・このSSは、アニメ(声優)ネタを含みますが、アニメ本編のネタバレではありません。
【その1:パンドラサイド】
<<SIDE:兵部 京介>>
「……ぃやっっっっったああああああああああッ!!」
おや、どーしたんだい澪?
今日はいつになくテンション高いね。
「うふふ……聞いてよ少佐〜♪
今度、絶チルのアニメが入るじゃない?」
あぁ、そうだね。
いろいろ大変だったけど、無事放映にまでこぎつけた……まったく、感無量だよ。
「それでさ、アニメで私の声をやってくれるひと……誰だと思う?」
……さぁ?
「釘宮さんよ! 釘宮理恵さん!!
今をときめく人気声優! ツンデレなキャラを演じさせたら、右に出るものはいないという……」
ふぅん……それは良かったじゃないか。
「……って、なによそのリアクション?
あのくぎみーなのよ!?
シャナでルイズでナギなひとが、あたしの中のひとなのよ!?」
……それで?
「んもう! わかんないの?
あの人気声優の釘宮さんが、声を当ててくれるのよ?
あたしは ”CV:釘宮” なのよ!?」
……あぁ、そうか。なるほどなるほど……君は、アニメでの出番の事をいってるんだね?
『CV:釘宮のキャラクター』が、人気が出るのはまず間違いない――釘宮病、なんてのもあるらしいからね。
だから、そんな凄い人が声を当ててくれる澪は、アニメでも出番が増えるだろうと……
「そうそう♪
そーゆーこと!」
澪は原作だと、なーんか扱いよくないからねぇ……
「そうよ! なによあれ!?
あたしもーずっと本編出てないじゃん! さぷりめんとだけじゃん!! それも主役じゃないじゃん!!!
……まぁ、新作エピソードで、久々に出番貰ったけど……でも、それだってあのバカ女(薫)といっしょだしさ!?
ってか、あいつの方がメインっぽいし!!」
まぁ……そうだねぇ。
局だって、製作会社だって、数字も金も欲しいに決まってるしね。
放映は録画して欠かさず視聴、DVDだって買ってくれる”大きなオトモダチ”の心をガッチリ掴んで離さない……
そんな 『釘宮さんが声を当てるキャラ』 の出番が、原作より格段に増える可能性は、すごく高くなるだろうね?
「でしょでしょ?
あぁ……きた……遂に来たわ……
原作じゃーもーすっかりアホの子、ライバルなんて名前ばっかで出番もろくすっぽもらえない……
そんな悲劇のヒロインのあたしが、お茶の間のアイドルになるこの時がッ……
あたしの時代が、ついに来たのよーーッ!!」
『……ネェ、京介……
ボクノ声ヤッテクレルノモ、釘宮サン ナンダケド……』
あぁ、そうだな、桃太郎……
澪がやれそうなポジションは……幼女枠(チルドレン)も、ライバル枠(兵部)も、オチ担当ギャグキャラ枠(マッスル)も、どれももういっぱいだからな。
アニメでの出番が増えるであろう 『CV:釘宮のキャラクター』 は、澪じゃなくて”マスコット枠”の、おまえの方になる可能性が高いな。
原作者も、アニメのお前はマスコット的云々とか、ブログでそんな事書いてたし……ってか、お前アニメだと、最初から僕と一緒だし。
『……コノ事、澪ニハ教エナイ方ガイイヨネ?』
当然だろう?
世の中にはな……知らない方が幸せって事もあるんだ。
『……澪、カワイソウ……』
まぁそういうな……あのマッスルにポジションを取られたコレミツや真木……
出番があるかすら解らない、他のパンドラの――え〜と、なんて名前だっけあいつ等――ともかく、そいつ等に比べりゃずっとマシさ。
おしまい
【その2:バベルサイド】
<<SIDE:皆本>>
……お〜い……
「下敷、ノート、ラミカ、キーホルダー……ここら辺は鉄板だよなー」
「トレカとか、設置資料集とかもやな」
「ア○メイトの定番商品だもんねー」
薫? 葵? 紫穂?
「あとはなんだ……やっぱフィギュアか? 大きなオトモダチ向けの。
原型は、九具津あたりに頼んで……」
「せやったら、完成品とか、買うてくれた人が”作らん”でもえーもんの方が、売上良さそうやな〜。
あとは、トレーディングフィギュアとか……箱入りで中身選べんよーなので、コンビニとかにもおけそーなやつ。
大人買いしてもらえるよーに、シークレットとかも入れて……」
「でもあのひと、朧さんとかナオミちゃんとか、メインの私達以外のキャラばっかつくりそうじゃない?」
……聞こえてる?
「ゲームもイイよな。
タッチペンで”おさわり”ゲームとか、うぃーリモコンでナニするヤツとか……18歳以上推奨な感じで」
「んなセクハラゲーム、出せる訳ないやろ!」
「ゲーム化は慎重にいかなくちゃだめよ。ジャンルも、メーカーも、ハードもね。
『キャラゲーに名作なし』の法則――例外もあるけど――知らないの?」
あ、あの……
「ん〜……大手メーカーが、スポンサーについてくれりゃー怖いもんはないんだけどなぁ……BAN○AIとか、タカトミとかさぁ」
「せやなー。そこいらやったら、チルドレンギアのオモチャとか、お菓子のオマケとかアパレルとかカードダスとか、ガチャガチャとか着せ替え人形とか……
お子様向けの商品もバッチリやしな〜」
「でも大手メーカーがスポンサーだと、番組の中身のほーにまで、ガンガン注文つけられるわよ?」
君達、さっきから何の話を……
「あ〜もう! うるさいな皆本は!!
何の話って、そんなん決まってんだろ?
アニメ 『絶対可憐チルドレン』 の関連グッズをどーするかって話だよ」
「アニメの視聴率だけじゃ、どーにもならへんからな」
「スポンサーさんには、がんばっていっぱい稼いでもらわないとね〜」
真剣な顔して何を相談してるかと思えば……
あのなぁ、子供はそんな事、心配しなくてもいーんだよ。
そーゆーのは大人にまかせて、君達は撮影の方に集中して……
「「「はぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜……」」」
う、な、なんだよ、そのため息は?
何故そんな呆れた視線を?
「皆本ォ……だからお前はダメだってんだよ……」
「……わかってへん……わかってへんのや皆本はんは……」
「皆本さん……”先輩”の悲劇をしらないの?」
先輩って……『GS美神』のアニメのことか?
え、悲劇って……
あれは評判良かったって聞いたけど……
「そうだよ……GS美神のアニメってさぁ、視聴率は良かったらしーんだよ。映画まで作ってもらったしな。
でも……」
「……関連グッズの売り上げが、なぁ……どーもイマイチらしかってん。
ほんでスポンサーつかなくて1年で終わってもーたんや」
「……歴史にifはないって言うけど……
もし、グッズの売上が良くて、スポンサーさんがついてたら、きっと2年目3年目って、続いたんじゃないかなーって……」
そ、それは……
「なぁ皆本……せっかくのアニメ化なんだよ?
あたしら、TV出れるんだよ?」
「ウチら1年で終わらすつもり無いで? 第2期、第3期、って狙ってかなあかんねん」
「テコ入れ、打ち切り、作画崩壊……アニメ化は常に危険と隣りあわせだもの。
今からしっかり販促の展開を練っておかないと……」
い、いやそーなんだけど……
「皆本ォ……お前、アニメんなったからって、ちっと浮かれすぎてんじゃねーのか!?」
「せやせや! アニメ化したからって油断なんか出来きへんねんで!?」
「問題は寧ろ、放映がはじまったその後なのよ?
黒歴史化なんて、最悪の結果になったらどーするの!?」
ご、ご、ごめんなさい……
うぅ……まさかあいつ等に諭されるとは……
でも……そうだな。
確かに、僕は浮かれてたかもしれない。
撮影の方に精一杯で、周りのことなんてあんま考えたこと無かったし……
あいつらはあいつらなりに、真剣に取り組んでるって事か。
……あの様子なら『絶対可憐チルドレン』の、アニメもきっと大丈夫だろうな。
「あとは、やっぱDVDだな!
これが売れてもらわねーと、もーどーにもなんねーし」
「ん〜……初回限定でオマケ付けるとか?」
「お店別に違う特典をつければ、複数買いしてくれるかもね〜」
「ちっげーよ! そんなんより、映像特典だよ!
放映じゃダメだったぱんちら全開とか! お色気シーン解禁とか!! DVDだけのえろいヤツとか!!!
そーゆー所にチカラを入れて……」
「う……や、やっぱそれせんとあかんのん?」
「それくらいはサービスしなきゃ。
朧さんとか、ほたるさんとか、奈津子さんとか、ナオミちゃんとか……皆にも頼んでおかなきゃね♪」
「ばーちゃん(不二子ちゃん)にもな!
たっぷりと 『すぺしゃるさーびす』 してもらおーぜ♪」
……本当に、大丈夫かな……
おしまい
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