★このお話は、横島クンが人類の裏切り者として、逆転号にて三姉妹のもと、快適なペットライフを送ってるころのお話です★
<<SIDE:ルシオラ>>
ベスパ! パピリオ! みてみて!
「なんだいコレ……でっかいタコ? それともイカ?」
「イソギンチャクかもしれまちぇんよ? ベスパちゃん」
んもうっ……ナニ言ってるの、違うわよ!
メフィスト転生体捕縛の為に、人間界に送り込む新しい魔物に決まってるでしょ?
昨日漸く完成したのよ。
「なーんか卑猥なヤツだねぇ?」
「まぁまぁベスパちゃん……ルシオラちゃんて、きっと美的センスがアレなんでちゅよ」
うぐ……た、確かに見た目は良くないかもしれないわ?
ぬちょんぬちょんだし、うねうねしてるし……
でもね? それは魔物の素材に、近場の海で獲ってきたタコとイカとイソギンチャクを使ってるからであって私の所為じゃ……
そ、それに! 見た目なんか関係ないでしょ!? 問題は性能よ、性能!
「そっちの方も期待薄だねぇ」
「ルシオラちゃんはマッド何とかでちゅからねー」
くふっ……な、なんかさっきからひどい事いわれてる気が……
ふ、ふん! まぁ、いいわ。
今回は『人界に詳しいアドバイザー』の意見を取り入れてるんだから……今までのやつとは違うわよ!
この私の自信作”触手クン1号”の実力を見て、2人とも腰を抜かすが良いわ!
「うわぁ……名前までそんなんかい……」
「まんまでちねぇ」
うるさいわよ! そこ!
触手クン1号〜……機動ぉぉぉぉっ!!
”にょろにょろ〜っ!”(鳴き声)
ふふふ……どう?
驚愕のあまり声も出ない?
「……いや、動くとますます卑猥だなぁって……」
「……コレ、成年マークとか付けた方が良くないでちかね?」
く……ま、まだそんな事を。
ま、いいわ。それじゃスペックの説明をするわね?
触手は全て伸縮可能。大きさもサイズも自由自在よ。
一度捕まったら最後、絶対に逃げられないんだから!
感覚はとっても鋭くて、捕まえたエモノの”弱点”を瞬時に探り当てちゃうの。
オマケに触手の先端は、床の上に落ちたシャーペンの芯が拾えちゃうほど器用な動きをする事が……
”にょろにょろ〜っ!!”
「きゃ、きゃあッ!?」
「や、やーーん!?」
……って、ちょ、ちょっとナニやってるの!?
違う、違うわよ、触手クン1号! その二人は違うんだってば!!
ベスパとパピリオはエモノじゃないの!
だから襲っちゃダメ〜!!
”にょろにょろ〜♪”
「な、なにすんだい! は、放せ! 放せ〜〜!!」
「こ、こらぁ!? な、なにする気でちゅかーーっ!?」
た、大変! 触手クン1号が暴走しちゃった!!
ベスパとパピリオ、あっという間に触手クン1号に捕まって、身体中触手でぐるぐる巻きに……
……う〜ん、あのふたりが手も足も出せないなんて……なんてハイスペックなのかしら!
さすがは私の作った魔物ね♪
「……ぁ、あふっ!? こ、こら! ドコに潜り込もうと……ぁ、や、そ、そこは!?」
「ひゃ、ひゃううっ!? す、スカートをめくるなー! ヘンな所さわっちゃだめー!?」
……クッ! ベスパってば、なによそのボンレスハムみたいな身体は!?
ぐるぐる巻きの触手の間から、おっぱいやらお尻やらむっちむちのがハミ出して……ちょっとおおきすぎないかしら!?
ホント、なんであの娘だけあんな発育いいのよ!? 同じ姉妹なのにぃ〜……
それとパピリオ! あなた、そのパンツは一体ナニよ? 勝負下着のつもりなの!?
色気づくにはまだ早いでしょうが!?
「ちょ、ね、姉さんコイツ止め……あ、ひ、ひうッ!?」
「ひーーん!! や、やめてぇ〜!?」
……って、それどころじゃない!
それどころじゃないわぁぁ!!
ちょっと触手クン1号!
あなたいい加減にしな……って、ひゃ、ひゃあ!?
”にょろにょろにょろ〜〜♪”
「ちょ!? ね、姉さんまで捕まってどーすんだい!?」
「ルシオラちゃんのおバカぁ〜!!」
わ、私まで……ちょ……
あ、や……だ、だめ……そ、そんなトコ、ぁ……
や、やめなさい! 私はお前の創造主よ!?
お前のご主人さまなのよーっ!?
それを……ぁ、ひゃうんっ!?
”にょろにょろにょろにょろ〜〜♪”
「きゃあああ〜〜っ!?」
「いやーーーーん!?」
ど、ど……どーしてぇ!?
どーしてこーなっちゃうのよーーーーー!?
* * * * * * * *
う、ぅぅぅ……ひどい目にあったわ。
ベスパがブチ切れて、逆転号の外壁ごと触手クン1号を消し飛ばしくれてなきゃ……
私達、別の意味で腰が抜けちゃう所だったわ。
てゆーか昇天確実?
「そんなことより姉さん!! こりゃいったいどーゆーことだい!?」
「ルシオラちゃん〜〜!!
なんでちかあのエロエロなマモノはー! 全ッ然可愛くないでちゅよ!!」
あ、えっとね? あれはね?
近場の海で取れた素材を”触手”とゆー持ち味を活かしつつ掛け合わせて……
「そーゆー事を聞いてんじゃないよ!」
「なんで私達を襲うんでちかー!!」
えー……だ、だってポチがね?
『触手は美少女と絡んでなんぼじゃー!』って言うから……
「はぁぁアッ!?」
「ポチがぁ!?」
ひぅっ!?
に、人間界じゃそれが常識だって……だからその、女の子を襲うようなプログラムをね?
だ、だってほら、メフィストって女だったんでしょ? だったら転生した姿も、女だって可能性が高いしさ。
あとついでに、どうせ人間界に送り込むんだったら、人間に詳しい方がいいカナーって……人界に詳しいポチの思考パターンのコピーをとって触手クン1号の中枢に……
……ぁ……も、もしかしてそれがいけなかったのかしら?
「なに、それじゃ『人界に詳しいアドバイザー』ってポチの事かい!?」
「ポチのヤツぅ〜〜! 後でみっっっっちりお仕置きしてやるでちゅ!」
あ、あはははははははは……
そーね、うん。
それじゃ今回の事はみーんな、ポチが悪かったとゆー事でぇ……
「姉さんも姉さんだ! あんなやつのいうコト真に受けてんじゃないよっ!!」
「ルシオラちゃんうかつすぎでちゅ!! ちゃんと反省してるんでちゅかー!?」
や、やーねぇ♪
そんなに怒らないで……
ほら、みんな無事だったんだし……過ぎた事は水に流しましょ?
「ねえさぁ〜〜ん!?」
「ルシオラちゃ〜〜ん!?」
ひ、ひーーん!?
ご、ご、ごめんなさぁ〜い!
許してぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
――オマケ――
「土偶羅よ、それが今回の騒ぎの真相という訳か……」
「……はい。アシュ様……危うくこの逆転号が沈んでしまう所でした」
「フム……」
「それで、その……ルシオラたちの処罰の方は……」
「『触手は美少女と絡んでなんぼ』か……フフ、解ってるじゃあないか」
「……は?」
「横島忠夫……彼とは、美味い酒が飲めるかもしれんな」
「ぁ、アシュ様ーーっ!?」
おしまい
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