ザ・グレート・展開予測ショー

早苗の来た日 (GS美神)


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(06/ 9/28)

早苗の来た日


「あ、いたいた!早苗お姉ちゃん、こっち、こっち!」

「あ、おキヌちゃん、久しぶりだべさー!」

久しぶりに会って手を取り合って喜ぶおキヌちゃんと義姉の早苗。

「かわりないようだな、元気そうな顔を見て安心しただよ。おキヌちゃん。」

「早苗お姉ちゃんも元気そうで何よりです。」

早苗は夏休みを利用して東京におキヌちゃんに会いに来たのである。

「ごめんな急におキヌちゃんに会いに行くなんて言って、迷惑だったんじゃねえか?」

「ううん、美神さんや横島さんもお姉ちゃんに会えるのを楽しみにしてるよ。」

「うーん、美神さんはともかく横島さんはなー…」

「どうして?まだ横島さんの事怒ってるの?」

「そだな、横島さんとはいろいろとあっだからな。あのスケベ性犯罪者め!」

ゴゴゴゴゴゴ…

両拳を握りしめて肩を震わせ怒りをあらわにする早苗。

「あははは……、」

横島のことをスケベ性犯罪者といわれても何も反論できないおキヌちゃん。

「それにしても、あの子は何であんな奴のことを…」

「え?何か言った?お姉ちゃん。」

「い、いや、何でもねえだ。こっちの話だよ。」

おキヌちゃんに向かって何でもないと手を振る早苗。

「シロちゃんとタマモちゃんもお姉ちゃんに会いたがってたよ。」

「うん、おキヌちゃんの手紙に書いてた人狼と妖孤の二人だべ、わたすも会うのを楽しみにしてるだよ。」

というわけで事務所に向かうおキヌちゃんと早苗。


「ただいま帰りましたー、美神さん。」

「お帰りなさい。おキヌちゃん、早苗ちゃんもいらっしゃい。」

「久しぶりだべ美神さん、しばらく厄介になるだ。」

「ふふふ、自分の家だと思ってゆっくりしてってね。」

美神が笑顔で早苗を迎える。

「へー、この人がおキヌちゃんのお姉さんなんだ?私タマモっていうのよろしく。」

「拙者、シロでござる、よろしくお願いするでござる。」

「わたすは早苗、よろしくタマモちゃん、シロちゃん。」


「あれ、横島さんはいないだか?」

「横島クンならもうそろそろ出勤してくる頃だと思うけど?」

「お姉ちゃん、横島さんに用があるの?」

「うん、明日横島さんにデートして貰いたいと思っているだ。」

ぴしし!


その早苗の一言によってその場にいる全員が固まった。

「さ、早苗ちゃん、今なんて?」

最初に硬直から解けた美神が今の言葉を聞いた自分の耳が信じられないという顔で早苗に問い直す。

「はあ、横島さんに明日デートして貰おうと…、わたす何か変なこと言っただか?」

きょとんとした顔でみんなの顔をみる早苗。

「ほら、明日のためにデジャブーランドのアベック入場券も用意してるだよ。」

早苗はデジャブーランドの入場券を全員に見せる。

「でも、お姉ちゃんは横島さんのこと…」

おキヌちゃんは駅で早苗から聞いたことを問い質そうとする。

「ちーす、横島忠夫出勤しましたー!」

その時事務所のドアを開けて横島が入ってきた。

「あれ、早苗ちゃんじゃないか?来てたんだ?久しぶりだね。」

早速、早苗の手を取る横島。

ミシ!

手を握った瞬間、横島は顔面に早苗の渾身の右ストレートを打ち込まれる。

「おおお!」

たまらず吹っ飛ぶ横島。

「はっわたすったらなんて事を…、大丈夫だか?横島さん。」

はっとする早苗、どうやら早苗の横島に対するパンチはかつてのトラウマによる条件反射になっているらしい。

「ふふふ、相変わらず素晴らしいパンチだね早苗ちゃん、君が男だったら確実に世界を狙えるよ、残念だ。」

と言いながら何事もなかったように立ち上がる横島。

さすがは横島というところか、彼も世界を狙えるだろう、ただしタフネスさだけだが。

その時横島しか気づかなかったが、ふっと早苗の気配が変わった。

「ああ、ご、ごめんなさい横島さん、もう早苗ったらなんて事をするのよ!」

「え?さ、早苗ちゃん?」

気配の変わった早苗は横島に何事か耳打ちした。

「え?き、君は?」

「…そうか、わかったよ。」

早苗に耳打ちされた横島は真面目な顔になり早苗に答える。

だが、周りにいる者達には早苗の耳打ちが横島に抱きついて首筋にキスしたように皆に見えた。


「横島クン!」

「横島さん!」

「センセイ!」

「ヨコシマ!」

「あああ、なんでいつも俺が?」

横島の弁解の声を誰も聞いてはいなかった。







翌日 デジャブーランド







というわけで次の日、早苗に誘われてデジャブーランドに来た横島。

「横島さん、デートの誘いを受けてくれて嬉しいです、ありがとうございます。」

「いや、俺こそ誘ってくれてありがとう、今日は楽しもうよ。」

「はい」


そしてその二人を物陰に隠れて追う怪しさ爆発の四人の人影。

何故か四人ともこの暑いのにサングラスに帽子、黒のトレンチコートを着込んでいる。

そのうち一人は白い尻尾をはやしていた。

「あらら?手を組んだわよ。」

「何故?本物のお姉ちゃんならここで右ストレートが炸裂するはずなのに?」

「もしかしたら、あの早苗どのは偽者でござるか?」

「そんなことあるわけ無いでしょう?馬鹿犬!」

「拙者は狼でござる!」

等という怪しい会話をしている四人。

その四人の周りだけ他の客が避けて通っている。


「ねえ横島さん、これに乗りましょうよ。」

「え、いきなりこれから?」

早苗が最初に指さしたのはこれは怖いと評判の絶叫ジェットコースターだった。

「ぎゃーー、ぎゃーー、ぎゃーー、ぎゃーー!!!助けてくれーーー!!!」

横島の顔が恐怖でゆがんでいる。

「きゃははは、きゃははは、きゃははは!!」

早苗は喜んでいるようだ。

ちなみに上から横島、早苗の叫び声と歓声である。


謎の四人組がヨコシマ達の乗っているジェットコースターを見つめる。

「くそー、横島のくせに楽しそうね、なんだか腹が立つわ!」

「あのー、横島さんのあれは楽しんでるんでしょうか?」

「センセーっ、拙者も、拙者も一緒に遊びたいでござる。」

「……ヨコシマ……」

「でも変だな?なんだか早苗お姉ちゃんがお姉ちゃんじゃないみたい…」

そして横島は早苗に振り回される形でデジャブーランドの中を駆け巡った。

「横島さん、次はこれ!」

「えーと、次はこれ!」

横島も早苗の言うとおりに笑顔で一通りのアトラクションに付き合った。

そして謎の四人組も横島達の後を追う。

「でも、不思議ね、横島クンが早苗ちゃんにセクハラする様子も見せないなんて?」

「はい、まるで横島さんじゃないみたいですね。」

「センセー!拙者は拙者は…グスン」

「確かに変よね…」

確かにセクハラをしない横島は横島じゃない。

さらに横島好みの巨乳の美人がたくさんいるのに軟派する気配も目もくれない。

四人はこの怪奇現象に首を傾げる。


そんな四人の思惑をよそに横島と早苗はある場所で足を止める。

そこはデジャブーランド内にある教会だった。

そこでは花嫁衣装を貸し出して記念写真を撮ってくれるのである。

「横島さん、今日の記念に一緒に写真を撮って貰っていいですか?」

早苗は恥ずかしそうに横島に言う。

「え、いいのかい?でも俺と一緒に写真に写るのは……」

「いいんですそれでも、私が横島さんとデートした記念になるのなら。」

「そうか…」

一瞬、横島の顔が暗くなる。

そして花嫁衣装のドレスを着て出てくる早苗。

「えへへへ、やっぱり恥ずかしいです。」


「………」

自分でもしらずに指をくわえて見ている令子。

「お姉ちゃん綺麗……嘘でも横島さんと…羨ましいな。」

「センセーの横は、あそこは拙者の場所でござるー!」

「はいはい、わかったから落ち着きなさい、馬鹿犬!」

シロをなだめているタマモも気が気ではないようだ。


「そうだ、出来るかどうかわからないけどやってみよう。」

横島は文珠を出すと念を込める。

すると早苗の身体が輝きだした。

早苗の姿が光の中で変わっていった。


「あ、あれは、お姉ちゃんの親友の綾さん!?」

姿の変わった早苗の顔を見て驚くおキヌちゃん。

「「「え?」」」

「綾さんは先月事故に会って……お姉ちゃんの手紙にはそうありました…」

「そうか、そういうことだったんだ…私、わからなかった…」

「どういう事?おキヌちゃん。」

「綾さんは早苗お姉ちゃんのクラスメイトで一番の親友なんです。」

「早苗お姉ちゃんに横島さんのことを聞いていて横島さんに凄く憧れていたって聞いてます。」

「なるほどそうだったの、おそらく凄い勘違いで横島クンを美化しちゃったのね、じゃあ早苗ちゃんはその子のために…自分の霊媒体質を使って…」

「はい、たぶんそうだと思います。」

シロとタマモは黙って美神とおキヌちゃんの会話を聞いていた。


「これでいいだろ?綾ちゃん」

にっこりと笑って姿の変わった早苗を見る横島。

そして鏡を見て驚く綾。

「これ、私の…」

「さあ、写真を撮って貰おうよ、綾ちゃんの姿でさ。」

「ありがとう!横島さん。」

二人は記念写真を撮って貰った。


こうしてデジャブーランドでのデートは終わった。







JR東京駅







早苗が帰る日がやってきた。

「おキヌちゃん、美神さんも横島さんもシロちゃんタマモちゃんも色々世話になっただな、とっても楽しかっただよ。」

「ううん私も楽しかった。」

「ねえ、早苗お姉ちゃん、綾さんのことだけど…」

「ああ、気づいていただか?綾がどうしても横島さんと会いたいと言うんでな、協力してやっただよ。」

「まったく、本当は一緒に東京に来る予定だったんだけんど、事故にあって足折って全治一ヶ月の大怪我しちまって、綾もついてないだよ。」

「えええ、綾さん生きているんですか?」

「何驚いているだ?もちろんだ、足以外はぴんぴんしてるだよ、元気すぎて困るくらいだよ。」

「じゃ、私の勘違いだったんだ、よかった。」

綾が元気でいることを知って安堵するおキヌちゃんだった。

「でも、綾にとっては横島さんとデートも出来たし、いいお土産も出来たし、本当に良かっただよ。」

「それに、わたすも今回のことで横島さんのことちっとは見直したしな。」

「え?」

「実は綾に身体を貸してやってる間も意識はあったんだ、横島さんが近づいただけで殴ってたら洒落にならないべ、おかげで横島さんの事少しはわかっただよ。」

「えええ?」

「おキヌちゃん、あんたももっと積極的にならんと!ライバル多いだよ、誰かに横島さんとられちまうだよ、わたすも応援してるからしっかりな。」

「う、うん、ありがと早苗お姉ちゃん。」


こうして早苗は故郷に帰っていった。

















10番惑星にございます。

相変わらず突っ込みどころ満載のお話ではございますが、平にご容赦を

ああ、皆様石を投げないでください。

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