ザ・グレート・展開予測ショー

暑い夏はアイスでも食べて過ごしましょう


投稿者名:アルト
投稿日時:(06/ 9/22)

「……」

「…あつい〜」

「……」

「…あつい…」

「……」

「あつい…」

「…判っているからちょっと黙って」

「…おぅ…」


この日気温にして31度。
確かに横島がこうも愚痴を言うのも仕方ないといえるだろう。

だが何を言ったところで涼しくなるわけではない。
ソファーに座るタマモはぐでんと横になって極力熱を出さないようにしている。


「何でこんな暑い日にエアコンがぶっ壊れてるんだよ」

「横島が設定温度を最強でずっと動かしてたせい…」

「いや違うんだよ、普段狭い部屋で扇風機もない生活を送ってるんだぞ。そしたら事務所にいる間だけでも涼しい想いをしたいじゃないか。そもそもは美神さんがもっと俺の時給を上げてくれれば俺もそんなまねをする事も無くだな「黙れ」…ぅぃ」


タマモもどうやら相当頭にきているらしい。
「も」というのはもちろん美神のことである。

彼女は横島のせいでエアコンが壊れていることを知ると神通棍で彼をしばき倒した後で
「修理の業者が来るまでどっかで涼んでくるから留守番お願いね」と愛車を走らせどっかへ出かけてしまった。


「ねぇ横島、ほんとに文殊でないの?」

「嘘言っても仕方ないだろ。多分次に出るのは明後日くらいだと思う」

「…つかえない」

「おい、俺だって散々努力はした「黙れ」…すんません」



(あ〜、どうしようもないぞこれ)



「先生!ただいまでござる!」

「ただいま横島さん。タマモちゃんだいじょぶ?」

「おう、二人ともお帰り」

「馬鹿犬うるさい」

「拙者狼でござる!!」


シロはいつものごとくぎゃんぎゃんとタマモに噛み付く。
灼熱ともいえる炎天下を買い物に行った筈なのに狼少女はずいぶん元気のようだ。


「おいシロ、ただでさえ暑いんだからそんなに騒ぐなって」

「先生は女狐の見方をするでござるか?」

「当たり前でしょ、第一こんな暑い中なんでそんなに元気にしてられるのよ」

「ふん、普段からぐうたらしているからそんな風になるでござる」

「もうタマモちゃんもシロちゃんもそれぐらいにして。ほらアイス買ってきたから、タマモちゃんはどれ食べる?」


手に持っているビニール袋の中からいくつかのアイスを取り出した。


「…オレンジ」

「拙者はきゃらめるでござる!!」

「あ、俺そのチョコのやつがいいな」

「はい、どうぞ。美神さんはまだ帰ってないですか?」

「うん、あの感じじゃしばらくは戻らないと思うよ」

「そうですか、じゃあ美神さんのは冷蔵庫にしまっておきますね」


ぺろぺろ

そんな擬音譜がよく似合う風景。

ちょっとした涼もとれ雰囲気も若干良くなったようだ。

しかし…


「はむ、ん。…横島さんどうかしましたか?」

「え!いやなんでもない!!なんでもないったらなんでもない!!」

「そうですか?」


タマモにシロはいいのだ。

何がいいかって?

二人はカップのアイス。

おキヌちゃんが食べているのはミルクバー。

バー、つまり棒。

ミルク、つまり白。

それを口開けてほうばっている。

その光景はなんとも扇情的というか男の目には毒というか。

ぶっちゃっけエロい。


「先生アイスが溶けてるでござるよ」

「おわっしまった!」

「なにやってんのよ」


この事務所唯一の男には毒は毒でも猛毒になるわけである。


(あかん、あかんぞ俺!おキヌちゃんをそんな目で見るなんて!!しかし男として妄想しないのは女性に失礼ではないのか?いや、けどおキヌちゃんをそんな目で見た日には俺はひどい悪人になってしまうのじゃ無いだろうかと思ったりで、くそどうすればいいんだ俺の純情!!)


「あれ、横島。文珠出来てるじゃない」

「え?…あ」

「横島さん最近作ったばかりだから今日は無理そうって言ってませんでしったけ?」

「あ〜、そのはずだったんだけど…」

「さすが先生でござるな!」


(ごめんよおキヌちゃん)

心の中でそっと謝って、文殊に念じる。


「あー「涼」しい」

「気持ちいいでござるな」

「そうだ今のうちにご飯の用意してきますね」

「うん、この効果なら一時間は持つから」

「はい、すぐに作っちゃいます」


エアコンの修理が終わるまであと二時間。
文殊の効果は約一時間。

そうなると一時間はまたあの暑さの中で過ごさなければいけない。


「横島もう一個できないの?そうすれば涼しい部屋にいられるのに」

「いやさすがに無理だろ。これだって偶然出来たのに」

「やっぱり涼しいほうがいいでござるぅ〜」


まあ方法が方法だけにそうできるものではない。
後一時間後あの暑さに耐えることにしよう、と決心する横島。

そのとき外から車の排気音が聞こえる。
どうやら彼女が帰ってきたようだ。


「ただいま、あれ?まだ修理終わってないわよね?」

「うん、文珠で涼しくしたのよ」

「横島君?さっきは出ないって言ってなかったっけ(怒?」

「いや、あのそれがたまたま出来ちゃってですね…」

「…まあいいわ、それよりアイス買ってきたんだけど食べる?」


机の上に置かれた箱は白。

大きな文字で書かれているのは…


「アイスならさっき食べたんだけど」

「あら、そうなの?せっかく買ってきたのに」

「拙者もうひとつ食べられるでござる」

「ま、さっきとは違う味だしいっか。あ、でもおキヌちゃんはさっき食べたよね「ミルクバー」」

「そういえばそうでござるな」

「大丈夫よ、二つくらいなら食べたって。おキヌちゃん、アイス食べましょ!」





…どうやらあとの一時間も涼しく過ごせそうだ。


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