昔に終わっていたんだヨ……」

「くぅぅっ! せ、せんせぇ〜〜ッ!!」




じゃ、じゃあオレはこの辺で!

さ、さーて、ウチの相方はどこいったのかなー?















【その2】

……はぁ……アブなかった。
あやうくダークサイドに取り込まれるところだった……

気を取り直してと……

いよいよ来たな!
オレ達”ザ・ハウンド”の、アニメ出演エピソードっ!!

ココで頑張れば原作でも、少しは出番が増えるかも……
こいつはキバっていかないとな!

なぁ、初音!?



「えぇ、そうね……明くん♪」



……orz

今度はタマモ先輩デスカ……
ってゆーか、変装もしないで堂々と……



「いやね? 術で初音ちゃんに化けても良かったんだけどさ〜。よく考えてみるとそれって……ねぇ?
 他の人に成りすましてなんて、それじゃアニメに出演する意味無いじゃない?
 だから私は私のまま、堂々といっちゃおうカナーって♪」



……うわぁ……もー出演する気満々っすかぁ……
あ、あのですねー。
ちっと言い難いんですけど、タマモ先輩達の出番は……



「ねぇア・キ・ラくぅん……
 私、アニメにでたいなー♪」



――ぺちょーん

う、うをををっ!?
せ、背中に小振りなやーらかで、幸せな感触がふたっつも!?
こ、これは初音よりもボリュームが……

て、や、やぁっ!? 
み、耳にッ……耳に息は、ぁ、はあああああああんッ!?



「ねぇ〜……いいでしょ? 
 私はキツネだけどさ……ホラ、変身とか得意だし?
 原作じゃテコ入れ要員だったけど、2次創作界隈じゃあダントツ人気のヒロインだし♪
 だ・か・ら♪ ハウンドのパートーナーの、ケモノッ娘枠はこの私って事で……ね♪」



う、く……い、いや、だからそれムリ……
って!? ちょ、ど、どこに手ぇ突っ込んで……そ、そこはぁぁっ!?




「んもう……そんなつれないこといわないの♪
 ほ〜ら、お姉さんがたぁっぷりとサービスしてあげるからぁ♪
 ……アニメには私と一緒に……ね?」



は、はぁ――――――――んッ!?

き、気持ちいいけどそれを顔に出しては……って、そーじゃなくて!
お、オレには大切な相方が……は、初音がいるとゆーのにこんなっ……
こんなことで、ぇ、どぉぅええええええッ!?



「あーら、こんなになっちゃって……カラダの方は正直ねー♪」



ちょっ!? そ、それ以上はさすがに、ぁ、あっ!?
ら、らめぇぇええッ!?



「お〜ほっほっほ♪ 
 権力者どもを骨抜きにしてきた”傾国”のテクニックを甘く見ちゃダメよー♪
 ……さ〜てと、準備も出来たみたいだし……それじゃそろそろいいかしら?」



ぅぅ……も、もーダメだ……

すまん、初音……
お前の知っている 宿木明は、もう……

もう……



「……ってこらぁぁぁぁッ! タマモぉぉぉッ!!」

「何やってるでござるかぁぁぁッ!」

「ゲッ!? バカ師弟コンビ!!」



……よ、横島さ〜ん!
シロせんぱ〜いっ!!

た、たすかったぁ……



「全く……お前は何をやってるんだ!?
 美神さんも怒ってたぞ! 覚悟しとけよ?」

「痛ッ!? い、いきなりゲンコはヒドイじゃない横島!」

「色仕掛けを使うとはなんと破廉恥な……恥を知るござる!」

「バカイヌにだけは言われたくないわよ!
 あんな馬鹿な変装で、アニメでよーとしようとしたくせにぃ!」
 
「ったくこのバカギツネは……とっとと連行しろシロ!」

「了解でござる! さ、帰るでござるよタマモ!!」
 
「は、離して! この手を離しなさいシロ!
 アニメに出るチャンスなのよ〜!?」

「……諦めるでござるよタマモ……
 GS美神終了のお知らせは、もーとっくの昔に出ていたのでござる……」

「そんなの納得できるわけ無いじゃない!
 わ、私は出るのよ! なんとしてでもアニメに出るのよ〜〜〜ッ!!」



……ぅわぁ……なんか、生々しい……

って、アレ、大丈夫なんですか?
タマモ先輩、思いっきり引きずられて……



「いや、ウチのけもっ娘たちは、あーみえて結構頑丈だから。
 それはそーと……あーなんだ、その、ま〜たウチのが迷惑かけちまったな。
 重ね重ね本当にスマン」



い、いえ……
でも、今回は本当に助かりました。
もう少しでオレ……

あ! 
あ、あのー……そ、それでですねー……



「あぁ、解ってる……
 安心しろ……初音ちゃんには黙っといてやるから」



す、すいません。お願いできますか?

気の迷いだったんです。出来心あったんです。
ほんと、このとーり! マジで初音には秘密にしといてください。

……バレたらおれ生身のまんま、あいつにガブっとやられかねない……



「……ぁ、相変わらず苦労してんなぁ……」





















――ぴきーんっ!!


「はっ!? どっかで明が浮気してる気がするっ!
 後でシめなきゃ……」

「あら、どーしたの? 初音ちゃん。
 そんな、急に怖い顔して……」

「んーん、大丈夫。ただの野生のカンだから。
 それよりも、おキヌちゃん。コレ、おいしい。おかわり」

「はいはい♪  いくらでも、たーんと食べてくださいね。
 たっくさん用意してありますから……」

「うん♪」

「あ、あの……それでね、初音ちゃん……
 実は、初音ちゃんにお願いがあるんだけど……」

「なーに?」

「あのね、次のあにめで……」

「ちょ、ちょっとちょっと! おキヌちゃんまで何してるの!」

「とめないで下さい美神さん! これはちゃんすなんです!!
 もう一回カマイタチさんと合体して『カマチューッ!』ってやれば私だって……ッ!!」





おしまい
ちょっと気が早いですが、絶対可憐チルドレン13巻ハウンド表紙登場 & アニメ登場(…予定)記念 のネタでした。
ケモノッ娘繋がりという事で。

実は、アニメでのハウンド登場にあわせて、投稿しようかなーと思ってたのですが、まだ暫くは出番なしのようですので……
はやく、アニメで動くハウンドが見られればいいなー、という願いを込めて。

こんなお話しですが、ご指摘・ツッコミなどいただければ幸いです。

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