ザ・グレート・展開予測ショー

横島忠夫の人生色々!外伝 哀しみの横島


投稿者名:10番惑星
投稿日時:(06/ 9/ 1)

10番惑星にございます。
最近太陽系の惑星から冥王星がはずされて76年ぶりに9個から8個になってしまいましたね。残念です。

この作品は以前投稿した拙作『横島忠夫の人生色々!』の続編になっております。
出来ればそちらをお読みになってから読むことをお勧めします。



横島忠夫の人生色々! 外伝
哀しみの横島




「うわぁー!!空が青い!海が青いー!気持ちいいーでござるよ。」
「海に来たの久しぶりよねー。今日は思いっ切り遊ぶわよー」

「うふふ、シロちゃんもタマモちゃんもあんなにはしゃいじゃって。でも気持ちはわかりますよね。美神さん。」

「まあね、せっかくの夏なのに大きな仕事が重なっちゃって、あの子たちを遊びに連れてってやれなかったからね。今日から三日間の休暇は頑張ってくれたご褒美よ。」

海に入って元気に水を掛け合ってはしゃぐ獣っ娘二人を見ながら美神とおキヌは日光浴を楽しんでいた。

「ところで横島さんの姿が見えませんね。どこ行ったんだろ?」
「ああ、横島君ならちょっと見に行きたいところがあるって言って、どこかに行ったきりまだ帰ってこないわよ。」

「そうなんですか?この日のためにせっかくおニューの水着を買ったんだけどな。」
新しい水着を見せる相手がいなくなって少しがっかりするおキヌちゃんだった。

ちなみに彼女の水着は背中が大きく開いた淡いグリーンのワンピース、胸元の花飾りがポイントだ。

「ま、今の横島君は肉体的にも精神的にも覗きやナンパ、その他のセクハラ行為なんか出来ないでしょうから放っておいても大丈夫でしょうけどね。」
俯せになってシートに寝そべっている白い色のビキニを身につけ、サングラスをかけた美神がぼそっと呟く。

そんな美神たち一行から1キロ程れた砂浜にて。
「ううう、海の馬鹿野郎ー!!!っっっ…うう、ぐすぐすっ」
「海なんか海なんか、夏の海なんか大っきらいだー!!」
「俺は…俺は…っ」

そこには麦わら帽子をかぶり、サングラスをかけて横縞模様の囚人服のような全身を包み込むクラシカルスタイルの水着を着用して海に向かって泣きながら大声で叫んでいる見るからに不審な人物にしか見えない横島がいた。

何事かとその人物を見やる周りの海水浴客たちは完全に引きまくっていた。

本来、煩悩魔神と呼ばれる彼ならば夏の海に来た以上、どんな手を使ってもどんな危険を犯しても女子更衣室を覗き、どんなに女性にひじ鉄を食らおうともナンパに勤しむのだが今回は状況が違っていた。

「む、むなしい。くそ!せっかく海に来たのに意味がねえっ、この体が恨めしい。」
彼は叫び終えると謎の言葉を呟きながら何故か砂で大きな城を造り始めた。

何かをしていなければやってられなかったらしい。

その砂の城がちょっとした芸術作品になっており、このビーチに偶然遊びに来ていた世界的な某彫刻家に認められることになるのだが、それはまた別のお話である。

そんなやさぐれている横島の周りではいちゃいちゃするバカップル達が一杯いた。

「くそ、バカップルどもめ、うらめし…もとい、うらやましい。俺だってこんな体じゃなければ女の子の一人や二人…」
自分のナンパのほぼ0パーセントの成功率を無視してさらに落ち込む横島だった。

とその時、海から突如として巨大な肉の塊が姿を現した。

「な、なんだあれは?」
「か、怪物がでたー!」
突如現れた怪物のせいで大騒ぎになる海水浴場。

それはどす黒いオーラを発して海から上がってくる。

その怪物は全長3メートルはあるだろうか、よく見ると一応人型をしており、背中から数本の長い触手をはやしていた。
よくよく見ると胸と腰のあたりにはビキニの水着らしい物があった。

「この立ちこめる妖気は、もしかするとこいつは妖怪か?」
横島はその怪物の禍々しいオーラが妖気であることに気がついた。

そして怪物=妖怪は近くにいる逃げ遅れた若い女性に触手を伸ばして捕まえると彼女の胸に手を当てた。
「ぐふふふっ、大きな胸だぎゃ。お前さぞかし男にもてるんだろうぎゃねえ。恨めしいぎゃ、ねたましいぎゃ。男にもてる女はこうだぎゃ!」

「きゃー!私の胸が胸がーっ!」
妖怪に胸を触られた女性の大きな胸は見るも無惨にしぼんでいく。

「ぐふふふっ、いいざまだぎゃ。胸の大きな女はみんなツルペタにしてやるぎゃー!」
さらに別の女性に襲いかかろうとする妖怪。

「待つでござる妖怪!、皆が楽しんでいる海水浴場を荒らし、さらに女性の胸を小さくツルペタにするとは言語道断!このシロが退治してやるからそこに直れ!」
騒ぎを聞きつけて駆けつけたシロが妖怪の前に立ちふさがる。
シロは霊波刀をかざして臨戦態勢だ。

妖怪はシロをジロリと一瞥する。
「ふん、お前のような胸の小さな小娘に用はないぎゃ。」

「な、なんだとー貴様ー!、拙者を愚弄するかー!確かに拙者の胸はそれほど大きくないでござるが、それでもきつねやおキヌちゃんや小竜姫さまよりは大きいでござるぞー!」
シロは妖怪の言葉に激怒し思わず言い返したのだが言い方が悪すぎた。

「「シロ!」ちゃん!」

「誰の胸がシロちゃんよりちいさいですってぇ?」
「多少小さくてもそれがいいって男も一杯いるんだからー!」

声のする方を見ればシロを睨み付ける夜叉が二人いた。
二人の肩は怒りで震えていた。

「うふふふ、シロちゃん覚悟はいいわねえ?」
「くくく、シロは焼き肉が好きだったわよねえ?ごちそうしてあげるわよ。焼き方は丸焦げでいいわよねえ。」

黒いオーラを纏いネクロマンサーの笛をかまえるおキヌちゃんと無数の狐火を周りに出すタマモ。

「キャイーン、まっまってほしいでござる二人とも、悪かったでござる!お、落ち着いて、落ち着くでござる。」
二人の怒気に威圧され慌てふためくシロだった。

もはや妖怪と戦うどころではなかった。

シロの命は妖怪とやり合う前に風前の灯火になっていたのである。

所変わってここは妙神山

「離しなさい!ヒャクメ!」
「待つのねー小竜姫、あんたが行ったら洒落にならないのねー!」
「後生よー!武士の情けよー!せめてシロに一太刀!離してー!ヒャクメー!」
「だめだめだめー!落ち着いてー!小竜姫ーー!!」

小竜姫乱心の原因は自分ののぞきなので必死のヒャクメであった。


どうやらシロはしばらく妙神山に行けなくなってしまったようである。











閑話休題---------------------------













「で、何やってんのよ三人とも。」
三人が睨み合っているところ(実のところ、おキヌとタマモに睨まれてシロが小さくなっているのだが)に美神が現れた。

「あ、美神どの助けてくだされ!」
おキヌちゃんとタマモに殺されそうになっているシロは美神にしがみつく。

「やれやれしょうがないわね。今回はあんたが悪いわよシロ。」
「だってだって、あの妖怪に胸が小さいといわれて拙者頭にきてつい…」

「「だからって私たちを引き合いに出す事ないでしょうが!」」
突っ込むおキヌちゃんとタマモだった。


「お前らー!おでを無視するなぎゃー!!」
シロ、おキヌ、タマモの漫才をあっけにとられて見ていた妖怪が我に返って叫ぶ。

「で、あんたは何?何の妖怪かしら?ま、想像はつくけどね?」

「ぐふふふっおでは妖怪コンプレックス♀だぎゃ。もてない女の哀しみともてる女への恨み、妬み、嫉妬そして怨念が凝り固まって出来たのがこのおでだぎゃ。」

「お前のように胸が大きくて顔のいいもてる女はおでの敵だぎゃー」
ニヤリと笑うと美神を指さし大声で吠えるコンプレックス♀。

「なるほどね、自己管理も出来なくて美しくなろうという努力もしない。そんな女達がもてないのは当然なのにもてる女を逆恨みして生まれたのがあんたってわけね。」
美神が腰に手を当てふんぞり返ってコンプレックス♀に言い返す。

「うるさいぎゃ!もてる女にもてない女の苦しみはわからないぎゃー!お前の自慢の胸もツルペタにしてやるぎゃー!」
その美神の態度が頭にきたのだろう。触手が美神を捕まえようと伸びる。

しかし美神は隠し持っていた神通棍を出して自分にむかってきた触手を切り落とす。

「はん!妖怪コンプレックス♀!あんたらには多額の賞金が掛かっているのよ!このゴーストスイーパー美神が極楽に送ってあげるわ!」
美神の霊力が上昇し神通棍が輝き鞭のようにしなっていく。

「ふん!返り打ちだぎゃ!お前には地獄の苦しみを味わわせてやるぎゃ。」
コンプレックス♀の妖気も上昇する。
禍々しい妖気があたりに立ちこめる。

「くっなんて禍々しい妖気なの?」
さすがの美神もコンプレックス♀の出す妖気に後ずさる。

「ぐふふふふっお前には男になって貰うだぎゃ。せいぜいおでを怒らせた事を後悔するがいいだぎゃ。」

「男になってもらう?どういう事?」
美神が隙なく神通棍を構えてコンプレックス♀に問う。

「おでには女の胸をツルペタにする能力と女を男にする性転換の能力があるんだぎゃ。流石に性転換の方は使った事はなかったが、お前のような高慢ちきな女には心おきなく使えるんだぎゃ!覚悟しろだぎゃ!」
美神に再度襲いかかろうとするコンプレックス♀

その時だった。
「待てい!コンプレックス♀」

コンプレックス♀と美神の間に割って入った人間がいた。

それは麦わら帽をかぶり横縞の全身タイツのクラシカルデザインの水着を纏い、先ほど砂の芸術品という評価を受ける城を造っていた怪しい人物だった。

「「「「横島くん」さん」せんせい!」ヨコシマ!」

「なんだお前は?」
いぶかしがるコンプレックス♀

「俺の名は横島忠夫だ。おいコンプレックス♀さっきお前は女を男に性転換できると言っていたな。ならば俺を男にしてくれ!今すぐに!頼むお願いだ!」

そういうと横島は自分の着ている水着を胸元から引き裂いた。
そして胸を覆うサラシをはずす。
そこには美神にも勝るとも劣らぬ大きな形の良い乳房が現れた。
さらに麦わら帽子をとると腰まで伸びた長い髪、そしてサングラスをとった横島の顔は美しかった。

「「「「「「おおおー!!」」」」」」」
周りで見ていた男達から歓声が上がる。

「さあ、早く俺を男に戻してくれ!頼むコンプレックス♀!」
コンプレックス♀に哀願する横島。
胸の前で手を組んでうるんだ瞳でコンプレックス♀を拝むように見る彼女は神話の美しい女神か巫女を見る者に連想させた。

「か、かわいい…」
「か、可憐だ…」
「俺は夢を見ているのか…」
男達は目を輝かせて横島に見とれていた。

「うう、なんて綺麗な女だぎゃ!うらやましいぎゃ!くやしいぎゃ!わかったぎゃ、望み通り男にしてやるぎゃ、後悔しても知らないぎゃー!」
そしてコンプレックス♀の両手が輝き始めた。

「ぐふふふ、おでの両手が真っ赤に燃える!!この綺麗な女を倒せととどろき叫ぶ。ひっさつゴーッ…」

「ああっこれで男に戻れる。またナンパが心おきなく出来るんだ。神様ありがとう。」

その時である。
「あぶねえー横島ー!」

「ぐぎゃあーー!」
コンプレックス♀はなにやら呪文を叫び終わる前にぶっ飛んでいった。

「なんだ、いったいなにが起こったんだ?」
突然、目の前から消えたコンピレックス♀を見る横島。

その目に映ったのは
コンプレックス♀とともにぶっ飛んでいく黒い霊気の鎧を身に纏った男だった。

「ゆ、雪之丞!」

そう、コンプレックス♀に体当たりしてぶっ飛ばしたのは魔装術で身を固めた雪之丞だった。

「おおおおおー!!」
霊気のこもったパンチでコンプレックス♀を殴りつけさらにとどめとばかり霊波砲を打ち込む雪之丞。

「ふん!くたばりやがれい!!」

「ぐぎゃー!おでは不滅だぎゃ!もてない女がいる限り来年もまた復活するだぎゃー!」
たまらずコンプレックス♀は消滅していった。

そして雪之丞の他にもピート、タイガー、西条が現れた。

「雪之丞にいいところを取られましたね。ボク達の出番がなかった。」
「さすが雪之丞ジャー、瞬殺じゃったノー」

「まっいいじゃないか、大丈夫だったかい?横島クン。危ないところだったね。」
その場で立ちすくんで肩を震わせている半裸の横島を見やると西条は自分の身につけているシャツを横島にかけてやった。

横島が男の時はいがみ合っていた西条だったが、そこはやはり西条、本音はともかく表面上は女になってからの横島とは紳士的に付き合っているのだった。

「西条さん、どうしてここに?」
美神は突然現れた西条達に驚いて聞いた。

「実はこの海水浴場に凶悪な妖怪が出没すると報告があってね。様子を見に来たんだ。」「雪之丞、ピート、タイガーも暇だというんでね、ついでに助っ人を頼んだんだよ。」
「で、先ほどの騒ぎを聞きつけて来てみたら横島クンが妖怪と対峙してるじゃないか。まあ、横島クンなら負けるわけがないと思っていたんだが、危ないところだった。」

「…」
「ん、どうしたんだい横島クン」

「………」
「どうした?横島?」
魔装術を解いて横島の元にやってきた雪之上も横島の顔をのぞき込む。
ピート、タイガーもつられてのぞき込む。

その顔は美しかった。般若の形相になっても美しかった。

思わず後ずさる四人だった。

「お、お前ら…」

「「「「な、なんだ?」ですか?」」」(汗)

「せっかく男に戻れると思ったのに邪魔しやがって…うがあーー!!」
阿鼻叫喚の地獄絵図だった。

しばらく後、救急車が四人の死にかけた哀れな男達を病院に搬送していった。

「ふふふ、今回は元手いらずで大もうけだったわね。あいつ結構高額な賞金掛かっていたんだから。」
「いや、あの、倒したのは雪之丞なんですけどね…」
「なんか文句ある?」
「いえ、ありません。」


「ところで美神さん。」
「何、おキヌちゃん?」
「本当に横島さん男に戻れたんですか?」
「さあね?」



「海の、海のバカヤロー!!」
傷心の横島は海に向かって叫び続けるのだった。






終わり







なんというか意味のないドタバタ話でございます。
いいのか?こんなの投稿して…
悩む10番惑星でございます。

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