ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】彼女が制服着ないのは…?(絶チル)


投稿者名:偽バルタン
投稿日時:(06/ 8/31)




「ナオミさん…大丈夫ですか?」


誰ッ!?…って、なんだ、明ク…ちょ、ちょっと!?どうしたのよ明クン!?
何ヘタりこんでるの。顔もそんな真っ青で…


「あ、あわわ…」


や、やめてよ!何そんなに怖が…ぇ、何、もしかして私?私のこと怖がってるの!?
な、なんでぇ!?


「す、すいま…すいませ…はわわ…」


だ、だからやめてってば!
ほら、早く立って…恥ずかしいでしょ!?み、みんな『何事!?』って、こっち見てるじゃない!


「だ、駄目っす…
ちょ…こ、腰が抜けて…」


こ、腰がって…ちょっと、ほんとにやめてよ!ねぇ!?
これじゃまるで私が何かしたみたいじゃない!!


「ひッ!?す、すみませ〜ん!!」


だから怯えないでってば〜〜!!









【夏企画SS】彼女が制服着ないのは…?(絶チル)









この休憩所なら大丈夫よ。あんまり人通らないから…
ね、明クン…ほんと、大丈夫?


「ぁ、はい…ごめんなさい、ナオミさん…
公衆の面前であんな失礼な事…」


ぁ、ううん…こっちこそごめんね。心配してくれたのよね?
私、そんなにおかしかった?


「はい…その、なんだか背中からふフツーじゃないオーラが漂ってまして…気になって…」


声をかけたはいいものの…振り向いた私の顔を見て、腰を抜かして驚いたと…
…ねぇ、明クン…私、そんな怖い顔してたの?


「はい、かなり…
じゃなくてぇ! い、いえ、あの、別にそーゆーワケじゃなくってですね?
その…怒気といいますか、殺気といいますか…そーゆーのがどろどろとですね…
…ぁ、あの…ほんっとすいませんでした…」


あ、あはは、あははは…い、いいのよ。私、本当にムカムカしてたから…
…ムリもないわね…はぁ…


「あの〜、もしかして谷崎主任っすか?
…あの人また、何かやらかしたんすか?」


ぁ…やっぱり…解っちゃう?


「ええ。ナオミさんをそこまで怒らせる人、他に思いつきませんから…」


う〜ん。そーゆー目で見られてる事もまたちょっぴりショックだったりするんだけど…
まぁ、仕方ないか。
実はね、さっきまで主任に呼ばれてたのよ…新しい『制服』が出来たからって


「新しい…制服ですか?」


えぇ…正確に言うと夏服ってとこかな。
いつも着てるコレってね、見た目によらず暑いのよ。熱が篭って、蒸れちゃって…結構辛いの。今みたいな季節だと特にね?
だからね、私前から言ってたの『夏の間だけでもどうにかなりませんか?』って。そしたら主任『任せとけ』って言うから…
なのに…


「…な、なのに?」


…ふ、ふふふ…あのスケベオヤジにほんッの少しでも期待した私がバカだったわ…
もー思い出したくも無い…なぁにが『”通気性”と”機動性”を重視した』よ…


「な…ナオミさん?」


何なのよ…何なのよアレは!
あんなモン着て、人前に出れるわけないじゃない!


「ひ、ひぃッ!?」


アレのどこが『服』なのよ!『水着』ですらないじゃない!!アレは単なる『ひも』ってゆーのよ!!
あんなの、裸になるよりも恥ずかしいじゃないの!!オマケに『試着してみろ』だぁ?
あぁ〜〜〜〜〜もぉ〜〜〜〜〜ッ!思い出すだけでもイライラするぅぅぅッ!!


「…お、落ち着いて!落ち着いてください、ナオミさん!
いつもみたいに、ちゃんとガツンといってやったんでしょ!?」


ええ!もちろんしっかりと制裁してやったわ!!
なのに…なのに…何であんなうれしそうなのよ!?あんなボコボコにしたのに、悦ぶってどーゆーこと!?
んもぉ〜〜〜ッ!!あんの真性マゾがぁッ!いい加減にしろってのよ〜〜〜〜〜!!


「ナオミさん!!ちょ…
や、やめてぇ〜!オレに、オレに八つ当たりしな…がふァッ!?」









* * * * * *









はぁ…はぁ…
…ぁぁ…またやっちゃった…


「はぁ…はぁ…ぉ、落ち着きましたか?ナオミさん…」


え、えぇ…ご、ごめんなさい…明クン。
その…痛かった?


「いえ…あの、慣れてますんで…
でも、この話はもー終わりにしましょ?これ以上やられたら、さすがに身体もたないっすから…」


そ、そうね。
明クンの言うとおり…そう、嫌な事はさっさと忘れちゃうのが一番よね。
よし!忘れた忘れた!!


「……は、はははは…」


ここはひとつ話題を変えて…ぁ、そうだ。
ねぇ、明クン…


「あ、はい。何すか?ナオミさん…」


初音ちゃん、どうして『制服』着ちゃだめなのかしら?


「な…何をいきなり…」


制服の話で思い出したの。前からちょっぴり気になってたし…ちょうどいいから聞いちゃおうかなって。
初音ちゃんにもさ、薫ちゃんや私たちみたいな制服、支給されてるじゃない?
なのにいっつもあんな男の子みたいなかっこして…だから、どーしたのかなーって。


「そ、それでどーしてオレの所に?」


もちろん、初音ちゃん本人には一番最初に聞いてみたわ。
そうしたら…『明が“絶ッ対に着ちゃダメ〜!“って怒るから…』だって。
だから、明クンに聞いてるの。


「ぁ、あのバカ…黙ってろって言ったのに…」


ね、どうして?


「あ、あ〜それはっすね…アイツの能力の所為なんですよ…ほら、初音って狼になるでしょ?
だからあーゆー服だと…その、色々と困るんっすよ」


でも、さ…それは別に本当に“変身”するわけじゃないでしょう?
あの姿は、念動能力で身体の周りに体毛状のプロテクターを纏った上で、催眠能力で更にそれらしく見せているわけだから、別に元の服装がどうでも関係ないんじゃ…
それに、もしそーだとしてもそれは“初音ちゃんの理由”でしょ?明クンが、彼女に制服着ちゃ駄目っていう…その理由にはなってないと思うの。


「や…困るのは初音のほうじゃなくてオレのほうでして…
…なんていえばいーのか…その…オトコの事情とでもいいますか…」


オトコの事情って…なぁにそれ?怪しいわね〜
何か、ワケがあるみたいね…それも、あまり知られたくないワケが。
でもさぁ…そんな態度とられちゃうと、聞いた方としてはますます気になっちゃうんだけど?


「いや…だから…」

「明―、明―!」

「…って、あ、初音!?」


あら?噂をすれば…ってやつね。
こんにちは、初音ちゃん


「…ぁ…こんにちは、ナオミさん…何か、あったの?」


うん…この前『何で制服着ないのー』って聞いたじゃない?
その時初音ちゃん、明クンが着ちゃ駄目だって…だからこーやって、ね?


「あー…アレの事…」

「あーッ!あーッ!お、お前の方こそなんだよ、初音!なんか、用あったんじゃないのか!?」

「…ぁ、うん…ホラ、これ。さっき捕まえたの。トンボ…こんなおっきなの、初めて。だから、明にも見せたげようと思って」

「トンボって…お前なぁ、小学生じゃあるまいし…」


こらこら、そんな事言わないの。
初音ちゃん、明クンに構ってほしいのよ、ね?


「…べ、別に、そーゆーワケじゃ…」

「…お、これオニヤンマじゃん。こんな街中で珍しいなぁ…あ」

「あ」


あ…

−−−ぶぅん


「逃げた…」

「逃げたな…」


残念、逃げられちゃったね…
って…初音ちゃん?


「…追っかける!」

「あ、こら待て初音!初音ぇッ!!?」


…行っちゃった。
あ〜あ、もうあんな遠くまで…物凄いダッシュね〜。
あんな低い姿勢で、両手まで使って、なんかほんとにワンちゃんみたい。


「ほら…これだから…
だから初音にゃ『制服』は駄目なんすよ」


え?どーゆー事?


「…初音のヤツね、仕事ン時以外…狼に変身しないときでも、ああなんすよ。
長年、狼になりきってますから…しぐさとか、もうすっかり染み付いちまってんでしょうね。
たとえば、四つんばいになって走り回ったり、地べたにぺたんって“おすわり”したり、ニオイ嗅ぐ為に鼻面地面にくっつけて…その…し、尻を高く持ち上て、挙句振ったりもしやがって…
あんにゃろーはそーゆーの、人間の姿のまんま、へーきな顔でしてくれちゃうワケですよ…
考えても見てくださいよナオミさん…そいつを、そんなひらひらしたミニのスカートでやられた日にゃどーなるか…」


そ、そっか…なるほどね。それはずいぶんと刺激的よね。
明クン、男の子だもんね…目の前でそんなチラチラされちゃったら…
その…困るわよね?色々と…


「えぇまぁ…困ります。だから、初音にゃ制服は着せらんないです。
…あいつにゃ黙っててくださいよ?」


えぇ。もちろん、誰にも話したりしないわ。
それにしても…明クン、紳士ねぇ。感心感心。
どっかのエロ中年にも見習って欲しいくらいだわ。


「ははは…ま、それだけじゃないんすけどね…」


え?それだけじゃないって…
なに、他にもまだ何かあるの?


「い、いえ!別に…
ま、まぁ…初音のヤツも、任務ン時はともかく、普段でもナオミさんくらいおしとやかだったら別に制服でも良かったんすけどね」


…ふふふ、ありがと。


「…でも…そんなん初音らしくないしなぁ…」

「……あきらぁ〜」


あ…初音ちゃん、戻ってきたわよ?
あらあら…あんなしょぼくれちゃって…あの様子じゃ…


「…逃げられちゃった…くすん…」

「あー…残念だったな。
んなに落ち込むなよ…ほら、カキ氷でも食いに行こうぜ…な?」

「…うん…」

「つーわけで失礼します、ナオミさん」

「…失礼します」


あ、うん。
またね。










なるほどね…『それだけじゃない』か…
明クン、初音ちゃんの…気になる女の子のそんな所、他のヒトには見せたくないのね、きっと。
だから制服は着るなって…

あ〜あ…初音ちゃんいいなぁ…
あんないい男の子に想われて…ほんと幸せものね。羨ましいわ。

それに引き換え私なんて…

あーもー!どーして私の傍にはあんなのしかいないんだろ。
…もしかして男運悪いのかしら?

はぁ〜あ…






【終】

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