ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫のナンパ曜日 【改訂版】


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(06/ 9/19)

横島忠夫のナンパ曜日 【改訂版】前編



「再生怪人は弱いってのが、お約束なんだよ、メドーサ!!」

「ま、またこいつに!うぎゃーっ!」

アシュタロスとの戦いのさなか、そして運命のあの日、コスモプロセッサーで復活したメドーサは横島の【滅】の文殊の攻撃を受けてふたたび消滅したかに見えた。

「く、超加速!」

だが、消滅する寸前メドーサは超加速でかろうじて脱出に成功する。

しかし、肉体に大ダメージを受けた状態での無理な超加速の使用はメドーサの魂をも大きく傷つけてしまった。

その結果、記憶喪失。


超加速が解けた時、メドーサは自分が何者かわからなくなっていた。

「ここはどこだ?私は誰だ?何故こんな所にいる?」

「それに何故、こんな大怪我を負っている?」

身体に大きなダメージを負い、立っている事もままならずその場に座り込む茫然自失のメドーサ。

その時である。

「うわー!助けてくれー!」

「きゃー!」

メドーサの耳に人間の悲鳴が聞こえた。

悲鳴の方向を見ると二人の初老の男女が悪霊に襲われていた。

「ちっ!」

「うおおおー!」

メドーサは無意識にその傷ついた身体で悪霊と襲われている男女の間に飛び込みかろうじて霊波砲で悪霊を倒す。

そして、それがメドーサの最後の力だった。

その場に倒れ気を失うメドーサ。

「おい、君!しっかりしろ!だいじょ……」

「あなた!この子酷い怪我を……」

メドーサが最後に聞いたのは男女の自分を呼ぶ声だった。






白井病院の病室






「ふ、うっうんっ」

「あっここはどこ?」

メドーサが次に目を覚ましたのは病院のベッドの上だった。

「おお!目が覚めたんだね!」

メドーサは声のする方を見ると自分を見る優しそうな初老の男性の顔があった。

「よかったわ!三日も目を覚まさないから本当に心配したのよ。」

そしてその男性の隣に男性と同じ年齢と思われる女性がいた。

「ありがとう。君のおかげで助かったよ。命の恩人だ。本当にありがとう。」

男性と女性はメドーサの手を取り何度も頭を下げた。

その二人は若月と名乗った。

二人は夫婦であり、かなりの資産家でもあった。

メドーサの記憶喪失がわかると子供に恵まれなかった若月夫妻は命の恩人である彼女を自分の家に養女に来るように勧めた。

自分が何者かもわからないメドーサは今は彼らに頼ることにした。

「で、あなたの名前なんだけどどうしようかしらね?何かいい名前があるかしら?」

義理の母親になった婦人がメドーサに尋ねる。

しばらく考え込むメドーサ。

「…メリッサ。」

「え?」

「メリッサと呼んでください。」

「メリッサ?かわいい名前ね。わかったわ。よろしくねメリッサ。」

こうして人間としてメドーサ=メリッサの新しい人間としての生活が始まった。

そして見た目14,5歳くらいの少女の外観のメリッサは夫妻の知人が理事長をしている学園の中等部に転入することになった。







それから数ヶ月が経った。






「坊や、あぶない!」

「轢かれる!」

キキキキキーーー!!

暴走車が横断歩道を渡っていた子供に突っ込もうとしていた。

だが子供が轢かれる寸前、暴走車の前に飛び込む影があった。

影は間一髪の所で子供を抱きかかえると大きく跳躍した。

そして誰もが轢かれたと思った子供が暴走車から少し離れた所できょとんとしていた。

「子供は無事だぞ。」

「おお、奇跡だ!」

その現場から駆け足で立ち去るセーラー服の長い銀髪の少女がいた。

子供を救ったのはメリッサだった。

「ああ、なんとか間に合って本当によかったあ〜…、へへへ、上手い具合に誰にも気づかれなかったようだし。」

「当たり前の事して大袈裟に騒がれたくないもんね。」

メリッサは呟いた。





その日の放課後





「ねえねえメリッサ、今日暇だったら帰りにみんなでいつもの甘味処によってかない?」
数人の同級の女生徒に声をかけられるメリッサ。

「いいよ。今日暇だしみんなに付き合うよ。」

誘われたメリッサは彼女たちに満面の笑顔で答える。

「よっしゃー!!これで全員揃ったね。さあ、突撃だよー!」

リーダー格らしい少女が大きくかけ声をかける。

きゃーきゃー騒ぎながら歩いていく少女達。


その少女たちを離れたところから監視している二人の人物がいた。

「あの少女が目標のメリッサという娘か?ジーク。」

「はっ!ワルキューレ大尉、あのメリッサという少女から微弱ですがメドーサと同じパターンの霊波と魂の波動が出ている事を我が諜報部が調査確認しています。」

「メドーサ本人であることは間違いないかと」

「なるほど、奴は人間になりすまして我々の追跡を逃れているというわけだな。」

「はい。」

「メドーサか…」

アシュタロスの消滅以降、彼の部下であった魔族の多くは魔界軍に捕まっていた。

しかし一部の者達は魔界軍の追跡の手を逃れていた。

そしてその中には人間界に逃走潜伏している者もいる。

ワルキューレ達はその人間界に逃走した魔族の追跡逮捕の任務も受けていたのだ。

「そうだな明日、仕掛けるか…」

「ジーク、明日メドーサを捕らえる。貴様は作戦の準備をしておけ。それとメドーサの監視を怠るなよ。」

「はっ!大尉」

ジークはワルキューレに敬礼するとそのまま転移していった。

ワルキューレは諜報部からの報告書を読み直す。

「この一ヶ月のメドーサの行動は諜報部からの報告では人間界に上手く馴染んでまったくぼろを出していないようだ。ふん、上手く化けたものだな。」

「が、今は大人しくしているからといって、奴の過去の悪行を看過するわけにはいかんからな。」

そしてワルキューレもその場から姿を消した。






若月邸、メリッサの部屋






メリッサは最近になって悪夢を見るようになっていた。

自分が邪悪な魔物となって大勢の人間に死と不幸をもたらしている夢である。

それは夢というにはあまりにもリアルだった。

そして、あまりの恐怖に目が覚める。

「はあはあはあ……」

「私は誰なんだろう?」

ベッドに潜り込んでいたメリッサは自分の記憶が無いことに強い不安を感じていた。

彼女は義理の父や母、友人達の前では気丈に明るく振る舞っているものの、一人になればやはり考えてしまう。

最近見るようになったリアルな悪夢、そして自分が持っている不思議な力もその不安を増幅するものだった。

それは明らかに人間以上の身体的能力、視力、聴力等の超感覚、そして極めつけは友人が悪霊に襲われたとき無意識に撃った霊波。

「パパやママをを助けたときも霊波を放っていたと聞いたし……」

彼女は両親を助けたときの事は何も覚えてはいなかった。

今の両親は自分が人間であるかないかに関係なく、そして本当の娘ではない自分に限りない愛情を注いでくれている。

そして友人達も本当に親しく優しく自分を思いやってくれる。

それは確かに嬉しいことだった。が

もし夢の中に出てくる残忍な魔物が自分の本当の正体だとしたらという思いが彼女の心に暗い影を落としていくのだった。

メリッサはその晩眠ることが出来なかった。






日曜日 公園






メリッサは一人で近くの公園に来ていた。

ここは彼女のお気に入りの場所で彼女は気が落ち込むと此処に来ていた。

いつものベンチに座って以前から気になっている青年を捜す。

「あ、いたいた!」

その気になるお目当ての青年はいつもジーンズの上下を身につけ頭にバンダナを巻いて元気にナンパしまくっていた。

その青年こそ我らが横島忠夫である。

「あ〜あ、相変わらずナンパに精出してるな〜。それにしても何度断られても挫けないのね〜」

「全く懲りないお兄さんだよね。見てて面白いけどさ。」

勿論、彼がナンパに成功しているところを見たことはない。

でも彼のくったくのない笑顔を見ているとメリッサは心が温かくなるのだった。

メリッサは一度も話をしたこともないその青年のことを以前から知っている気がしてならなかった。

何故かは知らないが自分は彼を知っている。

「あーあ、あの人私にも声をかけてくれないかな〜?話くらい付き合ってあげるのにって、私ってそんなに魅力ないのかな〜〜?」

自分からはちょっと恥ずかしくて横島に声をかけられないメリッサだった。

まあ、下心丸出しでナンパにいそしんでる変態=横島に声をかける勇気[?]のある女性はほとんどいないとは思うのだが。

さらにメリッサは横島の性癖までは知らなかった。

ナンパするのは胸の大きな年上の美人の女性。

それが横島忠夫のナンパにおける一大ポリシーだった。

「俺はロリコンじゃない!ないんだー!」

他の事ではノンポリの代表といえる横島だったがこれだけは絶対譲れないものだった。

「確かに最近、妙に色気づいてきたシロやタマモにどきどきすることは希にある。しか〜し、何があってもこれだけは譲れんのだ!!」

変な所で常識人である男横島忠夫、魂の叫びであった!

というわけで確かにメリッサは美少女だったが横島のナンパする女性の守備範囲を外れていたというわけである。


「さーてと、少し散歩してから帰ろうかな。」

愉快な横島を見て気分が落ち着いたメリッサは公園の奥に散策に向かった。


ナンパを止めそのメリッサの後ろ姿を見ている横島。

その顔はさっきまでのおどけた顔ではなく真剣な表情であった。

横島は一ヶ月ほど前から公園に姿を現したメドーサに良く似ているメリッサに注目していた。

「あの子、おそらくメドーサじゃないよな。しかし…」

そして彼女に普通の人間とは違う気配を感じていた。

それが気になってそれとなく彼女を監視していたのである。



メリッサがしばらく歩いていると急に霧が立ちこめてきた。

「あれ?霧だ。珍しいな。え?」

メリッサが急に出てきた濃い霧に驚いていると、霧の中から数人の魔界軍兵士が飛び出してきてメリッサを囲んだ。

「な、なに?なんなの?」

そして、驚くメリッサの前に立つ魔界第二軍所属特殊部隊大尉ワルキューレと情報部士官ジーク・フリード少尉。

「貴様が若月メリッサだな。だがその正体はメドーサ。」

「え?メドーサ?なんのことですか?」

突然の事に怯えながらメリッサは目の前のワルキューレに答える。

「ふん、この期に及んでまだとぼけるつもりか?メドーサ!!」

「すでに貴様がメドーサであるという調べはついているのだ。大人しく捕まればよし、抵抗するのならばこの場でお前を滅ぼしてもかまわんのだぞ。」

「待ってください!私は本当にメドーサなんて知らないんです。」

メリッサはワルキューレに訴える。

「見苦しいぞメドーサ!かまわん捕獲しろ。」

取り囲んでいる兵士のうち三人がメリッサに飛びかかる。

メリッサは巧みに兵士たちののタックルをかわしてその場から逃げようとする。

だが見えない壁に阻まれて逃げられない。

「ふふふ、逃げようとしても無駄だよメドーサ。この周りは強力な結界で外界と切り離してある。いかにお前でも絶対に逃げられん。」

冷酷な顔でメドーサを見据えるワルキューレは銃を抜きメリッサに銃口を向ける。

「最後の警告だ。これ以上抵抗すれば本当に射殺する。」

そういいながらもワルキューレはメリッサに妙な違和感を感じていた。

この娘が本当にあの狡猾で残忍なメドーサならこの程度の抵抗で済むわけがない。

確かに先ほどの動きは人間以上だったが本物のメドーサのそれには遠く及ばない程度のものだ。

それにこれだけ追いつめられてもこの娘はほぼ無抵抗なのだ。

何か策を考えている様子もない。

「ジーク、この娘は本当にメドーサなのか?」

ワルキューレはジークに問いただした。間違いないのかと。

「はっ!間違いはないと思います。」

返答するジークもまた戸惑っていたが、諜報部の報告は100%信頼できるもののはずだった。

「そうか…」


「私は本当にメドーサという魔物なのですか?」

メリッサは意を決するとワルキューレに問いただした。

「そうだ。」

ワルキューレの短いが確信に満ちた返事はメリッサの胸をえぐった。

「ではあの夢は本当のことだったの?あの残忍な恐ろしい魔物が私だったんだ。」

メリッサは確信して、そして絶望した。

もし、何かのきっかけで記憶を取り戻したとき、自分はあの残忍な魔物に戻ってしまうかもしれない。

そうなったら優しい両親や心を許した多くの友達にも手をかけてしまうかもしれない。

それだけは絶対に死んでも嫌だ。

それはメリッサにとって自分が死ぬ事以上の恐怖だった。


そしてメリッサは自ら死ぬ覚悟を決めるのだった。


「ふふふ、そうよ。私はメドーサよ。あんた達には捕まりはしないよ。たとえ滅ぼされてもね!」

そしてワルキューレに襲いかかるメリッサ。


「危ないワルキューレ大尉!」

ドキューン!ドキューン!ドキューン!

魔界軍兵士達の放つ銃声が結界内に鳴り響いた。












前編終わり 続きます。











10番惑星でございます。

この作品は「横島忠夫のナンパ曜日」の【改訂版】前編です。

誰も読んでくれんよなあ、こんなの…

相変わらず突っ込みどころ満載、稚拙な文章、さらに面白くない話ですが一応改訂版を出すと言ったからには恥を承知で投稿します。

趣味と自己満足に走った作品ですので、その辺平にご容赦ください。

ああ、どんどん展開予想から離れていくような気が…

まあそれをいったら拙作の「横島忠夫の人生色々!」なんぞはもはや展開予想ですらなくなってんですけどね(笑)

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