【夏企画SS】きんにくん
投稿者名:赤蛇
投稿日時:(06/ 8/25)
「うわぁー、すごーーい!」
隣で週刊誌を読んでいたおキヌちゃんが、突然に声を上げた。
おキヌちゃんは今日は学校の登校日だったらしく、夏休みにしてはめずらしく制服を着たままだった。
いったい何の記事を見つけたのか、ページをめくる手が止まっている。
・・・前から気になっていたんだけど、どうして女性週刊誌って必ず年齢が書いてあるんだろう?
「見てみて横島さん、この人カワイイと思いません!?」
グラビアのページに目を向けたまま、おキヌちゃんが俺の腕を引っ張る。
一体何事かと思って見れば、そこには妙にさわやかな笑顔でポージングを取る、タンクトップ姿の男が写っていた。
最近、関西のほうで人気が出て来ている若手芸人だけど、こんなのを俺に見せてどないせいっちゅーねん。
だいたい、こんな筋肉男をつかまえて、『カワイイ』ってのはどうよ?
「えー。だって、スゴイたくましいじゃないですか」
惚れ惚れ、といった感じでおキヌちゃんは言う。そのうっとりとした表情は何!?
・・・そういや、おキヌちゃんってマッチョ好きなんだよなー
幽霊のときもそうだったし、いつぞやに見た女華姫、だったか、幼馴染の姫さんもものすごい人だったし。
よくテレビなんかに出て来る空手家のおっさんなんか見て、「抱かれてもいい」とかぬかしよったこともあるもんな。
相手は妻子あるおっさんよ? ヒゲづらよ?
「いいなぁ〜〜〜」
へーへー、どうせ俺は貧弱なボーヤですよーだ。
「ふふ。横島さんじゃかないませんよねぇ」
悪かったね! どうせ俺なんて・・・
「でも、横島さんだって、胸の大きい人が好きじゃないですか」
おキヌちゃんはちょっとむくれて頬を膨らませる。
いいじゃんか! それは男のサガなんやー!
・・・って、なんかちょっと違うんじゃないの?
「私も鍛えてみようかなぁ・・・」
・・・はい!?
ちょっと待って!
おキヌさん、今なにを呟きやがりましたか?
おキヌちゃんがボディビルダーに!?
ダメッ! ダメダメダメッ!!
あの柔らかい胸が固くなっちゃダメッ!! あのおっぱいは俺のじゃ〜〜〜!!
「そんなこと大声で言わないでくださいよ〜」
恥ずかしいじゃないですか、とか言ってるが、実はあんまり困った感じじゃなかったりする。
なんちゅーか、最近余裕が出てきたって感じだよね。
「うふふ」
う〜ん、やっぱりおキヌちゃんにはかなわないなぁ。
「でも、横島さんだって、結構たくましくなってきたじゃないですか」
俺のお腹をさすりながら、微妙によくわかんないフォローを入れてくれる。
まあ、こんな職場でこんな仕事をしていれば、ね。
あの空手家のおっさんにだって、勝てないけど負けない自信はあるぞ。
そんなボケをかましている間も、おキヌちゃんは俺のお腹をすりすりとさすってくる。なんかちょっとこそばゆい。
「・・・ねぇ、横島さん」
おキヌちゃんはちょっと顔を赤らめている。
もしかして・・・
「・・・私の部屋に行きませんか?」
うわ、やっぱりスイッチ入っちゃったよ。
なんちゅーか、ムードもへったくれもないなぁ。
なに? 俺にそんなこと言われたくないって? そりゃごもっとも。
それにしても、制服姿の女の子が赤くなってるのって、なんかいいよね。
・・・あれ?
そういえば、おキヌちゃんって明日も学校?
「ううん。もう、新学期までは行かないですよ」
そっか。
それならクリーニングに出しても間に合うよね。
「・・・あんまり、汚さないでくださいね」
・・・前向きに善処します。
今までの
コメント:
- ふと、帰りの電車の中で思いついてしまった小話です。
コミックス5巻を見ると、おキヌちゃんってマッチョ好きなんですよね。
なんとなく意外な取り合わせで微笑ましかったんですが(笑) (赤蛇)
- >>よくテレビなんかに出て来る空手家のおっさんなんか見て、「抱かれてもいい」と>>かぬかしよったこともあるもんな。
本編にそんなんあったか? もしなかったらこの話の設定(歴史展開)の一部ということになるのだが、反対する人は沢山いるだろう。 ちなみに私はこの設定には反対だが、全体的な流れについてはどうとは言わないので保留。 (Miller Lite)
- 軽い調子の横島一人称でありながら、実に深いですね。
制服を纏いながら日常会話を交わすおキヌ。
おキヌのどこかずれている感のある言葉は、幽霊時代から変わりなく。
しかしてその内に抱える情念は、大人でありました。
おキヌが「抱かれてもいい」などと言った時、横島にはどのような表情を向けていたのか。
嫉妬に燃え上がり、別の意味で燃え上がる横島、狙い通りのおキヌ。
こんな光景までも浮かびました。 (aki)
- >よくテレビなんかに出て来る空手家のおっさんなんか見て、「抱かれてもいい」とかぬかしよったこともあるもんな。
これさえなければ、桃キヌちゃんが素敵にエロ可愛い作品だったんだけどなぁ。というわけで中立票。 (いしゅたる)
- >でも、横島さんだって、胸の大きい人が好きじゃないですか
私としては、この台詞の「裏」をいかようにも深読み出来ることに、この作品のツボを感じました。
ただ、この会話の為されているのが、おそらくはよく冷房も効いた「美神令子除霊事務所」であるだろうことがなんだか残念ではありました(笑) (参番手)
- >あの柔らかい胸が固くなっちゃダメッ!!
「あの柔らかい」って触ったんですか?
>俺のお腹をさすりながら、
おキヌちゃんが横島の体にさりげなく触ってますね。
この後、制服着たままのおキヌちゃんと…?
私も北斗晶なら抱いてもい……すみません……撤回します。 (STJ)
- スケベビッチ・オンナスキーです。
おキヌちゃんが、横島くんにヤキモチを焼いてほしくて言ったんでしょうね。「(空手家に)抱かれてもいい」という台詞は。
つーか女の子ってワザワザそーゆーこと言うんだよなあ…いかん、自分の古傷をえぐってしまった。
なんかおキヌちゃんと横島くん「済み」っぽい?
ならこういうのもアリかな。
賛成で。 (スケベビッチ)
- おキヌちゃんのマッチョ分は多分、ほぼ確実に、ルーツは姫様なんだろうなあ……
スイッチが入る前と後で話の要素が切り替わり(マッチョの話→制服の話と)過ぎてる感じもありますが、付き合い始めて少し経ったこの二人のやり取りとして、全体的には自然にも思えます。
鞘当てにいじけられるも、横島の乳好きで切り返して一本。更に「私も鍛えて」とボケて落とす辺りがおキヌちゃんだなと。 (フル・サークル)
- 賛成。もう愛読者として。
いちゃいちゃ物、大好きだっ。
……ですが、もやもやも捕まえたので、綴ってみます。
なんとなくなんですが。
「まだ子供」と自称していたおキヌちゃんと、この作品のおキヌちゃんの間には
距離があるように感じてしまいます。
なんていうのかな。
感情が武器になる「まだ子供な娘さん」と
感情を武器にしてる「もう子供じゃない娘さん」という感じの差ですね。
そうなると、「まだ子供な娘さん」が変わる物語を求めてしまって
もやもやしていたようでした。 (ししぃ)
- すでにある程度の関係であれば男女の会話というのは、こういうモノだったりするんですよねぇ。
やたらリアルな二人のやりとりが、シーンをきちんと想像させてくれます。
おキヌちゃんにしたって横島のスケベに意趣返しでああ言っただけかも知れないし、私は面白いと思いました。
色々言いましたが……二人のいちゃいちゃしたやりとりはかなり悶絶モノでした(笑) (ちくわぶ)
- 横島君、おキヌちゃんには適わないようですねーw
やり取りの端々にふたりの仲の深さを感じます。
面白かったです。 (偽バルタン)
- ちょっと、原作より「進んじゃった」雰囲気の二人ですね。
こういうのも時にはありでしょう。
おキヌちゃんの「抱かれてもいい」って言うのは、横島へ何を含んでいたのやら(笑
おキヌちゃん原作の発言でも逞しい人が好きみたいだし
とはいえ、実際の好きになった人と好みが100%一致する必要もありませんが(笑
おキヌちゃん自身も横島の「いい所」が好きになって更に魅力加算中みたいですね。
……ところで、制服を汚さないように何をする気だね(笑 (長岐栄)
- ちょっと、原作より「進んじゃった」雰囲気の二人ですね。
こういうのも時にはありでしょう。
おキヌちゃんの「抱かれてもいい」って言うのは、横島へ何を含んでいたのやら(笑
おキヌちゃん原作の発言でも逞しい人が好きみたいだし
とはいえ、実際の好きになった人と好みが100%一致する必要もありませんが(笑
おキヌちゃん自身も横島の「いい所」が好きになって更に魅力加算中みたいですね。
……ところで、制服を汚さないように何をする気だね(笑 (長岐栄)
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