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俺の居場所

皆さんこんにちは。横島です。
俺ももう20歳。連載終了後も、俺達GSは日夜悪霊の除霊に追われています。

皆さんと会わなくなって早3年。まあ、いろいろあったわけで。
シロは、今後の人狼の繁栄のために花嫁修業中。タマモも、シロの付き添いで人狼の里に行ってしまいました。
おキヌちゃんは18歳でGS免許を取得。その後、ネクロマンサーは貴重な才能だってんでICPOに就職。今は、ピートと一緒に世界中を飛び回ってます。・・・アノヤロー・・・。おキヌちゃんに何かあったら、ただじゃおかねー。











・・・じゃなくて!!!!


今、私は人生最大の危機を迎えています。
え?また美神さんの下着を盗んだのかって?お風呂をのぞいたのかって?


違うのだよ。今日はまだなんにもしてない。・・・たぶん。








今日の仕事はけっこーしんどかった。俺と美神さん2人でやっとこさ除霊成功。
大きな怪我をしなかったのはラッキーだった。
報酬は俺の口からは言えない額。美神さんもお金もらってウキウキのはず・・・なのに。


元気がない。さすがにセクハラには敏感で、ちょっとドサクサに乳や尻やフトモモを触ろうとすると半殺しにされた。
でも元気がない。必要以上にしゃべろうとしない。
あいまいな返事ばかり。

わ、わたしはどうすればいいのでせう。
@理由を聞く。
    ・・・機嫌が悪かったら、俺は棺おけを準備せねばなるまい。
Aそのまま何事もなかったように、帰宅。就寝。
    ・・・安全。

や、やっぱA?命って大事だし!
でも気になる。ここはさりげなく聞いてみるか?
うまく相談にのれれば、もしかしたら冷酷な女王の仮面を脱ぎ捨てて俺への愛に目覚めるかも知れんし!!!
「・・・横島クン。」
は!美神さんの声!ようし、いまいくぞ令子ーーー!
「話をきけー!」ばきゃっ




数分後。俺はちょっと血まみれ。正座中。
「話を聞いていなくてすみませんでした。もいちどお願いします。」
美神さんは俺の顔じゃなく、窓のほうを見ていた。
「だから・・・独立する気はないのって。」
「え?」
美神さんは俺のほうを見ない。
「今日の仕事でも分かったでしょ。あんたの実力は私より上。・・・あんたは、日本を代表するGSであるわたしよりも・・・ずっと上なのよ。」

自分の心臓がバクバクする音がはっきりと聞こえる。こういうときって、意外と冷静なんだな、俺。
「俺の・・・GSとしての能力が美神さんより上だと、どうしてクビになるんですか。」
美神さんの背中を見つめる。
美神さんがゆっくりとこっちを向いた。
「あんた、そんなこともわかんないの?私はあんたのためにと――――」
美神さんの目が少しうるんでいる。
「み、美神さん・・・。」
「なによ・・・。あんたは、もうクビよ。」
美神さんはきびすを返し、机で書類整理をはじめた。
「・・・。」
言葉が出ない。どうしていいかわからない。
確かに、俺の能力はもうずっと昔に美神さんを超えていた。
わかってた。
いつかはこの事務所を出て行かなければならないことを。
「なにぼーっとしてんのよ。そこに、紙があるでしょ。退職金よ。・・・・・・それで、新しい事務所でも開きなさい。」
美神さんの声が聞こえる。















そろそろ、巣立ちのときってことか。
俺はゆっくりと立ち上がる。
「いままでありがとうございました。」















3日後。事務所の看板ができあがった。
業者に頼んで事務所の上につけてもらう。

事務所から美神さんがでてきた。
「ちょっとっ?!な、なんなのこれ?!」
「あ、美神さん!ひさしぶり!」手を振る。
「久しぶりじゃないわよっ!ひとんちの事務所でなにしてんのよ?!」
美神さんがすごい顔でこっちに向かってくる。
「だって、美神さん。あんな額の退職金じゃ、事務所なんて立ち上げられませんよ。だから・・・。」
看板のほうを指差す。
「だからなにしてんのよって・・・・・・え?
 これって・・・。」
看板を見つめてぼうぜんとする美神さん。
「これなら、美神さんも文句無いですよね。」
美神さんは、我に返ったように俺のほうを振り向く。
「横島クン・・・。」


さあ、横島。お前の覚悟を見せろ!!この3日間でお前は何を考えていたんだ!!・・・よ、よし!いくぞ!


「美神さん。あんたみたいな人間のそばにいれるのって、世界中探しても俺ぐらいですよ。」
美神さんの目を見る。
「美神さんの・・・そばにいたいんです。」
美神さんの目は赤い。
「・・・給料これ以上は上げないわよ。どんなになっても、あんたの給料はその日の稼ぎの10分の1だからね・・・。」
「十分です。」
顔を押さえて泣く美神さんの肩を、そっと引き寄せる。
「死ぬまでずっと、一緒ですよ。」








俺の名前は横島忠夫。
20歳のGS。
所属事務所は・・・












美神・横島除霊事務所。
初めての小説です・・・。はずかしい。
ぶっちゃけ、どこで改行していいのかすらわかりませんでした・・・。

読んでくださって、ありがとうございます。
ところで、横島クンの給料、すごく悩みました。でも、20歳になってもあの時給じゃ問題ありだし。あれぐらいでいいでしょうか?美神的には大フンパツかな。

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