★サンデー47号の絶チル『ランチをめぐる冒険(2)』の、不二子ちゃんのサプリメント4コマよりのネタです★
<<SIDE:不二子さん>>
「兵部京介との出会い?
…………もう忘れちゃったわ」
……なーんて、ね……
忘れる訳無いじゃない。
今は敵対しているとしても、京介クンは大切な、不二子の”弟”なんですもの。
『は…はじめまして』
彼が、お屋敷に来たときの日のことは、まるで昨日の事みたいに鮮明に思い出すことが出来る。
小さな背筋をしゃんと伸ばして、かっちかちに緊張して……
お父様が引き取った、超常能力者の男の子。
それが京介クンだった。
『まぁ、かわいい。あたくしを姉と思ってくださいね』
『は、はい!』
もちろん、彼がお屋敷へきたのは、後々に起こる戦争に備えて能力者たちを一人でも多く……
そんな、オトナたちの小汚い思惑があってのことだったけれど。
でも、不二子達にはそんなのはまるで関係の無いことだった。
あの頃はまだそーゆーの、よく解ってなかったしね。
不二子達はいつも一緒で……
そう、血なんか繋がっていなくても、本当の姉弟みたいだった。
ご飯のときも寝る時も、遊ぶ時も訓練の時も
小さかった不二子の後を、もっと小さな京介クンが、てけてけ必死に追いかけてきて……
京介クンは、本当に素直でとてもいいコだった。
それなのに……どうしてかしらね?
今の彼があんなになっちゃったのは。
ちっちゃい頃の京介クンは、あんなに可愛かったのに――――
『さぁ、京介クンこれを着なさい!』
『ぇ、ええ!? こ、これ不二子さんのドレスじゃ……し、下着まで!?』
『そうよ! 京介くんカワイイから、きっとすごく似合うと思うの♪』
『い、いやですよ! だってボク男の子……ぁ、い、痛い! 痛いです!!』
『んまー、あたくしに逆らうなんて生意気な!
姉に逆らっちゃうよーな悪い子にはオシオキがひつよーねっ♪』
『ぁ、ああッ!? や、やだ、グリグリはやめて! ぎゅーはいやぁ! あ、ああ、ゆるしてくださぁい!!』
『ほほほほほほほ♪』
――あぁ、そうそう。
あの時の京介クンは、本当に本当にかわいかった〜♪
まるでホンモノのオンナのコみたいで……ズボンよりもスカートが似合う男の子なんて、今も昔もそうはいないわ。
あんまりカワイイものだから、お屋敷中を連れまわして、みんなにみせてあげたのよね。
そして、最後は写真にとって……
京介クンてばそのあいだ、ずーっとえぐえぐ泣きっぱなし……あの頃の彼は泣き虫だったな。
何かあるとスグに泣いたの。
『さぁ、京介クン、きょうはお医者さんごっこをするわよ!』
『ぁ、ぁ、あの……』
『もちろわたくしが女医さんで、京介クンは患者さんね♪
そーゆーわけだから……脱いで♪』
『え!? あ、ど、どーして……』
『なにいってるの。脱がなきゃ診察できないでしょー?
すみからすみまで触診するから、上も下も残らずぜーんぶ脱ぎなさい♪』
『い、いやです! ぁ、ああっ、な、なにを!?』
『やかましいわねー! 男らしくぱぁっと脱げばいいのよ!
このあたくしがてつだってあげるわ!』
『あ、や、やめ、やめてください!
い、いやだ! い、いやああっ!?』
『ほーらこれですっぽんぽん♪
……あら、こっちのほーもかわいいわね♪』
『う、うわーーーーんっ!!』
――――な〜んて。
あの時はマジ泣きしてたっけ……別にみられたって減るものじゃないのにね〜。
ほかにも……色々あったわねぇ。
一緒にお風呂に入ろうとして――――恥ずかしがって嫌がるもんだから、無理やり湯船に放り込んだり。身体の隅々まで洗ってやったり、とか。
一緒のベッドで眠ろうとして――――でも、朝起きたら京介クン、ベッドの外に蹴り飛ばされてて――不二子、寝相わるかったのよね♪――とか。
ふふ……懐かしいわぁ。
あぁもうホント……京介クン、昔はかわいかったのになぁ。
それがどーして、あ〜んないじけてひねくれた、ヤなヤツになっちゃったのかしらね〜?
「アンタだよアンタ! みんなアンタの所為じゃないかぁ!!」
「ちょ……ぼ、ボス!? どーしたんですかいきなり!?」
「ぜんぶ……ぜんぶ不二子さんが悪いんだぁっ!!」
「だ、だれかー! 少佐が……少佐が壊れたー!!」
おしまい
Please don't use this texts&images without permission of 偽バルタン.