展開予測掲示板

はじめは横島クン、だった。
しばらくするとよこしまぁ、とかアンタも混ざるようになった。

いつからだろうか。アンタ、としか言わなくなった。

――――アンタね！
―――――――アンタはもう！
――――アンタ、なに考えてるの！

アンタ！
アンタ、アンタ、
アンタ、アンタ、アンタ、
アンタ、アンタ、アナタ、アンタ、
アナタ、アンタ、アンタ、
アンタ、アナタ、
アナタ………‥‥‥


アナタ。

アナタ、あなた。

あなた。

いつからだろう。
この言葉にこんなにも心が震えるのは。

いつからだろう。
この言葉をこんなに自然に言えるのは。


「あなた」


もうかえない。
絶対かえてなんかやらない。


あなたの手、あなたの胸を見ながら口にするたびに胸が熱くなる。

でも、私の口は「あなた」につなぐ言葉を紡げない。

それはずっと前からあなたに、あなただけに言いたかった言葉。
あなたへの愛の証。

　　もし無視されたらどうしよう。
　　もし嫌がられたらどうしよう。
　　もし拒否されたらどうしよう。
　　もし逃げられたらどうしよう。


ううん。迷うことはないのよ。

あなたはね……
　　ずっと私を見つめてくれた。
　　ずっと私を追いかけてくれた。
　　ずっと私をたすけてくれた。

　　きっと私を見つめてくれる。
　　きっと私を追いかけてくれる。
　　きっと私をたすけてくれる。


大粒のキャビアとLouis Roederer Cristalのロゼをあなたの口に捧げる。
私たちを照らすのはハートアロマキャンドルの柔らかな甘いひかり。

この日のために取り寄せたの。


さあ！　思い切って。
思いの丈を込めて。


後ろからしなだれかかってあなたを縛る言葉を耳にそうっとふきこむ。
甘やかな髪に散らした夜間飛行をお供に。

「あなた……































……　お小遣い月２．５５万円ね」


うなずいた。やっぱりうなずいてくれた。
私はひろい背中をぎゅうっと抱きしめる。

「あなた」

もうかえない。
絶対かえてなんかやらない。

世界でなによりもいっちばん大好きなあなた。