ザ・グレート・展開予測ショー

忘れ去られた文珠使い (3) 最近の妙神山の事情


投稿者名:hiy-Leo
投稿日時:(06/ 9/ 9)




 横島は、腰をさすりながら、修行場までの山道を登っていた。

 「あ〜腰痛え、俺も歳かな?」
 「横島、おぬし場合ただたんに身体が鈍ってるだけじゃ、普段から身体だけは動かしとけ
と言っておいたはずじゃが?」
 「いや〜、デスクワーク中心なもんで、それにしても珍しいスッね老師が出て来るなんて」

 横島は、そう言うと振り返り背後から声をかけてきた斉天大聖老師を見た。

 「お久し振りです老師」
 「ウム、久しいのう横島」

 横島は、頭を下げた。

 「処でおぬしに頼んでおいた物は如何した?」
 「はい、ちゃんと買ってきましよ」
 「そうか、・・・すまんが今渡してくれんか?」

 老師は、周囲の気配を探った後近くにあった大岩に腰を下ろした。

 「いいですけど、何かあったんですか?」
 「小竜姫に見つかると、ちとマズイんじゃ」
 「小竜姫さまですか?」

 老師は、煙管に火を点けて一回吸うと、バツの悪そうな顔で横島を見た。

 「半年位前から小竜姫に内緒で、パピリオと一緒に下界のゲームセンターによく行っとた
んじゃが、最近小竜姫にバレテのう、パピリオ共々謹慎させられておったのを脱け出して来
たんじゃ」
 「ゲーセンってパピリオは兎も角、老師が妙神山から離れて良いんですか?」
 「心配無用じゃ、わしが本気を出せば小竜姫どころか神界や魔界にすら気付かれる事など
無いわ」

 (ゲーセンに行く為に本気出さないで下さいよう)

 横島は、内心呆れながら老師の話を聞いていた。

 「あれ?、でも如何して小竜姫さまにバレタんですか?」
 「それはのう、ゲームセンターで”カードゲーム”とかゆうもんにハマッてしまってのう、
4種類のカードゲームの全てのカードを”デッキ用”、”保存用”、”トレード用”と一応
三枚づつ集めたんじゃが」
 「如何したんですか?」
 「ちと金を使い過ぎてしまってのう、・・・横島、最近最新のゲーム機が数台出たのを知
っとるか?」
 「はい、確かそれぞれ一台10万位した様な・・・」

 横島は、老師の話を聞きながら、横島の頭の中にアル考えがよぎった。

 「まぁ、まさか小竜姫さまにバレテ謹慎させられた理由って、もしかしてパピリオを使っ
てつつ・・・」

 ”ゴッン!”

 老師が煙管で横島の頭を思いっきり叩いた。

 「ぐっうぉぉぉ・・・」

 横島は、頭を抱えながら転げ回っていた。

 「バカ者が!、わしは神族じゃぞパピリオがいくら魔族だからと言って”そんな事”させ
る訳ないじゃろが、横島二度とその様な事言うで無いぞ」
 「スッ、スイマセン老師」

 横島は、慌てて立ち上がり老師に頭を下げた。

 (そうだよな、いくら老師がゲームの為だからってパピリオに”あんな事”させる訳ない
よな、じゃあ・・・)

 「老師、なら如何して小竜姫さまにバレたんですか?」
 「それはのう」
 「それは?」
 「小竜姫の財布からちとシッケしたのがアヤツにバレテのう」

 横島は、ズッコケた。

 「ろぅ、老師〜」
 「アヤツは、真面目過ぎて遊ぶ事を知らんから金が貯まる一方でのう」

 老師は、横島の嘆き声が聞えないように話を続けた。

 「わしも昔は、小竜姫と同じで余り金を使わなかったもんでな、100年程前に神界で有
り金全てを1000年定期にしてしまってのう」
 「じゃがな人間界で”ゲーム”が開発されてからは、金がいくらあっても足らん様に為っ
てしまったわい」

 老師は、自慢げに高笑いをうかべていた。

 ”キラ”

 「うん、何だ?」

 横島が、老師の話を呆れながら聞いていると、何かがわずかに光ったのが目に入りその方
に目を向けた。

 ”ズゴーン” 

 「えっ?」

 横島が突然大きな音がした方を見ると、先程まで老師が座っていた大岩が跡形も無く消し
飛んでいた。
 その後には、一本の神剣が突き刺さっていた。

 「アレは小竜姫の剣と同じ物?」

 そう呟くと横島が、空を見渡すと老師と小竜姫がニラミ合いながら対峙していた。

 「チッ!、外れましたか」

 小竜姫が残念そうに舌打ちした。

 「このバカ弟子が!、今本気でわしを狙ったじゃろ・・・・・・今のはちと危なかったぞ」
 「当たり前です!、逃げられないようにし・っ・か・り・と狙いましたから」
 「ぬぅ・・・本気じゃな」
 「既にパピリオは捕まえました、さぁ老師アナタも大人しく投降して、私のお財布から持
ち出したお金を返して下さい」
 「無理じゃ、もう全部使ってしまったわい」
 「なぁ、何ですって」

 小竜姫は、大気をも震わせる程の叫び声を上げた。

 「新しいカードが入っておってのう、何とか全部手に入れる事が出来たわい、おかげでス
ッカラカンに為ってしまったがな」

 老師は、そう言うと懐から財布を取り出し、「何も出んじゃろ」と言いながら財布を逆さ
まにして見せた。

 (ゲーセンの帰りだったのかよ)

 「・・・老師」
 「何じゃ小竜姫」
 「一度ならず、二度までも・・・」
 「仏の顔も三度と言うじゃろ、そんなに目くじら立てんでも」
 「為らば、私が直接仏罰を下します」

 ”剣よ”

 小竜姫が手をかざしてそう唱えると、神剣が小竜姫の手の中に納まった。
 そして小竜姫は、老師に対して構えた。

 「小竜姫よ師匠であるわしに勝きか?、お主ではまだわしには勝てんぞ」
 「ならば今こそ老師を越える時です、弟子の成長にも気付かずこっ酷く負かされた哀れな
師匠に為って下さい老師」
 「自分の力量も解らず師匠に楯突くバカ弟子には、ちときつめの灸をすえてやらんといけ
んようじゃな」
 「あのう・・・」
 「いざ尋常に・・・」
 「二人供落ち着いてく・・・」
 「・・・勝負」

 
 そう言い終えると二人は横島の言葉も聞かず、”超加速”状態で戦い始めた。
 斉天大聖老師と小竜姫の本気の戦いは、場所が妙神山内という事もあり力の制限が無く壮
絶なものだった。
 しかし”超加速”状態での戦いのため横島には知覚する事が出来なかった。

 ”バァシーン”

 あちらこちらで二人の激突した衝撃の余波が、大気を震わせ周辺に被害を出していた。
 横島は、その衝撃の余波をかわすすべも無く、山の岩肌に体ごとめり込んでいた。

 ”バァシーン”

 「うぉっ、あぁ・・・し、死ぬこのままじゃ死んでしまう、 ”バァシーン” うぉっ、
うがぁ・・・」

 ”バァシーン”

 横島は、そんな状況でも辛うじて意識を失わなかった。
 二人の”超加速”での戦いが始まって一分程過ぎた頃突然衝撃の余波が治まった。

 「おっ、終わったのか?」

 ”ドォーン”

 大気の震えが納まり横島が、何とか岩肌から脱け出そうともがいていた時、横島の目の前
で今までで一番大きい激突が起きた。
 横島の体は、より一層岩肌にめり込んでいった。

 「もぅ・・・だめ」

 そして横島の意識は、深い闇の中に堕ちていった。






 『ふっふっふ・・・!、洗濯は完了・・・!!』
 『また一歩野望に近づいた!!』
 『ぷっ、くすくすくす・・・!』
 『!!』
 『なーに、そのヘンなかっこう!?』


 ・・・ルシオラ?


 『ちょっといいながめでしょ?』
 『へええー!、ちょうど陽が沈むとこっすね・・・!』
 『昼と夜の一瞬のすきま・・・!』
 『短時間しか見られないからよけい美しいのね』


 自分の寿命の事言ってたんだろうな


 『あっ、しまっ・・・・・・・・・!!』
 『!!』
 『ポチ  !?』
 『あっ、し・・・・・・しまった!!、何やってんだ、おれは!?、せっかくのチャンス
なのに!?』
 『つ、つい反射的に・・・、今からでも遅くない手を放せば』


 ・・・手を放せるわけ無いよ


 『もっとおまえの心に  残りたくなっちゃうじゃない・・・!』
 『・・・・・・・・・・・・・・・!!』
 『敵でもいい、また一緒に夕焼けを見て・・・・・・!』
 『ヨコシマ!』


 心に残りたいか・・・、今でもちゃんと心に残ってるよ


 『ル・・・ルシオラ・・・・・・・・・!!、一緒に逃げよう!!』
 『ヨコシマ、な・・・何言い出すのよ!?』
 『アシュタロスの手下なんかやることないさ!』
 『あいつは・・・あんたら全員使い捨てにするつもりなんだろ!?、だったら』
 『寿命だって、俺たちんとこに来りゃなんとかなるって!!』
 『夕焼けなんか、百回でも二百回でも一緒に!!』
 『ヨコシマ・・・・・・・・・!!、本気で、言ってくれてるの?』
 『俺は本気だよ・・・・・・だから、な!?』
 『おまえ・・・優しすぎるよ』


 この時は、一緒に逃げれば本当に何とか為るって思ってたんだよな


 『アシュタロスは、俺が倒す!!』
 『な、何ムチャクチャ言ってるのよ!?、そんなこと、おまえに・・・』
 『無理じゃねぇッ!!、俺にホレたんなら、信じろ!!』
 『今までずっと、化け物と戦うのはほかの誰かで、俺はいつも巻きこまれれて手伝ってき
たけど・・・』
 『でも今回は、俺が戦う!!』
 『寿命のこともあとでなんとかしてやる!』
 『必ず迎えに行くから・・・・・・!!、だから待っててくれ・・・!』


 もっと早くこの決断が出来てれば、あの結末は変わったのかな


 『急がなくても、・・・今の私たち、時間はちゃんとあるんですもの』
 『私は逃げたりしないから、ね?』
 『ルシオラ〜』


 この時は、本当にずっと一緒に居られると思ってたんだよな


 『イジメじゃないの?』
 『おキヌちゃんも美神さんもそんなことしないわよ!』
 『私たち、こないだまで人間なんかなんとも思っちゃいなかったのよ』
 『今だって・・・・・・表面は愛想よくしてるけど、まだすぐにはなじまないわ』
 『あせる必要ないって、ゆっくりと少しずつなじんでいけばいいって、俺がついてるから』
 『ヨコシマ、ありがとう本当にありがとう、・・・・・・おまえを好きになって本当によ
かった』


 これが一緒に見た最後の夕焼けになるなんて、思いもしなかったな・・・


 『ルシオラ!、ルシオラへんじしてくれよ』
 『”回復”』
 『ごめんねヨコシマもうダメみたい』
 『”復元”』
 『どうして、どうして文珠が効かないんだよ、おまえのおかげでパワーアップしたはずな
のにどうして』
 『”再生”』
 『ヨコシマ今まで本当にありがとう、最後にね魔族にとって生・・・まれかわりは別れ・
・・・・・じゃな・・・・・・いか』
 『”蘇生”』
 『最後とかいうなよ、・・・ルシオラ?』
 『”  ”』
 『ルシオラ、消えるなよお願いだから消えないでくれよ』


 「『ルシオラ!』」

 横島は、飛び起きてあたりを見渡した。

 「修行場の客間?」
 「おや、気が付いたのかい?」
 「へっ?」

 横島が、声のする方見ると、部屋の入り口にべスパが立っていた。

 「べスパ?、・・・久し振りだな何年ぶり位だっけ」
 「さぁね憶えてないね、・・・久しぶりヨコシマ」

 べスパは、横島に近づくと横島の隣に腰を下ろした。

 「ここって妙神山の修行場か?」
 「あぁそうだよ、ヨコシマがここに来た時に何時も使ってる部屋だって、小竜姫が言って
たよ」
 「ヤッパリそうか・・・」
 「そういえば、おまえって最近結構ココに来てるんだって?、パピリオが前に言ってたぞ」
 「まぁね、でも私が任務で来るのとあんたがココに来る時期が重なったのって初めてだな」
 「そうだな」

 横島とべスパが話していると、小竜姫が部屋に入って来た。

 「横島さん気がつかれましたか」
 「あっ、小竜姫さまお久し振りです」
 「久しぶりですね横島さん、先程はお見苦しいとろをお見せしてしまって申し訳ありませ
ん、体の方は大丈夫ですか?、一応治療は下のですが・・・」

 横島は、小竜姫に言われて自分の体の状態を確認した。
 所々包帯が巻かれたいたが、さして問題は無いようだった。

 「大丈夫みたいです」
 「そうですか、それは何よりです」

 小竜姫は、本当にすまなそうに横島に頭を下げた。

 「小竜姫さまが謝らないで下さいよ、処でいったい何があったんですか?」

 小竜姫は、少し考えた後話し始めた。

 「そうですね横島さんは、既に巻き込んでしまってますしお話した方が良いですね」
 「お願いします」
 「わかりました」

 小竜姫は、そう言うと一呼吸おいてからはなし始めた。

 「老師とパピリオが半年位前から頻繁にココを脱け出して、人間界に遊びに行くようにな
ったのが始まりでした」
 「確か老師も言ってました、けど小竜姫さまにも神界や魔界にすら気付かれてないって言
ってましたけど?」

 横島は、小竜姫と老師の言っている事の矛盾に頭をひねった。

 「確かに、私も最初老師もココを脱け出している事には気付きませんでした」
 「あぁ老師達が、小竜姫さまの金に手をつけ始めてから気付いたと?」
 「いいえ、違います証拠は有りませんでしたが、それ以前から何となくですが気付いてい
ました」
 「じゃあ何で気付いたんだい?」

 これまで無言で横島達の話を聞いていたべスパが、小竜姫の矛盾を指摘した。

 「私が気付いたのは、老師ではなくパピリオの方なんです」
 「パピリオですか?」

 小竜姫は、無言でうなづいた。

 「パピリオが魔界軍に入った後ですから・・・」

 小竜姫は、アゴに手をあてて少し考えていた。


 パピリオは、5年程前に妙神山での修行が一段落ついた為、姉であるべスパ同様に魔界軍
に入隊していた。
 しかし、魔界軍入隊後もジークフリードの後任の魔界の留学生として妙神山で修行を続け
ていた。
 妙神山の修行の成果か、この16年でパピリオの外見は、中学生かギリギリ高校生に見え
る位までには成長していた。
 そしてべスパは、パピリオが魔界軍入隊後は留学生のレポート回収と言うめいもくで、半
年に一度の割合で妙神山に来るようになっていた。


 「そうですねかれこれ5年程前からでしょうか、その頃からパピリオが月に一度程こっそ
りと、ココを脱け出してたんですよ」
 「5年も前から?、アレ半年前って・・・」

 横島は、小竜姫の話が理解出来ずに頭を抱えていた。

 「パピリオ本人は、私に気付かれてないと思っていたようですが、私は魔界軍からの任務
かと思いましてパピリオの行動を黙認していたんです、魔界軍からの留学生といっても私に
は任務を邪魔する権限はありませんから」
 「一寸まって?」

 小竜姫の話を聞いてべスパが突然声を上げた。

 「私はパピリオにそんな任務があるなんて聞いてないよ、それに今までのレポートにもそ
んな事書いて無かったし」

 横島は、その話を聞いて小竜姫の眉がピクンと少し上がり怒りで顔が引きつったように見
えた。

 「そぅ、ですか、私はてっきり人間界の様子を観察する任務でレポートを書いているのか
と思ってましたが、・・・これではパピリオのお仕置きを更にキツクしなくてはいけません
ね」
 「しょ、小竜姫、殺さない程度で頼むな」
 「大丈夫ですよ、・・・・・・多分」

 横島とべスパは、殺気のこもった笑顔で不気味に笑う小竜姫に寒気を感じていた。
 小竜姫は、しばらく不気味に笑い続けていた。

 「・・・あっスイマセン話がそれてしまいましたね」
 「いいえ、お気に為さらずに続けてください」

 正気に戻った小竜姫に顔を引きつらせた横島がそう言うと、横にいたべスパも思いっきり
首を立てに振っていた。

 「そうですか?、・・・では話を続けますね、老師はパピリオが人間界に行く度にお使い
を頼んでいた様なのです」

 (大体何を頼んでいたかわかる)

 小竜姫はあえてパピリオのお使いの内容を詳しくは説明しなかった。

 「ココからは老師とパピリオの話から私が推測したものなのですが、半年程前にパピリオ
が老師に頼まれた物を間違えて買ってきたみたいなんです、それでパピリオが次に人間界に
行った時に老師も一緒に人間界に行ったみたいで」

 (何となく話が見えてきたな)

 「その時、人間界の”げーむせんたー”とか言う処を大変気にいってしまった様らしく、
それ以来パピリオを連れ立って頻繁に”げーむせんたー”と言う処に通って遊んでいた様な
んです、そして横島さんも知ってのとうり自分達の資金が底をついたと言って私の財布から
お金を・・・」
 「それであの二人は今何処に?」

 横島は、小竜姫が言いにくそうにしていたので話の話題を変えた。

 「パピリオは、二度と脱走し無いように次元のはざまに創った独房に入れてあります、・
・・当分そこから出る事は無いでしょう、フゥフゥフゥ・・・」

 小竜姫は、不気味に笑っていた。

 「そして老師の方なのですが・・・」

 小竜姫は、そこでいったん話を止め悔しそうな顔をした。

 「本来ならパピリオと同じ様に次元のはざまに閉じ込めたかったのですが、老師の場合自
力で出て来てしまいますし、横島さんの事もありましたから今日のところはゴハン抜きです、
今は自室にいます」
 「飯抜きだけですか?、老師えのお仕置きはえらく軽いんですね」
 「あんなサルでも一応上司だから逆らえないんだろ?」

 小竜姫の話に横島とべスパは、それぞれの感想を言っていた。

 「確かにべスパの言うとおりですが、先程の勝負の最中に良い物を手に入れましてね」
 「良い物って何ですか?」
 「コレです」

 小竜姫は、ふところからアルバムの様な物を取り出した。

 「老師が戦いの最中にコレを落としましてね私が拾ったんです、そうしたら急に大人しく
なってしまいまして、私がコレを燃やそうとしたら慌て出したので没収したのですが、私に
はコレが何なのかよくわからないのです、それに老師の部屋に同じ様な物がたくさん有るん
ですよ」
 「小竜姫さまソレ見せてもらえますか?」
 「どうぞ」

 横島は、小竜姫からアルバムの様な物を受取ると、中を見た。

 「あぁ、なるほど老師が大人しく為る訳だ」
 「横島さん、あなたはソレが何かわかるのですか?」
 「えぇ、コレはカードと言う物です」
 「”かーど”?」

 横島は、アルバムの中身を小竜姫に見せた。

 「コレが”かーど”と言う物ですか、何をする物なのですか?」

 (小竜姫さまにわかりやすく言うと・・・)

 横島は、少し考えてから口を開いた。

 「ぶっちゃけて言うと、老師が小竜姫さまの金で買った物です」
 「なぁ、私のお金がこんな訳のわからない物に・・・」

 小竜姫は、呆然とカードを見ていた。
 横島は、さらに続けた。

 「後、小竜姫さまが老師の部屋で見たと言う物も同じ物だと思いますよ」
 「フゥフゥフゥ・・・」

 小竜姫は笑いながらフラフラと立ち上がった。

 「如何したんですか?」
 「老師のところに行って全部没収して来ます」

 そう言うと小竜姫は、鬼の様な顔をして勢い良く部屋を出て行った。
 横島とべスパは無言で小竜姫を見送った、そして何処からか悲鳴の様な声が聞えて来たが、
二人は”聞えない、何も聞えない”と言いながら耳を塞いでいた。
 10分後小竜姫は、晴れ晴れとした顔で戻ってきた。

 「横島さん、私は今から夕食の仕度をしますので少し時間がかかると思いますので、その
間温泉にでも入ってきてください」
 「じゃあ、お言葉に甘えて」

 そう言って横島は、立ち上がった。

 「そうそう、ヒャクメは明日には来るそうですから、それまでゆっくりしていて下さい」
 「そうですか、わかりました」

 横島は、小竜姫に頭を下げてその場を後にした。

 「べスパ、あなたは如何しますか?」
 「私は帰るよ、パピリオのレポートも回収したし、それにまだ他にも仕事も残ってるし」
 「わかりました、ではお気をつけて」
 「あぁ、パピリオとヨコシマにヨロシク」
 「はい、伝えておきます」

 そして、べスパの姿は消えた。

 「んぁ〜、ココの温泉は、相変らず気持ち良いな、それにしても・・・」

 横島は、先程見た夢の事を思い出していた。

 「ルシオラの夢なんて何年ぶりだろうな、最近は全然見てなかったしなぁ」

 横島は、ルシオラの事を考えながら小竜姫が呼びに来るまで、温泉に浸かっていた。
 その後、べスパが帰った事を聞くと少し残念がったが、小竜姫のよういした夕食を食べ終
わるとその日は、早めに床に就いた。



 横島は、再び16年前の夢を見ていた・・・

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