ザ・グレート・展開予測ショー

重力の井戸の底で(後)


投稿者名:NEWTYPE[改]
投稿日時:(00/ 7/18)

「横島君?遅いぞ!」
「すんません。でも・・・・いや、なんでもないっス。」
「よし。前進だ。」
西条の言葉でMK-Uを含めた西条の部隊は、木々の間をジャンプし前進する。
ジブローの洞窟、第一滑走路に続く格納庫前では数台のタンクが猛烈な火線をしいていたが、滑走路わきのジャングルから潜り込んだタマモたちのMS隊がそれを突破していった。
「ガルーダだっ!」
タマモは滑走路奥の巨大な洞窟に格納されてある無傷のガルーダを発見していた。
「ガルーダにはやっぱり手をつけないよね・・・・・」
タマモは安堵した。
地球連邦軍でもICPOでもガルーダを傷つけようと思わないのは貴重な機体であるからだ。
ガルーダは史上最大の機体である。
それを捕獲し自軍の戦力として考えると迂闊に破壊することはできない。
「三機はここに固定よ!残りはエリア1に突入するわ!ガルーダの側にいれば死にはしないわ!」
タマモはそう言うと、ディアスをジブローの洞窟深く、エリア1へ向かって侵入させていった。
ジブロー第五洞窟の出入り口は、第一の洞窟よりも遥かに小さい。
黒煙を上げるMSの脇を西条の十式と、横島のMK-U、ノモが飛び込んでいった。
「洞窟の中・・・・・!?」
暗い岩肌が圧迫感を感じさせた。
バウッ!!
ビームが洞窟を真っ白にする。
MK-Uが伏せた。
「・・・・・敵さんはどこまでいるんだ・・・・・?」
横島は、赤外線センサーで洞窟の中を探りながら西条の十式に従った。
中は、照明が少なく薄暗い鍾乳洞である。
一機のザックが待ち構えていた。
その照準の中にディアスが捕らえられ、ザックのライフルが発射した。
バウゥゥゥ!
爆発がすさまじく反響するが、自動調整のモニターは反響音を殺してくれる。
「うわっ!」
シロのディアスのアーマーがほとんど吹き飛ぶ。
後続のジェムが、その火線のあった方向を射ち、ビームが交錯し干渉してその閃光が洞窟内に溢れた。
崩れる鍾乳石。吹き飛ぶ石筍・・・・。飛ぶザックの機体。
「無駄弾は撃つなでござる!奥へ行くでござるぞ!」
シロは、外部スピーカーに繋がっているマイクで怒鳴りディアスをさらに奥に進ませた。
ジブロー洞窟内のエリア1には、小都市があった。
その天井近くにある第五洞窟の出入り口から、MK-Uと西条の部隊がバーニアを噴射しながら舞い降りてきた。
そして、着地する後続のノモ機の間に立った西条の十式はうめいた。
「この静けさは、おかしい。ジブローに戦力がない・・・・・?」
西条はあらためてMK-Uが応酬しあってる方向を見たが、このエリアの敵の数にしては、あまりにもおそまつな数であると思えた。


その近くの別の小洞窟の闇の中を、雪之丞の部隊が粛々と移動していた。
かすかな光をキャッチするセンサーだけがたよりであった。
「ここをスペースノイドの自由にさせてたまるか。地球は俺達の故郷なんだ・・・・・」
雪之丞の自尊心が言わせることである。
「・・・・・・・?」
雪之丞たちの視界が開けエリア3の大空洞が現れた。そして、ヘッドライトの光がエリア2の方向から押し寄せてきた。
トラックやジープなどで避難してくる地球連邦軍の将校達の姿であった。
「簡単に避難しやがって・・・・・!」
雪之丞は、マラッサをその退路によせてコックピットから身を乗り出した。
「奥はどうなんだっ!?」
「エリア1は完全に制圧された!」
「どうしてだ!そんなに簡単にここを明け渡しやがってっ!!」
「抵抗するだけの戦力は、ここには残っちゃいないんだよ!」
彼らは雪之丞をまともに相手にしようとはしなかった。車が、雪之丞隊のMSの足の間をすり抜けようとした。
「なんだとっ!]
[どこの部隊の者だ!ジブローはもうないんだよ。引っ越したんだよ!」
その将校を乗せたジープは一気に出口の方に走り出していた。
「・・・・・?」
雪之丞は、その将校の言うことが分からなかった。
侵入しようとする鍾乳洞の奥から、地を揺るがす低い爆音がマラッサの足元を揺すった。
「冗談じゃねぇ・・・・!!」
雪之丞はコックピットに戻るとマラッサを前進させた。


エリア1のビルの谷間にある広場で西条の十式とシロ、タマモのディアスが合流していた。
ハッチから出るシロは、バイザーをあげた。
「おかしいでござるな。エリア1のビルのほとんどが空でござる。」
「そうだな・・・・・」
西条もハッチから出て、周囲の空気をうかがった。
確かに周囲から小競り合いの戦闘音が響いてくるのだが、エリア自体は閑散としていた。
「カオス教はここを引き払ったんでござろうか・・・・・?」
「はめられたか・・・・」
カオス教が、地球連邦政府の勢力を掌握してゆくためにカオス教独自の拠点を設営することは十分に考えられた。
「先行したメドーサさんからも音信普通だしね。」
タマモもコックピットから出てきた。
「捕虜を尋問してくれ。どこに引っ越したか、吐かせるんだ!」
「了解でござる!」
西条はもう少し全体の状況を把握する必要があると感じた。

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa