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DECHU NOTE

以前、即興で書いた未投稿作です。
あとがきまで読んでいただければ幸いです。


 DECHU NOTE


 妙神山
 久々に修行に現れた横島をいつものようにパピリオがゲームに誘う。

 「横島! ゲームステーションやろっ!!」

 「だーめ! 子供はもう寝る時間だ!!」

 時計は既に12時を指そうとしている。
 横島と小竜姫は先程から何かとパピリオを寝かしつけようとしていた。

 「うーっ! 折角サルがいないから夜更かし出来ると思ってたのに、お前まで私を子供扱いするでちゅか!!」

 「どっから見ても子供だろうがッ!!」

 いつもと違い、横島は切羽詰まった様子だった。

 「そうですよパピリオ、寝る子は育つって言葉を知らないんですか?」

 「じゃあ、小竜姫は寝なかったんでちゅね・・・」

 小竜姫のある部分を見つめパピリオは深いため息をついた。






 1分後

 「訴えるでちゅ! コレは児童虐待でちゅ!」

 簀巻きにされベッドに放り込まれたパピリオは、何とか身動きしようと体をもぞもぞと動かす。
 芋虫のような動きが妙に板に付いていた。

 「子供は寝なさい・・・私が笑っているウチに・・・・・・」

 「う・・・急に眠たくなって来たでちゅ」

 小竜姫は既に笑っていない。
 身の危険を感じたパピリオは、甚だ不本意だったが全力で寝る姿勢に入った。

 「いい子だ。俺と小竜姫様はこれから大人の話をしなくちゃならないんだ! そうですね、小竜姫様」
  
 「え、ええ、そうですね。大人の話を・・・・・・」

 大人の話とは一体何なのか?
 小竜姫は耳まで赤くなっていた。

 「パピリオとは明日遊んでやるから・・・な!」

 「う・・・約束でちゅよ」

 「約束だ! 明日たっぷり付き合ってやるから・・・」

 パピリオにこう笑いかけると、横島は小竜姫を伴いパピリオの部屋を後にした。




 そうは言ったものの、パピリオはなかなか寝付けなかった。
 じっと天井を見ながら横島と小竜姫の事を考える。

 「ずるいでちゅよ・・・私ばかり子供扱いして・・・」

 『力が欲しいか・・・・・・』

 「だれでちゅか!!」

 突然パピリオの枕元に、如何にもと言った風体の悪魔が現れる。

 『名乗るほどの者ではない・・・・・・決して即興で名前が思い付かない訳じゃないぞ!!それに描写がぞんざいなのも考えるのがめんどくさい訳じゃないからなっ!!』

 今の言動からして、多分名前はアルファベットで二文字だろう。
 パピリオと目を合わせないよう、視線を宙に泳がせながら悪魔は更に続ける。

 『お前を子供扱いした、薄汚い大人たちへの復讐に手を貸してやろう』

 80年代のティーンのハートならがっちり掴めそうな台詞を口にしながら、悪魔は懐から一冊のノートを出す。

 「なんでちゅかソレは!」

 『コレか? フフフッ・・・聞いて驚くな! コレは【DECHU NOTE】だっ!!』

 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 『・・・・・・・・・・・・・・・・』

 「・・・・・・・・・・・・・・・・」

 全くの無反応に気弱そうな顔になるU・・・悪魔。

 『えーっとですね。”デス”と”でちゅ”がかかってる所がまあ、一つの笑いどころというヤツでして・・・・・・・・・・・・ええい!つまり、このノートに名前を書かれた大人は、語尾が赤ちゃん言葉になってしまうのだぁっ!!!!』

 チラッ・・・

 グダグダな流れを勢いで押しきったたものの、不安そうな目でパピリオを見るU・・・悪魔。
 幸いにもパピリオは興味を持ってくれた様だった。

 「面白いでちゅ! それに横島と小竜姫の名を書けば、大人の話し合いを邪魔出来るんでちゅね!!」

 躊躇せず二人の名前を書き込んだパピリオは、驚いた二人があげる叫び声を今か今かと楽しみに待った。




 1分後・・・5分後・・・10分後

 「むにゃ・・・お前嘘つきでちゅ・・・ぜんぜん効き目ない・・・・・・・・・」

 待っている間に眠くなったのか、パピリオはいつの間にか眠りに落ちていた。



 『何故だ! そんな筈は無い!!』

 隣の部屋には二人がいるはずだった。
 悪魔は慣れた手つきで部屋の壁にコップを当てる。
 慣れた手つきと言う所は言葉のアヤだと言っておこう。

 『・・・・・・・・・・・・・・・・・・』

 二人の会話を聞いた悪魔はコップを壁から離すと心底疲れた様にこう呟く。

 『そーゆーオチかよ・・・・・・_| ̄|○』

 ソレには自己嫌悪のような響きがあった。


 ―――DECHU NOTE―――


       終

えー。すみません。
今回も雑談掲示板のテコ入れです。

今回の話は、マリちゃ内部では公開したことのあるノートシリーズの一作目。
恥を忍んで投稿したのは、雑談掲示板にたてた新スレ「ボツ以上、投稿未満」の宣伝の為です。

http://gtyplus.main.jp/cgi-bin/patio/patio.cgi

こういう微妙な小ネタの積み重ねが、本投稿につながって行っていることを知って貰えればとw
もし、参加して下さる勇気ある書き手の方、また、新規に書こうとなさる方がいらっしゃいましたら、お気軽に参加して下さい。
よろしくお願いします。

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