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絶チルの小ネタ詰め合わせ

【その1】

<<SIDE:宿木 明>>




「……明……コレ」 



恥ずかしげに頬を染めつつ、そー言いながら初音のヤツがオレに渡してきたものは……



「なんだコレ……
 髭剃りと……シェービングクリーム?」 



こいつとは長〜い付き合いだ。
初音の事、多少なりとも理解している自信がある。
だけどコイツは時々こーして、そんなオレにすら まるで理解する事の出来ない意味不明な行動に出て、困らせてくれる事がある。



「……これをどーしろと?」

「剃って」 

「……は?」 



……困らせてくれる事がある。

なんだろう。
今、なんかとんでもなくアブナイ台詞を聞いた気がするんだが……



「明が剃って」

「な、ナニを剃れと!?」

「初音の”あそこ”。初音 もじゃもじゃ になっちゃった。
 すご〜く 『毛』 が濃くなった……だからちゃんと処理しなきゃ」 

「あそこってどこ!?
 てっゆーか どーしてオレが!?」

「初音一人じゃ出来ない……だから」 

「ま、まてまてまてまて! 
 おま、オレに一体ナニさせる気だぁ!?」



な、なんつーマニアックな事を!?
いや、興味が無いといえばウソになるけど、さすがにそれは……なぁ?
そーゆーのは、もっとオトナになってから……



「ナニって……背中がほら。
 変身してないのに毛皮みたいに」 

「へ、ぁ……え? 背中?」



がばっとまくられたシャツの下。
初音の背中には、うぶ毛と呼ぶには少々濃すぎる、毛がわさわさと……



「な、なんだよこれ!?」

「えとね――
 『初音君は、あまりにも長い間、そして完璧に狼になり切っていたから、肉体の方にもその影響が出始めてるんだ』
 ――って皆本さんが……
 それで、初音 毛がもさーーっと」



な、なるほど。
能力で『変身』したんじゃなくて、初音自身の肉体が狼になったと信じ込んで――多少毛深くなる程度ではあるけど――獣化現象がおきちまった、と。



「他んトコの毛は、自分で何とかできたんだけど……」



んで、あそこ――手の届かない背中の処理は、オレにやってもらおうと……



「……な、な〜んだ……せなか、背中ね。
 あはははははははははははははは……
 ……はぁ……」 

「……ナニ想像したの?」 

「い、いいいや別に」 

「なんか、ガッカリしてない?」 




おしまい
















【その2(*サンデー第13号『絶チルアニメ情報』よりの小ネタです。見てないと解らないかも知れません*)】

<<SIDE:宿木 明>>



4週間ほど前……本誌にて発表されたアニメ情報で、遂に明らかになったその事実は



「は、初音……
 お前、髪黒かったのか!?」 

「うん……そーみたい」 



まさに、衝撃と言っていいものだった。



「し、知らなかった……14年も一緒にいたのに」 

「初音も初めて知った」



しかし、本人すら知らなかったと言う、その衝撃の真実を


 
「……でもまぁ……しゃーねーか?」 

「そだね……」 



オレたちは、不思議なくらいすんなりと、受け入れることが出来たのだった。
なぜなら



「だってオレ等一度もカラーページに出して貰えてないもんな」

「ねー」 



そう。
本誌連載でのカラーページ、単行本のカバーや返しの4コマとイラスト、Webサンデーでの壁紙その他……
果ては、椎名先生のHPにいたるまで

オレたち”ザ・ハウンド”は、今の今までただの一度も、カラーページへの登場を、許してもらえていないのだから。



「原作だとおまえ、金髪か銀髪に見えるしなー。
 けもっ娘の”先輩”の例もあるし……」

「おーかみ娘のシロさんは銀髪、キツネっ娘のタマモさんは金髪だったね……」

「あ〜、でもアニメと原作で色違うって場合もあるしな〜」

「アニメのマリアさん、ピンクだったね」



初音の髪の毛の正確な色なんて、モノクロじゃ解る訳ないのである。



「ふ、ふたりとも、そーゆーネタはちょっと……」

「……あ〜、そりゃー皆本さんはいいっすよね〜。
 何だかんだで、薫ちゃんたちと並ぶ主役だし? カラーページの常連さんですもんね〜」

「こみっくのカバーにも2回出た……」

「う……そ、そんなやさぐれなくても……」




おしまい
















【その3(『そのとおりになるのです帳』ネタです)】

<<SIDE:三宮紫穂>>



空から降ってきた幸運。
書いた事がホントになる、どんな願いでも叶う魔法のノート。

だけどそのノートがもたらしてくれるのは、決して幸せなことばかりじゃない。



「な、なんでや! なんで……」



時には不幸な結末を、もたらす事もあるのだと……
それを、彼女は――葵ちゃんは、身を持って私に教えてくれた。



「こ、このノート、書いた事がホントになるって魔法のノートとちゃうんか!?」 

「葵ちゃん……忘れたの?
 実現するのはあくまでも 『現実に起こりえる事』 だけなのよ」



そう、そのノートを使うには、いくつかの決まりごとがある。
そのひとつが、願い事は『あくまでも起こりえる事』に限ると言うこと。
実際には起こりえない、非現実的な願い事は、例えノートに書いたところで決して叶うことは無いのだ。



「そ、そんな……じゃあ、じゃあ……」

「そうね。
 葵ちゃんが書いたその”願い事”は……現実には”絶対”に起こりえないってゆーことね」

「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん」 



泣きながら、走り去る葵ちゃん。
私は――彼女に同情する。
仲間として、友達として、女として同情する。



「かわいそうな葵ちゃん……」



――胸を大きくしてください――
なのに、たったの1mmも、おっぱいが大きくならないなんて……



おしまい












【その4】

<<SIDE:明石 薫>>



「薫……大事な話があるんだ」



な、なんだよ皆本……あ、あたしまだなーんもしてないぞ?
皆本のカード使ってオトナのゴニョゴニョを通販しよーとか、それで朧さんをナニしちまおーとか……
ほんと、そんな事全然考えてないぞ?



「……おまえはまたそんな……いや、それは後回しだ。
 もっと大切な話がある」



う、な、なんだよ……そんな真剣な顔して……
そ、そ、そんなに見られたらあたし……
 
 

「いよいよ絶チルもアニメ化だな……」



……って、なーんだ。その話かよ?
ちぇー、期待して損したぜ……あたしはてっきり皆本が愛の告白でもしてくれんのかと……



「な、何をバカな……」



なんだよ、照れんなよ♪
相変わらず、セクハラしがいのあるやつだな〜♪



「いーからちゃんと聞きなさい!
 良いかい薫……
 アニメでは 下 ネ タ 禁 止 だからな!」



……あ〜あ〜はいはい、下ネタ禁止ね……って、ぇ?
ええーーーッ!? 

し、しし、下ネタ禁止って……な、なんでだよーーッ!?



「あのなぁ……そんなのあたりまえだろ?
 放映時間を考えろ、視聴者層を考えろ……深夜帯のアニメとは訳が違うんだぞ?」



そんな、そんな……!
だ、だって……だってあたし、アニメ用に、色々と”すっげぇ”の考えてたんだよ!?
【自主規制】 とか 【禁則事項】 とか、かーちゃんやねーちゃんから詳しく聞いて……



「ぶはっ!? お、おま……そんなん深夜でも放映できんわ!
 ってゆーか、健全な日曜朝のお子様アニメでおまえは一体ナニをする気だ!!」



そ、そこはホラ『ピーッ』って音入れたり、前番みたく『見せられないよ』って隠したりして……



「絶対ダメ! 
 せっかくアニメ化までこぎつけたんだぞ!? 打ち切りにでもなったらどーすんだ!!」



ひ、ヒドイ! ヒドイよ皆本!
あたしから下ネタをとったら、いったいナニがのこるってーのさ!?



「おまえのアタマにはそれしかないのか!?
 下ネタからはなれんかぁーーッ!!」



皆本のばかぁ〜!!




おしまい
















【その5(サンデー16号掲載分のネタです)】

<<SIDE:明石 薫>>



――胸が大きくしてください――コレが葵で……
――きれいな心になりたい――で、これが紫穂、と……



「で、君がお小遣いアップと……ふぅん、これが、キミ達の書いた願い事か。
 思ってたよりも普通で安心したよ」



んだと皆本ォ……?
そりゃーいったいどーゆー意味だコラ。



「べ、別に他意はないよ、うん。
 あ、で、でもコレ、あのノートのじゃなくって、ニセの紙切れなんだろ?
 どーしてそんな事したんだい?」



あー、それはもちろん、誰が皆本と懇ろになるかで――
って、そ、そんなんどーでもいーじゃん? い、い、色々あったんだよ。色々な?



「いろいろねぇ……」



それはともかく……いや、でも実際の所、ふたりのこの願い事って、叶わなくって良かったよなぁ〜。
まぁ、どうせホントに書いた所で、叶うわきゃねーと思うけどさ。

なぁ、皆本もそー思うだろ?



「どうしてだい?」

 

や、だってさぁ……そんなん全ッ然想像できねぇし……
ってーゆーかさ、そんな 『巨乳の葵』 とか 『キレイな心の紫穂』 とか、そんなん絶対あるワケねーだろ? 
メルヘンやファンタジーじゃねーんだからさー?



「そ、そこまで……」



やっぱ葵のおっぱいは地平線のよーにぺったんこ。
紫穂はコールタールみてーにドス黒い心でなくっちゃさ。
あのふたりからソレとったら、もーなんも残んないじゃん♪



「ふぅん……そうなの」

「薫が、ウチラのことどー思ってんのか、これでよぉ理解できたわ……」



……って、し、紫穂? 葵!?
ま、まさか、今の話聞いて……って、な、なんか怖いよふたりとも!?
真っ黒なオーラがたってるよ!?



「ねぇ、薫ちゃん……ちょっと『お話』があるの♪」

「ちょお、体育館裏までツラ貸しや……」



なにそのヤキいれ確定台詞!?
ってゆーか、体育館裏ってドコ!?

み、皆本……助け……



「ぁ……ぼ、僕はこれから仕事があるから!」



……って、皆本ォォーーッ!?
ひとりで逃げんなこの薄情者ーーッ!!



「さ、それじゃいきましょうか♪」

「ウチらとたっぷり『お話』しよーなぁ♪」



は、はひーーんっ!?




おしまい
















【その6】

<<SIDE:皆本 光一>>



「やっぱシマシマかな……それとも大胆にこのヒモのやつで……」

「清純派をアピールするなら、純白ってのもいいかもよ? 薫ちゃん」

「か、薫、紫穂……何をあんた等そんな嬉しそうに……
 て、ててテレビに映ってまうんやで!?」

「とか何とか言いながら、すいぶんと気合いの入ったの履いてるのね、葵ちゃん♪」

「か、勝手に透視すんのやめやーっ!?」



薄いブルー、ピンク、シマシマ。
イチゴ柄に、サクランボ柄。

山と積まれた、三角の小さな布切れを前にしながら、話を弾ませる薫達。



「なぁなぁ、皆本はどの”ぱんつ”がいいと思う?」

「んなっ!? み、皆本はんにそんなん聞くなや!?」

「何言ってるの葵ちゃん。皆本さんの意見は、しっかりと取り入れなきゃダメよ。
 いっちばん近くで見る人ですもの♪」



『絶対可憐チルドレン』アニメ化で、浮かれまくった3人を前に……


 
「アニメだもんな! たま〜〜にしかカラーの無い マンガと違って、毎週毎週色がついてて、しかもがっきがっき動いちゃうんだもんな!!」

「テレビの前の”大きなオトモダチ”にもばっちり見られちゃうんだし……ヘンなの着けるワケにはいかないわよね♪」

「う……そ、そらそーやけど……」

「絶対可憐チルドレンと言えばパンチラだからなっ! 気合い入れて選ばねーと!!
 いや、むしろパンチラと言えば絶対可憐チルドレンと……」

「か、薫ぅ……さすがにそれは……」

「パンチラしかウリが無い、みたいな言い方はどーかと思うわ」



僕はどうすればいいのか悩んでいた。
”それ”を、教えるべきか否か。
 


「よーし決めた!
 ホワイトデーに貰ったあの ぱんつ 履いてこーっと。
 …… 皆本からあたしへの『愛のプレゼント』っつー事でな♪」

「なっ……ま、まさか薫!?」

「アレはアニメ化を見越してのおねだりだったと言うの……
 侮れないわね……!」




…… テレ東はパンチラ『アウト』だって、教えた方がいいのかな……?













「あ、それから皆本。 ここにある ぱんつ ってさぁ……」
 
「ぜぇ〜んぶ皆本さんの名前で注文しといたから♪」

「そのうち請求書が行くはずや。
 だから……」

「「「支払いの方はよろしく〜♪」」」

「……って、おい!?」




おしまい
















【その7】

<<SIDE:明石 薫>>



長かった……本当に長い道のりだった。



『コラ薫! またおまえはこんなものを……』



クソマジメで融通の利かない、皆本とゆー障害を乗り越え……



『これなんかどう? すっけすけのシースルー』

『薫にはまだ早いわよ……せめてこのボンテージのヤツで』



”その道のプロ”である、母ちゃんと姉ちゃんから、心強いアドバイスを受け……



『大丈夫! 資金の事なら心配ないヨ! 
 国家予算から幾らでも……』

『局長……それはちょっと……』



局長とゆー頼もしい金づる……じゃなくて財布……でもなくて、えーと、えーと……

と、ともかく! 
万全の準備を経た上で、ついにあたしはこの時をむかえた!

絶対可憐チルドレン、アニメ第一話収録日……

さぁ、いよいよだ。
何百枚もの候補の中から、吟味に吟味を重ねたあげくに、選び出した珠玉の一枚!
見たもの全てを虜にする、スカートの中の最終兵器!
三角の布切れの形をした媚薬!!



「はーい、そろそろ撮影はじめまーす。
 チルドレンの皆さんは所定の位置に……」



あたし 明石 薫の ぱんつ を! 
チルドレン魅惑のぱんちらを!! 

テレビの電波で日本中にお披露目する時が遂にきたのだ!!



「あ、チルドレンの皆さんにお願いが……
 当局は パ ン チ ラ 厳 禁 ですので、そこら辺十分にご注意下さい」



へ……?
ぁ、え、ADさんいまなんて……



「えぇ、ですから、パンツを見せるのは絶対にダメです」



ぇぁ、な、な、なんでぇぇぇ!?



「え、だって、そんなの当たり前じゃないですか? 常識的に考えて。
 健全な朝のお子様アニメなんですから、スカートの中は鉄壁のパンチラガードにてお願いします」



う、ぅ、う、うがぁぁあああああああッ!!!



「ちょ、か、薫……お、落ち着……う、がふぁあッ!?」

「え? あ、ちょ、か、薫さん何を……ぎ、ぎにやあぁぁぁぁッ!?」













「あぁぁぁ……み、皆本はんが……スタッフが……
 コレは撮影延期やな……」

「残念だったわねー、薫ちゃん。
 今までの苦労が水の泡、ぜ〜んぶムダになっちゃうなんてねー」

「……なんやねん、その超棒読み……
 ってか、紫穂……アンタ、テレ東が 『ぱんちら禁止』 って、ホンマは最初から知っとったやろ?」

「えー、なんのこと?
 わたしぜんぜんわからないわぁ?」

「こ……この腹黒が……」

「葵ちゃんも残念だったわねぇ……
 皆本さんが手洗いしてくれた、そんなスッゴイ気合いの入った勝負ぱんつ履いてきたのに♪」

「だ、だ、だから勝手に透視すなや!!」
 



おしまい
チャットにてこのお話の作成に協力いただいた方々に心より感謝を。


その1は、此方のチャットでお話をしていた際に電波受信したお話です。

その2は、3週前のサンデー第13号の、アニメ情報より……
原作での初音嬢の髪は、銀髪か金髪かなと思ってたんですが、アニメの画での彼女の髪が(小さい画でしたが)黒っぽかったので、そっから連想したお話です。
正確には、ふたりもカラーページに出ていた事はあるのですが、”色”を確認できる状態じゃなく、それじゃモノクロと変わらないとゆー感じで。

その3は、本編現在展開中のエピソードより。
ノートで叶う願い事は、現実に起こりえることだけ…葵嬢のバストが慎ましやかなままのは、覆すこと不可能な確定事項のようなので。

その4は、放映時間帯が…あのハヤテの後枠なので、色々と大丈夫とは思うのですが。
実は、構想の段階でマッスルと兵部の似たようなネタもあり、どっちにするか迷った挙句主役の方を採りました。

その5は、16号のデス帳ネタで、葵嬢、紫穂嬢、ふたりがニセのノートに書いた願い事、ちょっと無理があるなぁと。
もしかして、叶わないって解ってたからこそ書いたのでしょうか?

その6は、放送局であるテレ東は、アニメでのパンチラが禁止っぽいので、どうするのかなぁと。
…アニメ情報では、薫嬢に剥かれるナオミちゃんらしき画がありましたが。

その7は、その6の続き……結局皆本さんは、薫嬢にぱんちら禁止を、教えられなかったと言う事で。


……色々と微妙なお話になってしまいました。


しょーもないネタではありますが、ツッコミ・ご指摘などいただけたら幸いです。

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