★菊田 まりこさんの絵本の『いつでも会える』のパロディになっております。未読の方 ご注意下さい。★
――どんどんどんっ
「先生! おきてくだされ先生!!」
せっしゃはシロ。
せんせーのいぬ。
……もとい、おーかみ、いちばんでし。
「あさでござるよー! いい天気でござるよー!」
せんせーといっしょにすごすとき
せっしゃは、いつもたのしくて
うれしくて
しあわせだった。
「さぁ、ご一緒に朝のサンポに!
今日も元気にれっつごー! でござる♪」
せんせーのことが、だいすきだった。
「くうん……まだおきないのでござるか?
今日はずいぶんとねぼすけでござるなぁ」
ずっといっしょにいられると思った。
なのに
「先生っ! 先生ーっ!!
はやくここを開けてくだ……あ、あれ? 鍵が……」
どうしてかな。
なんでかな。
「せ、先生……?」
せんせーがいなくなった。
「そ、そんな……」
せっしゃは、とてもさみしくて
かなしくて
ふこうだった。
「どこに……どこにいるのでござるか!?」
せんせーに会いたかった。
とっても、とっても、会いたかった。
「先生っ!? 先生っ!!」
どこ? どこ? どこ? どこ? どこ?
どこにいるの?
どこへいったの?
「きゅぅん……せんせぇ……」
いじわるしないで、でてきてよ。
シロってよんで、あたまをなでて……
「横島さぁん……そんなイジワルしないで出てってあげたら……」
「しぃっ! 小鳩ちゃん静かに!
折角巧く隠れたのに、見つかっちゃったら元も子も……」
「で、でも……シロちゃん泣いてますよ? なんか可哀想……」
ききまちがえるはずもない。
「いやいやいや、かわいそーなのはオレのほーだよ!
毎朝毎朝サンポなんて名ばかりの地獄のフルマラソンに付き合わされてさ? あのバカ加減ってもんをしらねーから!」
「よ、横島さん、そんな、こーふんしないで」
「止まれつってもきかねぇで、しまいにゃ路上を引き回しだよ!?
ったくなんのバツゲームだっつーの! いくらオレでも身がもたんわ!!」
「あの……声大きくなってますよ? 聞こえちゃうんじゃ……」
みみにとどいた、そのこえは
「せんせぇーーーっ!!」
「「わぁあああ!?」」
それは、だいすきなせんせーの声。
「せんせー! みつけたでござるっ♪」
「げ、ゲェーーッ!?」
せっしゃはシロ。
せんせーに会えた。
「きゅうん……まさかお隣に隠れているとは……
まったくもう! いったいどーゆーつもりでござるか!!」
「あ、あのなシロ、これはだな……」
とぉいみたいで、ちかいところにいたんだね。
「弟子にいじわるするなんて……
よもや先生の身の上に、何か大事があったのでは、と……拙者、心配したのでござるよ?」
「い、いや……そ、それは悪かったけど」
「ふーんだっ!
拙者おーいに傷ついたでござる!」
「や、ご、ゴメンってば!
マジであやまるからさ。
ゆ、許してくんないかな〜?」
なんだかんだで、かわらない。
せっしゃとせんせーは、いつものまんま。
「ふぅ……しかたないでござるなぁ……」
「お、流石は我が弟子、話がわか……」
「まぁ……今日のサンポはいつもの2倍、それで許してあげるでござるよ♪」
「って、ちょ!? おま……」
「そーときまれば早速出発!
さ、いくでござるよせんせー!!」
「ま、待っ……ぁ、あーーーーッ!?」
せっしゃはシロ。
せんせーと、いつでもいっしょ。
……ずっと、ずぅ〜〜っと、いつまでもいっしょ♪
「い、いってらっしゃーい。お気をつけて〜」
「こ、小鳩ちゃん! 見てないで助け……
こ、このバカを止め……」
「いってきますでござるよ、小鳩殿♪
それではいざ、れっつらごー♪」
「い、い、いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
おしまい
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