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美神の想い


 GSという仕事は、不注意や油断からの細かいミスでも、時に命に関わる。

 もっとも、あのバカはそんなんで大怪我はしても、死なないような気が何となくだけど、根拠もないけど、やたら確信もってするので、実のところあまり心配はしていないのだが。

 それでも目の前でやられると、ちょっと説教をくれてやらねば気がすまなかったりする。


「ほんま、スンマセンっした!」

「まったくもう、次はないわよ? じゃ、少し待っていなさい」


 というわけで。さっきまでの仕事で、ささいなミスをした横島クンへの説教を終えて、ちょっと自分の部屋まで、とある書類を取りに部屋を出る。 

 ミスをするのは相変わらずだが、でも、まあ、それ以上に役に立ったり、活躍したりもするようになった事だし。


「まあ、何とか及第点ってとこかしらね?」


 正式にGSとして認めてやって、給料とかの待遇を、少し考えてやってもいいかな、とは思うのだ。





 さて、アイツはこの正社員採用の書類を受け取ったらどうするだろう?

 何となく、ガタガタ震えて怯えるような気がして腹が立ったが、その怒りは実際に目の前でやられてからブツけるとしよう。


「待た…」


 ドアを開け、横島クンに声をかけようとして――――

 私は、それが出来なかった。

 彼が、うずくまっていたから。

 肩を、ふるわせていたから。

 多分……泣いていた、から。

 そして…………夕日が、窓から赤い光を差し込ませていたから。



 あの時の事は、間違いなく横島クンの傷になっていたと思った。

 だから、できるだけ触れないようにしてきたし、本人もそうしていた。

 いつか時が傷を癒してくれるまで、そっとしておこう。私もおキヌちゃんもそうしてきた。

 それは――間違いだったんだろうか?

 今、目の前の光景の様に。ふとした瞬間に、蘇ってくる想いに……独りで涙を流すような。

 そんな事を、放っておいたのだとしたら……


「横島クン……」


 いつもよりも小さく見える、彼の肩に手を置いて。

 それから、私は彼を抱きしめようとして…………


「美神さん…………あ……












 足の小指を、打ちました……」



「そんなオチかい!」


 ボディへの渾身の一撃をお見舞いした。

 あー、もー。どうせ、こんなこったと思ったわよ!

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