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ちさとちゃんと東野くん




<<SIDE:東野 将>>



ちさとのやつ、おでこも、ほっぺたも、耳も全部、りんごみたいにまっかになって。
なんだか、泣きそうな顔にもみえる。



『と、東野クン……お、お願いだから……あっちむいてて』

『お、おぉう……』



そんなちさとにお願いされて、頭で何か思うより先に、身体が回れ右をした。
消えちまいそうな、小さな声。
なのに、いつもよりしっかりと聞こえた。



『ぜ、絶対に……こっち向いちゃダメだからね?』

『わ、わぁーってらぁ!』



背中ごしに聞こえてくる、音。
静かな、なんていっていいのかわからない、言葉に出来ないような音。
それで、わかった。
今、脱いでるんだって、わかった。
ちさとが、オレのスグ後ろで。



『ん、よっと……ふぁ……』



スカートの中に、手を入れて。
両端を持って、ヒザまでズリ下げて、片足を上げて、引き抜いておろす。
そして、もう片方の足も……

なぜだか、ちさとがそうやって脱いでいる場面が、みてもいないのに鮮明にアタマのなかに浮かんでくる。



『もう、いいよ……』

『ぁ、ぁぁ……』



また、頭で何か考える前に、カラダがくるっと回れ右。
オレ、体育の授業でも、こんなキレイな回れ右なんて、したことないんじゃないだろーか?



『は、はい、これ……』

『ぁ、ぅ……ぅん……』



さっきよりも、もっと赤くなった顔で、ちさとがオレにさしだした、それ。
オレに向かって伸ばされた、両手の指にかかっている、薄いブルーの小さな布切れ。

自分のカラダがカタまった、がちんっ って音が聞こえた気がした。



『東野クン、これ欲しかったんだよね?』

『ぉ、ぉぅ……』

『は、はい……大事にしてね?』

『…………ぁ、ぁぁ』



ガチガチにカタくなったオレの手に、ちさとが握らせてくれた、それ。
脱ぎたての、小さな、三角の布切れ。
なんだか、ほわっとあったかい。



『……えへへ、な、なんかスカートの中、すーすーするね』

『ぅ……ぁ……』



真っ赤な顔で、恥ずかしそうに ちさとは言った。
そんなに、長くないスカートの裾を、両手でぎゅうっと握り締めながら、ぐっと下にさげようとしてる。

ちさとが、必死で隠そうとしてる、大事な所をつつんでた布切れは、今はオレの手のなかに。
だから、あのスカートの中は今……

握り締めた、それをみながら そんな事を考えた瞬間。
ぶあーーっと……自分でもビックリするぐらい、身体中が熱くなった。

熱い。汗がどっと出てくる。
胸のところとか、ハラん中とか、ぎゅうっと握り締められたみたいになって。
頭ン中、ぐわーんぐわーんって。
心臓が、ばくんばくん のどから飛び出ちまうんじゃないかって思うくらい鳴ってる。
ヤバイ。オレ、なんか今すげーヤバイ。
だいじなサッカーの試合の前でも、こんなになった事は無い。



『と、東野クン……』

『ぅ、ぁ、ち、ちさ、と……』



真っ赤で、恥ずかしそうな、泣いてるみたくもみえる、ちさとの顔。
だけど、力強い、 きっ! とした、真剣なまなざしから、オレは目が離せない。

ちさちに、何か言わなくちゃ。
ちさとに、なんかしてやんなくちゃ。

なのに、オレ頭ン中真っ白で。
なんも考えられなくて。

だから



『ねぇ、東野クン……そ、それの、”中身”の方は、いらない、かな?』

『な、なかみ!? なかみってナニ!?』



全然わからなかった。
ちさとが、なにをいってるのか。



『今、東野クンが握ってるそれ……それを履いてた中身、だよ……』



どうして、ちさとが、そんなことをするのか。
真っ白なふとももが見えるのもかまわないで、両手でつまんだスカートの裾を、捲り上げようなんて事をするのか。



『ば、ばか、ちさと! な、なにやって、わ、わぁーっ! わぁあああっ!?』

『め、目をつぶっちゃだめ! ちゃ、ちゃんと見て!
 わ、私……東野クンだったら……』

『ち、ちさと……』



オレは、全然わからなかった。





























 ――――――――っと♪」

「……か、薫、紫穂……なんやねんコレ?」

「いや、もし東野がこのノート(そのとおりになるのです帳) 拾ったらなんてお願い書くのかなーって、紫穂と話してたらさ……
 したら『ちさとのパンティー1枚おくれー!』とか、そんなん書き込みそうじゃね? って……
 ほら、あたしらがエクステつけた時とか……あいつ、あーみえて結構ムッツリっぽいからさぁ♪」

「で、それだったらどんな状況かしらね〜? ッて考えてるうちに、こんなお話が出来ちゃって……
 ちさとちゃんて、ヤる時はヤる娘じゃない?
 ニブすぎる東野クンに痺れを切らして自分から脱いで迫ってみて、とか……ありそうだなぁって♪」

「や、そ、そうでなくて……このノート、書いた事が現実になるんやろ?
 こんなん書いてもーたら、あのふたり……」

「「…………ぁ」」

「ど、どーすんねん!?」

「だ、だ、大丈夫だよ、葵……だってコレ実現すんのって 『現実に起こりえる事』 だけ、なんだろ?」

「そ、そーよ……いくらなんでも、こんな事……ねぇ?」

「「「………………」」」































「……おい、ちさと……ふたりきりで話ってなんだよ?
 んな所によびだしてさ……」

「あ、あのね? 東野クン……えっとね……」



おしまい
あとがき
……本当に 色々とごめんなさい orz

ちさとちゃんと東野クン、ふたりのアブナイやりとりの全ては、実は薫嬢&紫穂嬢の逞しすぎる妄想だったのでした。

少し前、チャットにて『そのとおりになるのデス帳』の話題が出た際、オチで薫嬢と紫穂嬢が言っているような感じ(ちょっと違いますが)の展開になり……
はっかい。様の可愛らしいちさとちゃんの画を見させていただき……
そうして電波受信して、出来上がったのがこのお話です。

こんなお話ですが、ツッコミなどお待ちしております。

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