ザ・グレート・展開予測ショー

【夏企画SS】熱中症の傾向と対策


投稿者名:烏羽
投稿日時:(06/ 8/29)






シャァァァァァ…






「今日は暑いねぇ…」

家庭菜園の野菜たちにじょうろで水を撒きながら、唐巣神父は真夏の空を見上げた…









【夏企画SS】熱中症の傾向と対策









キィ…



微かな音を立てながら教会内へ入る神父

首に巻いたタオルで額の汗を拭きながら奥へと進んでいく…

奥ではピートが床をモップ掛けしていた

「今日は暑いですねぇ…太陽光がビリビリ来ますよ…」

ステンドグラスからさんさんと降って来ている太陽の光を眩しそうに眺めつつピートが言う

「ヴァンパイアハーフの君でもつらいって事はかなりのことだねぇ…」

「年に1度あるかないかなんですが…たぶん今日が今年一番の真夏日なんでしょう」

そう言いつつ壁にかかった温度計を見てみるピート

「…35度…
 僕は低体温ですから大丈夫ですが…暑くないですか先生?」

「ん?大丈夫だよピート君
 日本にはね…



『心頭滅却すれば火もまたヨロレイヒー』



と、言うことわざがあってね…」

「…なるほど…『心頭滅却すれば…』ってせんせぇ〜!?」

先ほどのセリフを言い終わるとともに『ふぅ〜っ…』と、床に倒れこむ神父…

どうやら熱にやられてしまったらしい…

「な、夏なのに真っ黒な神父服を着てるからぁ〜!!」

神父を抱きかかえつつ叫ぶピート



『はっはっは、神父服は神に仕えるものの制服だよ…どんな時でも身につけてなければいけないのさ…』



気のせいだろうか…

ピートが抱きかかえているのに、さわやかな笑顔の神父が空中に浮かんでいる気がした…









ぱたぱた…



そよそよ…



「う……んん……」

「先生、気が付きましたか?」

小さく唸った神父にピートが声をかける…

「…ピート君か…?私は…?」

「動かないで下さい、先生は熱中症にかかってたんですよ…もう少し休んでて下さい…」

「そうか…すまないね…」

「いえ…」

「…これは…濡れタオル…?」

神父が自分のまぶたの上に乗っているものを探りつつ呟く…

「えぇ、それとうちわですよ」

ぱたぱたとピートが仰ぐ音がする…

「そうか……あとは水枕かい?」

頭の下にある『ひんやりとした』モノの感触を感じながら言う神父…

「え〜っと…実は…」

何処か歯切れが悪そうに言うピート…

「?」

「水枕はですね…」

ピートがそう言ったそのとき…









「こんにちは先生〜生きてますか〜?差し入れ持って来ましたよ〜」

「ちわ〜」

「こんにちは〜」

「こんにちはでござる〜」

「…こんにちは」

美神事務所一行がやって来た…









「あ…」

ピートが少し『不味い…』と言った表情をする…

「やぁ美神君たち…こんな格好で悪いね…」

神父がその状態で美神事務所一行へと声を掛ける…






「………」

「………」

「………」

「………」

「………」



何故か神父を見て固まる一行…



「…?どうかしたかい?」

神父が疑問符を上げる

「あ〜…あのですね…」

ピートが少し焦りつつ声を上げる…



「せ…先生…」

令子がいち早くフリーズから復帰して神父へ声を掛ける…

「?」

「ピ、ピートに『膝枕』させて何やってんですか…しかもピート…その格好は…」

「え!?」

神父が驚愕の声を上げる…



そう…

ピートは神父を膝枕していたのだ…



しかも…

ピートの格好は…



「ピート…お前…そんな趣味が…」

「ち、違うんです横島さん!水枕に穴が開いてて…!!
 先生の頭部を冷やすことを考えたらこれが一番効率がよかったんです!!」

「だ、だからって…」

横島がピートを指差しながら叫ぶ…






「『ブーメラン』はどうかと思うぞ!!」






ブーメラン:男性用水着の種類のひとつ
       かなり布の量が減らされている色んな意味で危険な水着である
       詳しくは自身でお調べ下さい(笑)






総合すると…

神父は今現在、ブーメランを穿いたピートに膝枕をして貰っている…と言うことになる






「……じゃ、帰ろっか……ここには『私が知ってる』先生は居なかったわ」

「ですね…ここには『俺の知ってる』ピートは居ませんでしたね」

「今日はおソーメンにしましょうか」

「拙者は肉がいいでござるなぁ」

「あぶらげは?」






「ちょ、ちょっと美神君!!」

令子を止めようとするが熱中症の影響で動きが鈍い神父…

「よ、横島さん待って下さい〜!!」

ピートは横島を止めようとするが神父が膝の上に乗ったままでは身動きが出来ない…

そのまま2人は神父が完全に回復するまでその状態でいるしかなかったのであった…






(了)

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